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2022年6月26日 (日)

THE MARS VOLTA『AMPUTECHTURE』(2006)

2006年9月12日にリリースされたTHE MARS VOLTAの3rdアルバム。日本盤は同年8月30日先行発売。

全米4位という高記録を残した前作『FRANCES THE MUTE』(2005年)から1年半という短期間で届けられた今作は、全8曲/約76分という非常にボリューミーな内容。往年のKING CRIMSONにも通ずるプログレッシヴロック的アレンジとサイケデリックロック的な空間系の味付けが見事にフィットした、混沌としながらも実に聴きやすい1枚ではないでしょうか。

プロデュースをオマー・ロドリゲス・ロペス(G, Synth)、ミックスをリッチ・コスティ(MUSE、SIGUR ROS、BIFFY CLYROなど)、さらにゲストメンバーとしてバンドと親交の深いジョン・フルシアンテ(G/RED HOT CHILI PEPPERS)が全面参加という豪華な布陣が参加した本作は、2005年のSYSTEM OF A DOWNとのツアー中に制作を進行。7分を超える楽曲が全8曲中6曲、うち3曲は10分超えという大作揃いながらも、前作のように組曲という形をとっておらず、ある意味では前作以上にカオティックな内容と言えるかもしれません。

アルバム冒頭を飾る7分超えの「Vicarious Atonement」こそ調和が伝わるミディアム/スローナンバーですが、続く「Tetragrammaton」は約17分にもおよぶ超大作で、複雑な展開が繰り広げられるアレンジは変態そのもの。ですが、セドリック・ビクスラー・ザヴァラ(Vo)による艶やかな歌声とキャッチーなメロディの効果か、非常に聴きやすい仕上がりなんですよね。実はこのへん、先のKING CRIMSONにも通ずるものがあるなと。もちろん、オマーとセドリックのルーツでもあるラテンの要素も随所に散りばめられていることから、KING CRIMSONとも異なる独自性がかなり強まっているのですが。

3曲目「Vermicide」(4分強と本作で最短)まで聴いて気付くのですが、過去2作や前身のAT THE DRIVE-INにあったカオティックハードコアやカオティックなエモの要素が減退しており、激しさや派手さよりも“ムード”を重視しているように映ります。実験性はもちろん強いのですが、その実験色に唐突さや異端さはまったく感じられず、すべてが必要な要素・ピースで組み立てられていることにも気付かされる。これを“成熟”という表現でまとめるのは違うのかもしれませんが、バンドとしてひとつのピーク(到達点)にたどり着いたのではないか……そう感じる1枚ではないでしょうか。それがアバンギャルドさとキャッチーさの共存につながっているのではないか、と。

その結果、本作の完成とともにバンドの地盤を固めてきたジョン・セオドア(Dr)が脱退。第1期THE MARS VOLTAは否が応でも完結せざるを得ない状況に追い込まれるのでした。そういう意味も含め、個人的にはTHE MARS VOLTAというバンドにおける(現時点までの)最高傑作だと思っています。

 


▼THE MARS VOLTA『AMPUTECHTURE』
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