KREATOR『HATE ÜBER ALLES』(2022)
2022年6月10日にリリースされたKREATORの15thアルバム。
約4年7ヶ月のインターバルを経て届けられた前作『GODS OF VIOLENCE』(2017年)が、初のドイツ総合チャート1位を獲得するなどキャリア最高峰と言えるほどの1枚だったけに、それに続く新作が待ち望まれていましたが、20年以上にわたり活動をともにしてきたクリスチャン・ギースラー(B)が2019年に脱退。これに代わる形で元DRAGONFORCEのフレデリク・ルクレール(B)が加入するというビッグニュースでメタルファンを驚かせ、翌2020年に新曲「666 - World Divided」(今作未収録)を配信リリースするなどニューアルバムの到着が今か今かと待ち望まれていました。
過去最長の5年5ヶ月というスパンを開けて到着した15作目のスタジオアルバムは、結成40周年という節目にふさわしい集大成的な内容に仕上がっています。前作の延長線上にあるブルータル路線の楽曲もあれば、80年代的な正統派スラッシュメタルもある。“KREATORらしさ”にこだわる旧来のリスナーは前作に惹かれたファンには、問答無用の1枚ではないでしょうか。
だけど、本作で特筆すべきな点はそこではなく、メロディアスなツインリードやシンガロングパートの仕上がりが際立つ「Strongest Of The Strong」や「Conquer And Destroy」といったパワーメタル寄りの楽曲。同郷ドイツの大先輩でもあるACCEPTにも通ずる男臭さと哀愁味は、ルーツに立ち返ったかのようなテイストで、非常に新鮮に響きました。
これを90年代のゴシック路線の延長と、無理やりこじつけることもできますが、それよりもバンドが節目のタイミングに自身のルーツを顧みたと解釈することはできないでしょうか。「Crush The Tyrants」やドイツの女性ポップシンガー:ソフィア・ポルタネットをフィーチャーした「Midnight Sun」のようなミドルヘヴィチューン(特に後者)もゴシック路線の“その先”と言えなくもないけど、それ以上にクラシカルなピュアメタルに回帰したと言ったほうが正しいのかも。「Demonic Future」然り「Pride Comes Before The Fall」然り。
だからこそ、ラストに置かれた約7分におよぶ不穏なヘヴィチューン「Dying Planet」がより映えるわけですよ。正直、KREATORにドラマチックなんて表現を使う日が来るとは思ってもみなかったけど、本作は緩急に富んだ楽曲の並びと、その中に含まれたドラマチック成分の高さが聴き手の爽快感につながり、全11曲/約46分を最後までするする聴き進めることができるんですよ。非常にクラシカルでオーソドックスなメタルアルバムではあるけれど、自分たちに求められているものと自分たちが追求したいもののバランスがギリギリの均等で成り立つ、良質なアルバムではないでしょうか。
本作は2021年の『Bloodstock Outdoor Heavy Metal Festival』で中日ヘッドライナーを務めた際のライブ音源を収めたボーナスディスク付き仕様も用意。フレデリクを含む編成での貴重なライブ音源なので、コアなファンはこちらもチェックしてみてはいかがでしょう。
なお、前作で初の本国チャート1位を獲得したKREATORですが、今作は惜しくも2位止まり。とはいえ、それ以前を考えたら上出来すぎる数字ではないでしょうか。
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