BRYAN ADAMS『CLASSIC PT.II』(2022)
2022年7月29日にデジタルリリースされたブライアン・アダムスのリレコーディング・アルバム。
本作は今年4月に発売された『CLASSIC』(2022年)に続く、80〜90年代の代表曲/隠れた名曲をオリジナルに沿ってセルフカバーしつつ現代的に仕上げた再録ベストアルバム第2弾。本作の制作理由については前回のレビューで事実/憶測含めて触れていますが、オリジナルのマスターテープが返却されない以上、だったら再録して自由に扱うしかないわなという10年くらい前のDEF LEPPARDと同じ状況なわけですね。
前作は代表曲に意外なレア曲(デビューアルバム『BRYAN ADAMS』(1980年)収録曲「Hidin' From Love」や、38 SPECIALに提供した「Teacher, Teacher」セルフカバー)を含めた興味深い内容でしたが、今作は90年代の楽曲が中心。前作は8曲/約35分という尺でしたが、今作は7曲/30分というミニアルバムにも近いボリューム。けど、サブスク全盛の今となってはこれくらいがちょうどいいのかもしれません。
80年代の楽曲は3rdアルバム『CUTS LIKE A KNIFE』(1983年)からタイトルトラック「Cuts Like A Knife」のみ、ほかは6thアルバム『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991年)から大ヒット曲「Can't Stop This Thing We Started」、7thアルバム『18 'TIL I DIE』(1996年)から「Have You Ever Really Loved A Woman?」、ライブアルバム『MTV Unplugged』(1997年)のみ収録のオリジナル曲「Back To You」「When You Love Someone」のスタジオテイク、8thアルバム『ON A DAY LIKE TODAY』(1998年)からは原曲どおり再びメラニー・Cをゲストに迎えた「When You're Gone」、そして9thアルバム『SPIRIT: STALLION OF THE CIMARRON』(2002年)から「Here I Am」という内訳。目玉はアンプラグドライブ初出でスタジオ音源化にまで至らなかった「Back To You」と「When You Love Someone」が、ここで初めてスタジオ録音されたということでしょうか(「When You Love Someone」はかつて、YouTubeの再録企画で披露されていましたが)。
どの曲もオリジナルテイクを忠実に再現しているものの、要所要所に数々のライブを経て培われたアレンジ/フレーズも付け加えられており、そこが新鮮に響いたりもします。また、「Can't Stop This Thing We Started」のように原曲がフェードアウトで終わっていたところを、このリレコーディング版では完奏するカットアウト方式が採られています。すべての曲がカットアウトで終わるので、そこも含めて今っぽいなと思ったり思わなかったり。
普通のベスト盤だったら1983年と2002年の録音が並列されるわけですから、音質やテクノロジーの差が気になってしまいますが、今作でのリメイクは当時の空気感(バンドサウンドの質感など)を絶妙に再現しつつも、時代の異なる楽曲が並んでも違和感を覚えないような工夫が施されており、7曲入りのいち作品としてスムーズに楽しむことができます。例えば、いかにもマット・ラング的なサウンドメイクを再現した「Can't Stop This Thing We Started」の次にシンプルなバンドサウンドの「Cuts Like A Knite」、アンプラグドライブでの生感を重視した録音の「Back To You」が並んでも、不思議とバラバラな印象は受けない。そこは録音やミックスよりも、マスタリングによる効果が大きいのかな。
原曲原理主義という一部の方には再録って不評かもしれませんが、ライブでは過去の楽曲を今の技術/表現で演奏しているわけですから、本作は感覚的にはそれと一緒なんですよね。ということで、最新オリジナルアルバム『SO HAPPY IT HURTS』(2022年)のモードで演奏された過去の名曲と捉えれば、今作はスッと受け入れられるのではないでしょうか。主な大ヒット曲をこの2枚で押さえられている気もしますが、きっと今後も続く企画だと思うので、ここからは意外なセレクト(個人的には『INTO THE FIRE』(1987年)あたりの隠れた名曲カバー)にも期待したいところです。
▼BRYAN ADAMS『CLASSIC PT.II』
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