PORCUPINE TREE『CLOSURE / CONTINUATION』(2022)
2022年6月24日にリリースされたPORCUPINE TREEの11thアルバム。
10thアルバム『THE INCIDENT』(2009年)に伴うツアーを経て、2010年以降は活動停止状態だった彼ら。以降、スティーヴン・ウィルソン(Vo, G)はソロ活動を活発化させ、2011年の2ndソロ『GRACE FOR DROWING』から昨年の6作目『THE FUTURE BITES』(2021年)まで5枚ものアルバムを発表。かつ、同作は全英4位、5作目『TO THE BONE』(2017年)は同3位とチャート的にも好成績を残しています。
そんなPORCUPITE TREEが2021年秋に突如活動再開を発表。ベーシストのコリン・エドウィンは未参加ながらも、スティーヴンとリチャード・バルビエリ(Key/ex. JAPAN)、ギャヴィン・ハリソン(Dr/KING CRIMSON、THE PINEAPPLE THIEF)の3人でこの11作目にあたるオリジナルアルバムを完成させます(レコーディングではスティーヴンがベースパートを兼務)。
バンドのセルフプロデュースで制作された本作は、7〜9分台の長尺曲が中心の全7曲/約48分といういかにも彼ららしいボリューム/バランス感。また、デラックスエディションにはさらに3曲が追加され、全10曲/約66分という2枚組アルバム級の大ボリュームに。日本盤やサブスクなどではこの10曲仕様がマストのようです。
実は、オープニング曲「Harridan」や一部の楽曲は、前作『THE INCIDENT』が完成してすぐに取り組んでいたものなんだとか。何度かバンドとしての新作に取り組もうというタイミングがあったようですが、最終的にこのタイミングになってしまったと。それもあってなのか、「Harridan」は良い意味で“あのPORCUPINE TREEが帰ってきた!”というスリリングでダーク(そしてムーディ)なサウンドを思う存分に楽しむことができる。ちょっと比較するのは違うかもしれませんが、僕の感覚的にはTOOL久々の新作『FEAR INOCULUM』(2019年)に初めて触れたときと同じ感覚に陥りました。
もちろん、ただ同じことの繰り返しをしているわけではなく、メロディや奏でられるサウンド、バンドのアンサンブルや随所に散りばめられたフレーズなどに以前との違い(というか成長)を感じ取ることもできる。ダークな「Rats Return」があるかと思えば、穏やかな雰囲気の「Of The New Day」や「Dignity」では独特の浮遊感や解放感が味わえるし、「Walk The Plank」ではエレクトロ色の強い不思議な空気を味わうこともできる。そして、アルバムラストには10分近くにもおよぶエピカルな「Chimera's Wreck」が配置されている。僕は決して熱心なこのバンドのファンとは言えませんが、ここで展開されている楽曲、サウンドにはファンが望むものすべてが詰まっていると同時に、この10数年にスティーヴンやリチャード、ギャヴィンが経験したことすべてが凝縮されているような気がしてなりません。
往年のYESやGENESISとの共通点が見つけられると同時に、90年代以降のオルタナティヴな感覚も添えられており、これらが2022年版にアップデートされたのが本作『CLOSURE / CONTINUATION』と考えると、全英チャート2位という過去最高ランキングを獲得したことも頷けるものがあります(途中まで1位獲得か?と期待されていただけに、ちょっとだけ残念)。ドイツなどでは初の1位も獲得しており、アメリカ以外では大健闘といったところでしょうか。サブスクよりもフィジカルが格段に数字を稼いでいるあたりにも、どういった層が彼らの音楽のメインターゲットなのかもなんとなく想像できますしね。
「Harridan」や「Chimera's Wreck」みたいな曲を聴いてしまうと、断然ライブが観たくなるわけでして。僕が彼らを生で観たのは2006年11月の昭和女子大学人見記念講堂でのライブが最初で最後なわけですが、次にチャンスが訪れたときは必ず会場に足を運ぼう……そう強く思わせてくれた良質な1枚です。
▼PORCUPINE TREE『CLOSURE / CONTINUATION』
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