RAMONES『MONDO BIZARRO』(1992)
1992年9月1日にリリースされたRAMONESの12thアルバム。日本盤は『モンド・ビザーロ(狂った世界)』の邦題で、同年10月7日発売。
ディー・ディー・ラモーン(B)が1989年に脱退し、他メンバーよりひとまわり以上若いC.J.ラモーン(B, Vo)を新たに加えた編成で制作。また、デビュー以来在籍してきたSire Recordsを離れ、Radioactive Recordsに移籍して最初のオリジナルアルバムでもあります。
映画『ペットセメタリー』のテーマソング「Pet Sematary」を生み出した前作『BRAIN DRAIN』(1989年)から約3年半ぶりという、それまでの彼らのキャリアでもっとも長いスパンを経て届けられた本作。プロデューサーにエド・スタシアム(MOTÖRHEAD、LIVING COLOUR、BIOHAZARDなど)を迎えており、その関係もあってかヴァーノン・リード(G/LIVING COLOUR)が「Cabbies On Crack」にゲスト参加しています。
80年代的なサウンドから脱却し、非常に硬質でタイトなサウンドプロダクションが施された本作は、さながら“RAMONES流ハードロック”といったところでしょうか。楽曲自体はどれもキャッチーで、従来の彼ららしさも随所から感じ取ることができるものの、C.J.の加入も手伝ってかフレッシュに生まれ変わった印象も強い。また、全13曲中C.J.がリードボーカルをとる曲も2つ(「Strength To Endure」「Main Man」)も存在し、活動後期に突入し大きな変革期を迎えたことも伺えます。
「Pet Sematary」の流れを汲む「Poison Heart」や、当時のアメリカでの検閲文化に対するアンチテーゼと言える「Censorshit」、BEACH BOYS風コーラスにセンスを感じるポップパンク「Touring」というキャッチーな楽曲があるかと思えば、「Anxiety」を筆頭としたハードコア路線の楽曲もしっかり用意されている。さらに、本作にはTHE DOORSのカバー「Take It As It Comes」なんていう異色曲もあり、ここでの経験が続くカバーアルバム『ACID EATERS』(1993年)へとつながっていきます。
長く続くパンクロックバンドが方向転換することなく、ひとつのスタイルを貫きながらどう“老いて”いくか。このアルバムにはその答えがあるような気がしてなりません。のちにジョーイ・ラモーン(Vo)やジョニー・ラモーン(G)は本作に対して否定的な意見を残していますが、僕は初めて聴いた30年前も今も本作のことが大好きで、常に楽しい気持ちにさせてくれる良作だと信じてやみません。というのも、初めて生で観たRAMONESが本作を携えたツアーだったから、当時の楽しい思い出がそうさせているのかもしれませんね。
なお、RAMONESはその活動を終了させるまでに14枚のスタジオアルバム(うち1枚はカバーアルバム)を残していますが、なぜか本作のみ日本でのストリーミング配信が実現していません。それだけが本当に残念でならないのですが……どうにかならないもんですかね?
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