MÅNESKIN『IL BALLO DELLA VITA』(2018)
2018年10月26日にリリースされたMÅNESKINの1stフルアルバム。日本盤は2022年8月3日発売。
本国イタリアで最高3位を記録した1st EP『CHOSEN』(2017年)から10ヶ月後に発表された、バンド初の完全オリジナル作品(前作は全7曲中5曲がカバー)。本作からは「Morirò da re」(イタリア2位)、「Torna a casa」(同1位)など計5曲のシングルヒットが生まれ、アルバム自体も最高1位を記録しています。
本作制作時はメンバー全員10代後半でしたが、ここに詰め込まれた12曲のオリジナル曲からは大きな可能性が伝わってきます。前作では「Chosen」「Recovery」の2曲だけでバンドの未来を占うのは難しかったものの、ルールが垣間見えるカバー5曲のおかげでバンドの方向性はなんとなく透けて見えたのではないでしょうか。
事実、本作には「Chosen」の延長線上にあるファンクロック「New Song」を筆頭に、メロディアスなバラード「Torna a casa」、ラテン色の強いダンサブルな「L'altra dimensione」とかなりバラエティに富んだ内容であることが伺えます。続く2ndアルバム『TEATRO D'IRA: VOL.1』(2021年)で確固たる個性を掴み取ったとするならば、この1stアルバムは次作への予行練習、あるいは習作と捉えることもできるのではないでしょうか。
アルバムはこのほかにも、アダルトな雰囲気を醸し出すミドルテンポのダンスチューン「Shit Blvd」、グルーヴィーな「Fear For Nobody」、切なげなメロディラインとイタリア語で歌われるボーカルが独特の世界観を構築する「Le parole lontane」など、前半だけでもかなり変化に満ちた構成。後半も同郷のラッパーのヴェガス・ジョーンズをゲストに迎えたグルーヴチューン「Immortale」をはじめ、RED HOT CHILI PEPPERS の影響下にあるファンクロック「Lasciami stare」、ラガメタル調でリズミカルな「Are You Ready?」、グイグイ引っ張るベースラインが耳にこびりつくストレートなハードロック「Close To The Top」、ヒップホップの香りが強い「Niente da dire」、このバンドの得意技が凝縮されたファンキーな「Morirò da re」と色彩豊かな楽曲がズラリと並びます。
どの曲も2〜3分と非常にコンパクトで、4分を超える楽曲がひとつもないのは非常に興味深いところ。結果、12曲とボリューミーに感じられるものの、尺的には34分と古き良き時代のロックとリンクする作り。このへんも非常にイマドキ感が強く、なぜ彼らがロック低迷な海外で受け入れられているのかわかるような気がしました。
レッチリをはじめとする1990年代のオルタナティヴロック、2000年代のロックンロールリバイバルやニューウェイヴリバイバル、2010年代のモダンポップからの影響を適度に受けつつ、それらを忠実に再現するわけではなく完全に「今」のものとしてオリジナルなものを作り上げる。その才能開花の“前夜”が本作なのかな。もちろん、アルバムとしても平均点を軽く超える力作なので、最新作『TEATRO D'IRA: VOL.1』やそれ以降に発表されたシングルで彼らにハマったというリスナーなら一発で気に入ることでしょう。
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