« ARCH ENEMY『ANTHEMS OF REBELLION』(2003) | トップページ | RAMONES『MONDO BIZARRO』(1992) »

2022年8月 3日 (水)

KISS『UNMASKED』(1980)

さて、KISS何度目かの「最後の来日(笑)」が決まったので、本日は当サイトでまだ取り上げていなかったスタジオアルバムを紹介したいと思います。オリジナルアルバムに関しては、これでコンプリートかしら?

本作は1980年5月にリリースされたKISSの8thアルバム。日本では『仮面の正体』の邦題で知られる1枚です(あれ、『地獄の〜』じゃないのか)。

ディスコビートを大胆に取り入れた「I Was Made For Lovin' You」(全米11位)やソウルフルなミディアムナンバー「Sure Know Something」(同47位)のヒットも手伝い、前作『DYNASTY』(1979年)は全米11位、100万枚を超えるセールスを残しました。そこから1年3ヶ月という短いスパンで届けられた次作は、プロデューサーに引き続きヴィニー・ポンシアを起用。前作での成功に気を良くしての続投だと思いますが、これが今回ばかりは悪い方向に導くことになってしまいます。

本作の特徴は、外部の職業作家が手がける楽曲を多数採用していること。80年代半ば以降のHR/HMシーンではもはや当たり前のコライト/楽曲提供という手法ですが、今作においてはそれがあまり良い作用を生み出しておらず、やたらとポップで日和った楽曲で構成されることになってしまいます。

オープニングの「Is That You?」はソングライティングにメンバーが一切関わっていない1曲ですが、この曲はKISSらしいポップロック感を表現することに成功。続くシングル曲「Shandi」(全米47位)も前作の流れを汲んだ作風ですが、少々“甘すぎる”かな?という印象も。ここまでの2曲はポール・スタンレー(Vo, G)が歌唱しています。そこからエース・フレーリー(G, Vo)が歌うストーンズテイストの「Talk To Me」、ジーン・シモンズ(Vo, B)が歌うソウルタッチのミディアムナンバー「Naked City」、再びポール主導のポップロック「What Makes The World Go 'Round」で前半を締めくくります。

後半(アナログB面)はシングルカットされながらもチャートインすらしなかったポール歌唱の「Tomorrow」からスタート。若き日のブライアン・アダムスあたりが歌ったらハマりそうなポップロックですね。続いてエース歌唱の「Two Sides Of The Coin」ですが、この曲はどことなく“ストーンズ meets ニューウェイヴ”みたいな雰囲気もあり、変な浮遊感がところどころから伝わります。その流れでジーン歌唱の「She's So European」、ポール歌唱の「Easy As It Seems」とあまりKISSらしくないヘンテコ(苦笑)な曲が続きます。前者はピコピコしたシンセの音色/アレンジに時代を感じるし、後者はディスコ路線の延長にあるのにアレンジが中途半端。さらに続くエース歌唱の「Torpedo Girl」もその延長線上にあるテイストだけど、エースのヘロヘロボーカルと不思議な調和を生み出しており、嫌いになれない仕上がりに。最後はジーンらしい重厚さも含まれたハードロックチューン「You're All That I Want」でエンディング。

いい曲もあるし、リリースから40年以上経った今聴けばKISSらしいアルバムと受け入れることはできるけど、彼らのキャリアを総括するならば、そこまで重要度の高い1枚ではない。完全に過渡期丸出しで、そりゃあピーター・クリス(Dr, Vo)も脱退するわな、と。

そうそう。ピーターは本作のクレジットに名前を連ねてはいるけど、曲作りやレコーディングには不参加。「Shandi」のMV撮影で久しぶりに姿を見せるも、その直後に正式脱退が発表されます(レコーディングには、『DYNASTY』でも大半のトラックでプレイしたアントン・フィグが参加)。

このテキストを書くために、それこそ10数年ぶりに聴いた1枚ですが、KISS史的には中途半端ながらもひとつのポップロックとして触れると非常に充実した作品ではないでしょうか。もちろん、率先して聴くような重要作ではないですが、これはこれでアリだなと思いました。

 


▼KISS『UNMASKED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

« ARCH ENEMY『ANTHEMS OF REBELLION』(2003) | トップページ | RAMONES『MONDO BIZARRO』(1992) »

KISS」カテゴリの記事

1980年の作品」カテゴリの記事

カテゴリー