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2022年11月24日 (木)

QUEEN『THE MIRACLE: COLLECTOR'S EDITION』(2022)

2022年11月18日にリリースされた、QUEENの13thアルバムのリイシュー&ボックスセット。

本作は、1989年5月に発表されたアルバム『THE MIRACLE』の最新リマスター盤(2011年バージョン)のほか、同作制作時のセッション音源とアルバム未収録曲およびデモ音源集『THE MIRACLE: SESSIONS』、シングルのみに収録されたカップリング曲やリミックス音源をまとめた『ALTERNATIVE MIRACLE』、メンバー4人が一緒に行った最後のインタビューなどをまとめた『THE MIRACLE: RADIO INTERVIEWS』、アルバム収録曲のインストバージョンやバッキングトラックをまとめた『MIRAC-MENTALS: INSTRUMENTAL & BACKING TRACKS』のCD5枚に、当時制作されたMVとドキュメンタリー映像をまとめたBlu-ray/DVD『THE MIRACLE: VIDEO』、そして5曲目に「Too Much Love Will Kill You」を配置するという当初計画していた『THE MIRACLE』の“Long Lost Original LP Cut”のアナログ盤が付属した、非常にボリューミーな内容。「Too Much Love Will Kill You」はフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)死後に完成させた『MADE IN HEAVEN』(1995年)収録バージョンがそのまま用いられています。

本作でもっとも特筆すべきなのが、CD DISC-2の『THE MIRACLE: SESSIONS』でしょう。アルバム制作時のセッションの模様がダイレクトに伝わってくる内容で、未発表曲はもちろんなんですが、特にアルバム収録曲が完成に至る経緯が垣間見えてきて、非常に興味深い内容なんです。

例えば、『HOT SPACE』(1982年)の流れを汲む打ち込みダンスポップ路線を取り込んだ「Party」や「The Invisible Man」は、生々しさが残されており、よりスタジオセッション色が強い。良い意味でほかのハードエッジな楽曲群との整合性が取れており、この形で収録されていたら全体的にもっとロックテイストの強い内容になっていたのかなと感じました。しかし、そうしないのがQUEEN。このおもちゃ箱的バラエティ豊かさこそが80年代の彼らなわけで、改めて完成版の魅力にも気づくことができました。

あと、「Breakthru」の冒頭スローパートが、デモ版では「When Love Break Up」と題した2分に満たないスローバラードでまとめられていたり、当の「Breakthru」はリズムセクションが打ち込みではなくて生ドラム&生ベースを残したテイクを楽しむことができる。冒頭のアレンジも完成版とは異なる形で、これも興味深い。リリース当時は「これ、打ち込みじゃなくて生のリズム隊バージョンで聴きたかった」なんて贅沢なことを考えたりもしましたが、結果やはり完成版のクオリティの高さは格別であったことに30数年経って気づかされたのでした。

さらに、本作には先の「When Love Break Up」や先行リリースされた「Face It Alone」を含む未発表曲を6曲用意。「You Know You Belong To Me」はブライアン・メイ(G, Vo)による弾き語り風小楽曲。アルバム後半のつなぎとして用意されたような1曲かな。「I Cuess We're All Falling Out」は1980年前後のフレディらしいゴスペルチックなピアノバラード、「Dog With A Bone」はロジャー・テイラー(Dr, Vo)のコーラス&ハーモニーが良いテイストを醸し出しているヘヴィ&グルーヴィーな1曲。「Water」は2分前後のスペーシーなスローナンバーで、これもブライアン中心で固められているのかな。完成された1曲というよりは、ここから展開していくというネタ程度の小楽曲なんでしょうね。そして、今回のリイシューに際してリードトラックとして配信された「Face It Alone」は、アルバムに入れるにはかなり地味な仕上がり。アルバムの入れるにしてもインパクトが弱すぎて、シングルのカップリング向けのおまけ程度のクオリティかな。方向性的には『THE MIRACLE』というよりは、シームレスで制作に入った次作『INNUENDO』(1991年)のテイストに近い気がするので、そういった意味では『THE MIRACLE』と『INNUENDO』をつなぐ過渡期的楽曲とも言えるでしょう。

この時期のアルバム未収録曲は比較的多く、CD DISC-3『ALTERNATIVE MIRACLE』には当時シングルのカップリング曲として発表された「Hang On In There」「Stealin'」「Hijack My Heart」「Chinese Torture」、そしてのちに『MADE IN HEAVEN』でリメイクされる「My Life Has Been Saved」と、かなり豊富なアウトテイクが残されていることに気づきます。実際にシングルのカップリングで発表された楽曲は、アルバム本編に入れるには至らないものの、先のデモテイクよりはクオリティも高めであることにも気づかされる。と同時に、やはり『THE MIRACLE』って非常に練り込まれた完成度の高い1枚なんだなと実感させられます。

ここに「Too Much Love Will Kill You」が当時ならではのアレンジで収録されていたら、どうなっていたのか……実際にプレイリストで再現してみましたが(もちろん『MADE IN HEAVEN』版のアレンジなので、当初想定していたものとは異なるかもしれませんが)、これはこれで良い流れなんですよね。どうせなら、CDでもこのバージョンを再現してほしかったなあ。

というわけで、フレディの命日にQUEEN関連のアイテムを紹介するのは昨年の30周年で一区切りかなと思っていましたが、こんな素敵なプロダクツが制作された以上は取り上げないわけにはいかない。今年もこのボリューミーなボックスセットにしっかり浸りながら、フレディに思いを馳せたいと思います。

 


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