DISTURBED『DIVISIVE』(2022)
2022年11月18日にリリースされたDISTURBEDの8thアルバム。日本盤未発売。
ポップかつソフトな側面を強調した異色作『EVOLUTION』(2018年)から約4年ぶりのスタジオアルバム。2作目『BELIEVE』(2002年)から続いた5作連続全米1位記録は前作で途絶えてしまいましたが、それでも最高4位という好記録を残しており、まだまだ人気は衰えていないことを証明しています。
再始動後の2作……前々作『IMMORTALIZED』(2015年)と『EVOLUTION』を手がけたケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーン、ロブ・ゾンビ、FIVE FINGER DEATH PUNCHなど)から、新たにドリュー・ファルク(PAPA ROACH、FEVER 333、DANCE GAVIN DANCEなど)をプロデューサーに迎えた本作は、アグレッシヴさが復調したヘヴィな楽曲を楽しむことができる1枚です。
ドリューは過去に彼が担当したアーティスト同様、本作でもソングライティングをサポート。歌メロは前作の流れを汲み非常にキャッチーですが、それを構築するサウンドそのものはかなり重々しく、彼らのパブリックイメージをなぞったようなスタイルは聴き手安心感を与えてくれることでしょう。また、歌詞の面でもコロナ以降の生活に対する怒りや葛藤が反映されており、中でも「Bad Man」はロシアのウクライナ侵攻に触発された1曲なんだとか。かと思えば、HEARTのアン・ウィルソン(Vo)をゲストに迎えた「Don't Tell Me」はダン・ドネガン(G)が自身の離婚をモチーフにしたとのことで、この約4年で変わってしまった日常(それは公的のみならずプライベートでも)に対する憤りがさまざまな形で表現されているようですね。
……ここまで書くと、非常に優れたメタルアルバムのように受け取れることでしょう。もちろん、全体を通して安心安全の1枚だと思います。ただ、それ以上でもそれ以下でもない。彼らの場合、金太郎飴的なマンネリ感が魅力であると同時に弱点でもあると思うんです。活動休止する前の後期作、特に5作目『ASYLUM』(2010年)ではそれが完全に裏目に出てしまっていましたが、本作にもその前兆のようなものが伺えて、ちょっと心配になってきます。
これ以上、新しいスタイルを望むのは難しいのかな。「Don't Tell Me」は前々作におけるカバー「The Sound Of Silence」の成功がもたらした産物かもしれません(事実、アン・ウィルソンは彼らの「The Sound Of Silence」を聴いてDISTURBEDと一緒に仕事してみたいと思ったそう)し、前作もそういった方向性を突き詰めてみようと思ったもののうまく機能しなかった。その結果、手っ取り早く原点回帰……と考えるのは邪推かもしれませんが、それを抜きに考えても本作は過渡期にある1枚なんじゃないでしょうか。
海外メディアの評価を目にすると、比較的自分と同じような声が見受けられ、みんな感じることは一緒なんだなと思いました。心に残るような強烈な1枚ではないものの、その隙間を埋めてくれるような補助的役割は十分に果たしてくれる。本当はそんなこと、バンドが望んでいないのは百も承知ですが、ここをうまく乗り越えて次作で完全復活を果たしてほしい……そういった意味では、次の9作目がバンドにとって真の勝負作かもしれません。
▼DISTURBED『DIVISIVE』
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