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2022年12月26日 (月)

BRUCE SPRINGSTEEN『ONLY THE STRONG SURVIVE』(2022)

2022年11月11日にリリースされたブルース・スプリングスティーンの21stスタジオアルバム。

前作『LETTER TO YOU』(2020年)から2年ぶりの新作は、往年のソウルミュージックのカバーアルバム。ソングライターや詩人として評価されることの多いスプリングスティーンですが、ここでは肩の力を抜いて自身のルーツに立ち返りつつ、シンプルに歌を楽しむことに徹しています。

フランク・ウィルソンやフランキー・ヴァリ、FOUR TOPS、THE TEMPTATIONS、ベン・E.キング、SUPREMESなど、ソウルミュージックをルーツに持つアーティストにとっては知らない者はいないくらいに有名どころが中心で、「The Sun Ain’t Gonna Shine Anymore」(邦題「太陽はもう輝かない」)や「I Wish It Would Rain」(邦題「雨に願いを」)など知名度の高い楽曲もいくつか含まれているものの、選出された楽曲はすべてが(特に我々に日本人にとって)馴染みのある楽曲とはいえません。だからこそ、個人的にはオリジナルアルバムと同じ感覚で接することができました。

お馴染みのE STREET BANDと一緒に制作するのではなく、過去10年の作品で積極的にタッグを組んできたプロデューサーのロン・アニエロ(シャナイア・トゥワイン、ギャヴィン・デグロウ、CANDLEBOXなど)とともにじっくり作り込み。SAM & DAVEのサム・ムーアー(Vo)などのゲストシンガーや大所帯のストリングス隊をフィーチャーすることで、原曲以上にふくよかで厚みのあるサウンドが用意されています。正直、このバックトラックだけでも十分に楽しめる仕上がりで、個人的にはインスト版も別途配信してほしいくらい。

で、その上で齢73歳のスプリングスティーンがリラックスしたボーカルを聞かせてくれる。スプリングスティーン節もしっかり備えられており、かつ独自の解釈によるソウルフィーリングが随所に散りばめられたアレンジの楽曲群は、彼のパブリックイメージである“暑苦しさ”や“押せ押せ気味な歌”が抑え気味なこともあり、聴く側のこちらも終始落ち着いて楽しむことができるという意味では、スプリングスティーンに対して苦手意識を持つリスナーにもオススメできる1枚ではないでしょうか。

だって、まずなにより曲がどれも良い(当たり前の事実ですが)。で、演奏やアレンジも素晴らしいし、ボーカルの深み、渋みもそういった音像に見事フィットしている。もしかしたら『BORN TO RUN』(1975年)や『THE RIVER』(1980年)、『BORN IN THE U.S.A.』(1984年)などの代表作や、『GREATEST HITS』(1995年)をはじめとするコンピ盤とセットで触れるべき初心者向き内容かもしれません。いや、もっと言えばクラシカルなソウルミュージックの入り口としても最適な1枚かもしれません。

スプリングスティーンのアルバムは常に追っている筆者ですが、もしかしたら彼のスタジオ作品の中でもっとも好きな1枚になりそうな予感が……邪道かもしれませんが(笑)、それくらいロックとかR&Bとか、そういったジャンルを超えて広く届いてほしい良作です。

 


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