ARCHITECTS『the classic symptoms of a broken spirit』(2022)
2022年10月21日にリリースされたARCHITECTSの10thアルバム。日本盤未発売。
初の全英1位を獲得した前作『FOR THOSE THAT WISH TO EXIST』(2021年)から1年8ヶ月という短いスパンで届けられた新作スタジオアルバム。その間には『FOR THOSE THAT WISH TO EXIST』をストリングス隊と一緒に完全再現したスタジオライブアルバム『FOR THOSE THAT WISH TO EXIST AT ABBEY ROAD』(2022年)も発表されているので、さらに間隔が短く感じられ「え、もう?」と驚いたことをよく覚えています。
前作同様、ダン・サール(Dr)&ジョシュ・ミドルトン(G)がセルフプロデュースを担当。楽曲の方向性自体は前作の延長線上にあるように思うのですが、制作の取り組み方自体は前作での成功を踏襲することなく、新たな気持ちで取り組んだとのこと。ダン・サールはそこについて、「特に『FOR THOSE THAT WISH TO EXIST』をオーケストラと一緒に再録音した後は、ストリングスやその他のものを棚上げしなければならないと感じた。だから、今度のアルバムは違う美学で作りたかった。シンセを使って、今までやったことのないようなことをするのが楽しかったんだ」と述べています。
実際、サウンドメイクに関してはエレクトロニックサウンドやそのアレンジを全面的に導入しており、オープニングを飾る「Deep Fake」や続く「Tear Gas」から伝わる質感は、要所要所でNINE INCH NAILS以降の味付けが伝わりますし、「Liveing Is Killing Us」あたりは“メタルコア版DEPECHE MODE”的なダークさも感じられる。なもんですから、僕自身嫌いになれるわけがない。大好物のてんこ盛りみたいな1枚に仕上がっているのすからね。
サム・カーター(Vo)の適度にアグレッシヴで決してメロウさを崩さないボーカルスタイルにもより拍車がかかり、バンドとしての絶対的個性が完全に確立されたことが伺えます。ミドルテンポ中心の楽曲スタイルは前作から引き続きで、これをキャッチーと受け取るか単調と解釈するかで評価は分かれるかもしれません。が、そんな中にもシャッフルビートを取り入れた「Spit The Bone」、グルーヴィーでアップテンポ気味の「Doomscrolling」、攻撃的ながらもキャッチーさを損なわない「A New Moral Low Ground」、初期のアグレッシヴさが復調した「Be Very Afraid」など変わり種もしっかり用意されており、実は全体的に起伏に富んだ1枚であることに気付かされます。「When We Were Young」などリード曲の印象が強いのでミディアム主体のイメージを持ってしまいがちですが、バラエティ豊かにおいては前作以上ではないでしょうか。
あと、前作まで当たり前だったフィーチャリングアーティストの参加が皆無なのも今作の特徴的なポイントかな。客演なしでもここまでやれるという自信は、間違いなく前作で得た成功がなせるものだ思いますし、そういったゲストが入る余地がないくらいの充実度の高さも実際に聴けば納得できるはずです。
また、前作が全15曲/58分という大作だったのに対し、今作は全11曲/42分とかなりコンパクト。そのへんも前作以上の聴きやすさ、親しみやすさにつながっている気がします。全英1位という快挙がバンドに与えた自信は相当なものがあったと思いますし、同時にプレッシャーも感じていたと思います。ですが、短い期間のうちに気持ちを切り替えられたことが本作を生み出すことにつながった。バンドとしての充実期がそのまま良質な形で反映された、ARCHITECTSの“今”がダイレクトに感じられる決定版的1枚です。
▼ARCHITECTS『the classic symptoms of a broken spirit』
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