JAPAN『ADOLESCENT SEX』(1978)
1978年4月8日にリリースされたJAPANの1stアルバム。日本盤は『果てしなき反抗』の邦題で、同年3月に発売。
1974年結成と、パンク/ニューウェイヴ勃発前に活動を開始したJAPAN。デビュー時のメンバーはデヴィッド・シルヴィアン(Vo)、ロブ・ディーン(G)、ミック・カーン(B)、リチャード・バルビエリ(Key)、スティーヴ・ジャンセン(Dr)の5人で、日本ではそのグラマラスなヴィジュアルとバンド名のおかげもあって、本国イギリスより早くから人気を博しました(さすが、ヴィジュアル系を生み出した国ですね)。
JAPANの音楽性が開花するのは3作目『QUIET LIFE』(1979年)であり、5作目『TIN DRUM』(1981年)で完成形に到達することになります。という意味では、このデビューアルバム“革命前夜”的な処女作と受け取ることもできるでしょう。事実、どこかアンバランスさが際立つ本作には(演奏技術やアイデアをまとめる能力という点において)未熟な面が目立ちます。
ですが、その未熟さが唯一無二の個性の原石となっていたのもまた事実。グラムロックを下地に、そこからソウルミュージックへと回帰していったデヴィッド・ボウイの如くブラックミュージックのテイストが随所に散りばめられている。ただ、そのテイストは欧米のブラックミュージックではなく、よりアフロミュージック寄りのトライバルなリズム感が目立つもので、そういった味付けがいびつな引っ掛かりにつながっています。
また、そこにニューウェイヴ開花前夜のシンセ主体のサウンドメイクが加わることにより、ジャンル分けが難しい独特のサウンド感を作り上げることに成功。どこまで計算しての結果だったのかは今となっては謎ですが、おそらく好きなものを掛け合わせた結果の偶発的な方向性だったのではないかと察します。
「Wish You Were Black」というアレなタイトルと、そこで表現されるクセの強いリズムワーク。のちにディープ&セクシーな歌声を聞かせるようになりデヴィッド・シルヴィアンの、まだ完成される前の初期衝動性の強い爬虫類っぽいボーカルも、今となってはこの独特なサウンド&楽曲に妙にマッチしているのですから、不思議なものです。
どの曲もキャッチーとは程遠いマニアックさが強く表出しており、ヴィジュアル先行とはいえ彼らが日本でいち早く受け入れられたのは本当に謎。アルバムラストを飾る9分超の名曲「Television」なんて、今聴くとめっちゃカッコいいと感じますが、仮に10代のロックビギナー時代に触れていたとしたらどこまで理解できていたのか……。そういった意味では、大人になる前にやりたい放題やり尽くしたのがこのデビュー作だったのかな。
▼JAPAN『ADOLESCENT SEX』
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