DAVID BOWIE『LODGER』(1979)
1979年5月18日にリリースされたデヴィッド・ボウイの13thアルバム。当時の邦題は『ロジャー(間借人)』。
『LOW』(1977年)、『"HEROES"』(1977年)と続いた“ベルリン三部作”の最終作。ただし、レコーディング自体はスイス・モントルーで行われており、制作にトニー・ヴィスコンティ(プロデュース)やブライアン・イーノ(Synth)らが参加していることから三部作のひとつと捉えられています。
レコーディングにはこのほか、カルロス・アロマー(G)、ジョージ・マーレイ(B)、デニス・デイヴィス(Dr)と過去2作の布陣に加え、エイドリアン・ブリュー(G/のちのKING CRIMSONに加入)、ロジャー・パウエル(Synth/当時UTOPIA)、サイモン・ハウス(Mandolin, Violin/当時HAWKWIND)が参加。作風的には『"HEROES"』の流れを汲むエモーショナルでソウルフルなロックサウンドと、ニューウェイヴにも通ずる多国籍感の強いポップチューンで構成された、過去2作とも若干異なる世界観が展開されています。
前作の延長線上にある「Fantastic Voyage」からスタートする本作は、アフリカンミュージック的ビートとコーラスワークを取り入れた「African Night Flight」、レゲエテイストと東欧的エキゾチックさを包括する「Yassassin」、浮遊感の強いプラスティックソウル「D.J.」など、かつてないほどのバラエティ豊かさを見せます。こういった作風が当時勃発し始めていたニューウェイヴ=アフター・パンクとも自然と重なり、改めてボウイがやろうとしていたことが時代と呼応していたという事実に驚かされることになります。
その後もパワフルさとエモーショナルさに満ち溢れた「Look Back In Anger」、80年代のスタイルとも重なる「Boys Keep Swinging」、イギー・ポップに提供した「Sister Midnight」(アルバム『THE IDIOT』収録)の別バージョン「Red Money」など、統一感よりも拡散方向を意識した楽曲が続きます。ジャーマンロック/クラウトロックにワールドミュージックを掛け合わせることで、さらに新たなジャンルを作り上げようとする攻めの姿勢は過去2作同様。ただ、その実験的な側面がより大衆性なものへとシフトし始めている印象も少なからず見受けられます。
そういった考えが、続く『SCARY MONSTERS (AND THE SUPER CREEPS)』(1980年)へとつながっていくのかなと考えると、実は“ベルリン三部作”のピークは2作目『"HEROES"』であり、すでにこの『LODGER』は次のステップへの過渡期に突入していたんだと気付かされます。本当にここまでのボウイの試行錯誤の繰り返しは、聴いていて面白くてたまりませんね。
▼DAVID BOWIE『LODGER』
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