« METALLICA『SOME KIND OF MONSTER』(2004)、『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』(2016) | トップページ | VV(VILLE VALO)『NEON NOIR』(2023) »

2023年1月29日 (日)

STEVE VAI『VAI / GASH』(2023)

2023年1月27日にリリースされたステーヴィ・ヴァイの“VAI / GASH”名義による唯一のアルバム(スティーヴ・ヴァイとしては通算11作目)。日本盤は同年1月25日発売。

昨年1月発売の『INVIOLATE』 (2022年)から1年ぶりに発表された本作は、当初1991年頃に制作されていたものの、現在までお蔵入りとなっていた1枚。無名のシンガー、ジョニー・“ガッシュ”・ソンブロットとのコラボレーションから生まれた、ヴァイらしからぬバイカーズ・ロック作品です。

80年代後半以降、バイカー・カルチャーに惹かれるようになったヴァイでしたが、バイクに乗っているときに合う音楽を既存の作品から見つけることができず、「だったら自分で作ってやろう」と計画したのが本作。そんなタイミングにガッシュというミステリアスなシンガーと出会い、今回収録された8曲をレコーディングしたとのことです。本当は、自身の活動が落ち着いてからさらに追加レコーディングをしてリリースする予定だったそうですが、1998年9月にガッシュがバイク事故で急逝。そういった事情もあってここまでリリースが見合わせられていましたが、2021〜2年頃にヴァイ自身が本作についてコメントするようになり、近々リリースが実現することを匂わせていました。

さて、そんな本作ですが、確かにここ30年くらいのヴァイのイメージからはかけ離れた、爽快感の強いアメリカンロック(あるいはアメリカンハードロック)が展開されています。8曲中7曲がヴァイ単独で書かれたもので、M-7「New Generation」のみMOTLEY CRUEのニッキー・シックス(B)との共作。80年代から仲の良かった2人が、本作のレコーディング数年前に書いたものなんだとか。

確かに、バイク乗りっぽいイメージの強い豪快なロックチューンが満載で、ヴァイのプレイも奇抜さが抑え気味。ガッシュのワイルドなボーカルを活かしながら、ノリのよりリフワークやソロプレイを聴かせてくれます。そもそもヴァイ、80年代半ばはデヴィッド・リー・ロスとタッグを組んでいたわけで、こういったアメリカンロックと向き合うことにも違和感を感じさせないはずで、「Busted」や「Woman Fever」「She Saved My Life Tonight」あたりはデイヴに提供してもまったく違和感なく楽しめるようなテイストです。

かと思えば、「Let's Jam」はサミー・ヘイガーあたりが歌ったらぴったりな作風だし、ニッキーとの共作「New Generation」もどことなくヘアメタル/パーティロック的で、ヴィンス・ニールが歌っても行けそうな気がするし。本編ラストを飾るミディアムバラード「Flowers Of Fire」も、ここまで名前が挙がったアーティストやバンドがプレイしても全然行けてしまう印象がある。けど、ヴァイ的にはそうじゃないんでしょうね。そのへんはもう、本人の感覚がすべてなので僕がどうこう言ってもアレなんですが。

全8曲で約30分という昔ながらも尺ですが、もしガッシュが早逝しなかったらほかにどんな曲が生まれていなのかな。たらればを言い出したらきりがないですが、これはこれで潔いクールなロックアルバムだと思います。

 


▼STEVE VAI『VAI / GASH』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

« METALLICA『SOME KIND OF MONSTER』(2004)、『LIBERTÉ, ÉGALITÉ, FRATERNITÉ, METALLICA!』(2016) | トップページ | VV(VILLE VALO)『NEON NOIR』(2023) »

Steve Vai」カテゴリの記事

2023年の作品」カテゴリの記事

カテゴリー