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2023年2月23日 (木)

U2『OCTOBER』(1981)

1981年10月12日にリリースされたU2の2ndアルバム。日本盤は『アイリッシュ・オクトーバー』の邦題で、翌1982年発売。

初のフルアルバム『BOY』(1980年)から1年ぶりに発表されたオリジナルアルバム。「Fire」(英35位/アイルランド4位)、「Gloria」(英55位/アイルランド10位)というシングルヒットも手伝い、アルバム自体もイギリスでは前作の52位を上回る最高11位を記録(本国では前作13位とほぼ同等の最高17位)。しかし、アメリカでは前作のトップ100入り(63位)には及ばず、最高104位止まりでした。

プロデューサーには前作から引き続きスティーヴ・リリーホワイト(XTC、THE ROLLING STONESSIMPLE MINDSなど)を起用。次作『WAR』(1983年)で極める独創的な音作りは、今作の時点でほぼ完成の域に達しており、あとは楽曲のクオリティでどこまでB級感から抜け出すかが課題でした。

本作ではアイルランド出身というバンドのルールが随所に反映された、前作以上に内向的なテイストでまとめられています。オープニングを飾る名曲「Gloria」では、曲の後半に賛美歌を彷彿とさせるコーラスを採用することで、のちの『THE JOSHUA TREE』(1987年)への布石を早くも打ち出しているほか、アイルランドの民族楽器イリアンパイプスをフィーチャーした「Tomorrow」、ジ・エッジ(G)のピアノ伴奏によるミニマルなアレンジが印象的なタイトルトラック「October」など、前作以上に独自性が強まっています。

思えば、前作は良くも悪くもパンク/ニューウェイヴの延長線上にある衝動性の強い作風でしたが、そこから一歩踏み出した本作は完全なるオリジナリティを獲得するための習作という意味合いも強いのかな。実際、楽曲のクオリティはA級レベルにあと一歩といったものが多く、そのためかアルバム全体の印象もちょっとぼんやりしたものがある。その霞がかった音像/空気が本作最大の魅力とも言えますが、『WAR』以降の大躍進を考えるとやはり過渡期かなと言わざるを得ません。

ロックバンドにとって2ndアルバムは勝負作になるわけですが、バンドの軸を確立させたという点では成功しているものの、大衆を圧倒させるという意味では失敗に終わった。そんなモヤモヤが良くも悪くもU2らしくて、僕はこのアルバムが嫌いになれません。のちのベストアルバム『THE BEST OF 1980-1990』(1998年)に1曲も選出されていないという点では、バンドにとって大きな意味を持つアルバムではないのかもしれませんが、それでも「October」を隠しトラックとして忍ばせるあたりに彼らの「それでも捨て切れない」という思いも伝わる。実は、バンドの個性を確立させる上ではもっとも重要な1枚ではないでしょうか。

 


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