« U2『OCTOBER』(1981) | トップページ | U2『NO LINE ON THE HORIZON』(2009) »

2023年2月24日 (金)

U2『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』(2004)

2004年11月22日にリリースされたU2の11thアルバム。日本盤は『原子爆弾解体新書〜ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』の邦題で、同年11月17日発売。

テクノロジー3部作(1991年の『ACHTUNG BABY』、1993年の『ZOOROPA』、1997年の『POP』)を経て、前作『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年)で再び80年代的な壮大さを持つギターロック路線へと回帰したU2。セールス的にも復調を果たした同作から4年ぶりに届けられた今作では、メインプロデューサーに80年代初期3作を手がけたスティーヴ・リリー・ホワイトを据え、曲ごとにアディショナルプロデューサーとして前作のブライアン・イーノ&ダニエル・ラノワ、UKロックにこの人ありなクリス・トーマス、90年代ワークスに欠かせないジャックナイフ・リーやネリー・フーパーといった著名人が多数参加。前作でのスタイルをさらに推し進めつつ、90年代の経験も味付けとしてバランスよく散りばめた、問答無用のロックアルバムに仕上がっています。

本作について語る際、まず真っ先に話題に挙げられるのがオープニングトラックの「Vertigo」でしょう。当時、iPodのCMソングに採用されたことで多くの音楽リスナーのもとにまで届いたこの曲は、前作における「Beautiful Day」に匹敵するヒットを記録(英1位/米31位)。さらに「Sometimes You Can't Make It On Your Own」(英1位/米97位)、「City Of Blinding Lights」(英2位)、「All Because Of You」(英4位)とイギリスでヒットを連発し、アルバム自体も英米で1位を獲得。セールス的には『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』には及ばなかったものの、それでもアメリカではマルチプラチナム(300万枚以上)を達成させました。

先の「Vertigo」や「All Because Of You」を筆頭に、躍動感の強いロックンロールを主軸にしつつ、「City Of Blinding Lights」など80年代前半のニューウェイヴを通過させた浮遊感の強いロックチューン、「Sometimes You Can't Make It On Your Own」をはじめとする80年代後半以降の壮大なアンセム、「A Man And A Woman」のような繊細な楽曲、「Love And Peace Or Else」など90年代のテクノロジー要素を散りばめたオルタナチューンなど、アルバムは意外にもバラエティ豊かな内容。なもんですから、全11曲(ボーナストラックを除く)/約50分という程よい尺があっという間に感じられて、アルバムとしての充実度の高さは『ACHTUNG BABY』にも匹敵するものがあるのではないでしょうか。

個人的には、このバンドのアルバムって後半から終盤にかけてダークさやディープさが伝わる楽曲が用意されている点が非常に好みだったりするのですが、本作では「Love And Peace Or Else」で若干その傾向をみせつつも、80年代中盤〜後半的な「One Step Closer」、名曲「One」にも匹敵する作風の「Original Of The Species」や「Yahweh」で穏やかさを提示してアルバムを締めくくる作風。最初こそ物足りなさを覚えたものの、アルバム全体のバランスを考えると実はこの締め方が最適であることに気付かされます。

どこかキャリアを総括するようで、だけどロックバンドとしてまだまだ前進するんだという揺るぎない信念を見せつける。デビューから20年以上を経たバンドの次章を占うという意味でも、非常に重要なポジションにある1枚かもしれません。

 


▼U2『HOW TO DISMANTLE AN ATOMIC BOMB』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3

 

« U2『OCTOBER』(1981) | トップページ | U2『NO LINE ON THE HORIZON』(2009) »

2004年の作品」カテゴリの記事

U2」カテゴリの記事

カテゴリー