BRYAN ADAMS『TRACKS OF MY YEARS』(2014)
2014年9月30日にリリースされたブライアン・アダムスの12thアルバム。日本盤は同年10月8日発売。
スタジオアルバムとしては『11』(2008年)から約6年半ぶりの新作となる本作は、カバー曲中心で構成された1枚。THE BEATLESやボブ・ディラン、チャック・ベリー、CREEDENCE CLEARWATER RIVIVAL(CCR)、THE BEACH BOYSの名曲の中に、オリジナル新曲「She Knows Me」をミックスした全11曲入りの作品集となっており、デラックス盤にはさらに5曲(うち1曲は、ディズニー映画『OLD DOGS』のために制作したオリジナル曲「You've Been A Friend To Me」)、日本盤にはここにもう1曲追加されたボリューミーな内容となっています。
ちなみに、カバーの内訳は以下のとおり。
01. Any Time At All [THE BEATLES]
02. She Knows Me [オリジナル新曲]
03. I Can't Stop Loving You [ドン・ギブソン、レイ・チャールズ]
04. Kiss And Say Goodbye [THE MANHATTANS]
05. Lay Lady Lay [ボブ・ディラン]
06. Rock And Roll Music [チャック・ベリー、THE BEATLES]
07. Down On The Corner [CREEDENCE CLEARWATER RIVIVAL]
08. Never My Love [THE ASSOCIATION]
09. Sunny [ボビー・ヘブ]
10. The Tracks Of My Tears [SMOKEY ROBINSON & THE MIRACLES]
11. God Only Knows [THE BEACH BOYS]
12. You've Been A Friend To Me [オリジナル曲]
13. Help Me Make It Through The Night [クリス・クリストファーソン]
14. C'mon Everybody [エディ・コクラン]
15. Many Rivers To Cross [ジミー・クリフ]
16. You Shook Me [マディ・ウォーターズ、LED ZEPPELIN]
17. Let It Be Me [THE EVERLY BROTHERS]
60's中心の選曲ですが、これはブライアンが幼少期から10代にかけて夢中になったルーツミュージックということなのでしょう。実際、アートワークに使用された写真も、彼が16歳の頃の写真ですし(今の彼からは想像もつかないロン毛時代!)。ビートルズで「Any Time At All」を選出するあたりに、彼のこだわりや音楽的嗜好が見え隠れしますね。
本作に関しては当時の所属レーベルからの提案だったものの、すでにジェフ・リン(ELO)とともに次のオリジナルアルバム『GET UP』(2015年)の準備に取り掛かろうとしていたこともあり、当初はブライアンはこのアルバムを制作することに消極的だったんだとか。しかし、気心知れたボブ・ロック(「Kiss And Say Goodbye」「Rock And Roll Music」のみ)と、これが初タッグとなるデヴィッド・フォスターとの共同作業が与えた影響はかなり大きなものがあり、結果として非常にポジティブに受け取ることができたそうです。
レコーディングはキース・スコット(G)&ミッキー・カリー(Dr)、ブライアン(B, Acoustic G)といったお馴染みの布陣に加え、デヴィッド・フォスターからの流れで名手マイケル・トンプソン(G)も参加。さらに、ピアノやキーボードでデヴィッド自身も演奏に加わっています。アレンジや演奏自体は原曲の雰囲気を残しつつ、2000年代以降のブライアンのスタイル……アルバム『ROOM SERVICE』(2004年)や『11』で見せた“大人になった青春ロック”路線が展開されており、カバー中心ながらもスタジオ作品としてのつながりもしっかり感じられる仕上がりです。
原曲が名曲ばかりなので、内容は悪いわけがない。あと、ここでの経験は確実にジェフ・リンとの作業にも影響を与えているはずで、結果として本作から1年後に発表されたオリジナル作『GET UP』との共通点もたくさん見つけることができます。そういった意味では、本作と『GET UP』は表裏一体の兄弟関係にあると言えるでしょう。『GET UP』を楽しむ上でも、このカバー集の存在は欠かせない……というのは過言でしょうか。
大袈裟な言い方になりますが、本作を軸に過去へ遡ると『11』や『ROOM SERVICE』があり、未来に目を向けると地続きで『GET UP』あり、そこからモダンな形にシフトさせた『SHINE A LIGHT』(2019年)があり、そういった経験を経ての原点回帰となる最新作『SO HAPPY IT HURTS』(2022年)がある。(あえてこういう言い方をさせていただきますが)ブライアンの音楽活動後期において、実は本作の存在ってかなり大きなものがあると個人的には思っています。
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