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2023年3月 8日 (水)

BRYAN ADAMS『SO HAPPY IT HURTS LIVE 23』@日本武道館(2023年3月7日)

Img_6731-2 ブライアン・アダムスのライブをただ一度だけ、『WAKING UP THE NEIGHBOURS』(1991年)を携えた日本武道館公演で観たことがあったのですが、今振り返るとあれは1993年2月の武道館だったのかな? ということは、ほぼ30年ぶりに彼のライブを同じ会場で今回拝見できたわけですね。調べてみて、改めて驚きました。

これまでも何度か観るチャンスはあったのですが、なぜかそこまで無理して観ようという気持ちになれず、気づけばコロナ禍に突入していました。そんなタイミングに自分の中でブライアン・アダムス再評価期が訪れ、ここ数年彼の作品をサブスクで聴きまくっていました。そうこうしているうちに、2022年にはニューアルバム『SO HAPPY IT HURTS』も発売。さらに、再録ベストやらいろいろ配信アルバムを連発し、年明けには約6年ぶりの来日も実現。そりゃ行かないわけにはいきませんよね。自分が死ぬ前に、いや、もしかしたらアーティスト側が先に逝ってしまうことだってあるわけですから。観れるときに観ておかないと。

先週、二度(MEGADETH=LOVEという食い合わせの悪さよ)も足を運んだ日本武道館に、今週も行くことになりました。席は1階スタンド南西。正面からちょい下手といったところなので、非常に観やすい位置でした。会場入りすると、巨大なスクリーンにアルバムジャケットにも登場するモノクロの車が映し出されている。また、ステージ上にはギターアンプのたぐいやモニタースピーカーなど一切なし。これが普通になってきましたよね。

Img_6732-2 開演5分前を切ったくらいのタイミングに突如場内BGMの音量が上がり、THE 1975の「Oh Caroline」が流れ始める。すると、静止画だと思っていた車の前をブラスバンドが通り過ぎたり、タイヤを窃盗する輩が登場したり、車に犬が乗り込んだり蜂の大群が押し寄せたりと、観客の注意を惹きつけます。かつ、BGMはTHE WAR ON DRUGS「Red Eyes」、PANIC! AT THE DISCO「High Hopes」、THE 1975「If You're Too Shy (Let Me Know)」がひたすら流れ続ける。スクリーンでは最終的にタイヤのない車に対して、警官が駐禁キップを切る始末。そして、いよいよライブスタートというタイミングに、車の中からブライアンが起き上がり、カメラのほうに歩いてくる。なんだ、最初からいたのかよ(笑)。

そして、暗転した会場内に「Kick Ass」冒頭のナレーションが流れ始める。しかも字幕(英文+和訳)付きで。ありがてえ。観客のテンションもここで一気にあがる。そしてスポットライトがステージ下手側に当たると、そこにはブライアンの姿が。ドラム、ベース、ギター、ピアノ、そしてギターを持ったブライアンという編成で「Kick Ass」から元気よくライブが始まります。最近はベースを抱えたトリオ編成でのライブ(やMV)も多かったものの、事前情報を得ていなかったのでこの編成には思わずニンマリ。やっぱり彼にはギターが似合うもの。

終始セミアコを抱えて「Can't Stop This Thing We Started」「Somebody」「One Night Love Affair」と80〜90年代のヒットシングルを連発するブライアン。なぜかこの3曲はワンハーフ(2番をカットしたアレンジ)だったのですが、序盤矢継ぎ早に人気曲で畳み掛ける構成を考えるとこれで正解なのかな。この流れで聴く「Shine A Light」もセトリに馴染んでいましたね。ここではブライアン、アコギに持ち替えています。

Img_6737-2 そして、その流れで早くも「Heaven」へ。お客さん、大合唱です。あ、ちなみに武道館の客席、ほぼ埋まっていました。なんなら、ステージ両サイドの見切れ席までお客が入っていました。MEGADETHではあのへん暗幕かかっていたので、動員的には8000〜9000人の間ぐらいかな。とにかく、大入りでひと安心でした。

前々作『GET UP』(2015年)からのロックンロール「Go Down Rockin'」を挟んで、「It's Only Love」「Kids Wanna Rock」と『RECKLESS』(1984年)からの荒くれロック2連発。キース・スコット(G)とマイクスタンドを挟んでシャウトする姿も絵になりますね。

ロックパートがひと段落すると、『MTV UNPLUGGED』(1997年)に収録されたバラード「When You Love Someone」を新たなアレンジで披露。スローナンバーの差し込み具合がちょうどよい位置で、ここまで正解出しまくりのセトリなんじゃないかしら。そこから「You Belong To Me」「I've Been Looking For You」とロカビリーナンバーを立て続けにプレイして、アンセミックなロックチューン「The Only Thing That Looks Good On Me Is You」でさらにひと盛り上がり。序盤に代表曲並べちゃって大丈夫?と心配したけど、まだまだあったね(笑)。

ここまで1時間くらいかな。折り返しとなるライブ中盤はアコースティックパート。まずはピアノとアコギで「Here I Am」に入るのですが、その前にブライアンの振りでキーボーディストが新幹線の場内アナウンスの音楽をピアノで再現。会場がクスクスする中、異常にウケてるブライアン。彼のリクエストで再び披露されると、さすがにこちらは苦笑。御年63歳のブライアンくん、まだまだティーンまっただなかという印象でした(笑)。

Img_6740-2 その「Here I Am」に続いて、今度はブライアンがアコギ1本で「When You're Gone」を弾き語り。そのまま「(Everything I Do) I Do It For You」へと流れる構成も自然すぎて、この曲に拒否感が多少残っていた自分でもすんなり入っていけたほど。なんなら一緒に歌ってました。

軽やかな「Back To You」で空気が再び温まり始めると、「18 'Til I Die」「Summer Of '69」と青春アンセム2連発。この流れはズルいな。両曲とも思い切り歌い上げてしまいましたもの。特に後者はフルコーラスそらで歌える自分に驚いた。10代前半からの刷り込みって怖いね。

キラーチューンの連続でこのあとどうなるのかと思っていたら、ブライアンがおもむろに客席に向けてリクエストを募り始める。まずはジャブ程度にど定番の「This Time」。40周年ですものね。で、次の曲のタイトルが彼の口から飛び出したことで、筆者は鳥肌を立てることになります。まさか、予想もしてなかった「Into The Fire」……「Heat Of The Night」でもなく「Hearts On Fire」でもなく、「Into The Fire」ですから。しかも、ブライアンの弾き語りかと思ったら、その場でいろいろ確認しながらバンド演奏で届けてくれたのですから、そりゃもう涙ものですよ。序盤こそ若干グダっていたものの、曲が進むにつれて演奏の熱量も高まっていき、曲終盤の盛り上がりはハンパなかったなあ………いいもの聴けた。これ1曲で完全に元取れたと思いましたもの。

その後も「Let's Make A Night To Remember」や「Take Me Back」という意外なリクエストを採用し、最後はブライアン自身のリクエストと称して「Cuts Like A Knife」で真のクライマックスへ。さらに、新旧のアンセム「So Happy It Hurts」「Run To You」を立て続けにプレイするのですが、それまでセミアコとアコギのみ使ってきたブライアンが、なぜか「Run To You」ではストラトに持ち替えるサプライズ。ああ、これですよ……あのシルエットが2023年にまた目撃できるなんて。長生きはしてみるものです。

「Run To You」でバンドメンバーが引っ込むと、最後はアコギ&ハーモニカでの「Straight From The Heart」、そしてスティングロッド・スチュワートのパートをひとりでカバーする「All For Love」の弾き語りで大団円。全28曲を2時間超にわたり披露したその圧倒的なパワフルさと、いまだ衰えることない青春感は脱帽ものでした。ありがとう、ブライアン。

『CUTS LIKE A KNIFE』(1983年)以降、80年代、90年代、2000年代、2010年代のそれぞれのヒット曲、代表曲を満遍なく、バランスよく配置し、最新作からは3曲程度に抑えつつも過去数作からの楽曲もしっかり複数セレクト。40年を超えるキャリアなのにここまで考え尽くされたセトリを作れるのって、単純にすごいと思いました。自分にとって、仮にこれが最後のブライアン・アダムスのライブだったとしても、まったく悔いは残らない。そんなベスト・オブ・ベストな名演だったと思います。しばらくはまた彼の音源しか聴けないかもしれないなぁ……。

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セットリスト
01. Kick Ass
02. Can't Stop This Thing We Started
03. Somebody
04. One Night Love Affair
05. Shine A Light
06. Heaven
07. Go Down Rockin'
08. It's Only Love
09. Kids Wanna Rock
10. When You Love Someone
11. You Belong To Me
12. I've Been Looking For You
13. The Only Thing That Looks Good On Me Is You
14. Here I Am [Acoustic]
15. When You're Gone [Acoustic]
16. (Everything I Do) I Do It For You
17. Back To You
18. 18 'Til I Die
19. Summer Of '69
20. This Time [Request]
21. Into The Fire [Request]
22. Let's Make A Night To Remember [Request]
23. Take Me Back [Request]
24. Cuts Like A Knife
25. So Happy It Hurts
26. Run To You
27. Straight From The Heart [Acoustic]
28. All For Love [Acoustic]

 

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