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2023年3月 2日 (木)

STEEL PANTHER『ON THE PROWL』(2023)

2023年2月24日にリリースされたSTEEL PANTHERの6thアルバム。日本盤未発売。

前作『HEAVY METAL RULES』(2019年)から約3年5ヶ月ぶりの新作。前任ベーシストにしてオリジナルメンバーのレキシー・フォックス(B)が2021年夏に脱退し、バンドは新メンバーを一般公募します。長期にわたるオーディションの結果、2022年9月に新メンバーとしてスパイダーことジョー・レスターが加入。彼はもともと、マイケル・スター(Vo)とサッチェルことラス・パリッシュ(G)がかつて参加していたカバーバンドATOMIC PUNKSのメンバーで、その後もSTEEL PANTHERのツアーマネージャーとしてもバンドに関わってきた人物。最終的に身近な存在でバンドの趣旨を深く理解した人物を迎えたわけですね。

さて、そんな久しぶりの新作。基本路線は前作から引き続き、80'sヘアメタルへの愛情たっぷりなトリビュートサウンドにお下劣な歌詞を乗せた、もはやコミックバンドと言ってもいいほどの内容。ただ、コミックバンドをやるくらいの人たちはその演奏技術がしっかりしていないと成立しないので、そこに関しては文句のつけどころなし。特に今回は、オープニングトラック「Never Too Late (To Get Some Pussy Tonight)」(タイトルよ……)冒頭で聴かせるシンセに往年のグラムメタル/ヘアメタルの名盤1曲目みたいな空気が漂っており、一気に惹きづけられるはずです(この際、歌詞は無視)。

その後も、ザクザクしたリフワークが気持ち良い王道ハードロック「Friends With Benefits」、タイトルはイマドキなのにサウンドは在りし日のパワーバラードというアンバランスな「On Your Instagram」、そのタイトルから何を歌っているのかが明白な「1987」、ギターの奏でるメロディと疾走感の強いアンサンブルが最高な「Teleporter」など、グラムメタルファンなら問答無用で楽しめる楽曲がズラリと並びます。本作を聴いている間はきっと今が2023年だってことを忘れられるはず!

アルバム後半もドゥイージル・ザッパ(G)をフィーチャーしたお下劣極まりないタイトルの「Is My Dick Enough」(ただし楽曲は良質)、タイトルは最低だけど楽曲自体はセンチメンタルなミディアムチューン「Magical Vagina」、リズミカルなアップチューン「One Pump Chump」、こんなタイトルなのに爽快なパワーバラード「Pornstar」、内省的なアコースティックバラード「Ain't Dead Yet」、シャッフルビートが心地よい「Sleeping On The Rollaway」と、個性的な楽曲満載。本作はバラードタイプの楽曲が多めな印象も受けるけど、これはこれで全然アリ。

英語圏で生活していたら、このアルバムに対する評価はまた大きく変わりそうですが(苦笑)、今回も最初から最後まで楽しませていただきました。常にこればかり聴くのは厳しいですが、たまに触れるぶんには気持ちよく聴ける、そんな1枚です。

 


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