久しぶりのマイケル・モンロー単独ライブ。いつ以来だったか思い出せないほどなんですが、今回は東京2日間あるうち、なぜか初日を早い段階でセレクト。その後、初日にHANOI ROCKSの4thオリジナルアルバム『TWO STEPS FROM THE MOVE』(1984年)、2日目にソロ2ndアルバム『NOT FAKIN' IT』(1989年)を完全再現することがアナウンスされたのですが(それぞれ40周年、35周年の節目)、最初は正直「チケットの売れ行き良くないのかな? 普通に新作『I LIVE TOO FAAST TO DIE YOUNG!』(2022年)中心のライブ見せろよ!」と憤ったももの、時間が経つにつれて「まあ、こういう機会でもないと聴けない曲もあるしな」と気持ちが変わり、気づいたら当日を楽しみに待っていました(なお、2日目の『NOT FAKIN' IT』も観たかったのですが、QUEENS OF THE STONE AGE唯一の東京公演と丸かぶりであることに気づき、泣く泣く断念)。
ライブは2部構成で、第1部が『TWO STEPS FROM THE MOVE』パート、第2部が通常のソロ公演とのことで、フロア上手寄り後方でまったり観ることに。オープニングSEは古くからのハノイファンには懐かしい「Orff: Carmina Burana」。そのから1曲目が「Up Around The Bend」なんですが……なんか慣れないな(笑)。再生ハノイもこの曲は終盤orラストに演奏することが多かったし、マイケルのソロ公演で聴くというのもなんだか変な気分。微妙にノリ遅れていたんですが、続く「High School」で否応なしにテンションが上がり、あとはもうどうにでもなれと。でも、やっぱりマイケルのソロ公演で聴くと(以下略
アルバムの曲順どおりにライブが進行するので、次にどの曲が来るかわかっているものの、イントロを聴くたびに「おおっ!」と気持ちが昂ってしまうのはオールドリスナーの性か。「I Can't Get It」とか「Underwater World」とか、地味に好きな曲なので久しぶりに聴けてうれしい限り。さらに「Don't You Ever Leave Me」ではアンディ・マッコイの語りパートを下手ギターのリッチ・ジョーンズが担当。ちょっと照れくさそうにしていたのが印象的でした。
ここまでは順当に楽しく過ごせたのですが、問題は「Million Miles Away」。キーボード/ピアノをフィーチャーしたこの曲、どうするのかなと思っていたら、今回の来日で知り合ったという日本の友人・Hicoさんがゲスト参加してプレイ。普段音源で聴くぶんにはこの曲もスッと入っていけるんだけど、生で聴くとなると……どうしてもエモーショナルになってしまう。当のマイケルも歌唱の途中で感極まったように見受けられる場面があったし。すごく貴重なパフォーマンスを楽しむことができたものの、否が応でも感傷的になってしまいます。
でも、続く「Boulevard Of Broken Dreams」で再び気持ちを持ち返し、その後は「Boiler (Me Boiler 'n' Me)」「Futurama」「Cutting Corners」という、ライブで聴く日が来るとは……という3連発に歓喜。彼らのキャリアの中および本作の中では比較的地味な3曲だけど、本家ハノイ再生時にも演奏されていなかったであろうこれらを日本で楽しむことができただけで大満足です。50分くらいのコンパクトな第1部を終え、マイケルは「すぐ戻ってくるから!」と笑顔でステージを去っていきました。
短いインターバルを経て、第2部はマイケルソロ公演ではお馴染みのセルジオ・メンデス「Fanfarra - Cabua Le Le」をオープニングSEに乗せて、メンバーが再登場。最新作のタイトルトラック「I Live Too Fast To Die Young」から勢いよくライブを再開し、以降も「Murder The Summer Of Love」「Last Train To Tokyo」など最新作や近作からのキラーチューンを連発してくれます。特に「Last Train To Tokyo」は日本のための1曲という意味合いも強いですし、盛り上がらないわけがない。ある程度新譜からの楽曲を披露したあとは、「78」や「The Ballad Of The Lower East Side」などのキラーチューンの出番。にしても「The Ballad Of The Lower East Side」の“強さ”は改めて尋常じゃないなと、こういう場で強く実感させられます。
第2部も後半に差し掛かると、ハノイ時代の「Motorvatin'」からDEMOLITION 23.「Hammersmith Palais」へとつなげるメドレー、同じくDEMOLITION 23.時代の「Nothin's Alright」を経て、「Malibu Beach Nightmare」「Dead, Jail Or Rock 'n' Roll」の2連発で本編フィニッシュ。強い曲ばかりで休む暇もなく、気づいたらこちらも汗だくに。マイケルはすでに還暦を超えているはずなのに、それを感じさせないほどのアグレッシヴさ。恐ろしいったらありゃしない。
アンコールでは再びHicoを迎えて、なんと意外な「Fallen Star」を披露。昨年、『ORIENTAL BEAT - THE 40TH ANNIVERSARY RE(AL)MIX』(2023年)を発表したこともあっての選曲なのかな。こういうサプライズも悪くないですね。で、そこから「One Man Gang」で再び熱量が高まったところで、マイケルから「パンク界のレジェンドを迎えよう」みたいな口上があり、続いてステージに登場したのがUK SUBSのチャーリー・ハーパー! なんで日本にいるの?と驚くものの、彼がステージに上がったということは次に何を演奏するか一発で予想がつきました……そう、DEMOLITION 23.でカバーした「Endangered Species」ですね。チャーリー、見るからにかなりのおじいちゃんですが、いざ歌い出すとカリスマぶりを遺憾なく発揮していました。そして、チャーリーがステージを去ると、最後の最後に「Oriental Beat」で締めくくり。2時間強におよぶ、かなり尺の長い贅沢なライブを堪能いたしました。
ライブ中、マイケルは新曲の制作に取り掛かること、秋には次のアルバムを発表することを告げましたが、前作から2年ちょっとというスパンを考えると非常に健全かな。となると、来日は来年の前半には実現するのかしら。なんにせよ、体力があるうちにまたすぐ戻ってきてもらいたいです。あと、さすがの存在感を発揮していたサミ・ヤッファ(B)も次はソロ公演とかやってくれてもいいんだよ……ね?
セットリスト
Part 1:『TWO STEPS FROM THE MOVE』40th Anniversary
01. Up Around The Bend
02. High School
03. I Can't Get It
04. Underwater World
05. Don't You Ever Leave Me
06. Million Miles Away [with Hico (Piano)]
07. Boulevard Of Broken Dreams
08. Boiler (Me Boiler 'n' Me)
09. Futurama
10. Cutting Corners
Part 2
11. I Live Too Fast To Die Young
12. Murder The Summer Of Love
13. Last Train To Tokyo
14. Derelict Palace
15. Young Drunkers & Old Alcoholics
16. 78
17. The Ballad Of The Lower East Side
18. Motorvatin'
19. Hammersmith Palais
20. Nothin's Alright
21. Malibu Beach Nightmare
22. Dead, Jail Or Rock 'n' Roll
Encore
23. Fallen Star [with Hico (Piano)]
24. One Man Gang
25. Endangered Species [feat. Charlie Harper from UK SUBS]
26. Oriental Beat