GREEN DAY『DOOKIE』(1994)
1994年2月1日にリリースされたGREEN DAYの3rdアルバム。日本盤は同年6月25日発売。
それまでインディーズのLookout! Recordsから作品を発表してきたGREEN DAYが、メジャーのReprise Reocrdsへ移籍して最初に発表した作品。本作からの「Longview」がBillboard Alternative Airplayで1位を獲得したのを筆頭に、「Basket Case」(同チャート1位)、「Welcome To Paradise」(同7位)、「When I Come Around」(同1位)とヒット曲を連発し、アルバムも最高2位まで上昇。セールス的には現在までに1000万枚を超える、キャリア最大のヒット作となりました。
当時のシーンを振り返ると、彼らのメジャーデビューはカート・コバーン(NIRVANA)が亡くなる2ヶ月前のこと。つまり、アメリカで社会的現象を巻き起こしたグランジムーブメントが沈静化する直前のタイミングだったんです。サウンド的にはグランジ同様、シンプルで無駄のないバンドアンサンブルを軸にしているものの、そこに古き良き時代のパンクロックらしいメッセージ性、モノトーンな作風が中心だったグランジから一転して幾分カラフルでポップなメロディが、それまでの反動としてなのか、好意的に受け入れられた。特に、「Basket Case」などのMVで見せるシニカルさはグランジから地続きなところもあったので、すんなりと受け止められたのかなと思っています。
そして、彼らの人気を決定づけた要因のひとつに、1994年8月に開催された野外フェス『Woodstock '94』も挙げられるでしょう。1969年に行われた伝説のフェス『Woodstock Music And Art Fair』の25周年企画として実施されたこのフェスには、METALLICAやAEROSMITH、RED HOT CHILI PEPPERS、NINE INCH NAILSなど当時のアメリカを代表するバンドも多数参加。GREEN DAYは公演3日目(8月14日)のサブステージ(South Stage)の5番手(ちょうど真ん中あたり)に登場し、客席から泥を投げ込まれたり観客がステージに乱入したりとかなりカオスな状況が今でも伝説として語られています。
当時、僕はこのアルバムを買った記憶がまったくないんですが、気づいたらなぜかCDが家にあったんです。当時の友人か彼女が上に忘れていったものかと思ったのですが、思い当たる人たちに聞いて回っても「自分のものじゃない。けど、お前の家でよく聴いてたよな」という返事ばかり。そういう不思議な縁で出会った1枚なんです。もちろん、ラジオで「Basket Case」や「Longview」は耳にしていたし、「Basket Case」のMVも面白いと思っていた。だけど、自分から進んで手にするかと言われたら、当時の自分は購入していなかったんじゃないかな。そういった意味でも、妙な縁でつながった1枚なんです。
また、その頃の自分はパンクといえばUKパンクのイメージが強く、USパンクはそこまで詳しくなかった。せいぜいRAMONESくらいだったかな(さらにそのルーツとなるようなアーティストも聴いていたけど)。だから、アメリカから生まれた新たなパンクと言われても「え、グランジがあるのに?」と消極的になってしまっていた。そう考えると、誰が置いていったのか、このアルバムを我が家に与えてくれたことは価値観をぶち壊す上でもかなり重要なトピックだったと思います。
RAMONES直系のポップでキャッチーなパンクチューンの数々は、そのRAMONES同様に50'sや60'sのUSポップやR&Bとの共通点が見受けられる。だけど、バンドアンサンブルは非常に尖っていて、歌詞に目をやるとグランジにも通ずるネガティブさも見受けられる(もっとも、家にあったのは輸入盤だったので、歌詞を理解したのはもっとあとのことですが)。決して彼らの台頭で時代が激変したのではなく、90年代初頭から続くダークなムードをそのまま引き摺りつつ、怒りの矛先が少しずつ変わっていった。そのターニングポイントを作ったのがGREEN DAYや、同時期にヒットを飛ばしたTHE OFFSPRINGのようなバンドたちだったんでしょうね。
ちなみに、彼らは次作『INSOMNIAC』(1995年)を発表したあと、1996年1月に初来日ツアーが実現。僕は当時晴海にあった会場でのスタンディングライブ(オープニングアクトにHi-STANDARDが出演)で、彼らのステージを初めて目撃しています。当時のエピソードについてはこちらのインタビューにも詳しく載っているので、併せてお読みくださいませ。
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