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2024年4月

2024年4月30日 (火)

2024年4月のお仕事

2024年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例をご紹介します。(※4月30日更新)

 

[紙] 4月30日発売 BUBKA 2024年6月号にて、土田晃之インタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 4月27日、「リアルサウンド」にてインタビュー 『Project CO-MUSIX』対談:猫井ヤスユキ&佐藤日向が向き合う“ガチ恋”の物語 「マンガ×音楽」の新しさが公開されました。

[WEB] 4月27日、「リアルサウンド」にてインタビュー 『Project CO-MUSIX』対談:なかはら・ももた&カメレオン・ライム・ウーピーパイ、「マンガ×音楽」の共鳴で描く身近な愛が公開されました。

[WEB] 4月27日、「Rolling Stone Japan」にてインタビュー モトリー・クルーが語る新曲「Dogs Of War」制作秘話、日本のファンへのメッセージが公開されました。

[WEB] 4月25日、「リアルサウンド」にてコラム 『ガールズバンドクライ』迷い悩む少女たちの物語を照らし出す トゲナシトゲアリ、1stアルバム全曲レビューが公開されました。

[紙] 4月23日発売 BRODY 2024年6月号にて、野村陽一郎(日向坂46「君はハニーデュー」作曲者)インタビューを担当しました。(Amazon

[WEB] 4月22日、「音楽ナタリー」にてインタビュー THE BAWDIES「POPCORN」インタビュー|4人がロックンロールし続ける理由が公開されました。

[紙] 4月22日発売 B-PASS ALL AREA Vol.19にて、ポルノグラフィティ ライブレポート(有明アリーナ公演)を担当しました。(Amazon

[WEB] 4月20日、「リアルサウンド」にてライブレポート 今の日向坂46に迷いはない 進化するグループが『5回目のひな誕祭』で交わしたおひさまとの約束が公開されました。

[WEB] 4月17日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 竹内アンナ×竹内朱莉インタビュー|入れ替わりたいほどリスペクトし合う竹内コンビが公開されました。

[WEB] 4月17日、「音楽ナタリー」にてインタビュー bokula.インタビュー|多彩なアレンジが光るEPの制作秘話、CDとサブスクの狭間世代にとってCDとはが公開されました。

[WEB] 4月12日、「リアルサウンド」にてインタビュー 岩本蓮加&田村真佑、乃木坂46を担う自信 プレッシャーの中で乗り越えた『バスラ』も振り返るが公開されました。

[WEB] 4月10日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 乃木坂46 伸び盛り5期生の魅力が爆発!「超・乃木坂スター誕生!」Blu-ray BOX特集が公開されました。

[紙] 4月8日発売 ヘドバン Premium Vol.1にて、NOVA TWINS来日公演レポートを担当しました。(Amazon

[WEB] 4月7日、「リアルサウンド」にてインタビュー WHITE SCORPIONがシンパシーを生むのはなぜなのか? 「Satisfaction graffiti」で手にした真の“らしさ”が公開されました。

[WEB] 4月5日、「音楽ナタリー」にてインタビュー 月刊偶像|アイドルの“歌力”を世界に発信、第1弾はヤママチミキ(GANG PARADE)×真部脩一が公開されました。

[紙] 4月4日発売 「日向坂46新聞」2024春号にて、日向坂46齊藤京子インタビューを担当しました。(Amazon

[紙] 4月4日発売 「日経エンタテインメント!」2024年5月号にて、櫻坂46大園玲 連載「ミステリアスな向上心」および日向坂46上村ひなの 連載「ピュアで真っすぐな変化球」の各構成を担当しました。(Amazon

 

V.A.『NASHVILLE OUTLAWS: A TRIBUTE TO MÖTLEY CRÜE』(2014)

2014年8月19日にリリースされた、カントリー系アーティストによるMÖTLEY CRÜEトリビュートアルバム。日本盤未発売。

かのテイラー・スウィフトを輩出したナッシュビルのカントリー系レーベルBig Machine Recordsが企画した本作。そのテイラーを中心に、当時はカントリーミュージックもロックやハードロックを通過したオルタナティヴなものが増え始めていた時期でもあり、本作はそうした若い世代を中心に、カントリーとクラシックロック/ハードロックのクロスオーバーを目指して制作されたようです。

アルバムにはRASCAL FLATTS、FLORIDA GEORGIA LINE、リアン・ライムス、ジャスティン・ムーア、BIG & RICH、クレア・ボウエン&サム・パラディオ(2人とも俳優で、ドラマ『ナッシュビル カントリーミュージックの聖地』出演)、ELI YOUNG BAND、ローレン・ジェンキンス、THE CADILLAC THREE、THE MAVERICKS、ブラントリー・ギルバート、グレッチェン・ウィルソン、ダリアス・ラッカー(HOOTIE & THE BLOWFISHのフロントマン)と、カントリーに限定せずその周辺で活躍するアーティストが多数集結。また、ポップパンクバンドHEY MONDAYのキャサディー・ポープ(Vo)、ニューメタルバンドSTAINDのアーロン・ルイス(彼はソロではカントリーにチャレンジ)といった変わり種も名を連ねているほか、CHEAP TRICKのロビン・ザンダー(Vo)や、本家からヴィンス・ニールもゲスト参加しています。

アルバムはRASCAL FLATTSによる「Kickstart My Heart」からスタート。「えっ、これカントリー?」って疑問が生じそうサウンドメイクは、モロにハードロック。本家ほどのドギツさこそないものの、ヘアメタルバンドのカバーと言われても通用しそうな仕上がりです。続くFLORIDA GEORGIA LINE「If I Die Tomorrow」もダウンチューニングしたディストーションギターを使用していることから、ハードロック的側面が強く打ち出されている。その一方で、マンドリンのようなアコースティック楽器を取り入れることで、カントリーらしさもしっかり漂わせたアレンジに「なるほど」と納得。この2曲はHR/HMリスナーも入っていきやすいのではないでしょうか。

リアン・ライムス「Smokin' In The Boys Room」は、原曲がもともとカバーということもあって、どうとでも料理しようがありますよね。かなりレイドバックしたアレンジで、ここでようやく本作がカントリーミュージックによるトリビュートだと強く認識し始めます。ジャスティン・ムーア「Home Sweet Home」にはヴィンス・ニールがゲスト参加しており、原曲のダイナミックさを後退させたスモーキー&ソウルフルな仕上がり。キャサディー・ポープ&ロビン・ザンダー「The Animal In Me」はカントリーというよりも、ロック系アーティストによる普通のカバーといった印象かな。

アーロン・ルイス「Afraid」は原曲を一度解体して再構築した、これぞカバーと呼べるような1曲。歌詞のみ一緒といった印象で、言われないと同じ曲だと気づかないのではないでしょうか。BIG & RICH「Same Ol' Situation (S.O.S.)」も同様のテイストで、テンポ感やコード感を変えることで王道カントリー色を強めることに成功しています(ただ、こちらはサビになってようやく「ああ、あの曲か」と気づくのでは)。

クレア・ボウエン&サム・パラディオという俳優さん2人によるカバー「Without You」は、原曲のイメージを残しつつアーシーにカバー。ELI YOUNG BAND「Don't Go Away Mad (Just Go Away)」は原曲が持っていたロッド・スチュアート(というかFACES)色をさらに枯れさせるとこうなるかな、な印象。ローレン・ジェンキンス「Looks That Kill」は原曲の邪悪さ皆無の、レイドバック感満載の良質なカバー。THE CADILLAC THREE「Live Wire」は原曲の印象的なキメフレーズは残しつつもテンポダウンし、スライドギターを取り入れることで滑らかさが強調されています。THE MAVERICKS「Dr. Feelgood」はチカーノミュージック的テイストを強めることで、原曲とは別の意味でのノリのよさが際立つ仕上がりです。

ブラントリー・ギルバート「Girls, Girls, Girls」は原曲に沿ったアレンジ/サウンドメイクで、1オクターブ下で歌うことで“らしさ”を表現。グレッチェン・ウィルソン「Wild Side」は“もしもZZ TOPがMÖTLEY CRÜEをカバーして、女性ボーカルで表現したら?”というお題で制作されたような、なかなか面白な1曲。ダリアス・ラッカー「Time For Change」は「HOOTIE & THE BLOWFISHにこういう曲、ありそうだよね?」って仕上がりで、全然アリ。

以上、全15曲。普段HR/HMしか聴かないというハードコアな方々には少々厳しいかもしれませんが、1枚のロック/ポップスのコンピとしては比較的楽しめる内容ではないでしょうか。リリース当時、結構な頻度でリピートした記憶がありますし、久しぶりに引っ張り出して聴いてみてもその印象は変わることはありませんでした。MÖTLEY CRÜEファンのためのものよりも、MÖTLEY CRÜEをお題にしたカントリー系コンピとしてフラットに接するほうがより本質を掴めるかもしれません。

本作はリリース当時、Billboard 200(アルバムチャート)で最高5位、同Top Country Albumsで2位を記録。なお、リリースから5年後の2019年3月22日には「Home Sweet Home」のシングルエディットとライブバージョン(ともにジャスティン・ムーアのもの)を追加明日、Extended Editionも配信されています。

 


▼V.A.『NASHVILLE OUTLAWS: A TRIBUTE TO MÖTLEY CRÜE』
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2024年4月28日 (日)

MÖTLEY CRÜE『DOGS OF WAR』(2024)

2024年4月26日にデジタルリリースされたMÖTLEY CRÜEの新曲。同年6月14日にはアナログ盤でのフィジカルリリースも予定されています(海外のみ)。

2019年3月、Netflixにて自伝映画『ザ・ダート:モトリー・クルー自伝』を公開したのに合わせて、新曲4曲(うち1曲はカバー)を含むサウンドトラックアルバム『THE DIRT SOUNDTRACK』をリリース。同年秋には2015年末の活動停止から4年を経てライブ活動を再開させることを発表し、コロナ禍での苦しい時期を乗り越えて2022年にはDEF LEPPARDとのダブルヘッドラインスタジアムツアーを実現させたMÖTLEY CRÜE。2023年にも同じ組み合わせによるワールドツアーを実施(同年11月には日本公演も実現しました)するも、このツアーにはミック・マーズ(G)は参加せずツアー引退(事実上の解雇)。後釜としてMARILYN MANSONなどとの共演で知られるジョン・5を迎えて活動を続けています。

2023年春に、SNS上でこの新ラインナップによるボブ・ロックとのレコーディング風景が公開され、「いよいよ新曲リリースか?」とざわついたことも記憶に新しく、その際の制作した1曲のタイトルが「Dogs Of War」だ、などと噂されたことを覚えている方もいらっしゃることでしょう。同年初夏にロンドン・The Underworldにて実施したシークレットクラブギグではこの“DÖGS OF WAR”という名前でライブも実施され、年内にはリリースされるのかと期待されましたが、結局お披露目までには約1年もの歳月を要してしまいます。

ということで、「The Dirt (est. 1981)」から5年ぶりに届けられた新曲「Dogs Of War」。新たにBig Machine Recordsと契約して発表される、最初の楽曲となります。Big Machine Records自体は10年前、カントリー系アーティストによるMÖTLEY CRÜEのトリビュートアルバム『NASHVILLE OUTLAWS: A TRIBUTE TO MÖTLEY CRÜE』(2014年)を発表しており、近年はかのHYBE America傘下で運営されているとのこと。いろんな縁があってとはいえ、なかなかに興味深い組み合わせです。

楽曲自体は90年代後半以降のヘヴィ路線をベースに、適度にモダンな要素(リフの組み立て方やデジタルサウンドでの味付けなど)を取り入れたミドルヘヴィナンバー。「Shout At The Devil」あたりのズッシリ感を現代的解釈で表現した、といったところでしょうか。また、「The Dirt (est. 1981)」が(映画の舞台にちなんで)80年代の彼らをリフレッシュさせたものだとすると、こちらは『SAINTS OF LOS ANGELES』(2008年)の延長線上にある“現在進行形”と呼べるのかな。個人的には好みのテンポ感&音像で、第一印象も悪くありません。

ヴィンス・ニール(Vo)もAメロで低音〜中音域中心、サビで中音域に高音を織り交ぜたメロディを難なく歌いこなしており、安定感が伝わります。これをライブで維持できたら文句なし(笑)。ジョン・5のギターワークはミック・マーズのそれとは違った変態的味わいがあり、そのアレンジ含め彼の演奏面での参入がバンドの若返りに大きな影響を及ぼしているようです(とはいえ、ジョン自身もすでに50オーバー。ほかのメンバーよりはひと回り若いのですが)。

楽曲クレジットを見ると、ニッキー・シックス(B)とトミー・リー(Dr)、そしてジョン・5の名前を見つけることができます。実はジョン、すでに『THE DIRT SOUNDTRACK』に収録された新曲(「The Dirt (est. 1981)」「Ride With The Devil」「Crash And Burn」)でもコライトで参加済み。あの時点でジョンの功績に対してニッキーが手応えを感じていたことで、彼をバンドに引き込んだのでしょうかね(当初はソングライティングやレコーディングサポートで参加する予定だったところを、ミックと揉めた……とかね)。何にせよ、個人的にはジョンに対して悪い感情もないので、こういういい仕事を続けてくれるなら大歓迎です。

ちなみに、恒例の“Gang Vocal”(いわゆるコーラスですね)のクレジットにTHE OFFSPRINGのデクスター・ホランド(Vo)と、近頃当サイトでのアクセスにおいて常に上位にランクインしているCLASSLESS ACTのデレク・デイ(Vo)の名前を見つけることができます。両バンドともボブ・ロックがプロデュースを手掛けていることもあって、このゲスト参加が実現したようです。

おそらく、ミックとの裁判云々でMÖTLEY CRÜE名義の新曲を思うように発表できなかった&新レーベルとの契約締結までに時間がかかってしまったことが影響し、レコーディングからリリースまでにここまで時間を要してしまったのでしょう。昨年のレコーディングでは3曲制作したとトミーは昨年末のインタビューでコメントしていますし、ヴィンスはそのうちの1曲をライブでも披露済みのBEASTIE BOYS「Fight For Your Right」であることも明かしています。昨年11月のライブでこのカバーを聴いたとき

「Fight For Your Right」は(手垢がつきまくっているものの)音源化すべきカバーではないかな。アルバム制作は望めなさそうだから、3〜4曲程度のEPくらいは作ってもらいたいものです

と感じていたので、早くリリースしてもらいたいものですね(笑)。

アルバム発売の見込みは限りなくゼロに等しいですが、せっかく再始動したのですから、こうして定期的に新曲を届けて現役感を存分にアピールしていただきたいものです。

P.S.
この新曲リリースに際し、トミー・リーへのインタビューが実現しました。ぜひ併せてお楽しみください。

 


▼MÖTLEY CRÜE『DOGS OF WAR』
(amazon:海外盤アナログ / MP3

 

 

2024年4月27日 (土)

PEARL JAM『LIGHTNING BOLT』(2013)

2013年10月15日にリリースされたPEARL JAMの10thアルバム。日本盤は同年10月23日発売。

4thアルバム『NO CODE』(1996年)以来となる全米No.1を獲得した前作『BACKSPACER』(2009年)から4年ぶりの新作。プロデューサーには気心知れたブレンダン・オブライエンを再度起用し、バンドのデビュー20周年を記念するドキュメンタリー映画『PEARL JAM TWENTY』(2011年)公開やメンバーのサイドプロジェクト(エディ・ヴェダーのソロ活動、マット・キャメロンSOUNDGARDEN再始動など)を挟みつつ、約2年をかけてじっくり制作に臨みました。

陽の空気感と衝動性を重視した結果、コンパクトな楽曲群で構成されることとなった前作とは対照的に、今作では初期の彼ららしいじっくり聴かせる要素も復調。また、オープニングトラック「Getaway」で聴けるような、怒りに満ちたテイストの楽曲も含まれており、アップチューンが並ぶ冒頭3曲(「Getaway」「Mind Your Manners」「My Father's Son」)は前作を踏襲する構成ながらもまったく別の印象を与えてくれます。

こうした初期のテキストの復調は、先のドキュメンタリー映画『PEARL JAM TWENTY』でバンドの原点を見つめ直したいこと、マットのSOUNDGARDEN再結成&アルバム『KING ANIMAL』(2012年)制作、ストーン・ゴッサードがBRADとしてアルバムを制作したこと、さらにはマイク・マクレディがMAD SEASONとして久しぶりに演奏(2012年)したことなども大きく影響しているのではないでしょうか。各々の出自を再確認しつつ、「PEARL JAMとは何なのか?」という命題と向き合った。もちろん、単なる原点回帰をするだけでなく、新章の門出を華々しく飾った前作『BACKSPACER』での経験を踏まえつつ、グランジという文化が過去のものとなった2010年代に「PEARL JAMであること」を高らかに宣言する。それを効果的に表現できたのが、『LIGHTNING BOLT』と題したこのアルバムなんだと思います。

個人的にはアルバム中盤、「Lightning Bolt」や「infallible」「Pendulum」あたりで見せる深みのある作風の楽曲群が、非常に興味深く響きます。それも、冒頭でのアッパーなショートチューンあってこそ。この対比が際立つ作風は前作にはなかったものなので、より味わい深く感じられるのかもしれません。また、シャッフルビートの「Let The Recrods Play」は、3rdアルバム『VITALOGY』(1994年)における「Spin The Black Circle」のアンサーといいますか、20年後の回答のようにも感じられ、そのへんも“あの頃”と地続きなんだということを実感させられます。

ポジティブもネガティブも飲み込んで、本来の彼ららしくあろうとした結果、それが前作での新境地により深みを与えることとなった。迷いがなくなったあとで再び迷い出したようにも映りますが、実はその迷いは人生の一部でしかない。それが90年代の彼らとこの頃の彼らの大きな違い。それくらい、この時期のPEARL JAMは充実していたのです。

ただ、このアルバムから次作『GIGATON』(2020年)まで6年半という過去最長のインターバルを要することになるとは、当時は想像もしていませんでしたが。結果として、本作は2010年代にリリースした唯一のオリジナルアルバムとなってしまいました。

 


▼PEARL JAM『LIGHTNING BOLT』
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2024年4月25日 (木)

PEARL JAM『BACKSPACER』(2009)

2009年9月20日にリリースされたPEARL JAMの9thアルバム。日本盤は同年9月30日発売。

セルフタイトルの前作『PEARL JAM』(2006年)から3年4ヶ月ぶりの新作。本作からバンドが新たに設立した自主レーベル・Monkeywrench Recordsからのリリース(配給はUniversal Musicが担当)で、プロデューサーには5thアルバム『YIELD』(1998年)以来となるブレンダン・オブライエンを迎えて制作されています。

シリアスさの際立つ前々作『RIOT ACT』(2002年)、その流れにありながらも自分たちの置かれた状況を打破しようとした前作『PEARL JAM』を経て、本作では軽快さの際立つシンプルなロックンロールを展開。大半の楽曲が3分前後とコンパクトにまとめられており、全11曲で36分半というトータルランニングはPEARL JAM史上最短でかなり聴きやすい仕上がりです。

頭3曲(「Gonna See My Friend」「Got Some」「The Fixer」)のストレートなノリの良さに初めて直面したときは、「どうした、PEARL JAM!?」とびっくりしたものです(もちろん良い意味で)。歌詞に関しても非常にポジティブなものが多いのですが、これは2009年1月にアメリカ大統領に就任したバラク・オバマからの影響が強かったと、エディ・ヴェダー(Vo)は当時のインタビューで語っています。また、そうしたポジティブなヴァイブスは作曲面にも影響を及ぼし、大半の楽曲は制作に30分かかっていないとも公言されています。

個人的な印象ですが、2ndアルバム『VS.』(1993年)が真の意味でバンドの1stアルバムだと捉えると、1990年代初頭のどんよりした空気感を引き摺ってたバンドがようやくその葛藤を払拭し、今作では新たな価値観を掴み取った。もちろん、ここで表現されていることがすべての答えではないと思いますが、バンドがこの先も長く続いていくことを想定したとして、その糸口になるようなメッセージとサウンドに辿り着けたのがこの『BACKSPACER』というアルバムだったのかなと、2024年時点での最新作『DARK MATTER』を聴いた今、そう再認識しています。

PEARL JAM流の“(音楽的)パンク”アルバムと捉えることもできる本作。混迷の第1章(グランジ期)、葛藤の第2章を経て、バンドはついに第3章に突入した。新たな始まりを高らかに宣言するこのアルバムは、彼らのキャリアにおける代表作のひとつだと断言します。

 


▼PEARL JAM『BACKSPACER』
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2024年4月23日 (火)

PEARL JAM『RIOT ACT』(2002)

2002年11月12日にリリースされたPEARL JAMの7thアルバム。日本盤は同年11月23日発売。

前作『BINAURAL』(2000年)から2年半ぶりの新作。エディ・ヴェダー(Vo)、マイク・マクレディ(G)、ストーン・ゴッサード(G)、ジェフ・アメン(B)、マット・キャメロン(Dr/SOUNDGARDEN)という現在まで続く布陣による2作目のスタジオアルバムにあたります。

チャド・ブレイクと初タッグを組んだ前作から一転、今作ではアダム・カスパー(FOO FIGHTERSQUEENS OF THE STONE AGE、SOUNDGARDENなど)をプロデューサーに迎え制作。ミキシングエンジニアにはこれまで同様、ブレンダン・オブライエンが名を連ねています。

『BINAURAL』発表後に行われたデンマークでのフェス『Roskilde Festival』(2000年6月30日)にて、PEARL JAMのパフォーマンス中に9人の観客が圧死。この事故は彼らに大きな影を落とすことになります。その後、充電期間に突入するのですが、今度は「9.11」(2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ)が発生し、さらに今作完成間近には盟友レイン・ステイリー(ALICE IN CHAINS)の訃報も飛び込んでくる……こうした悲劇を前に、彼らは「死」や「実存主義(Existentialism)」と真正面から向き合い始め、バンドとしても人間としてもひとまわり大きく成長し、新たなステップを踏み出します。

前々作『YIELD』(1998年)から打ち出し始めた、普遍性の強いアメリカンロック色は作品を重ねるごとにどんどん強くなり、本作ではもはや「グランジ界の寵児」なんて看板すら必要ないほどの地点にまで到達している。バンドに暗い影を落とすような悲劇が続いたものの、そこで鳴らされているサウンドは決して悲観的ではなく、強い生命力が伝わるもの。明日どうなるかわからないからこそ、今この瞬間この命をスパークさせる……各曲からは、そんな彼らの覚悟が伝わるのではないでしょうか。

ですが、リリースから20年以上を経た今の耳でこのアルバムに接すると、そこ覚悟の中にはまだまだ「迷い」も存在していたんだなという事実にも気付かされる。その迷いも含めて、実は初期のPEARL JAMらしさなんじゃないかという気がしているので、そういった点では本作は初期10年の集大成と言うこともできるでしょう。

と同時に、真の意味でバンドがすべてを「背負って」「乗り越える」のは、本作から3年半後に届けられる次作『PEARL JAM』(2006年)でのことなのかなと。セルフタイトルを冠するあたりにも、その姿勢が伝わるのではないでしょうか。

4thアルバム『NO CODE』(1996年)以降、日本人の耳には地味に聴こえる土着的サウンドは、ここでひとつのピークを迎え、“グランジ3部作”(1stアルバム『TEN』、2ndアルバム『VS.』、3rdアルバム『VITALOGY』)以降の混迷期を乗り越えたPEARL JAMは、ここから新たな領域へと到達する。そういった意味では、本作は集大成であると同時に、新章へ向かう過渡期の1枚なのかもしれません。

 


▼PEARL JAM『RIOT ACT』
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2024年4月21日 (日)

PEARL JAM『DARK MATTER』(2024)

2024年4月19日にリリースされたPEARL JAMの12thアルバム。

前作『GIGATON』(2020年)から4年ぶりの新作。同作リリース後には北米ツアーを予定していたものの、ちょうどコロナ禍に突入してしまったこともあり、思うような動きが取れなくなってしまいます。2021年9月には約3年ぶりのライブを実施し、ここからサポートメンバーとして元RED HOT CHILI PEPPERSのジョシュ・クリングホッファー(G, Key)が参加するようになります。また、エディ・ヴェダー(Vo)は2021年8月にキャット・パワーやアイルランドの詩人グレン・ハンサードとのコラボレーションによる映画『FLAG DAY』のオリジナル・サウンドトラックを、2022年2月には約10年ぶりのソロアルバム『EARTHLING』(2022年)も発表しています。

ジョシュ・エヴァンスと初タッグを組んだ前作から一転、今作ではエディの『EARTHLING』にも携わっていたアンドリュー・ワット(イギー・ポップオジー・オズボーンTHE ROLLING STONESなど)がプロデューサーとして初参加。意外な組み合わせではあるものの、かつてのリック・ルービンのように「クラシックロック再生工場」として重宝されている現在のアンドリューの立ち位置を考えると納得できるところもあります。

で、実際に完成したアルバムですが……リードシングル「Dark Matter」の時点で大きな手応えが感じられましたが、アルバム全編通して聴いたときの興奮度は想像以上のもので、久しぶりに頭からラストまで大満足。正直、PEARL JAMのアルバムでここまで圧倒されたのは90年代の初期3作(1stアルバム『TEN』、2ndアルバム『VS.』、3rdアルバム『VITALOGY』)以来かもしれません。

わかりやすいストレートなアップチューン「Scared Of Fear」「React, Respond」の2連発で完全に心を鷲掴みにされ、穏やかさと大らかさに伝わるミディアムチューン「Wreckage」、ニューウェイヴ meets ハードロック的な「Dark Matter」、メロウでじっくり聴かせる「Won't Tell」と、前半の流れは完璧。変に小難しいことをしようとしていないし、メロディアスさも初期の彼らに通ずるシンプルさが復調している。このへんがもしかしたらアンドリューの手腕によるものなのかもしれませんね(事実、アンドリューはすべての楽曲のソングライターとしてバンドとともにクレジットされています)。

ムーディーなイントロダクションから始まる後半は、1stアルバムの頃の彼らを彷彿とさせるミディアムナンバー「Upper Hand」を筆頭に、同じく初期の彼らを思わせるダイナミックな「Waiting For Stevie」、パンキッシュなファストチューン「Running」、軽やかなリズムが心地よい「Something Special」、キャッチーさの際立つ「Got To Give」、ここまでのポジティブな空気を引き継く爽やかな「Setting Sun」で締めくくり。先ほど初期3作を例に挙げたものの、内容的にはその頃とも異なりダークさがほとんど感じられない。むしろ、この混迷の時代をひたすら“陽”のエネルギーで突き進もうとする覚悟が全編から伝わり、バンドとして新たな絶頂期を迎えつつあることも想像に難しくありません。

また、今作のレコーディングにはライブサポートのジョシュも参加しており、このへんも新たな刺激につながったのかもしれませんね。実際、「Something Special」の作曲クレジットにはジョシュの名前も見つけられますし。

約7年ぶりという長いインターバルを経て届けられた前作『GIGATON』では、新境地に一歩踏み出してバンドの再生を図ったPEARL JAMですが、アンドリュー・ワットやジョシュ・クリングホッファーらの手を借りて「新境地を見たからこその原点回帰」へとたどり着いた。しかも、単なる原点回帰では終わらず、バンドとして何歩も前進してみせるというおまけまで用意されている。改めて、すごい境地に到達したなと驚かされます。間違いなくPEARL JAMの最高傑作(もちろん2024年時点での)。入門編としても最適な1枚です。

 


▼PEARL JAM『DARK MATTER』
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2024年4月20日 (土)

ZZ TOP『ANTENNA』(1994)

1994年1月18日にリリースされたZZ TOPの11thアルバム。日本盤は同年2月23日発売。

『GREATEST HITS』(1992年)を挟みつつ、オリジナルアルバムとしては“三部作”最終章の『RECYCLER』(1990年)から3年3ヶ月ぶりの新作。70年代末から在籍してきたWarner Bros.を離れ、新たに契約したRCA Recordsからの1作目となります。

前々作『AFTERBURNER』(1985年)以降の“デジタル”路線を引き継ぎつつも、本作ではそれが主になることなくあくまで味付け程度。楽曲自体はここ数作の延長線上にあるものの、不思議とハードロック色が強いように感じられ、冒頭の「Pincushion」や「World Of Swirl」などは適度なデジタル色が加わることでダイナミックに響く。スローブルース「Breakaway」もこのテイストで聴くと、クールさが際立つ印象があります。あれ、いいじゃんかこのアルバム。

80年代の彼らのアルバムはその方向性ゆえにか、音像的に軽さが気になってしまい、大音量で聴いたときの気持ちよさがイマイチだったのですが、本作はその点が解消されているのが大きなポイント。ドラムの鳴り含め低音が強調されており、やっている音楽自体はオーソドックスで古臭いはずなのに、リリース当時のほかのロック/ハードロックと比べても引けを取らないほど良質な音像で、『AFTERBURNER』や『RECYCLER』以上にモダンな作品だなと当時感じていました。

その印象はリリースから30年経った今も変わることなく、彼らの諸作品の中でも非常に高品質な1枚として挙げられます。楽曲のメジャー感は『AFTERBURNER』やそのひとつ前のメガヒット作『ELIMINATOR』(1983年)には及ばないものの、適度なポップさを備えた“大人の泥臭いハードロック”という点においては完成の域に達している。80年代の三部作を経て、それまでのイメージに縛られることなく次の一歩を踏み出したという点においても、本作は非常に画期的な1枚だったのではないでしょうか。

セールス的には全米14位と過去作ほどではなかったものの、ZZ TOPがアメリカでミリオンヒットを飛ばしたのは本作が最後。また、次作『RHYTHMEEN』(1996年)以降は泥臭さや渋みをより強めていくことになるという意味でも、本作はMTV世代が親しみを持って接することができる“最後の”良作なのかもしれません。もちろん、『RHYTHMEEN』以降もカッコいいのでオススメですけどね。

 


▼ZZ TOP『ANTENNA』
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2024年4月18日 (木)

LINKIN PARK『METEORA: 20TH ANNIVERSARY EDITION』(2023)

2023年4月7日にリリースされた、LINKIN PARKの2ndアルバム『METEORA』(2003年)の20周年記念デラックス盤。全43曲入りのCD3枚組と、全89曲で構成されたボックスセットおよびデジタルエディション、アナログボックスセットの3仕様が用意されています。

アメリカで1000万枚以上、全世界で約3000万枚を売り上げたデビュー作『HYBRID THEORY』(2000年)に続く2作目ということで、相当なプレッシャーの中で制作されたかと思いますが、結果はご存知のとおり。初の全米1位を獲得したほか、アメリカのみで800万枚以上、全世界で2700万枚というメガヒットを記録し、前作にも劣らない成績を残す代表作のひとつとなりました。

ボックスセットにはリマスタリングされたアルバム本編(CD&アナログ)のほか、2003年11月に発売されたバンド初のライブアルバム『LIVE IN TEXAS』(CD版未収録曲含む)と未発表ライブ音源集『LIVE IN NOTTINGHAM 2003』(ともにアナログ)、過去にファンクラブ経由で発表された『METEORA』期のデモ音源をまとめた『LPU RARITIES 2.0』(CD)、『METEORA』期の貴重なライブ音源をコンパイルした『LIVE RARITIES 2003-2004』(CD)、「Lost」「Fighting Myself」といった未発表曲や本邦初公開となるデモ音源をまとめた『LOST DEMOS』(CD)、そしてアルバム制作ドキュメンタリー映像『THE MAKING OF METEORA』(DVD)やソウルやマイアミなど2003〜4年のライブ映像(DVD)をひとまとめに。

一方、3枚組バージョンはDISC 1に『METEORA』+未発表曲「Lost」、DISC 2に『LPU RARITIES 2.0』、DISC 3に『LIVE RARITIES 2003-2004』という構成。今回の再発において重要になってくるのは、おそらくボックスセットのみで聴ける『LOST DEMOS』と、ライブコンパイル盤『LIVE RARITIES 2003-2004』になると思っているので、本稿では『LOST DEMOS』と『LIVE RARITIES 2003-2004』中心に解説していきます。

『LOST DEMOS』

「Lost」は新たに手が加えられ、アルバム本編に含まれていても不思議ではない仕上がりにまで到達。それによって、未発表曲というよりも“新曲”のイメージが強いかも。初期の彼らに対してのイメージどおりの1曲ではないでしょうか。ただ、アルバムに含まれていたら“つなぎ”の1曲で終わっていたかもしれません。

「Fighting Myself」は『METEORA』で描かれている世界観の延長線上にある、ヒップホップマナーの1曲。「Lost」がチェスター・ベニントンのクリーンボーカル中心だとしたら、こっちはマイク・シノダのラップを軸にしたグルーヴィーな仕上がりです。「Resolution」あたりもこの流れにあるのかな。一方、「More The Victim」「Massive」「Healing Foot」はテイスト的に『HYBRID THEORY』寄りで、『METEORA』への通過点的な内容。アルバム本編から漏れるのも仕方ないかな。もちろん、もっとブラッシュアップできたらアルバム本編に含まれていても不思議じゃないんですが、当時はそこまでの魅力が見出せなかったのかもしれませんね。

そのほか、「Faint」や「Lying From You」のデモバージョンも含まれており、ブラッシュアップされる前の原石ぶりを確認することができます。『LPU RARITIES 2.0』に収録されたバージョンとはそれぞれ異なるので、完成版含めた聴き比べもできそうです。


『LIVE RARITIES 2003-2004』

ライブをまるまる1本収めた『LIVE IN TEXAS』や『LIVE IN NOTTINGHAM 2003』とは異なり、こちらは『METEORA』期の象徴的なツアー/フェスのハイライト的内容で、全10曲と非常にコンパクト。自身のツアーのほか、『Reading Festival 2003』や『Rock Am Ring 2004』での記念碑的音源も含まれています。

この中で特筆すべきはラスト3トラックかなと。初期の「Step Up」から「Nobody's Listening」へのメドレー、そこにE-ECUTIONERSの「It's Goin' Down」をミックスしたスペシャルバージョンは、ライブならではの特別感があります。また、NINE INCH NAILS「Wish」のカバーや、KORNジョナサン・デイヴィスをゲストに迎えた「One Step Closer」もスペシャル感が強く、当時のバンドの勢いがダイレクトに伝わります。どれもシングルやファンクラブ経由では既発音源ですが、こうして手軽に聴けるようになったのはありがたい限りです。

 


▼LINKIN PARK『METEORA: 20TH ANNIVERSARY EDITION』
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2024年4月16日 (火)

LINKIN PARK『PAPERCUTS: SINGLES COLLECTION 2000-2023』(2024)

2024年4月12日にリリースされたLINKIN PARKのコンピレーションアルバム。

チェスター・ベニントン(Vo)の急逝以降、デビューアルバム『HYBRID THEORY』(2000年)20周年盤(2020年)や2ndアルバム『METEORA』(2003年)20周年盤(2023年)といったボックスセットで未発表曲を公開してきたLINKIN PARK。本作はバンドのキャリアにおいて、初にして唯一のシングルコレクションアルバム/グレイテストヒッツアルバムとなります。

アルバムに収録されているのは全20曲。内訳的には

オリジナルアルバム
1st:『HYBRID THEORY』(2000年):4曲(Crawling、Papercuts、In The End、One Step Closer)
2nd:『METEORA』(2003年):4曲(Faint、Breaking The Habit、Somewhere I Belong、Numb)
3rd:『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年):3曲(Bleed It Out、What I've Done、Leave Out All The Rest)
4th:『A THOUSAND SUNS』(2010年):1曲(Waiting For The End)
5th:『LIVING THINGS』(2012年):2曲(Castle Of Glass、Burn It Down)
6th:『THE HUNTING PARTY』(2014年):0曲
7th:『ONE MORE LIGHT』(2017):1曲(One More Light)

EP、ファンクラブ限定EPなど
『COLLISION COURSE』(2004年):1曲(Numb/Encore)
『UNDERGROUND 6』(2006年):1曲(QWERTY)

サントラ、コンピ盤など
『TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN - THE ALBUM』(2009年):1曲(New Divide)
『METEORA20』(2023年):1曲(Lost)

となり、ここに『ONE MORE LIGHT』制作時のアウトテイク(未発表曲)「Friendly Fire」が追加されています。いわゆる代表曲はほぼ網羅されている印象があり、特に3rd『MINUTES TO MIDNIGHT』あたりまでのヒットシングル(「New Devide」含む)まではほぼ楽しむことができます。意外だったのは4th『A THOUSAND SUNS』からのヒット曲「The Catalyst」(全米27位)が外されていたこと、6th『THE HUNTING PARTY』からは1曲も選出されていないこと、最終作『ONE MORE LIGHT』からは唯一のヒット曲「Heavy」(全米45位)ではなくタイトル曲が選ばれていることなどでしょうか。20曲収録しても67分程度と、CDでもまだ2〜3曲追加するだけの余白があったものの、あえて20曲と区切りのいいところでまとめているは潔いのかもしれませんね。

こうやってシングル曲/リード曲中心で彼らの作品を振り返ると、大半の尺が3分前後とかなりコンパクトであることに気付かされます。いわゆるハードロックやヘヴィメタルにおける「インストパートをフィーチャーすることで5分を軽く超える」という概念があまり感じられず、ボーカルやラップを軸にして、そこに味付けとしてほかの楽器が入るという姿勢は、もしかしたらほかの同時代のニューメタルバンドと並べたときに特異に映るかもしれません。そういった点からも、彼らはHR/HMの枠だけでは語り尽くせない稀有な存在だったと認識できるはずです。

本作における注目ポイントは、先に触れた未発表曲「Friendly Fire」、そしてファンクラブ限定で聴くことができた「QWERTY」の存在でしょうか。「QWERTY」は日本でもCDリリースされているので耳にしたことのあるファンは多いことでしょう。こうして久しぶりにサブスクを通じて楽しめるようになったのはありがたい限り。かつ、『ONE MORE LIGHT』の世界線の“続き”である「Friendly Fire」では、あのアルバムの物語はまだ完結していないことを思い出させてくれる(だって、予定されていた日本公演が中止になってしまったわけで、我々日本人は『ONE MORE LIGHT』収録曲をナマで体験していないわけですから)。この曲をアルバムラストに置くことで、不完全な終わり方をしたこのバンドの“If”の世界線を描いているようにも受け取ることができ、なんとも言えない余韻を残してアルバムは終了します。

LINKIN PARKの真の魅力はこの1枚だけでは伝わりきらないと思います。これはまだ彼らに出会えていなかった人たちへの新たな入り口であり、かつて彼らと同じ道を歩んでいた同胞たちと数年ぶりに思い出を共有するため(そして、未発表曲を通して新たな思い出を生み出すため)のアイテムでしかないわけですから。ここを起点に、各オリジナルアルバムに初めて触れたり、あるいは久しぶりに引っ張り出してみたりして、ここにはない名曲にも触れてみる、そのきっかけ作りにほかならない。けど、その「ほかならないきっかけ作り」が実は大切なんですよね。

 


▼LINKIN PARK『PAPERCUTS: SINGLES COLLECTION 2000-2023』
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2024年4月14日 (日)

METALLICA『72 SEASONS』(2023)

2023年4月14日にリリースされたMETALLICAの11thアルバム。

オリジナルアルバムとしては前作『HARDWIRED... TO SELF-DESTRUCT』(2016年)から6年5ヶ月ぶり。とはいえ、その間には3rdアルバム『MASTER OF PUPPETS』(1986年)や4th『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988年)、5th『METALLICA』(1991年)のデラックス版(それぞれ2017年2018年2021年に発売)、アナログ版とデジタルのみで発表したアコースティックライブアルバム『HELPING HANDS... LIVE & ACOUSTIC AT THE MASONIC』(2019年)、再びオーケストラと共演した『S&M2』(2020年)、ブラックアルバム収録の12曲を53組が1曲単位でカバーしたコンピレーションアルバム『THE METALLICA BLACKLIST』(2021年)と、とにかく話題目白押し。かつてほど飢餓感はなかったのですが、本作から最初のリードシングル「Lux Æterna」が2022年11月末に公開されたときは、さすがに興奮しました。

ここまでの流れは先の「Lux Æterna」、そして2023年に入って順次公開されていった「Screaming Suicide」「If Darkness Had A Son」「72 Seasons」の項目を読んでいただき……ここからはリリース当時のメモを元に、発売1周年を機に改めて本作の魅力を振り返ってみたいと思います。

本作のタイトルに用いられた「72 Seasons(72の季節=18年)」という表現は、古代中国で考案された季節を表す方式のひとつで、日本でも古くから自然の変化を知らせるのに使われているものなんだそう。ジェイムズ・ヘットフィールド(Vo, G)はこのタイトルについて「ひとつの人生の最初の18年、つまり“本当の自分”や“偽りの自分”を形作っていく年月のことを指している」、要するに「ひとつのキャラクターが確立される上で非常に重要な期間が最初の18年なのだ」と説明しています。アメリカでは多くの州で18歳が成人と認められ、ここ日本でも成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたばかり。人間が大人として認められるひとつの節目が18歳であり、物事の考え方や趣味嗜好もこれくらいの年齢で固まってくると言われます。メンバーの多くが60歳前後になったこのタイミングに、人生の第1形成期を振り返るような作品をドロップすることは、かつてはロック/メタルシーンの兄貴分だった彼らが今や親世代やそれ以上の存在になったという事実の表れでもあるのかな。そう考えると、デビュー40周年を迎えたこのタイミングに改めて40年という歳月の重みがダイレクトに伝わるはずです。

そんな本作。リリース数週間前に一度試聴させていただき、のちにリリース日にCDが届いてからじっくり聴き込んだわけですが(発売日0時のストリーミング解禁は我慢)、正直言って期待以上の出来でした。とはいえ、この1年の間にほかの魅力的な作品に触れるに連れ、「さすがに今年はMETALLICAを年間ベストに入れることはないかな」と消極的になることもありましたが、結果はご存知のとおり。2024年に入ってからしばらく経ちましたが、昨年末以来に大音量でじっくりと再生しておりますが、やっぱり良い。

リリース時の雑誌クロスレビューで「ここに収められた12曲はメタルというよりもハードロックと呼んだほうがしっくりくる作風」と書きましたが、その思いに対しては今も変わりはありません。だって、それはMETALLICAがメタルという鎧を捨て去ったわけではなく、彼らなりのヘヴィメタルを追求した結果、“深化”の先にあったのが自身のルーツ(=人生最初期の18年)と向き合った音を奏でることだっただけなのですから。

オープニングを飾るタイトルトラックを筆頭にどの曲もリフ、リフ、リフの嵐。特にアップとミドルを交互に繰り返す曲構成といい、怒りや葛藤、迷いなどと真正面から向き合った歌詞といい、安定感と瑞々しさが混在する楽曲の数々はどこからどう聴いても前作の延長線上にある、これまでのMETALLICAを総括する作風そのもの。ただ、同時に前作との違いも要所要所から感じ取ることができます。

その筆頭に挙げられるのが、ギターの歪みや音色をはじめ全体的にサウンドがまろやかなこと。なんだけど、全体的に音のきめ細やかさだったりクリアさ、重さが気持ち良い仕上がりで、この手の作品にしては異常に音が良いことに気づかされます。また、楽曲のテンポ感もメタルというよりはハードロックのそれに近いんだけど、かといって古臭いかと言われるとそういうわけでもなく、しっかりとモダンさを感じ取ることができる。その点においては、深化よりも進化と受け取ることもできます。

その一方で「72 Seasons」や「Lux Æterna」「Too Far Gone?」などは、彼らにとって重要なルーツであるNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)時代のバンド群がフラッシュバックしそうな、オールドスクールな作風。そこに80年代後半の彼らと印象が重なる「Shadows Follow」、『LOAD』(1996年)『RELOAD』(1997年)の空気をはらんだ「Sleepwalk My Life Away」や「Inamorata」、ブラックアルバム路線をモダン化させた「You Must Burn!」や「Chasing Light」と、活動前期=デビューからの18年間を強くイメージさせる楽曲が並ぶことも興味深い。

そういった楽曲群を自身が強く影響を受けた「10代の頃に夢中になったルーツミュージック」のテイストでまとめ上げるのですが、そこには先のNWOBHMのみならずTHIN LIZZYBLACK SABBATH、あるいはUFO(およびマイケル・シェンカー)など70年代から活躍するバンドたちの色も見え隠れして、どこか10代の少年たちがスタジオに入ってセッションを楽しんでいるようにも映ります。カーク・ハメット(G)のギターワーク(主にメロウなソロ)も、どこか往年のハードロックを彷彿とさせるものがありますしね。あと、バラード調楽曲を排除した姿勢もそうした傾向とつながるかもしれない。そういった意味では、今作って「“Garage Days”の続き」もしくは「Back To “Garage Days”」と受け取ることもできないでしょうか。

ジェイムズの書く歌詞は非常にシリアスかつネガティブな傾向が強いものばかりですが、これも裏を返せば「影があるから光がある」という「Lux Æterna」のテーマにもつながるし、そんな「Lux Æterna」を真っ向から否定するような歌い出しの「Chasing Light」にはギョッとさせられる。でも、この歌詞もしっかり読み解けば逆説的に希望を持たせる内容であることに気づかされる。ネガティブな側面を入り口に聴き手との距離を縮め、吟味していく中で真の意味を理解させるその手法は、兄貴というよりは親目線に近く、これも今の彼らの年齢に合ったやり方なのかもしれません。

メタルを捨てた問題作とか過去の焼き直しとか、否定的に解釈することは簡単です。とはいえMETALLICAは『MASTER OF PUPPETS』以降、常に問題作を提供し続けてきたバンド。作品を重ねるごとにファンベースの広がりやリスナー数の増大などの違いはありますが、この姿勢自体は平常運転なはずなんですよね。ロック低迷と言われるアメリカにおいて、ブラックアルバムからの6作連続1位記録は途絶えてしまいましたが(最高2位。イギリスやドイツなどでは1位獲得)、メジャー感のあるヘヴィなロックにおける基準は本作で更新されたことは間違いないはずです。

あとは、2013年を最後に実現していない来日公演が実現すればいいのですが(新作を伴うツアーとなると、2010年が最後)、こればかりは難しそうですね……。

 


▼METALLICA『72 SEASONS』
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2024年4月13日 (土)

DEEP PURPLE『MACHINE HEAD (SUPER DELUXE EDITION)』(2024)

1972年3月25日にリリースされたDEEP PURPLEの6thアルバム『MACHINE HEAD』の発売50周年を記念して制作されたデラックス・ボックスセット。海外では2014年3月29日、日本では同年4月24日発売。

ロック史に残る“言わずと知れた”クラシック作品の本作は、90年代後半以降さまざまな節目にデラックス仕様が発売されてきました。最初が25周年タイミングで、このときは当時の最新リミックスバージョンとリマスターバージョンからなる2枚組、続いて40周年のときには最新リマスター盤、1997年リミックス、Quad SQステレオバージョン、そして単独販売されていたライブ盤『IN CONCERT '72』(1980年)の最新リミックス盤をまとめたボックスセットが発売。約10年ぶりに届けられる今回のアニバーサリー・エディションは半世紀の節目ということもあって、おそらく最後のデラックス仕様ではないかという気がしています。

CD3枚組、アナログ盤1枚、Blu-rayオーディオ1枚で構成された今作最大の注目ポイントは、CDおよびアナログ盤、Blu-rayオーディオに収録されているドゥイージル・ザッパ監修による2024年リミックスでしょう。これ、かなり現代的な質感に変換されており、オープニングを飾る「Highway Star」のイントロを一聴しただけでもその違いに気づくはず。曲によっては尺がエクスパンドされていたり、オリジナルバージョンにない音(イアン・ギランのスクリームやシャウト、リッチー・ブラックモアのちょっとしたギターフレーズなど)が散りばめられていたりと、聴き慣れたアルバムに対して(良くも悪くも)違和感を覚えることでしょう。人によっては「改変すんなや!」と怒りを覚えるかもしれませんが、個人的には新鮮な気持ち(と耳)で接することができました。

最新リミックスバージョンも収められているので、ドゥイージル版リミックスとの聴き比べも可能ですが、例えばオリジナル版(リミックス)が「狭いスタジオで5人が向き合って爆音を奏で、一丸となって迫ってくる」イメージだとすると、ドゥイージルのリミックスは「5人の距離がある程度離れたステージ上で、1人ひとりの楽器の分離がしっかりした、広がりのある音が感じられる」印象といったところでしょうか。同じトラック/演奏を使いながら、こうも違ったイメージを与えられること、またオリジナル版では気づけなかったちょっとしたプレイの癖なども見つけることができ、そういった意味でも後者はリスナー視点というよりもプレイヤー視点で聴けば聴くほど発見が多い1枚ではないでしょうか。あと、ミックス的にも後者は現代的な低音重視感と音のふくよかさが強調されているので、オリジナルリリースから52年も経過していることをあまり感じさせない仕上がりとも言えるかな。かといって2024年の音そのものではないんですけどね。このへん、ニュアンスを伝えるのが難しいですが、それぞれの感覚で一度触れてみてほしいところです。

また、本作のもうひとつの注目点は、先に触れた『IN CONCERT '72』の最新リマスター盤に加え、完全未発表の『LIVE IN MONTREUX 1971』も用意されていること。こちらは1971年4月の音源とのことですが、オーディエンス録音なので音質的にはおまけ程度(もちろん、本作用にデジタルリマスタリングが施されていますが)。とはいえ、オーディエンス録音だからこその迫力というのも存分に味わえ、特に「Speed King」の暴力的な音圧はこの録音ならでは(と同時に、この時期のDEEP PURPLEだからこそ)と言えるでしょう。時期的には“『MACHINE HEAD』前夜”ですが、スイス・モントルーという共通点(『MACHINE HEAD』はモントルーでレコーディング)もあることから、ここから『MACHINE HEAD』は始まった……と受け取ることもできるのでは。そういった意味でも、非常に貴重な音源だと断言しておきます。

2024年に『MACHINE HEAD』という作品について触れること、改めて何かテキストを残すことにどれだけ意味があることなのかわかりません。ですが、僕自身こういうリリースでもない限り、この先の人生において本作について執筆することもないと思うので、自分のルーツを振り返るという意味だけでなく、この歴史的名盤と何十年ぶりに腰を据えて向き合うという意味でも素敵な機会をもらえたのかなと。今はそんなポジティブな気持ちでいます。

 


▼DEEP PURPLE『MACHINE HEAD (SUPER DELUXE EDITION)』
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2024年4月11日 (木)

DIO『THE LAST IN LINE』(1984)

1984年7月2日にリリースされたDIOの2ndアルバム。

DIO名義でのデビュー作となった前作『HOLY DIVER』(1983年)から約1年1ヶ月という短いスパンで届けられた本作。ロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、ヴィニー・アピス(Dr)、ヴィヴィアン・キャンベル(G/現DEF LEPPARD)、ジミー・ベイン(B)という前作と同じメンバーに、前作を携えたツアーから参加したクロード・シュネル(Key)という布陣で初めて制作されたスタジオ作品となります。

前作で確立させたDIOらしいスタイルを、より研ぎ澄ましたのが本作と言えるでしょう。楽曲のスマートさはもちろんのこと、ヴィヴィアンのギタープレイもより個性を確立させたものへと進化しており、彼の初期における代表作と言える内容だと断言できます。

オープニングを飾る「We Rock」は、DIOにとってアンセムと呼べるような代表曲。前作でオープナーを務めた「Stand Up And Shout」よりも洗練された感とドラマチックさが増しており、これぞヘヴィメタルと呼びたくなるような仕上がりです。続くタイトルトラック「The Last In Line」はRAINBOWBLACK SABBATHから引き継ぐ仰々しいミディアムヘヴィの完成形と言えるもの。ヘヴィメタルファンならこの2曲だけで完全に心を鷲掴みにされるはずです。

その後も緩急に富み、アレンジの練り込まれた楽曲群が並びます。「We Rock」同様のファストチューンながらも荒々しさが際立つ「I Speed At Night」や、キャッチーなミディアムナンバー「One Night In The City」、サバス時代の某曲を再構築したかのような(笑)「Evil Eyes」、ポップテイストがのちの作風に影響を与えることになる「Mystery」、「The Last In Line」にならぶ仰々しい大作「Egypt (The Chains Are On)」など、楽曲の充実度は前作以上。そりゃあ全英4位、全米23位と前作以上のヒットになるのも納得です。

ただ、アルバムとしてのインパクトはデビュー作『HOLY DIVER』のほうが上なんですよね。事実、リピートするのも不思議と今作より前作のほうが多い。特に今作においては、冒頭2曲のインパクトが強すぎるがあまり、それ以降が平均点以上の仕上がりでも薄く思えてしまうのかもしれません。そういえば、学生の頃はダビングした本作のカセットをA面の途中までしか聴かないことも多かったな……。

でも、久しぶりにアルバム通して聴いてみたら、やっぱりいいアルバムだなと再認識。子供の頃は飽き性だったのもあって、これをじっくり楽しむ余裕がなかったのかもしれません。今の感覚だったら、『HOLY DIVER』よりこっちのほうが好みかも。

 


▼DIO『THE LAST IN LINE』
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2024年4月 9日 (火)

BLACK SABBATH『THE ETERNAL IDOL』(1987)

1987年11月23日にリリースされたBLACK SABBATHの13thアルバム。

前作『SEVENTH STAR』を伴う北米/イギリスツアーを終え、1986年後半かられっきとしたサバスの新作制作に取り掛かったトニー・アイオミ(G)。グレン・ヒューズ(Vo)の代役としてツアーをサポートしたレイ・ギラン(Vo/BADLANDS)や、前作のレコーディング&ツアーにも参加したデイヴ・スピッツ(B/ex.WHITE LION、ex.IMPELLITTERIなど)、エリック・シンガー(Dr/KISS、ex.GARY MOORE、ex.ALICE COOPERなど)、そしてお馴染みジェフ・ニコルス(Key)という布陣で楽曲制作に臨もうとするも、デイヴ・スピッツが早々に脱退。代わりにボブ・デイズリー(B/ex.RAINBOW、ex.OZZY OSBOURNEなど)が加わり作業を続けるのですが、今度はレイ・ギランが解雇されてしまいます。結果、レイはサバスに参加しながらも1曲として正式なスタジオ音源を残すことなくバンドを去るのでした。

難航した後任シンガー探しですが、新たにトニー・マーティンという逸材を発掘。しかし、ボブ・デイズリーもレコーディング終了後にバンドを離脱してしまい、最後の最後まで不安定な状態のままアルバムは完成に至ります。

ディオ期のスタイルを再追求しようとしたアイオミですが、それはほぼ成功したと言っても過言ではないでしょう。ディオほどのアクはないものの、声質が彼に近いこともあり、また新人とは思えぬほどの歌唱力と相まって、いかにも“らしい”世界観を構築しています。楽曲自体の出来も良く、仰々しいアレンジのオープニングトラック「The Shining」を筆頭に、アグレッシヴな「Hard Life To Love」や「Lost Forever」、王道サバス的なドラマチックさが際立つタイトルトラック「Eternal Idol」など、ディオ期の2作品(『HEAVEN AND HELL』『MOB RULES』)を好むリスナーなら文句なしに受け入れられるはず。いや、その延長線でより進化した第2期サバスを存分に楽しめることでしょう。

しかし、そういった完成度とは相反し、チャート的には大失敗。本国イギリスでは初めてTOP30入りを逃し(最高66位)、アメリカでは初めて100位内にも入りませんでした(最高168位)。1987年というとBON JOVIDEF LEPPARDWHITESNAKEGUNS N' ROSESなどHR/HM勢が大ヒットを飛ばした大きな転換期。サバスのようなオリジネーターに注目が集まってもおかしくないはずなのですが、どうやら世間が求めるHR/HMとは違っていたのかもしれません(それ以上に、ほぼ無名のフロントマンが加わったことで注目度が落ちたということもあるのでしょう)。

とはいえ、現在までオジー・オズボーンに次いで在籍期間の長いフロントマンはこのトニー・マーティン。参加作品数もオジーの9枚に次ぐ5枚と、本来ならバンドの顔(のひとり)と断言してもおかしくないのですが、いかんせんオジーとディオの存在感&功績が大きすぎて……。ホント、かわいそうな人だよなあ……。

なお、本作のデラックスエディションにはレイ・ギラン在籍時のデモ音源を収録。インスト曲「Scarlet Pimpernel」以外の全8曲を(デモ音質とはいえ)彼のボーカルで楽しむことができます。これ聴いちゃうと、ボーカリストとしての存在感はトニーよりもレイなんだよなあ……ここでも残念な結果に。いや、トニーが本領発揮するのは次作からですので!

ちなみに、本作のツアーが始まる頃にはエリック・シンガーもバンドを離れ、新たにジョー・バート(B)&テリー・チャイムズ(Dr/ex.THE CLASH、ex.THE HEARTBREAKERSなど)が参加することに。その後、本作のセールス的大失敗を理由に、バンドはデビュー時から在籍してきたVertigo Records(英)およびWarner Bros.(米)との契約を終了こととなります。サバスにとっては、この時期がもっとも暗黒期と言えるかもしれませんね。

 


▼BLACK SABBATH『THE ETERNAL IDOL』
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2024年4月 7日 (日)

BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI『SEVENTH STAR』(1986)

1986年1月28日にリリースされたBLACK SABBATHの12thアルバム。

前作『BORN AGAIN』(1983年)では元DEEP PURPLE/GILLANのイアン・ギランをフロントマンに迎えるという荒技に出たサバス。しかし、アルバム発表後にオリジナルメンバーのビル・ワード(Dr)が再脱退、ギランもパープル再結成が決まったため早々に離脱してしまい、サバスは活動休止に陥ってしまいます。

そういった状況を受け、リーダーのトニー・アイオミ(G)は初のソロアルバム制作に着手。当初は前任フロントマンのロニー・ジェイムズ・ディオJUDAS PRIESTロブ・ハルフォード、そして元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズといった複数のシンガーを起用する形をイメージしていたようで、そのバックをデイヴ・スピッツ(B/ex.WHITE LION、ex.IMPELLITTERIなど)、エリック・シンガー(Dr/KISS、ex.GARY MOORE、ex.ALICE COOPERなど)というアメリカ人メンバーと、サバスでサポートメンバーを務めていたジェフ・ニコルス(Key)という布陣で固めてレコーディングを行う予定でした。が、シンガーに関してはあれやこれやがあり、最終的にはグレンの単独参加に落ち着くことになります。

すべての楽曲をアイオミが執筆するわけですが、そのメロディやサウンドは否が応でもサバスっぽくなるのは致し方ありません。「In For The Kill」や「Turn To Stone」といったファストナンバーはディオ期サバスの延長線上にあるものの、時代の流れに沿ってリズムがよりアップテンポになっていることから、若干USメタルっぽさも感じられます。グレンのボーカルもディオのようにねっとり歌うでもなく、適度なブルージーさで比較的ストレートに歌い上げる。サバス臭を残しつつも80年代半ばという時代性を反映させたスタイルは、ソロ作品としては非常に良いのではないでしょうか。なによりも、エリック・シンガーのドタバタドラム(笑)がカッコいいったらありゃしない。

もちろん、アイオミが得意とするミドルヘヴィナンバーもしっかり用意されています。インタールード的な「Sphinx (The Guardian)」から続くタイトルトラック「Seventh Star」は、間違いなく本作のハイライトと言える仕上がり。アイオミのギタープレイはもちろんのこと、ほかの要素も含めすべてが正しい方向に噛み合った、名曲と呼ぶべき1曲ではないでしょうか。

アルバム後半には比較的ポップめな「Danger Zone」を筆頭に、アイオミがWHITESNAKE的ブルースロックに挑戦したような「Heart Like A Wheel」といった変化球もありますが、前半ほどの緊張感、充実度は感じられず、アルバムの中でも微妙な仕上がりの「Angry Heart」、2分半程度の泣きメロバラード「In Memory」と大きな山なしで終了してしまいます。

アイオミのソロアルバムとしてなら、こういう内容もアリかなと思うのですが、リリース当時もっとも残念だったのは、本作をBLACK SABBATH(正確にはBLACK SABBATH featuring TONY IOMMI)名義で発表してしまったこと。サバスの新作として受け取るなら、確かに微妙な点も多いかもしれません。なにせアメリカンな要素が強まっているし、サバスのアルバムにしては終盤尻すぼみだし(ソロだったならアリっちゃあアリなんだけど)。レーベル側が“売る”ために出した条件だったとはいえ、この施策は間違いだったんじゃないかな。

なお、本作を携えたツアーを北米から開始するも、たった数公演でグレンは解雇されてしまいます。そんな彼の代役に選ばれたのが、のちにBADLANDSに加入するレイ・ギラン。彼が歌唱するライブ音源は本アルバムのデラックスエディション付属のボーナスディスクで聴くことができます。音はかなり悪いですが、「The Mob Rules」や「Die Young」といったディオ期、「War Pigs」「N.I.B.」などオジー・オズボーン期の楽曲まで楽しめ、グレン以上に圧巻のボーカルパフォーマンスを楽しめるので、ぜひチェックしてみてください。

 


▼BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI『SEVENTH STAR』
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2024年4月 6日 (土)

ACCEPT『BLIND RAGE』(2014)

2014年8月15日にリリースされたACCEPTの14thアルバム。日本盤は同年8月13日発売。

前作『STALINGRAD』(2012年)から2年4ヶ月ぶり、3代目シンガーのマーク・トーニロ(Vo)加入後3作目のスタジオアルバム。マーク、ウルフ・ホフマン(G)、ハーマン・フランク(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・シュヴァルツマン(Dr)という再々結成後不動の布陣での最後のアルバムとなります。

プロデューサーはもはやお馴染みのアンディ・スニープ(ARCH ENEMYJUDAS PRIESTMEGADETHなど)。楽曲面においても過去の良い面を十分に残しつつ、それらを現代的にバージョンアップさせることに成功しており、もはや何の不安も感じられない。そういう意味でも、新たな黄金期を迎えつつあることが伺える良質なメタルアルバムに仕上がっています。

オープニングのファストチューン「Stampede」こそ彼らにしては若干平均点的な仕上がりですが、続く「Dying Breed」「Dark Side Of My Heart」のキラーチューンぶりには目を見張るものがあり、キャッチーなメロディラインや重厚で男臭いコーラスワーク、パワフルなギターリフとタイトなバンドアンサンブル、ウルフによるクラシカルかつメロウなギターソロといった、このバンドに必要不可欠な要素がすべて揃っている。文句の付けようがありません。

〈Oh Oh〜〉コーラスやロシア民謡的メロディを取り入れたミドルヘヴィ「Fall Of The Empire」、泣きメロパワーメタル「Trail Of Tears」、冒頭のアコギ含め哀愁味漂う「Wanna Be Free」、ギャロップビートが軽快な「200 Years」、ストレートなメタルチューン「Bloodbath Mastermind」など、楽曲のバリエーションも比較的幅広く、似たようなタイプの楽曲で固められることの多いこの手のバンドにしては、最後の最後まで飽きずに楽しめるのも本作の魅力。終盤に用意されたメタルバラード的な「The Curse」や、恒例のなったクラシックからの引用ギターソロ(今回はエドヴァルド・グリーグ『PEER GYNT(ペール・ギュント)』より「Morning Mood(朝)」)をフィーチャーした締めくくりに相応しい疾走ナンバー「Final Journey」までの全11曲、スルッと聴くことができるはずです。

ギターソロやちょっとしたアレンジのこだわりで1曲1曲が5分前後と、比較的長尺な楽曲が並び、トータルで60分近くあるので、本当に好きな人じゃないと厳しいかなと思いつつも、前半を難なく楽しめたなら最後まであっという間なはず。歴史に残るような名曲やバンドを代表するような1曲は見当たらないかもしれないけど、すべてが平均点もしくはそれ以上の完成度なので、結果としてアルバムの充実度は100点に近い。トニー加入後の第3期(80年代を第1期、90年代を第2期と大雑把に分けてます)における、この時点での代表作と断言してしまっていいと思います。

事実、本作は本国ドイツで初のチャート1位を獲得。アメリカでも35位と過去最高記録を樹立し、イギリスでも7thアルバム『RUSSIAN ROULETTE』(1986年。最高80位)以来のTOP100入り(85位)を果たしています。そんな好状況だっただけに、2014年末にハーマン、そしてステファンが相次いで脱退してしまったことは残念でなりません。

 


▼ACCEPT『BLIND RAGE』
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2024年4月 4日 (木)

ACCEPT『DEATH ROW』(1994)

1994年10月4日にリリースされたACCEPTの10thアルバム。日本盤は同年11月2日発売。

ウド・ダークシュナイダー(Vo)、ウルフ・ホフマン(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・カウフマン(Dr)という黄金期の4人が再び集結し制作した前作『OBJECTION OVERRULED』(1993年)に続く1枚。常にツインギター編成で活動してきた彼らでしたが、再結成後はライブにおいてもシングルギター編成だったこともあり、本作でもそのスタイルは継続。前作以上にシングルギターで聴かせるアレンジが施されています。

しかし、それ以上に本作が独特な作りなのは、その楽曲/サウンドのテイストの違いでしょう。1994年という時代もあってか、本作で聴くことのできる方向性はそれまでのオールドスクールなHR/HMとは一線を画する、グランジ以降のシンプルなアレンジ、およびMETALLICAPANTERAを通過したグルーヴメタルを踏襲した路線。オープニングを飾るタイトルトラック「Death Row」の作風に、多くのリスナーが当時腰を抜かしたものです(笑)。

あれから30年経った今聴くと、これはこれで面白いなと思えるのですが、当時は時代に迎合したと思われても仕方ないくらいに“今(90年代前半)風”に寝返っており、かつ彼らがこういうスタイルをやっても曲自体が面白くならないという事実が重くのしかかるだけでした。続くアップチューン「Sodom & Gomorra」もそういった傾向を踏襲しつつも、無理に80年代的疾走感を取り入れようとして、メロディにいまいち高揚感が足りない。お家芸といえるクラシックからの引用ギターソロ(ここではハチャトゥリアン「剣の舞」をフィーチャー)はあるものの、全体的にモノトーンで盛り上がりに欠けるアレンジが足を引っ張っている感は否めません。

では、本作が完全なる失敗作かと言われると、まったくそうも言えないんですよ。3曲目「The Beast Inside」では前作までの黄金サウンドが復調している。メロディラインや野郎臭いシンガロングなど含め、彼らに必要な要素がすべて揃っているんです。かと思えば、モダン色を強めつつも従来の彼ららしさが感じられるミドルヘヴィ「Dead On!」、軽快なファストチューン「Guns 'R' Us」、80年代にやっていたことをモダン化させたような「Like A Loaded Gun」と佳曲が続く……「意外」と言っては失礼かもしれませんが……「意外と聴き進めることができる」んです、このアルバム。

アルバム後半もグルーヴメタル的リフを用いながらも従来のACCEPTらしさも混在する「What Else」や「Stone Evil」、のちにカウフマンの健康上の理由からツアーに参加することになるステファン・シュヴァルツマン(Dr)が叩いた「Bad Habits Die Hard」や「Prejudice」、個人的には本作で「The Beast Inside」に次いでお気に入りのアップチューン「Bad Religion」、ジム・ステイシー(Vo)期の楽曲をリメイクした「Generation Clash II」、憂に満ちた泣きのバラード「Writing On The Wall」と、バラエティに富んだ楽曲が揃っている。ただ、ここで終わらせておけばよかったものの、ダメ押しで泣きの「Drifting Apart」とエドワード・エルガー「威風堂々」のカバーというインスト2連発をぶち込み、トータル71分強という我慢大会が展開されるわけです(苦笑)。

本作を駄作にしてしまっている最大の原因は、「歌メロやリフの弱さ」以上に「曲数が多い」ことではないでしょうか。正直、この15曲中5曲は削って、曲順を変えれば平均的な仕上がりにはなったはず(メロやリフの弱さはどうしようもないからね)。オープニングのタイトルトラックで聴き手をふるいにかけるのはいいんですが、そこからダラダラと山場のない楽曲群を聴かされ続けたら、そりゃ誰だって駄作って呼びたくなります。

曲単位では5点中4点を与えられるものがいくつか存在し、残りは2〜3点という残念な1枚ではありますが、先に述べたように嫌いにはなれないし、意外と面白いなという気づきも見つけられる、時間が経ったことで評価が変わりつつある“不運な時代の、不運なアルバム”ではないでしょうか(かといって傑作、良作とも言い難いんだけどな)。

 


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2024年4月 2日 (火)

ACCEPT『BALLS TO THE WALL』(1983)

1983年12月5日(欧州)にリリースされたACCEPTの5thアルバム。北米では1984年1月、日本でも1984年に入ってから発売されたので、世界的に見て「1984年のアルバム」と捉えることができるでしょう。

前作『RESTLESS AND WILD』(1982年)が北米では1983年に、メジャーのPortrait Records(Epic Recordsの姉妹レーベル)から発売されたこと、また当時のUSシーン的にもHR/HMに注目が集まっていたタイミングで、先に同郷のSCORPIONSが成功を収めていたことから、続くACCEPTにも期待が寄せられていました。事実、本作のタイトルトラックはMVも制作され、当時MTVでヘヴィローテーションされたと聞いています。結果、このアルバムは本国で初チャートイン(最高59位)しただけでなく、アメリカでも最高74位まで上昇し、キャリア唯一のゴールドディスク(50万枚以上)を獲得しています。

本作はウド・ダークシュナイダー(Vo)、ウルフ・ホフマン(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・カウフマン(Dr)、前作完成後にバンドに加入したハーマン・フランク(G)という布陣で制作された唯一のアルバム。ハーマンは本作完成後に脱退し、前任のヨルグ・フィッシャー(G)が再加入することになります。プロデュースはバンド自身が務め、ミキシングエンジニアを過去数作から引き続きマイケル・ワグナー(DOKKENSKID ROWWHITE LIONなど)が担当。切れ味の強かった前作にさらなる重みを加えることで、バンドの個性が本格的に確立された1枚と言えるでしょう。

メタルアンセムと呼ぶに相応しいタイトルトラック「Balls To The Wall」は、スピード感を除くこのバンドの魅力がすべて詰まった究極の1曲。「ACCEPTってどんなバンド?」と質問されたら、この曲を聴かせればいい。それくらい“らしい”1曲と言えるのではないでしょうか。

もちろん、本作はそれ以外にも良曲揃い。「Balls To The Wall」にも匹敵するミドルテンポのメタルアンセム「London Leatherboys」、疾走感に満ち溢れた「Fight It Back」、次作『METAL HEART』(1985年)のタイトルトラックと同じテンポ感/リズム感を持つメロウな「Head Over Heels」、このバンドらしい魅力的なギターリフ&メロディを持つミディアムナンバー「Losing More Than You've Ever Had」と、アルバム前半の充実ぶりは前作以上。トータルでの流れ/テンポも良いのでスルスル聴き進められます。

アルバム後半もその傾向は引き継がれており、軽快なアップチューン「Love Child」を筆頭に、ノリの良いミドルナンバー「Turn Me On」、ザクザクしたリフとスピード感が心地よい「Losers And Winners」、欧州のバンドらしい憂いがにじみ出た「Guardian Of The Night」、彼ら流のメタルバラード「Winter Dreams」で綺麗に締めくくります。

キャッチーさやキラーチューンの多さで言えば次作『METAL HEART』が勝るところでしょう。しかし、ヘヴィメタルアルバムとしてのトータルバランスや全体の空気感、“らしさ”においては本作がベスト。「ACCEPTの代表作は?」と質問されたら、『METAL HEART』よりも本作『BALLS TO THE WALL』を挙げるメタルリスナーが多いのは、そういった理由からかもしれません。

自分は『METAL HEART』からACCEPTに触れた人間なので、思い入れ的には同作のほうが断然上ですが、やはり「ACCEPTのアルバムで最初に聴くなら」と問われたら『BALLS TO THE WALL』をピックアップすると思います。

 


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