LINKIN PARK『PAPERCUTS: SINGLES COLLECTION 2000-2023』(2024)
2024年4月12日にリリースされたLINKIN PARKのコンピレーションアルバム。
チェスター・ベニントン(Vo)の急逝以降、デビューアルバム『HYBRID THEORY』(2000年)の20周年盤(2020年)や2ndアルバム『METEORA』(2003年)の20周年盤(2023年)といったボックスセットで未発表曲を公開してきたLINKIN PARK。本作はバンドのキャリアにおいて、初にして唯一のシングルコレクションアルバム/グレイテストヒッツアルバムとなります。
アルバムに収録されているのは全20曲。内訳的には
オリジナルアルバム
1st:『HYBRID THEORY』(2000年):4曲(Crawling、Papercuts、In The End、One Step Closer)
2nd:『METEORA』(2003年):4曲(Faint、Breaking The Habit、Somewhere I Belong、Numb)
3rd:『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年):3曲(Bleed It Out、What I've Done、Leave Out All The Rest)
4th:『A THOUSAND SUNS』(2010年):1曲(Waiting For The End)
5th:『LIVING THINGS』(2012年):2曲(Castle Of Glass、Burn It Down)
6th:『THE HUNTING PARTY』(2014年):0曲
7th:『ONE MORE LIGHT』(2017):1曲(One More Light)EP、ファンクラブ限定EPなど
『COLLISION COURSE』(2004年):1曲(Numb/Encore)
『UNDERGROUND 6』(2006年):1曲(QWERTY)サントラ、コンピ盤など
『TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN - THE ALBUM』(2009年):1曲(New Divide)
『METEORA20』(2023年):1曲(Lost)
となり、ここに『ONE MORE LIGHT』制作時のアウトテイク(未発表曲)「Friendly Fire」が追加されています。いわゆる代表曲はほぼ網羅されている印象があり、特に3rd『MINUTES TO MIDNIGHT』あたりまでのヒットシングル(「New Devide」含む)まではほぼ楽しむことができます。意外だったのは4th『A THOUSAND SUNS』からのヒット曲「The Catalyst」(全米27位)が外されていたこと、6th『THE HUNTING PARTY』からは1曲も選出されていないこと、最終作『ONE MORE LIGHT』からは唯一のヒット曲「Heavy」(全米45位)ではなくタイトル曲が選ばれていることなどでしょうか。20曲収録しても67分程度と、CDでもまだ2〜3曲追加するだけの余白があったものの、あえて20曲と区切りのいいところでまとめているは潔いのかもしれませんね。
こうやってシングル曲/リード曲中心で彼らの作品を振り返ると、大半の尺が3分前後とかなりコンパクトであることに気付かされます。いわゆるハードロックやヘヴィメタルにおける「インストパートをフィーチャーすることで5分を軽く超える」という概念があまり感じられず、ボーカルやラップを軸にして、そこに味付けとしてほかの楽器が入るという姿勢は、もしかしたらほかの同時代のニューメタルバンドと並べたときに特異に映るかもしれません。そういった点からも、彼らはHR/HMの枠だけでは語り尽くせない稀有な存在だったと認識できるはずです。
本作における注目ポイントは、先に触れた未発表曲「Friendly Fire」、そしてファンクラブ限定で聴くことができた「QWERTY」の存在でしょうか。「QWERTY」は日本でもCDリリースされているので耳にしたことのあるファンは多いことでしょう。こうして久しぶりにサブスクを通じて楽しめるようになったのはありがたい限り。かつ、『ONE MORE LIGHT』の世界線の“続き”である「Friendly Fire」では、あのアルバムの物語はまだ完結していないことを思い出させてくれる(だって、予定されていた日本公演が中止になってしまったわけで、我々日本人は『ONE MORE LIGHT』収録曲をナマで体験していないわけですから)。この曲をアルバムラストに置くことで、不完全な終わり方をしたこのバンドの“If”の世界線を描いているようにも受け取ることができ、なんとも言えない余韻を残してアルバムは終了します。
LINKIN PARKの真の魅力はこの1枚だけでは伝わりきらないと思います。これはまだ彼らに出会えていなかった人たちへの新たな入り口であり、かつて彼らと同じ道を歩んでいた同胞たちと数年ぶりに思い出を共有するため(そして、未発表曲を通して新たな思い出を生み出すため)のアイテムでしかないわけですから。ここを起点に、各オリジナルアルバムに初めて触れたり、あるいは久しぶりに引っ張り出してみたりして、ここにはない名曲にも触れてみる、そのきっかけ作りにほかならない。けど、その「ほかならないきっかけ作り」が実は大切なんですよね。
▼LINKIN PARK『PAPERCUTS: SINGLES COLLECTION 2000-2023』
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