ACCEPT『BALLS TO THE WALL』(1983)
1983年12月5日(欧州)にリリースされたACCEPTの5thアルバム。北米では1984年1月、日本でも1984年に入ってから発売されたので、世界的に見て「1984年のアルバム」と捉えることができるでしょう。
前作『RESTLESS AND WILD』(1982年)が北米では1983年に、メジャーのPortrait Records(Epic Recordsの姉妹レーベル)から発売されたこと、また当時のUSシーン的にもHR/HMに注目が集まっていたタイミングで、先に同郷のSCORPIONSが成功を収めていたことから、続くACCEPTにも期待が寄せられていました。事実、本作のタイトルトラックはMVも制作され、当時MTVでヘヴィローテーションされたと聞いています。結果、このアルバムは本国で初チャートイン(最高59位)しただけでなく、アメリカでも最高74位まで上昇し、キャリア唯一のゴールドディスク(50万枚以上)を獲得しています。
本作はウド・ダークシュナイダー(Vo)、ウルフ・ホフマン(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・カウフマン(Dr)、前作完成後にバンドに加入したハーマン・フランク(G)という布陣で制作された唯一のアルバム。ハーマンは本作完成後に脱退し、前任のヨルグ・フィッシャー(G)が再加入することになります。プロデュースはバンド自身が務め、ミキシングエンジニアを過去数作から引き続きマイケル・ワグナー(DOKKEN、SKID ROW、WHITE LIONなど)が担当。切れ味の強かった前作にさらなる重みを加えることで、バンドの個性が本格的に確立された1枚と言えるでしょう。
メタルアンセムと呼ぶに相応しいタイトルトラック「Balls To The Wall」は、スピード感を除くこのバンドの魅力がすべて詰まった究極の1曲。「ACCEPTってどんなバンド?」と質問されたら、この曲を聴かせればいい。それくらい“らしい”1曲と言えるのではないでしょうか。
もちろん、本作はそれ以外にも良曲揃い。「Balls To The Wall」にも匹敵するミドルテンポのメタルアンセム「London Leatherboys」、疾走感に満ち溢れた「Fight It Back」、次作『METAL HEART』(1985年)のタイトルトラックと同じテンポ感/リズム感を持つメロウな「Head Over Heels」、このバンドらしい魅力的なギターリフ&メロディを持つミディアムナンバー「Losing More Than You've Ever Had」と、アルバム前半の充実ぶりは前作以上。トータルでの流れ/テンポも良いのでスルスル聴き進められます。
アルバム後半もその傾向は引き継がれており、軽快なアップチューン「Love Child」を筆頭に、ノリの良いミドルナンバー「Turn Me On」、ザクザクしたリフとスピード感が心地よい「Losers And Winners」、欧州のバンドらしい憂いがにじみ出た「Guardian Of The Night」、彼ら流のメタルバラード「Winter Dreams」で綺麗に締めくくります。
キャッチーさやキラーチューンの多さで言えば次作『METAL HEART』が勝るところでしょう。しかし、ヘヴィメタルアルバムとしてのトータルバランスや全体の空気感、“らしさ”においては本作がベスト。「ACCEPTの代表作は?」と質問されたら、『METAL HEART』よりも本作『BALLS TO THE WALL』を挙げるメタルリスナーが多いのは、そういった理由からかもしれません。
自分は『METAL HEART』からACCEPTに触れた人間なので、思い入れ的には同作のほうが断然上ですが、やはり「ACCEPTのアルバムで最初に聴くなら」と問われたら『BALLS TO THE WALL』をピックアップすると思います。
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