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2024年4月25日 (木)

PEARL JAM『BACKSPACER』(2009)

2009年9月20日にリリースされたPEARL JAMの9thアルバム。日本盤は同年9月30日発売。

セルフタイトルの前作『PEARL JAM』(2006年)から3年4ヶ月ぶりの新作。本作からバンドが新たに設立した自主レーベル・Monkeywrench Recordsからのリリース(配給はUniversal Musicが担当)で、プロデューサーには5thアルバム『YIELD』(1998年)以来となるブレンダン・オブライエンを迎えて制作されています。

シリアスさの際立つ前々作『RIOT ACT』(2002年)、その流れにありながらも自分たちの置かれた状況を打破しようとした前作『PEARL JAM』を経て、本作では軽快さの際立つシンプルなロックンロールを展開。大半の楽曲が3分前後とコンパクトにまとめられており、全11曲で36分半というトータルランニングはPEARL JAM史上最短でかなり聴きやすい仕上がりです。

頭3曲(「Gonna See My Friend」「Got Some」「The Fixer」)のストレートなノリの良さに初めて直面したときは、「どうした、PEARL JAM!?」とびっくりしたものです(もちろん良い意味で)。歌詞に関しても非常にポジティブなものが多いのですが、これは2009年1月にアメリカ大統領に就任したバラク・オバマからの影響が強かったと、エディ・ヴェダー(Vo)は当時のインタビューで語っています。また、そうしたポジティブなヴァイブスは作曲面にも影響を及ぼし、大半の楽曲は制作に30分かかっていないとも公言されています。

個人的な印象ですが、2ndアルバム『VS.』(1993年)が真の意味でバンドの1stアルバムだと捉えると、1990年代初頭のどんよりした空気感を引き摺ってたバンドがようやくその葛藤を払拭し、今作では新たな価値観を掴み取った。もちろん、ここで表現されていることがすべての答えではないと思いますが、バンドがこの先も長く続いていくことを想定したとして、その糸口になるようなメッセージとサウンドに辿り着けたのがこの『BACKSPACER』というアルバムだったのかなと、2024年時点での最新作『DARK MATTER』を聴いた今、そう再認識しています。

PEARL JAM流の“(音楽的)パンク”アルバムと捉えることもできる本作。混迷の第1章(グランジ期)、葛藤の第2章を経て、バンドはついに第3章に突入した。新たな始まりを高らかに宣言するこのアルバムは、彼らのキャリアにおける代表作のひとつだと断言します。

 


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