POISON『CRACK A SMILE... AND MORE!』(2000)
2000年3月14日にリリースされたPOISONの5thアルバム。日本盤は同年6月28日発売。
本作は4thアルバム『NATIVE TONGUE』(1993年)に続くスタジオアルバムとして、脱退したリッチー・コッツェン(G)に代わりブルース・サラセノ(G)を迎え1994〜95年にかけてレコーディングされた『CRACK A SMILE』をベースにした内容。この時期、ブレット・マイケルズ(Vo, G)が交通事故(1994年5月)で重傷を負ったことから制作が長期にわたり、またその間に音楽シーンがグランジやヒップホップ中心に移行したこともあり、当初は1996年のリリースに向けてプロモ盤も制作されたもののレーベル側が難色を示し、最終的にアルバムのリリースは棚上げとなります。
結局、レーベル(Capitol Records)は契約消化作として1996年にベストアルバム『POISON'S GREATEST HITS 1986-1996』(1996年)を発表。そこに5thアルバムセッションで制作された「Sexual Thing」「Lay Your Body Down」の2曲を収録するにとどまります。しかし、1999年にC.C.デヴィル(G)がバンドに復帰し、黄金期のメンバーが復活。その後のツアーが大成功を収めたことを受け、約5年の歳月を経てついに日の目を見ることとなりました。
ジョン・パーデル&デュエイン・バーロン(アリス・クーパー、DREAM THEATER、L.A. GUNS、オジー・オズボーンなど)をプロデューサーに迎え制作された本作は、1996年時点では全12曲入りアルバムとなる予定でした。が、『AND MORE!』という副題が付けられた2000年リリース作にアルバムアルバム本編にアウトテイク3曲(「One More For The Bone」「Set You Free」「Crack A Smile」)、2ndアルバム『OPEN UP AND SAY...AHH!』(1988年)制作時のアウトテイク「Face The Hangman」、さらに1990年の『MTV Unplugged』出演時に録音されたアコースティックライブ音源4曲を加えた、全20曲入りとなっています。
『CRACK A SMILE』本編自体はベスト盤で先行公開されていた「Sexual Thing」や「Lay Your Body Down」で何となく想像できていたように、3rdアルバム『FLESH & BLOOD』(1990年)や前作『NATIVE TONGUE』の延長線上にある、非常に練り込まれよく作り込まれたハードロックアルバムと言えるでしょう。なので、その2作を楽しめる耳をお持ちでしたら難なく受け入れられることでしょう。ブルース・サラセノのギタープレイもバンドのカラーに合わせた、そつないもので収まっているので、彼のソロキャリアと同等のものを期待すると若干肩透かしを喰らうかもしれません。
90年代半ばのシーンを意識してか、ヒップホップ的テイストをほんのりと散りばめた「Shut Up, Make Love」や「No Ring, No Gets」、DR. HOOK & THE MEDICINE SHOWのカバー「Cover Of The Rolling Stone」もスパイスとして存在感を発揮していますし、そのほかのオリジナル楽曲もいかにも彼ららしいものばかり。これが『NATIVE TONGUE』と同時代に1リリースされていたら、それなりのヒットを記録していたことでしょう。しかし、1996年といったらニューメタル全盛期。そりゃあメジャーでこれを大々的に売り出そうとは思わないか……残念ですが。
時代が何周も回った2024年だったら、本作を純粋に良質なハードロックアルバムとして、あるいは歴史の一部として受け入れることもできるでしょう。そういう意味では良い時代になりましたね。
なお、アルバム終盤の5曲(「Face The Hangman」以降)が急に別のギタリスト(C.C.デヴィル)に変わるので、ちょっとした違和感を覚えるかもしれませんが、そこはご愛嬌ということで(サブスクだと『MTV Unplugged』の4曲は未配信なので、そこまで『CRACK A SMILE』の世界観を崩すことはないですけどね)。
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