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2024年7月19日 (金)

HEAD PHONES PRESIDENT レコ発ワンマンライブ@WildSide Tokyo(2024年7月12日)

Img_9010 HEAD PHONES PRESIDENTのライブを生で観るのも随分と久しぶりのことで、2020年代に入ってからはもちろん初めて(コロナ禍に入ってしまったしね)。下手したら2010年代半ばが最後かも?ってくらい久しく現場に足を運んでいなかったんだけど、音源はリリースされたら毎回しっかり聴き込んでいて。ただ、ここ2作は個人的にあまりピンと来ていなかった(じっくり聴き込めていなかった)のもあって、この6月にリリースされた新作『In The Abyss』もリード曲が平均的だったのでそこまで期待していなかったんです。

ところが、ふいに店頭で見かけた本作を何の気なしに手に取り、気づけばレジへと持っていき。店頭でCDを購入するの、今年に入ってから初めてかもってくらい久しぶりのことで、ちょっとドキドキしました。

で、帰宅してから深夜に再生してみると……ああ、そうだ。HPPってこんなバンドだったよな。そんな懐かしい気持ちにうれしくなったり、久しぶりに心の内側からたぎってくるあの感覚にうれしくなる自分に気づいたり。気づけば数日後に控えたレコ発ワンマンのチケットを確保していました。

WildSide Tokyoに足を運ぶのもコロナ禍以降初めてのことで、改めてそのキャパ感に懐かしく思ったり。帝国を少し過ぎた頃に会場が暗転し、不穏なSEからダークな「Seeds Remain」へとつなげてライブは幕開け。妖艶さ漂うANZA(Vo)の歌声とパフォーマンス、NARUMI(B)&BATCH(Dr)のリズム隊が織りなす浮遊感の強いアンサンブル。そこから「Can You Feel It」で一気にギアが入ると、HIRO(G)のヘヴィでザクザクしたギターワークと骨太なリズム隊、そして鬼気迫る表現を交えたANZAのボーカルがその空気を一変させる。全体的に一本芯が通っているんだけど、その上で曲ごとにいろんな表情を見せるボーカル&バンドアンサンブルはさすがに一言。そうだそうだ、こういうバンドだった!

音源で最初に聴いたときはあまりピンとこなかった「The Moon Chase Me」みたいな曲も、ライブで聴くことでより響くし、そこから「Chain」「Nowhere」といった初期の代表曲をつなげてもまったく違和感なく楽しめる。というか、「Chain」や「Nowhere」といった曲を2024年もライブで楽しめる幸せさよ。さらにこの日は「Labyrinth」や「Light to Die」といった(僕がHPPに触れるきっかけとなったアルバム)『folie a deux』(2007年)からの楽曲が多めに披露され、個人的にも驚き&大満足。

「Light to Die」のあとには長尺のバンドセッションも用意。ANZAは一旦引っ込んで、続く「Stand In The World」ではジャケットを脱いで再登場。ここからは2010年代後半の楽曲を中心に展開されるのですが、上に触れたようにあまりピンと来ていなかった『Realize』(2017年)、『Respawn』(2019年)からの楽曲がライブでは映えまくるという現実を目の当たりにします。なんだ、カッコいいじゃないか、と。最新作で初期の雰囲気がいきなり復調したのではなくて、ここまで自然な流れで変化/進化を遂げながらまたここに辿り着いたんだという事実を、このライブを通してしっかり理解することができました。また、新作を軸にして考えると、今また2000年代の楽曲を引っ張り出すことも、2010年代以降の楽曲と新曲を混ぜ合わせることも、すべてが必然であり地続きなんだと納得させられました。

ライブ終盤、ANZAはコロナ禍中にこのバンドを“諦め”ようとしたことを正直に吐露していました(このへんは新作リリース時にSNSでも明かされていました)。しかし、そういう困難を経てこの力作に到達できたことで、再び前進することを選んだ。もう後戻りはできないし、あと何年これを続けられるのかもわからない。だからこそ、今この一瞬一瞬を尊く思いながら、全力で炎を燃やしていく。その第一歩となるのがこの日のワンマンライブだったのかなと思いました。そう考えると、終盤に立て続けに披露された「Live With」と「For You」、そして「A New World」と「Until I Die」には非常に強い意志を感じずにはいられませんでした。

ライブはアンコールなしの全18曲、約90分。ラストは新作からの「Burn It All Down」で締めくくりでした。この日はニューアルバムからは5曲にとどめられていましたが、ここから全国を回り続ける中で新曲が小出しにされていくのでしょう。再び東京に戻ってきたときに、さらに逞しく成長したHPPを再びライブハウスで見届けたい。その日を楽しみにしながら、再会を待ちたいと思います。とにかく行って大正解の公演でした。

 

セットリスト
01. Seeds Remain
02. Can You Feel It
03. Change the Game
04. The Moon Chase Me
05. Chain
06. Nowhere
07. Labyrinth
08. Light to Die
09. Stand In The World
10. The One To Break
11. Devil Inside Me
12. Walking Life
13. Alive
14. Live With
15. For You
16. A New World
17. Until I Die
18. Burn It All Down

 

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