LINKIN PARKが再始動して新作を出して日本でライブをする未来なんて、2017年の時点ではまったく予想もしてなかったし、それこそ絶対にありえないことだと思ってました。でも、2024年夏にOASISが再結成し、その直後にLINKIN PARKまで匂わせを始めたところで「マジかよ!?」と、OASISの発表時以上に興奮したことは今でも昨日のことのように、新鮮な記憶として残っています。
チェスター・ベニントンに代わる新ボーカリストとしてエミリー・アームストロングという女性シンガーが、そして新たなドラマーにONE OK ROCKなどでのコラボレーションで名前を目にしたことがあったコリン・ブリテンが加わった新体制でオリジナルアルバム『FROM ZERO』(2024年)を発表し、翌年2月にはたまアリで2日限定の来日公演が実現。昨年配信された新体制お披露目ライブで一度向き合っていたとはいえ、やはり生で体験したらまた感じ方も変わるんだろうなと不安を抱えていたのですが、ギリギリで2日目公演のチケットを確保。500レベルとだいぶ上のほうでしたが、12年ぶりに彼らのライブを目撃することができました(といっても、12年前の『SUMMER SONIC 2013』はMETALLICAのラーズ・ウルリッヒ取材中で、ラーズと一緒に1〜2曲を観覧したのみ。しかも、インタビュー時間がどんどん減っていく恐怖に怯えながらだったので、悠長に楽しむことはできなかった)。
この日は朝から取材が複数あり、午後に一度帰宅してから会場に向かったのですが、最寄駅に着いてからスマホを家に忘れるという大失態。しかも帰宅したら開演にギリギリ間に合わなさそうだったので、そのまま切符を購入して改札へ。幸いチケットは紙発券しており、なんとかスマホなしでも会場まで間に合うことはできました(といっても着席した時点でスタート5分前でしたが)。
なので、写真の類は一切なし。ただ、そのおかげで普段以上にライブに集中することができたような気がします。デジタルデトックス、大事!
ステージはかなり簡素なもので、360度観客に囲まれた(センターステージではなく、ステージ後方にもお客を入れている)形に、天井に4面LEDスクリーンが2機釣られている程度といったもの。これもライブへの没入感を高めるという意味でよかったな。あとは、本編中の派手なレーザー演出が独特の空間を作り上げるのに効果的だったかな。観客のスマホの光やペンライト?も、ある意味では演出効果になっていたように感じます。
仰々しいオープニングに続いてステージに登場したメンバーは、代表曲のひとつ「Somewhere I Belong」からライブをスタート。とにかく観客が歌う、歌う。これはこの日どの曲でも感じたことだけど、日本で彼らの人気ってこんなに高かったのか……と再認識するいいきっかけになりました。エミリーの女性キーに合わせて、多くの過去曲ではキーが高くなっていて、時に違和感を覚えることもありましたが、そんなのも序盤だけ。そこにマイク・シノダのラップやボーカルが重なり、あのグルーヴィーで硬質なサウンドが響けばLINKIN PARKそのもの。そういう意味では、過去曲よりも最新作『FROM ZERO』からの楽曲で彼女の魅力がより活きたのではないでしょうか。
セットリスト的には新作を軸に……というよりは、キャリアを総括するようなグレイテストヒッツ的な側面が強かったかな。まあグレイテストヒッツというよりは、LINKIN PARKを再構築する上で必要なセットリストということなんでしょうけどね。そこにマイクのソロ曲「When They Come For Me」「Remember The Name」が含まれていたのも興味深く、これもチェスターがいない“今”だからこそなのかな。特に違和感なかったので、全然アリだと思います。
個人的なハイライトは、ライブ中盤に披露された「Lost」からの数曲かな。この曲はマイクのピアノ伴奏でエミリーが歌い始めるんだけど、途中からバンド演奏が加わってよりエモーショナルさが強まっていく。このアレンジはお見事でした。
エミリーは曲が進むにつれて喉が温まっていくタイプなのかな。それとも、単に歌いやすい曲が後半に固まっていただけなのかはわかりませんが、この「Lost」以降に彼女の魅力がより強く発揮されていた印象があります。そういう意味ではまだまだ未知数なボーカリストかもしれませんが、この日のステージを観た限りではこのバンドに合っていないとはまったく思えませんでしたし、ここからステージを重ねて作品を重ねていくことで“今”のLINKIN PARKへとシフトしていくのかなという気がしました。
そういう意味では、チェスターの不在を嘆いたりオールタイムベストな選曲を懐かしむという気持ちは皆無で、バンドとしての現在進行形をしっかり確認できたんじゃないかな。うん、スマホを忘れたことで写真撮ったり動画撮ったりして気持ちが途切れることなく、約2時間集中することができてよかった。せっかくだから来年あたり、フェスのヘッドライナーとしてもう1回くらい戻ってきてほしいですね。
セットリスト
01. Somewhere I Belong
02. Points Of Authority
03. New Divide
04. The Emptiness Machine
05. The Catalyst
06. Burn It Down
07. Over Each Other
08. Waiting For The End
09. Castle Of Glass
10. Two Faced
11. Joe Hahn Solo
12. When They Come For Me / Remember The Name [Mike Shinoda Solo]
13. Keys To The Kingdom
14. One Step Closer
15. Lost
16. Good Things Go
17. What I've Done
18. Overflow
19. Numb
20. In The End
21. Faint
アンコール
22. Papercut
23. Lying From You
24. Heavy Is The Crown
25. Bleed It Out