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2025年7月19日 (土)

BRING ME THE HORIZON『Lo-files』(2025)

2025年7月11日に配信リリースされたBRING ME THE HORIZONのリミックスアルバム。現時点でのフィジカルリリースの予定なし。

配信開始数日前にSNSを通じて突如リリースが告知された本作。内容的にはメロウ寄りにシフトし始めた4thアルバム『SEMPITERNAL』(2013年)から昨年の最新アルバム『POST HUMAN: NeX GEn』(2024年)までの収録楽曲を、ローファイシーンを代表する気鋭プロデューサーたちがリラックスムードと独特の浮遊感をまとうアレンジで再構築した楽曲で構成されています。

BMTHは過去にも、2ndアルバム『SUICIDE SEASON』(2008年)に付属する形で発表した『SUICIDE SEASON: CUT UP!』といったリミックス集を発表していたり、ここ10年くらいはシングルリリースのたびに同曲のリミックスバージョンを配信しています。また、リミックスとは異なるものの、それに近い実験的な作品集『Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO』(2019年)なんて異色作まで制作しており、この手のトラック制作(といっても、リミックスは他者の手に委ねられるわけですけど)にかなり積極的に取り組んできました。なので、今回のリミックスアルバムに関しても(突如配信とはいえ)大きな驚きはありませんでした。

レーベルサイトによると、オリヴァー・サイクス(Vo)は本作について「もともとは“普段聴き”用のもっとチルなアルバムを作ろうとしてたんだ。勉強中やぼーっとしたいときに流せるようなね。でも結果的に、当初思ってたよりもずっとカオティックな作品になっちゃってさ。だから今回は、もう一度“控えめ”なものに挑戦した。僕自身、仕事中や不安なときにLo-Fiをよく聴いてるから、このアルバムも誰かにとってそんな存在になれば嬉しいよ」とコメントを寄せていますが、まさにこの言葉どおりの内容と言えるでしょう。もともとミドルテンポの楽曲が多いバンドですがBPM的にも大きく変えることなく、原曲の雰囲気を踏襲しつつもオリヴァーのボーカルを排除&極力音数を減らすことでより聴きやすさやリラックス感を強めることに成功。歌メロに当たる部分はギターやシンセなどが補っており、いい意味で“聴き流せる”くらいのバランス感を作り上げている。これぞ“ながら聴き”に徹した作りと言えるでしょう。

参加しているリミキサー陣はCASIIO、NO SPIRIT、LOPHIILE、KANISAN、DIMENSION 32、MONDO LOOPS、DRXNK、HM SURFといった面々(以上、配信クレジットのまま)。個人的にこの手のアーティストには疎いのですが、各々がその人にしか出せない色をを全面に打ち出すというよりは、アルバム全体を通して近しいトーンで統一されており(もちろん、曲によってジャジーだったりクラシカルだったりなどの違いはありますが)、それもあってなのか約80分という長尺にも関わらず飽きずに楽しむことができました。もっとも、この心地よさや飽きがこない感覚って原曲のメロディラインがしっかりしているのも大きいのでしょうね(いや、それがいちばんの要因か)。

「ここが聴きどころ!」とか「ここが必殺ポイント!」みたいな特筆すべきポイントこそほぼ皆無ですが、BMTHという稀有な存在がいかにしてファンを拡大してきたか、軸にある楽曲/メロディがいかに素晴らしいか、その理由を再確認させてくれた“裏の教科書”みたいな1枚です。

 


▼BRING ME THE HORIZON『Lo-files』
(amazon:MP3

 

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