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2025年7月24日 (木)

MANIC STREET PREACHERS『CRITICAL THINKING』(2025)

2025年2月14日にリリースされたMANIC STREET PREACHERSの15thアルバム。

23年ぶりに全英1位を獲得した前作『THE ULTRA VIVID LAMENT』(2021年)から3年5ヶ月ぶりの新作。当初は1月31日に全世界同時リリースの予定でしたが、発売2週間前に2月7日へと変更になり、そこからさらに1週間延びる形となりようやく我々の手元に届けられたわけです。

2024年8月末にリードトラック(当初はアルバム発売に関しては未告知)「Decline & Fall」が突如配信され、「ここから数ヶ月後にアルバムか?」と世間(というか一部界隈)が騒ぎ始めたのと同時に、ここ日本では年明け1月早々に屋外洋楽フェス『rockin'on sonic』で約1年ぶりの来日をアナウンス。となると、アルバムもこの前後かなと想像に難しくなかったわけですが、その予想どおりの流れとなりました。

プロデュースを手がけたのは、1stアルバム『GENERATION TERRORISTS』(1992年)から長きにわたりコラボレーターとして名を連ねてきたデイヴ・エリンガと、8thアルバム『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)以降複数の作品で共作してきたロズ・ウィリアムスという気心知れた面々。ミックスはデイヴのほか、トム・ロード=アルジやシーザー・エドマンズといった名手のクレジットも確認できます。

本作には全12曲(日本盤ボーナストラックおよびデラックス盤収録曲を除く)が収録されていますが、そのうちニッキー・ワイヤー(B)がリードボーカルを執る楽曲が3曲、またジェイムズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)が作詞を手がける楽曲も3曲収録されており、これはマニックスの作品中過去最多となります。かつ、ニッキー歌唱曲「Hiding In Plain Sight」は本作からの2ndシングルとしてリカットされており、久しぶりに1位を獲得した前作を経てバンドが新たなフェーズに突入したことが伺えます。

事実、前作発表時点でバンドはメジャーデビューから30年という大きな節目を迎えており、もはや大御所と呼ぶに相応しい存在。このまま活動ペースを緩めつつ、持ち味を薄め続けながらバンドを継続していくこともできたはずですが、そこを選ばないのがマニックスという勤勉なバンド。従来の彼ららしい楽曲も豊富に用意されているのですが、それらをただストレートに表現するだけではなく、自身がこれまでに影響を受けてきたアーティストやジャンルからのオマージュを随所に散りばめることで、「レトロなんだけど、どこか新しい」というマニックスらしい新境地を見せてくれます。

オープニングを飾るタイトルトラックからして、80年代初頭のニューウェイヴや2000年代前半のディスコパンク的なテイストが感じられるし、ところどころに見え隠れするスペーシーさも12thアルバム『FUTUROLOGY』(2014年)との共通点もありつつ、そこともまた違う洗練された感が伝わる。いい曲であることは大前提ですが、その上であくなき探究心とともに実験に取り組む。枯れているようで実は前のめりという、近年の彼らの充実ぶりがダイレクトに表現された力作だと断言しておきます。

ニッキーはこのアルバム制作に際し、「これは弁証法が解決への道を見い出す、相反するものがぶつかり合うアルバムなんだ。曲ははつらつさや哀愁を帯びた高揚感があるけれど、歌詞の大半は自己の客観的な分析を取り上げているんだ。曲はエネルギーに満ち、時には陶酔感もある。レコーディングは散発的かつ隔離された状態で行ったこともあれば、バンドの生演奏でやったこともあった。これもまた、相反するものが意味をなしているんだ。これらの曲の核心にはクライシス(危機)がある。それらは懐疑や疑念の縮図だから、内面に引っ張られるのは必然的に思えるね。――自分自身から始めれば、他は後からついて来るかもしれない」引用元はこちら)といういかにも彼らしい鬱陶しい(笑)コメントを残しています。リスナーは変にこのコメントに惑わされることなく(笑)、自分の耳でしっかり確かめながら、この素敵な1枚を堪能してほしいところです。

 


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