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2025年8月 6日 (水)

DEAFHEAVEN『LONELY PEOPLE WITH POWER』(2025)

2025年3月28日にリリースされたDEAFHEAVENの6thアルバム。日本盤未発売。

前作『INFINITE GRANITE』(2021年)から約3年半ぶりのスタジオアルバムにして、Roadrunner Records移籍第1弾作品。結局、Sargent House Recordsからはスタジオライブアルバム『10 YEARS GONE』(2020年)と先の『INFINITE GRANITE』の2枚のみにとどまり、メタル/ラウドミュージックの老舗レーベルへと籍を移すこととなりました。昨年7月の来日公演で、ジョージ・クラーク(Vo)は「年内のうちに新作の準備に取り掛かる」と発言していましたが、まさかこんなに早く届けられるとは。嬉しい誤算です。

プロデュースを手がけたのは前作から引き続きのジャスティン・メンダル-ジョンセン(PARAMOREJIMMY EAT WORLDなどのプロデュース、ベックNINE INCH NAILSのサポートなど)。ミックスをザック・ウィークス(THE ARMEDGATECREEPERCONVERGE & CHELSEA WOLFEなど)が担当したほか、ゲストアーティストとして「Incidental II」がBOY HARSHERのジェイ・マシューズ(Vo)、「Incidental III」にINTERPOLのポール・バンクス(Spoken Word)が参加しています。

先に触れた来日公演が前作『INFINITE GRANITE』を軸にしたものではなく、キャリアを総括するようなグレイテストヒッツ的内容で、初期のブラックゲイズ調楽曲も多数演奏されていたこともあり、もしかしたら新作は原点回帰するのでは?と密かに期待していたのですが、その予想は見事に的中。かつ、単なる原点回帰ではなく過去数作でトライしたシューゲイザー/ドリームポップやオルタナティヴロック的側面も見事に昇華させ、従来の持ち味をより研ぎ澄ました色彩豊かな作品集に仕上がっています。

初期〜中期のようにう10分超えの楽曲こそありませんが、全12曲中6分を超える楽曲は4曲、うち2曲は7〜8分台と比較的長尺。アルバムの序章となる1分に満たない「Incidental I」を経てスタートする「Doberman」のアグレッションたるや……そこからリードトラック「Magnolia」を筆頭とした緩急に富んだ楽曲の数々に、ひたすら心を振るわせ続けることになるはずです。インタールード的な「Incidental II」「Incidental III」も良い味を出しており、特にチル的な「Incidental II」からブラックメタル色濃厚な「Revelator」への流れは鳥肌モノ。特にこの曲は後半に用意された意外なアレンジにもハッとさせられますし、この原点回帰的アプローチが単なる過去の焼き直しではないことは明白です。

「Incidental III」から「Winona」へと続く、終盤に見せるまばゆい輝きも『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(2018年)や『INFINITE GRANITE』という実験的作品を通過した今の彼らだからこそ成せる技。ここからラストトラック「The Marvelous Orange Tree」へつないでいく流れは非常にドラマチックかつ幻想的で、単に激しいだけではなくこういう色も持ち合わせているからこそ彼らのことが大好きなんだなと、再認識させられました。

すでに上げている「2025年上半期総括」でもベストアルバムのひとつとして選出している本作は、ジャンルの枠を越えて広く愛されてほしいと願う傑作です。

 


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