「#プリンス三昧」プリンス全スタジオアルバム解説③(1991〜1995年)
このエントリーは今年1月から6月にかけて筆者のインスタアカウントで不定期連載してきた、ハッシュタグ「#プリンス三昧」付きのプリンス全スタジオアルバム(一部関連作品やコンピ盤、リミックス盤なども含む)55回分の投稿を、時系列(リリース年月)順に再構成してまとめたものです。第1回はこちら、第2回はこちらからご覧ください。
第3回はレーベルとの関係がこじれた最初の過渡期である1991年〜1995年に発表した10作品についてです。
PRINCE & THE NEW POWER GENERATION『DIAMONDS AND PEARLS』(1991)
1991年10月1日リリースの13thアルバム。前作の一部でお披露目されていたTHE NEW POWER GENERATIONを携えての1作目。
過去2作での過渡期を経て新時代に突入した感の強い、ポップで開放的な楽曲多数。それもあってか本作からは生前最後のシングル1位を獲得した「Cream」を筆頭に「Diamonds And Perls」(3位)、「Gett Off」(21位)、「Money Don't Matter 2 Night」(23位)、「Insatiable」(77位)と久しぶりにヒット曲を量産。アルバム自体も最高3位、200万枚以上を売り上げる、新たなディケイドの幕開けに相応しい1枚となりました。
刺激は少ないかもしれないけど気づくと手を伸ばしている良盤。『PURPLE RAIN』同様の入門編的作品かな。
▼PRINCE & THE NEW POWER GENERATION『DIAMONDS AND PEARLS』
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PRINCE & THE NEW POWER GENERATION『LOVE SYMBOL』(1992)
1992年10月13日リリースの14thアルバム。正式タイトルはジャケットにデカデカと掲載されている記号なので表記できず。一般的には「LOVE SYMBOL」などと呼ばれており、日本盤も『ラヴ・シンボル』と銘打って発売されました。
THE NEW POWER GENERATIONを携えての2作目となりますが、前作と比べたら大衆性は薄いのですが、だがそこがいい。だってオープニングからある種のジャイアニズム炸裂の「My Name Is Prince」(36位)、2曲目が「Sex MF」(66位。MFはもちろんMother Fxxkerのこと)ですからね(笑)。嫌いになる要素がまったくない。大衆性が薄いものの、しっかりと「7」(7位)というポピュラリティの高いヒット曲もしっかり用意されている。全体的にノリで気持ちよく楽しめる1枚ではないでしょうか。
しかし、これ以降再び模索の時期に入るんですよね。1年に新作1枚ペースはひとまずここまで。
▼PRINCE & THE NEW POWER GENERATION『LOVE SYMBOL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
THE NEW POWER GENERATION『GOLD NIGGA』(1993)
1993年8月31日リリースの、THE NEW POWER GENERATION名義の1stアルバム。当時、ライブ会場などで限定販売されたレアな作品。
この年、プリンスはデビューから所属してきたワーナーとの関係を終え、6月には「シンボルマーク(The Artist Formerly Known as Prince)」を新たな名前として掲げます。『LOVE SYMBOL』と前後して制作されたものの、リリースは1年後。ということは、タイミング的にプリンスという名前を一時的に捨てていた頃。PRINCE & THE NEW POWER GENERATION名義ではないので、本作では殿下の名前はクレジットされていませんが、楽曲はほぼ殿下が手がけたものでギターやコーラスなどのレコーディングにも参加しています。
空気感的には先の『LOVE SYMBOL』やその前作『DIAMONDS AND PEARLS』の延長線上にあるジャズファンク/ヒップホップサウンドなので、殿下ファンはもちろんこの頃の彼の作品が好きな方なら安心して楽しめる内容。ただ、殿下のあの声あってこそと感じる方には物足りなさもあるかも。THE TIMEなどファミリー作品として触れるのが一番かな。
ちなみに本作はサブスク配信なし。CD自体も廃盤状態で、殿下の関連作品ではもっとも入手困難な1枚と言われています。
▼THE NEW POWER GENERATION『GOLD NIGGA』
(amazon:海外盤CD)
PRINCE『THE HITS / THE B-SIDES』(1993)
1993年9月14日にリリースされた、プリンス初のベストアルバム。
その一方で、ワーナー側は契約消化の意味も兼ねて1978年から1992年までのプリンスのキャリアを総括する、『THE HITS 1』『THE HITS 2』と題した2枚のベスト盤を制作。それぞれにヒット曲を振り分けつつ、各アルバムに未発表曲/テイクを2曲ずつ収録。また、その2枚をまとめた『THE HITS / THE B-SIDES』はシングルでしか聴けなかったアルバム未収録曲をまとめ、さらに未発表を2曲を追加したボーナスディスク付きCD3枚組仕様。要は3枚組を買えってことですねわかります(笑)。プリンス本人が望んでないベストであることは当時から理解できていたけど、やはりB面集欲しさに買っちゃいますよね。
本作の目玉はようやく世に出た本人歌唱の「Nothing Compares 2 U」(ライブバージョンだけど)。これだけで十分です。シングル曲は「Kiss」のシングルバージョン(フェードアウトするやつ)が初収録なのが嬉しいくらいで、あとは無駄に短縮されたエディットにイライラするので無理して聴かなくてもいいかな。部屋で流しっぱなしにする分にはちょうどいいアルバムですが。
▼PRINCE『THE HITS / THE B-SIDES』
(amazon:国内盤3CD / 海外盤3CD / MP3)
PRINCE『THE BEAUTIFUL EXPERIENCE』(1994)
1994年5月17日にリリースされたEP。番外編的な1枚。サブスク未配信。
ワーナーと揉めまくってるタイミングの1994年は、真の意味での過渡期。プリンス名義ではなくあの変な記号(笑)名義で自身のレーベルから発表されたこのEPは、当時のヒット曲「The Most Beautiful Girl In The World」(3位)をネタにいろんなバージョンを作って1枚にまとめたもの。サビの名フレーズだけは共通しているものの、どれもらしいアレンジが施された似て非なるものに仕上がっていて、かつシームレスな構成なのでちょっとしたコンセプトアルバムのようにも聞こえる。なので最後にオリジナルバージョン(シングルと同テイク)がくると、なぜかホッとするという。全7トラックで33分というトータルランニングもちょうどいい。
日本盤は当時(確か)エイベックスから出ていて、さらに2曲追加されて44分くらいの尺なので、もはやフルアルバム並み。ただ、追加されたテイクは蛇足気味の内容かな。
そもそもこの曲、盗作疑惑でしばらくデジタル配信されてなかったんですよね(現在は解決済み)。それもあって本作は現在も復刻企画やサブスク配信をスルーされてるのかな。まあそこまで重要な1枚ではないという判断もあったんだろうけどね。
▼PRINCE『THE BEAUTIFUL EXPERIENCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ)
1994年8月12日にリリースされたコンピレーションアルバム。サブスク未配信。
殿下がシンボルマークへ改名した際に立ち上げたNPG Recordsのカタログ的コンピ。当時は日本盤もリリースされました(海外盤にリミックス数曲追加した仕様)。プリンス名義の楽曲は当然ながら未収録で、ジョージ・クリントンやマイテ、メイヴィス・ステイプルズのほか、殿下が携わるTHE NEW POWER GENERATIONやMADHOUSEの楽曲、さらにはMINNEAPOLISという謎のユニットの新曲も収録。実はこのMINNEAPOLIS、殿下や彼と関わりの深いメンバーたちによる覆面ユニットだったりします。
あと、「Love Sign」はノーナ・ゲイと殿下のデュエットソングですし、それ以外にも多くの楽曲を殿下が執筆しているので、90年代半ばの殿下(とその仲間たち)の空気に触れるという意味では副読本として役立つかも。必聴盤とは言い難いものの、全オリジナルアルバムを網羅し、なおも殿下を掘り起こしたいという方にはオススメしてもいいのかな。なお、例によって本作も国内サブスク未配信。海外でもTidalでしか確認できないですが、CD自体は中古盤屋をこまめに回れば意外と簡単に(かつ安価で)見つけられるはずです。
▼V.A.『1-800-NEW-FUNK』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD)
1994年8月16日にリリースされた15thアルバム。
オリジナルアルバムとしては『LOVE SYMBOL』から2年振りですが、プリンス名義で発表された本作はジャケットにある「1958 / 1993」の表記が示すように、ある種の遺作(契約消化のための1枚)。実際、内容はかなりダーク&エロティシズム全開で、当時は「あれっ?」と思った記憶が。ただ、今聴くと11分超のオープニングトラック「Come」からしてシビれる展開。殿下がリアルタイムでやりたい・表現したいものとは乖離していたのかもしれないけど、時間が経過して何周もしたことで不思議とジャストで響いているような気が。今回の全作振り返りで一番の収穫でした。
▼PRINCE『COME』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
PRINCE『THE BLACK ALBUM』(1987 / 1994)
1994年11月22日にリリースされた16thアルバム。サブスク未配信。
1987年末発売予定だった幻の1枚が、『COME』の3ヶ月後にようやくリリースに。とはいえ、これも先のワーナーとの契約消化によって正式リリースが実現したのかなと。実際、当初の発売スケジュールから7年も経っていたため、1994年当時すでに若干の古臭さもあったし、散々騒がれたもののそこまで名盤か?という疑問もあったなあ。そういう意味では、あえて限定リリースにしたのは納得かも。
とはいえ、昨今の再発ムーブの中に本作が含まれていないのは如何なものかと。早くサブスクでも聴けるようにして、西新宿を回って海賊盤を探した90年代初頭の記憶を決していただきたい(笑)。
▼PRINCE『THE BLACK ALBUM』
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THE NEW POWER GENERATION『EXODUS』(1995)
1995年3月27日にリリースされた、THE NEW POWER GENERATION名義での2ndアルバム。サブスク未配信。
全21トラックと一見ボリューミーながらも、歌モノは10曲(残りはインタールード)。発売は半年近く早いものの、制作は『THE GOLD EXPERIENCE』と並行して実施されており、それもあってか音的にはオーソドックスなファンクやソウルが中心。殿下の名前は再びクレジットされていないものの、全曲のソングライティングとベース(さらに一部楽曲の加工ボーカル)で参加しています。当たり前だけど、どれも殿下が歌っても成立する曲ばかりで、前作ほどの弾けっぷりは感じられないこともあり、聴きやすさは前作以上。ということもあり、前作が気に入った方には少々物足りないかも。
前作同様、今作も一般流通しなかったので現在は入手も非常に困難。そろそろここへんのワークスも配信解禁してほしいんだけどねえ。
▼THE NEW POWER GENERATION『EXODUS』
(amazon:海外盤CD)
PRINCE『THE GOLD EXPERIENCE』(1995)
1995年9月26日にリリースされた17thアルバム。
本人が望んだ純粋なオリジナルアルバムとしては『LOVE SYMBOL』l以来3年振りか。ということもあって、かなりバランスに優れた内容でキャッチーな良曲満載。ダーク期をようやく抜けた印象もあるんだけど、まだ前レーベルからの流通とあってか全力全開にまでは至ってないかな。
前年のヒット曲「The Most Beautiful Girl In The World」(3位)が正式にアルバム収録されたほか、「Eye Hate U」(12位)や「Gold」(88位)といったヒットシングルも含まれており、比較的聴きやすい内容にも関わらず大きなヒットに繋がらなかったのは、一連の揉め事も影響したか。ただ、日本では「Endorphinmachine」が某格闘技中継で使用されたこともあって。それなりに売れた記憶が。
▼PRINCE『THE GOLD EXPERIENCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
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