カテゴリー「Accept」の9件の記事

2021年2月 1日 (月)

ACCEPT『TOO MEAN TO DIE』(2021)

本来1月は連続更新をストップしようと考えていたんですが、急に思い立って70年代前半から1991年まで、毎日1枚ずつその年にリリースされた作品から個人的に思い出に残るものをピックアップして紹介する形で、なんとかモチベーションをつなぐことができました。できることなら新譜中心に紹介していきたいという気持ちも強いんですが、たまにはこういう息抜きもいいな。気が向いたら1992〜2001年、2002年〜2011年みたいに10年区切りでまたやってみたいと思います。

さて、というわけで2月に入ったので新譜を中心にまた紹介していこうかなと。2021年最初の新譜紹介は、今年1月29日にリリースされたばかりのACCEPTのニューアルバムです。

前作『THE RISE OF CHAOS』(2017年)から約3年半ぶりの通算16作目、再々結成後5枚目のスタジオアルバム。前作のツアー後にオリジナルメンバーのひとり、ピーター・バルデス(B)が脱退するという一大事が発生しましたが、残された唯一のオリメンであるウルフ・ホフマン(G)は歩みを止めることなく、新たなベーシストとしてマルティン・モイックを迎えるのみならず、“3人目のギタリスト”としてフィリップ・ショウズを加えたトリプルギター/6人編成で新作制作へと臨みます。

『BLOOD OF THE NATIONS』(2010年)以降の4作品を手がけてきたアンディ・スニープ(ARCH ENEMYKILLSWITCH ENGAGEOPETHなど。最近ではJUDAS PRIESTの2ndギタリストとしてもツアーに参加)がプロデュースを手がける本作は、安心・安定の“ACCEPTらしいヘヴィメタル”を楽しめます。もはやウド・ダークシュナイダー(Vo)の影もちらつくことなく、“らしさ”が強く伝わるマーク・トーニロのボーカルも絶好調だし、前作から加わったクリストファー・ウィリアムズ(Dr)のドラミングも派手でパワフル。ギターが3人編成になった効果はレコーディング音源からはほぼ伝わりませんが、おそらく今後のツアーでその効果を発揮することになるはずなので、今回の評価からは割愛します。

冒頭2曲に圧倒的なファストチューン「Zombie Apocalypse」「Too Mean To Die」を並べることで掴みはバッチリ。その次に従来のACCEPTらしさが強調された「Overnight Sensation」……もうこの3曲だけで、本作が紛れもなく良作であることに気づくはずです。その後もドラマチックなギターフレーズが印象的な「No Ones Master」やACCEPTならではのシンガロングをフィーチャーしたヘヴィチューン「The Undertaker」、ノリの良い「Sucks To Be You」、ライブで聴いたらギター3人の効果がより際立つはずの「Symphony Of Pain」など、緩急に富んだ構成で飽きさせません。

かと思えば、終盤には哀愁漂うバラード「The Best Is Yet To Come」、グルーヴィーなシャッフルビートが心地よい「How Do We Sleep」といった変化球が登場。場の空気がピリッとしたあとに、王道のファストチューン「Not My Problem」、エキゾチックなギターフレーズとクラシックの名曲からの引用にACCEPTの真髄が透けて見えてくるインスト「Samson And Delilah」で締めくくり。全11曲で50分強というボリュームもちょうど良い、2021年の幕開けにふさわしい傑作と言えるのではないでしょうか。

コロナの影響もあってか、リリース日が当初の1月15日から2週間後ろ倒しとなり、話題性的には同日発売のMSGなどに押され気味かもしれません。しかし、そのMSGの新作にも負けず劣らずの「メタルファン必聴の1枚」だと断言したくなる、そんな本作。ここ最近の「最近作こそベスト」を更新し続けるACCEPTの男気、大音量で満喫してください。

 


▼ACCEPT『TOO MEAN TO DIE』
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2020年9月 6日 (日)

U.D.O. & Das Musikkorps der Bundeswehr『WE ARE ONE』(2020)

2020年7月17日にリリースされたU.D.O.の17thアルバム(でいいのかな?)。日本盤は同年7月22日に発売されています。

前作『STEELFACTORY』(2018年)からほぼ2年ぶりに発表された本作は、通常のオリジナルアルバムとは趣向の異なる内容。アルバム全編にわたりドイツ連邦軍軍楽隊(Das Musikkorps der Bundeswehr)とのコラボレーションが展開されており、曲作りとアレンジをバンドと軍楽隊のクリストフ・シャイブリング中佐が担当し、さらにACCEPT時代の盟友ピーター・バルテスと、ACCEPTのみならずU.D.O.でも活動をともにしたステファン・カウフマン、ドイツ軍の作曲家たちも作曲に参加した、企画色が強く豪華な作りなのです。

ミディアムテンポ中心の曲作りは従来のU.D.O.らしいものですが、そこに軍楽隊の演奏が加わることで、楽曲の持つドラマチックさがより強調され、さらにへヴィメタルの重厚感と管楽器やストリングスなどの生楽器の繊細さの融合から生まれる躍動感に胸を打たれる。オーケストラとメタルの融合というと、最近ではMETALLICA『S&M2』(2020年)が思い出されますが、それとも違ったテイスト……オーケストラ曲としても成立する構造を持つ楽曲の数々に、新たな可能性を感じずにはいられません。

そのドラマチックさを強調するために、またU.D.O.らしい(いや、ある意味ACCEPTらしい?)シンガロングのパートにはバンドメンバーのみならず女性コーラスまで加えられている。さらには、「Blindfold (The Last Defender)」のように女性ボーカルがリードを取ることもあるし、「Neon Diamond」みたいにウド・ダークシュナイダー(Vo)とデュエットすることもある。こういう柔軟さ、繊細さが加わることで、ただ男臭さ一辺倒だった従来のスタイルに幅を持たせることにも成功しています。

楽曲の内容的には気候変動や環境汚染、さらには難民問題など近年のドイツ、さらには世界各国で直面している社会問題を扱ったものばかり。中には東西ドイツ統一から30年を祝う「Rebel Town」のような楽曲も用意されており、そういった面からもこのコラボレーションが意味することが伝わるし、さらに「伝えたいこと」をわかりやすい形、伝わりやすい形にすることでより幅広い層に届けようという強い意思も感じられます。

全15曲で約75分という、アナログ盤だったら2枚組確実の大作ですが、2組のコラボレーションからこれだけたくさんのメッセージ/曲が生まれたという点においては素晴らしさを感じずにはいられません。すべてが歌モノではなく、「Blackout」のようなドラマチックなインストナンバーも用意されているので、意外と最後まで楽しみながら聴けてしまうのではないでしょうか。1日に何度もリピートするような気軽さを持った作風ではありませんが、じっくり腰を据えて向き合いたい力作であり、ウド・ダークシュナイダーのACCEPT〜U.D.O.の集大成とだと力説したいと思います。

 


▼U.D.O. & Das Musikkorps der Bundeswehr『WE ARE ONE』
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2020年9月 5日 (土)

ACCEPT『RESTLESS AND WILD』(1982)

1982年10月にリリースされたACCEPTの4thアルバム。本国ドイツやヨーロッパ諸国での発売から遅れて1983年には、アメリカや日本でも発売されています。

前作『BREAKER』(1981年)で“突き抜ける”一歩手前まで到達したACCEPTが、本作によりついに“突破”。ワールドワイドな人気を獲得する足がかりとなる成功を収めることになります。実際、本作はイギリスで初のTOP100入り(最高98位)、スウェーデンで最高7位という数字を残し、本国より先に小ブレイクを果たすわけです。

まあ、その理由もアルバムを聴けばよくわかりますよね。オープニングの「Fast As A Shark」のカッコよさといったら、何ものにも変えがたいものがありますし。冒頭、いきなり牧歌的なドイツ民謡が始まり「あれ、レコード(もしくはCD)間違えた?」と思わせておいて、レコードを止めるスクラッチ音とウド・ダークシュナイダー(Vo)の金属的なシャウト、スピード感のあるメタルサウンドへとなだれ込む。最高のオープニングじゃないですか。曲自体も最高のシンガロングパート(サビ)があり、ギターソロもツインリード含め非常にわかりやすいフレーズ満載。これにハマれなかったら、あなたにはへヴィメタルは向いていません!と断言できるくらい、王道中の王道。リリースから38年(!)経った今聴いても、その魅力はまったく色褪せていません。

続くタイトルトラック「Restless And Wild」の重量感と男臭さといい、「Neon Nights」の男泣き感、「Flash Rockin' Man」のロックンロールテイスト、エンディングでのロシア民謡を彷彿とさせるシンガロングが魅力の「Princess Of The Dawn」における最後のブツ切り(ここは賛否分かれますが、「Fast As A Shark」でのオープニングを考えれば、まあ納得の構成かな。でも、できればスタジオ版フルバージョンも聴いてみたい!)。すべてが名曲とは言い難いものの、全体を通して聴いたときに平均点以上の仕上がりと感じられる内容ではないでしょうか。

そういう意味では、ワールドワイドなメジャーバンドへと駆け上がる前に見せる、最後のB級感満載の1枚と受け取ることもできるかな。もちろんこれは良い意味でのB級感ですが。彼らはここから、続く『BALLS TO THE WALL』(1983年)で初の本国TOP100入り(最高59位)を果たしただけでなく、全米74位(ゴールドディスク獲得)という成功を収めることになります。

僕が本作に初めて触れたのは、アナログからCDに移行した1990年。すでにバンドが解散してからでした。『METAL HEART』(1985年)以降はリアルタイムで聴いていたものの、なかなか手が伸びずにいた本作、もっと早くに聴いておけばよかったと何度思ったことか(田舎のレンタル店にレコードもCDも置いてなかったから仕方ないんだけど)。今はこうやってストリーミングで手軽に楽しめるなんて、本当にいい時代になりましたね(遠い目)。

 


▼ACCEPT『RESTLESS AND WILD』
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2020年5月 3日 (日)

ACCEPT『BLOOD OF THE NATIONS』(2010)

2010年8月下旬にリリースされたACCEPTの12thアルバム。日本盤は同年9月初頭に発売されました。

二度目の解散を迎える直前に発表された前作『PREDATOR』(1996年)から14年7ヶ月ぶり、2005年のウド・ダークシュナイダー(Vo)を含む黄金期ラインナップによる期間限定復活を経て、新たにアメリカン人シンガーのマーク・トーニロ(ex. T.T. QUICK)を迎えた新編成による二度目の正式再結成後最初のオリジナルアルバム。本国ドイツでは7thアルバム『RUSSIAN ROULETTE』(1986年)以来となるTOP10入り(最高4位)、アメリカでも8thアルバム『EAT THE HEAT』(1989年)以来のチャートイン(最高187位)を果たす、最高のカムバック作となりました。

レコーディング時のメンバーはマークのほかウルフ・ホフマン(G)、ハーマン・フランク(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・シュヴァルツマン(Dr)という、マーク以外は2005年復活時の面々。楽曲・サウンド的には80年代の黄金期幕開けを飾る4thアルバム『RESTLESS AND WILD』(1982年)から先の『RUSSIAN ROULETTE』までのACCEPTをなぞった、誰もが納得する「そうそう、これ!」感の強い良曲がずらりと並びます。基本的にはミドルテンポ中心ですが、適度にアップチューンも用意され、70分前後におよぶ長尺ながらも最後まで飽きずに楽しむことができる仕上がりです。

気になるマークの歌声ですが、パッと聴いた感じではウドの雰囲気を持った声質で、『EAT THE HEAT』におけるデヴィッド・リース(Vo)のときみたいな違和感はほぼないかと思います。事実、リードトラック「Teutonic Terror」のMVで初めてマークのボーカルパフォーマンスを耳にしたとき、「モノマネかよ!」と驚きを通り越して苦笑したくらいですから。

もちろん、全編において完全なるモノマネで通すことなく、例えばメロウな要素や歌い上げるようなメロディを持つ楽曲では、哀愁味漂う男臭い歌声を聴かせてくれます。特に「Kill The Pain」みたいなスローバラードでは、ウルフのギターソロ同様に“泣き”まくっており、個人的には好印象。と同時に、しっかり聴き込めば彼のボーカルは歌唱スタイルこそウドのそれに通ずるものがあるものの、金属的だったウドの声とは異なるねっとり感と湿り気を持った別モノであることにも気づかされるはずです。どっちが優れているとかどっちが良いとかそういう問題ではないですが、僕自身は非常に好みの声であることには間違いありません。

タイトルトラック「Blood Of The Nation」や先の「Kill The Pain」はもちろん、「Rollin' Thunder」や「Pandemic」などキラーチューン満載の本作は、9thアルバム『OBJECTION OVERRULED』(1993年)で果たせなかった第二の黄金期確立を見事に達成させた代表作のひとつと言えるでしょう。

それにしても、同郷の先輩SCOPRIONSが解散を決意したタイミングに、もうひとつのジャーマンメタルの雄が輝かしい復活を遂げた2010年は、振り返ってみると大きな節目の1年だったんですね。

 


▼ACCEPT『BLOOD OF THE NATIONS』
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2018年12月 4日 (火)

ACCEPT『SYMPHONIC TERROR - LIVE AT WACKEN 2017』(2018)

ACCEPTからピーター・バルデス(B)脱退、という衝撃的なニュースが届いたのが数日前。正直、ウルフ・ホフマン(G)とピーターはバンド創世記からACCEPTに関わってきたメンバーだけに、この2人さえいればACCEPTは安泰……そう信じてきただけに、本当に驚きました。

今回紹介するライブ作品は、そのピーター在籍時最後のアイテムとなります。2017年8月3日、ドイツ最大級のメタルフェス『WACKEN OPEN AIR』の初日公演でACCEPTが披露した、オーケストラとの共演ステージが2時間まるまる収められた2枚組CDと、同CDに映像版のBlu-ray or DVDを同梱したパッケージ作品です。

当日は3部構成のライブとなっており、第1部の5曲がACCEPTのみでのライブパフォーマンス。当日はまだリリース前だったニューアルバム『THE RISE OF CHAOS』(2017年)からの楽曲がいち早く披露されており、セットリスト的にも「Restless And Wild」以外はマーク・トニーロ(Vo)加入後の楽曲のみという、現地での人気ぶりを示す内容です。正直、「Restless And Wild」よりもカッコいいと思える楽曲ばかりが並ぶし、前任のウド・ダークシュナイダーそっくりと言われてきたマークのボーカルも、もはや比較云々が気にならないくらい“そこにあるのが当たり前”になっているし。うん、すごく良いと思います。

第2部はウルフが2016年にリリースしたソロアルバム『HEADBANGERS SYMPHONY』からの楽曲を中心とした、全6曲のクラシックカバー。ここからオーケストラが加わり、ムソルグスキー「禿山の一夜」、ベートーヴェン「スケルツォ」「悲愴」、モーツァルト「交響曲第40番」などといった誰もが一度は耳にしたことのあるクラシックの名曲が、ACCEPTの演奏+オーケストラという極上の編成でメタリックに演奏されていきます。正直、この手のインストって個人的には退屈に感じることが多いのですが、これは素直に楽しめました。それもこれも、ACCEPTというバンド自体が80年代からクラシックの名フレーズを自身の楽曲に取り込んできたことも大きいのでしょう。

そして、第3部がACCEPT with Orchestraということで、ACCEPT新旧の名曲群がオーケストラを加えたダイナミックなアレンジで披露されていきます。ここでも「Princess Of The Dawn」「Breaker」「Fast As A Shark」などといった80年代の代表曲に加え、「Stalingrad」「Dying Breed」などマーク加入後の楽曲も織り交ぜられたオールタイムベスト選曲で、再々始動後のACCEPTの楽曲がドイツのメタルファンの間にしっかり根付いていることを実感させられました。

やはり圧巻なのは、クライマックスの「Fast As A Shark」から「Metal Heart」へと続く流れと大ラスの「Balls To The Wall」、そしてその間に挟まれたマーク加入後の「Teutonic Terror」という4曲でしょう。正直、トラックリストを見たときは「Teutonic Terror」だけ浮いてる?と思ったけど、通して聴いたらそんな違和感なんて皆無。観客の盛り上がりもそのほかの楽曲と変わらないし、偏見を持ってるのって実は日本人くらいなんじゃないか……そんな気すらしてきました。

本当は映像とともに大音量で楽しみたい作品ですが、ライブアルバムとしてもメタル史に残したい名演集だと思うので、こういう形で取り上げることにしました。いや、まずはストリーミングで音源を堪能して、そこから映像に手を出してみてはどうでしょう。必然的にCDも付いてきますし、メタルファン一家に1セットあっても不思議じゃない力作です。



▼ACCEPT『SYMPHONIC TERROR - LIVE AT WACKEN 2017』
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2017年8月11日 (金)

ACCEPT『THE RISE OF CHAOS』(2017)

ACCEPT通算15枚目、再々結成後4枚目のスタジオアルバム。

現在のマーク・トーニロ(Vo)を含む編成としては、2010年の『BLOOD ON THE NATIONS』以降、2年おきに新作を発表していましたが、前作『BLIND RAGE』(2014年)発表後に再々結成後から不動だった布陣からハーマン・フランク(G)とステファン・シュヴァルツマン(Dr)が脱退(2人はそのまま、DESTRUCTIONのシュミーアと結成したPANZERの活動に専念するも、ハーマンはのちにPANZERも脱退)。新たにウヴェ・ルイス(G)とクリストファー・ウィリアムズ(Dr)を迎えツアーを続けます。

本作はマーク、ウヴェ、クリストファー、そしてオリジナルメンバーのウルフ・ホフマン(G)、ピーター・バルテス(B)の新編成で、過去3作同様にアンディ・スニープをプロデューサーに迎え制作。前作発表後のツアーを現編成で続けたことも幸いし、バンドのとしての一体感も非常に良い状態でレコーディングに臨めたのではないでしょうか。

サウンドは、どこをどう切り取ってもACCEPT以外の何者でもない、男臭いど直球のパワーメタル。トニーのボーカルは当初から前任のウド・ダークシュナイダーのそれに瓜二つだったので、古くからのファンが聴いても違和感なく楽しめるはずです。

楽曲もすべて4〜5分台でコンパクトにまとめられており、疾走感のある楽曲とミディアムテンポのヘヴィかつキャッチーな楽曲をバランス良く配置。おどろおどろしいイントロのファストチューン「Die By The Sword」や親しみやすいメロディを持つミドルナンバー「Koolaid」、ツーバス連打のパワーメタル「No Regrets」、自身を皮肉ったタイトルと王道のACCEPTサウンドの相性抜群の「Analog Man」、ドラマチックな作風の「What's Done Is Done」「Worlds Colliding」など、印象的な楽曲がずらりと並びます。

最初に聴いたときは「あれ、ちょっと一番地味かな?」と思ってしまいましたが、聴き返すと実はそんなことまったくなく、上記の楽曲以外にも良曲が豊富な内容であることに気づかされ、実は前作『BLIND RAGE』以上の良作だと実感させられました。さすがの一言。

確かに派手さは皆無ですが、老舗が守り続ける伝統の味がここには存在する。いろんな味を楽しみまくっている間に、ホンモノの味を一瞬忘れそうになりましたが、これこそ王道のヘヴィメタルそのもの。続けて楽しみたい1枚です。本作発表から約1ヶ月後の9月には、もう来日公演でこれらの曲をナマで楽しめるのだから、ぜひとも本作を聴いて会場に足を運びたいところですね。



▼UFO『WALK ON WATER』
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2016年8月26日 (金)

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

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2015年5月 9日 (土)

ACCEPT『OBJECTION OVERRULED』(1993)

昨年リリースされた通算14枚目のオリジナルアルバム『BLIND RAGE』が本国ドイツで初のチャート1位を獲得するという快挙を成し遂げたACCEPT。残念ながらPANZERを結成したハーマン・フランク(G)とステファン・シュヴァルツマン(Dr)が脱退してしまうというアクシデントがあり、成功を掴んだ3度目の再結成に不穏な空気が……と思っていたら、先月末にようやく新メンバーが発表され、今後も変わらず活動を続けていくことが明かされたばかり。バンドに2度目の黄金期をもたらした布陣の終焉は悲しいものがありますが、きっとACCEPTは今後もそのスタイルを崩すことなく、男らしい正統派ヘヴィメタルを聴かせてくれることでしょう。

……と書いてみたものの、今日の主役は3代目ボーカル、マーク・トーニロ加入後の作品ではなく、現在のACCEPTへとつながるきっかけを作った最初の再結成の際に制作された9thアルバム『OBJECTION OVERRULED』についてです。

1993年初頭に再びウド・ダークシュナイダー(Vo)を含む布陣で制作された本作。デイヴィッド・リースを迎えた8thアルバム『EAT THE HEAT』(1989年)には発売当時「こんなのACCEPTじゃない!」とがっかりしたファンも多かったようですが(僕もその1人)、今聴くとそこまで悪くないと思えるのは自分だけでしょうか。それよりも再結成後の……いやなんでもないです。

1993年というと海外ではすでにNIRVANAPEARL JAMといったグランジ勢、PANTERAをはじめとするヘヴィ/ラウド勢の台頭により正統派ヘヴィメタル / ハードロックバンドは瀕死の状態に陥ってた時期。そんな状況下でこういったストレートなメタルアルバムを制作した心意気は、今思うと素晴らしいものだと思うし(次作以降の変化はこの際無視する)、発売から22年経った今聴いてもちゃんと「聴ける」1枚なんですよね(上から目線でごめんなさい)。

先日CDショップを覗いた際、リマスタリングされ海外で再発売されていることを知りました。再発モノでおなじみ「Cherry Red Records」内のメタル専門レーベル「HNE Recordings」からのリリースですが(※参照)、日本盤に入っていた「Rich & Famous」など追加要素は一切なし。同レーベルから再発されている他の作品と比較すると内容としては弱いですが、自宅でダンボールの片隅に眠っている当時のアルバムを引っ張りだすのも面倒だし、それに昨年新作を聴いて「このへんのアルバムも久しぶりに聴いてみたいな」と思ってたところだったので、思わず手を出してしまったわけです。

いやあ、改めて聴くと発売当時の感情がよみがえってきますね……やっぱりオープニングのタイトルトラックの疾走感。ここでガッツポーズを取ったファンは多かったはずだし、まんまなタイトルに苦笑いを通り越して感動すら覚えるヘヴィナンバー「Slaves To Metal」、アルバム中盤に位置するアンセム感の強い「All Or Nothing」、泣きのバラード「Amamos La Vida」から流れるように続くファストナンバー「Sick, Dirty And Mean」、同じく泣きのインスト「Just By My Own」からエンディングを飾るファストチューン「This One's For You」などなど、今も色褪せない王道メタルチューン満載の展開はマーク・トーニロが参加した『BLOOD OF THE NATIONS』(2010年)以降の作品に通ずるものもあれば、そこともまた違った「80年代からの流れ」もあったりとなかなか感慨深いもの。

とはいいながらも、ちょっと弱いな……と感じてしまう楽曲も少なからずあったりして。特にシングルカットされた2曲目「I Don't Wanna Be Like You」や本作の中では唯一、現在もライブで披露される機会のある「Bulletproof」あたりはちょっと弱いような気もしていて(今聴くとですが)。MVが制作された「Protectors Of Terror」もかな……『BALLS TO THE WALLS』(1983年)での成功をそのまま引き継いだ流れだとは思うんですが、リフ含めもうひと工夫欲しかったかもと思ってしまうわけです。

あと、これは非常に重要な要素だと思うんですが……当時(90年代の2度目の再結成時)はシングルギター編成だったこと。やっぱり「ACCEPTといえばツインリード」という人も多いと思うんです。少なくとも制作時は4人編成だったものの、ライブはもう1人ギターを入れて5人編成で活動していくんだろうなと考えていたのに……。

実はACCEPTのライブを観たのは唯一この『OBJECTION OVERRULED』に伴う来日公演のときだけ。その際の印象があまり良くなくて、個人的にはその後ACCEPTに対する印象がどんどん薄くなっていったんですね。80年代はライブに間に合わず、解散後に発表されたライブアルバム『STAYING A LIFE』でこのバンドに対する熱がどんどん上がっていき、そして発表された再結成。なのにあのツインリードが聴けない……そりゃがっかりですよ。しかも期待していたアルバムタイトルトラック「Objection Overruled」が演奏されず(「This One's For You」はやってた記憶がありますが)……。

と、ネガティブな思い出までもがよみがえってきてしまった『OBJECTION OVERRULED』ですが、決して悪いアルバムではないですよ。あくまで個人的な思い出ばかりですので。ACCEPT史の中では弱い作品かもしれないけど、時代背景を考えると非常に重要な1枚かもしれないし。この勢いで、さらにネガティブな思いしかない『DEATH ROW』(1994年)、『PREDATOR』(1996年)も改めて聴いてみようかしら。さすがに20年経てば当時とは違った楽しみ方もできるかもしれないしね。

 

▼ACCEPT『OBJECTION OVERRULED』
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2004年7月 1日 (木)

ACCEPT『METAL HEART』(1985)

つうか何を今更ACCEPTなのよ!?って突っ込まれそうですが。実は数年前からこのアルバム、ずっと取り上げたかったんだよね。ま、でも辰さんのところでウルフ・ホフマンが現在写真家として活躍している、という話題を振られるまで忘れてたりもしたんですが。

そういえば数週間前にウルフがたまたま訪れたドイツの若手バンドのフラットで一緒にセッションした、という話を目にしたりもしましたが、結局彼は2度目のACCEPT解散後、完全に写真家として生計を立てているようですね(1回目の解散後も写真家として活動してたんですよね確か。再結成の話が出るまでギターを一切触らなかった、という話を昔『BURRN!』のインタビューで読んだ記憶がありますが)。ウド・ダークシュナイダーはU.D.O.として活躍、先日来日したばかりですしね。ピーター・バルテスって今何やってんですかね? 一番メタル向きな気がするんですが(1回目の解散後は当時DOKKENを解散したドン・ドッケンのソロバンド、DON DOKKENに参加してたっけ)。

とまぁ懐かしい話題でお茶を濁したところで、本題に。名盤中の名盤『METAL HEART』は、ACCEPTが1985年に発表した通算6枚目のオリジナル・アルバム。前作『BALLS TO THE WALL』でアメリカでそこそこの成功を収めたドイツ出身のメタルバンドは、時代の波に乗るわけでもなく、かといってアメリカナイズするわけでもなく、我が道を行くとばかりに頑固一徹なメタルサウンドを追求したわけです。世間がLAメタルだ何だと盛り上がってる中、「エリーゼのために」をモチーフにしたギターソロを含む名曲「Metal Heart」からアルバムはスタートするわけですよ。思いっきりダサイと言い切れるこのセンス。けど、だからこそ信用できた。当時の俺にとってはそうだったわけ。SCORPIONSが良くも悪くも垢抜けていく中、サウンド的には多少ゴージャスになったものの、やはり基本はAC/DCをよりバタ臭くしたかのようなコテコテメタルサウンド。何も変わらないし、変われない。だから日本ではこのアルバムでブレイクして、初来日まで果たせたわけですよ。残念ながら俺は初来日、というか1980年代の彼らを生で観る事はなかったわけですが(1990年代の再結成時は観てますが)、その伝説に残るような来日公演の様子は当時の音楽雑誌等で目にしていたので、よく覚えてますよ。

ウド・ダークシュナイダーのクセが強過ぎるボーカルに退いてしまう人が多いと思うんだけど、でもこれこそがメタルボイス。AC/DCにおけるボン・スコットやブライアン・ジョンソン、JUDAS PRIESTにおけるロブ・ハルフォードみたいなもんですよ。決して世界的に大成功を収めたとはいえないけど、この声じゃなければいけない。'80年代後半、ウドが脱退してアメリカ人シンガーを迎えてACCEPTは存続したことがあったけど、やっぱり別物だったし。どこかスマート過ぎてダサさが足りない。それじゃダメなのにね。

「ジャーマンメタル」の定義。実はそんなもん、あってないようなもの。1980年代末辺りからHELLOWEENBLIND GURDIAN、RAGEやGAMMA RAYといったバンドが日本で支持されるようになり、アニメの主題歌みたいに判りやすいメロディーと適度な疾走感と重量感を持った、みたいな定義が定着しつつあったけど、でもこのアルバムがリリースされた頃はまだ別の定義だったはず。アメリカで成功する前までのSCORPIONSや、カイ・ハンセンがボーカルだった頃のHELLOWEEN、そしてこのACCEPT。共通する「ダサカッコよさ」こそが、我々がよく知るジャーマンメタルだったんじゃないかな。違う?

「Fast As A Shark」だったり「Balls To The Wall」だったり「TV War」だったり、曲単位で好きなのは数あるけど、アルバム単位で気に入っているのは、実はこの『METAL HEART』だけ。何故か知らないけど、これが一番気に入ってるのね。最初にこのアルバムを手に取ったというのも大きいんだろうけど。表題曲の他にも、PVにもなった「Midnight Mover」や「Screaming For A Love-Bite」のポップさ、「Wrong Is Right」の疾走感、感動的な「Bound To Fail」のエンディング、全てが記憶に残ってる。リリースから約19年。こんなに鮮明に覚えてるアルバムって数少ないよね。まぁこれを手にした頃、一番メタルとか真剣に聴いてた頃だからなぁ。

今の若いメタルファンに、このアルバムがどういう風に評価されているのか知らないけど、それでもやっぱり聴いて欲しいよね。METALLICAの初期作品と同じ感覚で聴いてくれたら嬉しいな。

 


▼ACCEPT『METAL HEART』
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