ACCEPT『BLIND RAGE』(2014)
2014年8月15日にリリースされたACCEPTの14thアルバム。日本盤は同年8月13日発売。
前作『STALINGRAD』(2012年)から2年4ヶ月ぶり、3代目シンガーのマーク・トーニロ(Vo)加入後3作目のスタジオアルバム。マーク、ウルフ・ホフマン(G)、ハーマン・フランク(G)、ピーター・バルテス(B)、ステファン・シュヴァルツマン(Dr)という再々結成後不動の布陣での最後のアルバムとなります。
プロデューサーはもはやお馴染みのアンディ・スニープ(ARCH ENEMY、JUDAS PRIEST、MEGADETHなど)。楽曲面においても過去の良い面を十分に残しつつ、それらを現代的にバージョンアップさせることに成功しており、もはや何の不安も感じられない。そういう意味でも、新たな黄金期を迎えつつあることが伺える良質なメタルアルバムに仕上がっています。
オープニングのファストチューン「Stampede」こそ彼らにしては若干平均点的な仕上がりですが、続く「Dying Breed」「Dark Side Of My Heart」のキラーチューンぶりには目を見張るものがあり、キャッチーなメロディラインや重厚で男臭いコーラスワーク、パワフルなギターリフとタイトなバンドアンサンブル、ウルフによるクラシカルかつメロウなギターソロといった、このバンドに必要不可欠な要素がすべて揃っている。文句の付けようがありません。
〈Oh Oh〜〉コーラスやロシア民謡的メロディを取り入れたミドルヘヴィ「Fall Of The Empire」、泣きメロパワーメタル「Trail Of Tears」、冒頭のアコギ含め哀愁味漂う「Wanna Be Free」、ギャロップビートが軽快な「200 Years」、ストレートなメタルチューン「Bloodbath Mastermind」など、楽曲のバリエーションも比較的幅広く、似たようなタイプの楽曲で固められることの多いこの手のバンドにしては、最後の最後まで飽きずに楽しめるのも本作の魅力。終盤に用意されたメタルバラード的な「The Curse」や、恒例のなったクラシックからの引用ギターソロ(今回はエドヴァルド・グリーグ『PEER GYNT(ペール・ギュント)』より「Morning Mood(朝)」)をフィーチャーした締めくくりに相応しい疾走ナンバー「Final Journey」までの全11曲、スルッと聴くことができるはずです。
ギターソロやちょっとしたアレンジのこだわりで1曲1曲が5分前後と、比較的長尺な楽曲が並び、トータルで60分近くあるので、本当に好きな人じゃないと厳しいかなと思いつつも、前半を難なく楽しめたなら最後まであっという間なはず。歴史に残るような名曲やバンドを代表するような1曲は見当たらないかもしれないけど、すべてが平均点もしくはそれ以上の完成度なので、結果としてアルバムの充実度は100点に近い。トニー加入後の第3期(80年代を第1期、90年代を第2期と大雑把に分けてます)における、この時点での代表作と断言してしまっていいと思います。
事実、本作は本国ドイツで初のチャート1位を獲得。アメリカでも35位と過去最高記録を樹立し、イギリスでも7thアルバム『RUSSIAN ROULETTE』(1986年。最高80位)以来のTOP100入り(85位)を果たしています。そんな好状況だっただけに、2014年末にハーマン、そしてステファンが相次いで脱退してしまったことは残念でなりません。
▼ACCEPT『BLIND RAGE』
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