2017/06/20

AC/DC『ROCK OR BUST』(2014)

2014年11月にリリースされた、AC/CD通算15枚目(オーストラリア国内では16枚目)のスタジオアルバム。プロデュースは前作同様、ブレンダン・オブライエンが担当。マルコム・ヤング(G)が認知症のためバンドを離れ、代わりにマルコム&アンガス・ヤング(G)の甥にあたるスティーヴィー・ヤングが加入して制作されました。また、本作を携えたツアー期間にフィル・ラッド(Dr)が逮捕されバンドを脱退。代役として90年代前半に在籍したクリス・スレイドが再加入しています。また、ブライアン・ジョンソン(Vo)も聴力障害のためツアーを離脱。2016年のツアーではGUNS N ROSESのアクセル・ローズがゲスト・ボーカリストとして代役を務めたことは記憶に新しいと思います。さらに、クリフ・ウィリアムズ(B)も本ツアー終了後にバンドから脱退。結果として、我々がよく知るAC/DC最後のアルバムとなってしまいました。

全米1位を獲得した前作『BLACK ICE』(2008年)から6年ぶりに発表された本作は、どの曲も2〜3分台という非常にシンプルな構成。全11曲でトータル34分というランニングタイムは昨今の作品としては非常に短く感じますが、実際に聴くとその倍くらいあるんじゃないかと思えるほどの濃厚さがあります。シンプルだからこその濃さ。これこそが、40年以上の活動を経て到達した境地なのかもしれません。

思えば前作は8年ぶりの新作。気合いを入れて望み、結果として全15曲入り、トータル55分という、当時としては「最強のAC/DC」を表現していたと思います。しかし、その最強な状態からさらに余計なものをそぎ落とした結果、「11曲ぐらいで、34分でも大丈夫じゃない?」という結論にたどり着いた。というのは、考えすぎでしょうか? でも、そう思えるぐらいに寸分も隙がない、鉄壁なロックンロールアルバムだと思うのです。

そう、本作はHR/HMというよりはロックンロール。『BLACK ICE』はまだハードロックですよね。それ以上に原始的、もしくはルーツに原点回帰したのがこの『ROCK OR BUST』なんじゃないでしょうか。

とはいえ、ボン・スコット時代のそれと比較するとまた違うんですけどね。まぁそこは、ブライアン・ジョンソンという替えがきかないボーカリストによるものが大きいと思いますが。幸いブライアンはまだバンドに残っているようですし、耳の調子次第ではツアーにも復帰してくれるはず。レコーディングだって……どうなるのかわかりませんけどね。仮にこのアルバムでバンドの歴史に幕を降ろしたとしても、それはそれで納得がいきますし。

できることなら、このアルバムを携えた来日公演を見たかった。もし後悔があるとしたら、その一点のみです。



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投稿: 2017 06 20 12:00 午前 [2014年の作品, AC/DC] | 固定リンク

2017/03/10

AC/DC『BLOW UP YOUR VIDEO』(1988)

記憶に間違いなければ、僕が初めて購入したAC/DCのアルバムはこの『BLOW UP YOUR VIDEO』です。初めて聴いたアルバムはその前作にあたる(オリジナルアルバムではないけど)『WHO MADE WHO』(1986年)だけど、あれはレンタルレコードだったし。

というわけで、今回紹介するのはAC/DCが1988年初頭にリリースした通算10作目(本国オーストラリアでは11作目)のオリジナルアルバム『BLOW UP YOUR VIDEO』。時代背景的には言うに及ばず、1986年末のBON JOVI大ブレイクを機に勃発したHR/HMムーブメントの最中、最初に発表されたAC/DCの新作がこれでした。このちょっとまえにAEROSMITHが『PERMANENT VACATION』(1987年)で大復活を果たし、彼らのフォロワーといえるGUNS N' ROSESやRATTといったバンドがエアロに対するリスペクトを発言。特にガンズからはそれと同じくらい名前が挙がっていたのが、このAC/DCでした。実際、初期の彼らはライブでよく「Whole Lotta Rosie」をカバーしていましたしね。

当のAC/DC自体は1980年に発表した『BACK IN BLACK』が爆発的ヒットを記録し、続く『FOR THOSE ABOUT TO ROCK WE SALUTE YOU』(1981年)は念願の全米No.1を獲得。しかし、フィル・ラッド(Dr)脱退以降、セールスを一気に落としてしまい、いわば落ち目になりかけていたタイミングでした。そこに世界的なHR/HMムーブメント、若手アーティストからのAC/DC待望論と状況が好転しだしたところで、起死回生の一手としてこのアルバムが発表されたわけです。

リアルタイムで聴いたときは、とにかく冒頭の2曲「Heatseeker」「That's The Way I Wanna Rock 'N' Roll」のカッコよさにやられ、それ以降の楽曲は地味という印象でした。まぁ当時16歳になったばかりのガキンチョでしたしね。派手なアレンジこそサイコーみたいな勘違い、誰にでもありますよね。

で、リリースから30年近く経った今、以降のバンドの歴史も踏まえつつ聴き返すと、やっぱり原点回帰的な思いが込められていたんだなということに気づかされます。その原点は大ヒットした『BACK IN BLACK』やその前の『HIGHWAY TO HELL』(1979年)ではなく、それこそオーストラリアでバンドを始めた頃まで遡るのかなと。全体的に無駄がなくてシンプルなのはいつもどおりなんですが、そこに加えて(後任ドラマーのサイモン・ライトのジャストなドラミングにも関わらず)前のめり感が強い。言い方を変えると……若々しくてパンキッシュなんですよ。

先に挙げた冒頭2曲は言うまでもなく、それ以外の曲からも貫禄よりフレッシュさに満ち溢れている。しかも、昔は地味だと思い込んでいた楽曲群が、実はポップで親しみやすいものばかりだということにも気づかされる。「Mean Streak」も「Go Zone」も「Kissin' Dynamite」もめちゃめちゃ良いし、「Nick Of Time」や「Ruff Stuff」みたいにポップで親しみやすい楽曲、AC/DC流泣きメロが気持ちいい「Two's Up」、“これぞパンク”と言わんばかりに攻めまくる「This Means War」みたいな曲もある。あれ、全然地味じゃないじゃんか、と。

結局AC/DCはこの2年後、1990年にさらにポップで親しみやすいアルバム『THE RAZORS EDGE』で再び天下を獲ることに成功するのですが、そこと比べたら『BLOW UP YOUR VIDEO』は確かに地味。セールス的にも復調はしたけど、過去の大ヒット作と比べたらそこまでのヒットとも呼べない。過渡期の1枚と呼ばれがちですが、あのタイミング、あの時代背景があったからこそAC/DCが踏ん張って生み出すことができた奇跡のアルバムだったのではないかと、発売から29年経った今思うわけです。いや、本当にいいアルバムですよ。



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投稿: 2017 03 10 12:00 午前 [1988年の作品, AC/DC] | 固定リンク

2005/10/28

AC/DC『STIFF UPPER LIP』(2000)

 昨日BUCKCHERRYを取り上げたせいか、その後急にAC/DCが聴きたくなって。特に古い作品じゃなくて、ここ最近‥‥'90年代以降のスタジオ作ばかり聴いてて。とはいっても1990年の「THE RAZOR'S EDGE」以降は1995年の「BALLBREAKER」と2000年の「STIFF UPPER LIP」の3枚しかリリースしてないんですけどね。5年に1枚の計算か‥‥そうこうしてるうちにみんなドンドン老いていくというのに‥‥

 2000年に「STIFF UPPER LIP」をリリースして以降、ツアーや単発のライヴは結構やってたんですよね。チャリティーだったり、ホールクラスでの限定ライヴだったり、ROLLING STONESのオープニングアクト(!!)だったり、と。んでその時のツアーにはそれこそ約20年振りの来日公演(2001年2月)も含まれていたわけですが。勿論俺も行きましたし、その時の模様はとみ宮にライヴレポ書きましたしね。自分の中でも生涯忘れられないライヴの1本となったあの日から、早くも5年近く経とうとしてます。アルバムリリースから数えれば、来年の3月で丸6年‥‥なのに一向に「新作完成!」の知らせが届かないのはどういうことなんでしょう?

 AC/DCはこの5年の間にそれまで所属した「Elecktra / eastwest」から新たに「Sony」へと移籍してます。過去のアルバムやビデオ(DVD)の大半が再発され、店頭で彼等の作品にお目にかかる機会は確かに増えたものの、それら全部持ってる身からすると‥‥う〜ん‥‥あ、「FAMILY JEWELS」DVDは良かったですけどね、うん。

 ま、そんなわけでこの「STIFF UPPER LIP」が現時点での最新作となるわけですが‥‥久し振りに聴いたけど、やっぱりいいね。いや、基本的に俺はAC/DC全作品肯定派だけどさ、それにしてもその前の「BALLBREAKER」はちょっと厳しかったから。悪い作品ではないんだけど、総じてミドルチューン中心、しかもユルいまま進むのがね、さすがにリピートする機会は少ないですね未だに。'90年代以降の作品は時代を象徴するようなプロデューサーを迎えて制作していたこともあって(「THE RAZOR'S EDGE」はBON JOVIやAEROSMITHでお馴染みブルース・フェアバーン、「BALLBREAKER」はかのリック・ルービン)まぁ悪くはないけどちょっと欲張り過ぎ?みたいな印象も受けたりしたんですが、昔馴染みのジョージ・ヤングがプロデュースしたこの「STIFF UPPER LIP」は適度な緊張感とユルさがバランスよく詰め込まれていて、非常に聴きやすいんですね。あと、作風的にも'70年代後期から'80年代の、所謂往年の時代を再現しようとしてる風にも受け取れるし。年齢的にはかなり厳しいはずのブライアン・ジョンソン(Vo)もかなり頑張ってるし、アンガス・ヤングのギターも相変わらず唸りまくってるし、復帰2作目となるフィル・ラッドのドラムも前作以上にタイトだし、ボトムを支えるクリフ・ウィリアムズ(Ba)とマルコム・ヤング(Gt)のコンビネーションも相変わらず気持ちいいし。要するに、いつも通りのAC/DC節がこのアルバムでも全開だ、と。ホントそれ以上の言葉は要らないですよね。

 多分‥‥来年前半にはリリースされるだろう新作も、きっとこの延長線上にあるはずだし、変わりようがないはずだし。最高にイカすリフとカミソリみたいなシャウト、タイトなリズム隊とザクザクしたリズムギター、そして唸りまくるギターソロ‥‥それさえあれば、AC/CDは安泰なのです。RAMONES亡き今、もはや『ワンパターンの良心』はAC/CDだけなのですよ。だからこそ、頑張って欲しいのです、新作が楽しみで楽しみで仕方ないのです。

 ま‥‥聴いたら聴いたで、「うわっ、また同じリフ使ってる!」とか「この曲、前にも聴いたことあるような‥‥」って呟きまくるんですけどね、恐らく。それでもオッケーなのがAC/DC。もはや国宝ですよ、ロックンロールの。



▼AC/DC「STIFF UPPER LIP」(amazon:日本盤US盤UK盤

投稿: 2005 10 28 09:24 午後 [2000年の作品, AC/DC] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/05/28

AC/DC『HIGHWAY TO HELL』(1979)

AC/DCが'79年夏にリリースした名作「HIGHWAY TO HELL」。現在も活躍する彼等ですが、このアルバムでのメンバー構成はボーカル以外は一緒なんですよ‥‥そう、このアルバムをリリースした翌年、ここで歌っているシンガー、ボン・スコットは亡くなってしまうんですね。そういう意味ではこれが遺作となってしまうわけですが、全然そんな予兆を感じさせない、本当に活き活きしたリフロックを連発しています。

FREEの名曲 "All Right Now" にも通ずるポピュラリティを持ったミドル・ポップチューン"Highway To Hell"からスタートするこのアルバム。それ以前のアルバムと比べると明らかにメロディの質が変わってきています。まず、聴きやすい・判りやすいメロディが増えたこと。いや、それまでの楽曲も判りやすかったんですが、それ以上に親しみやすいメロディが多いんですね、このアルバム。それでいてロックンロールの本質的な面も失っていない。更に何よりもサウンド面でかなり向上している。これはプロデューサーが変わったことも大きく影響してるんでしょう(このアルバムから、後にDEF LEPPARDやブライアン・アダムス等で有名になるジョン・マット・ラングが手掛けるようになります)。ギターサウンドもさることながら、リズムトラックの生々しさが凄いんですよね。まぁ「その後のAC/DCらしさ」という点では次作「BACK IN BLACK」の方がより優れているわけですが、初期AC/DCの集大成、そしてその後の彼等を占うという意味ではこの「HIGHWAY TO HELL」もかなり優れた作品だと思っています。個人的には一番好きなアルバムなんですよね。

近年のライヴでも演奏される機会があった"Girls Got Rhythm"や"Shot Down In Flames"といったストレートなロックチューンといい、如何にも彼等らしいハイテンションな"Walk All Over You"や"Beating Around The Bush"といい、ポップなミドルチューン"Highway To Hell"や"Get It Hot"といい、お得意のスローブギー"Night Prowler"といい、とにかく1曲1曲が粒ぞろいでバラエティ豊か。「ロケンロー」だとか「ハードロック」だとか、そういった陳腐な枠分けで片づけたくはないですよね。本当にいい楽曲、いいアルバム。

最近、DATSUNSやJETといった同郷及びその近隣諸国から登場したバンドが「AC/DCフォロワー」として脚光を浴びていますが、もしこれを読んでいる若い子達でまだAC/DCの音に触れたことがないのなら、まずはこのアルバムから聴いて欲しいなぁと思います。個人的にはこれと一緒に次作「BACK IN BLACK」も聴いて欲しいんですけどね。この連作、ただボーカルが変わったというだけではなく、バンド内に大きな革命が起きたことも伺い知ることができますからね。

あと、よくそれらのバンドのシンガーが「AC/DCみたい」と表現されることが多いですけど、それはこのアルバムで歌うボン・スコットを指してるんですよね。決して今のシンガー、ブライアン・ジョンソンのことではなく。DATSUNSにしろJETにしろ、非常にボン・スコットっぽいんですよね。どこがどう違うのか‥‥っていうのも2枚のアルバムを聴き比べると自ずと見えてきますしね。とにかく文句なしの名盤なんで、機会があったら是非一度。



▼AC/DC『HIGHWAY TO HELL』
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投稿: 2003 05 28 05:22 午前 [1979年の作品, AC/DC] | 固定リンク

2001/02/25

AC/DC『STIFF UPPER LIP TOUR 2001』@横浜アリーナ(2001年2月19日)

感動した、とかそんなちんけな言葉では片付けたくない。そんな2時間だった。15年待った甲斐があったってもんだ。いや、15年も待たせやがって‥‥この15年という長い時間は日本のロックファンにとって不幸以外のなにものでもない。ストーンズはデビューから30年近くかかった。確かにAC/DCは過去に2回来日しているものの、それから19年も来ていなかった。俺が彼らを知ってから15年‥‥そう、今のロックファンの多くは彼らを体験していないに等しい。これは快挙以外のなにものでもないのだ。

奇しくも19年振りの来日公演初日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの21回目の命日だ。偶然だろうが、偶然にしては意味深すぎる。後で聞いたところによると、センター席最前列近くには何故か喪服を着た方々もいらっしゃったそうだ(苦笑)。とにかく、多くのロックファンにとって、それぞれがそれぞれの思いを抱いて会場へ出向き、そしてその感情をぶつけていたのが印象的だった。

ファンの歓迎振りはグッズ売り場での長蛇の列からも伺う事が出来た。同じ横浜アリーナで観たOASISの時も長蛇の列だった。そう、ロックファンにとってはデザインの小綺麗なOASISも厳ついAC/DCも同列なのだ(って単にOASISの時はにわかファンが多かっただけかもしれないが。それにこの長蛇の列は横浜アリーナの特質なのかもしれない。売り場の位置の関係上ね?)。

さて、俺はライヴ直前の「今回の来日について思うこと」コラムで、このライヴを観た後に何が見えてくるのか、と書いた。答えなんかないかもしれない、とも書いたが、本当にその通りだった。15分遅れでスタートし、客殿が点くまでのまる2時間、ただ俺はヘラヘラ笑っていた。発する言葉と言えば「おおっ」「ぐぉっ!」「うわぁ~」「すげぇ!!」といった、正に擬音に近い表現ばかりだ。「感動した、とかそんなちんけな言葉で片付けたくない」とは書いたものの、実はそれ以前に思考回路が停止したままだったというのが正解だろう。確かにビデオで観るよりステージは小さいのかもしれないし、花火や火薬の量も極端に少ないだろう。けど、そんな事は終わって暫く経ってから気づいた事であって、ライヴ中は全く気にならず、むしろ「うわ~、ここまでやっちゃう!?」って気持ちが先走っていた。

演奏は完璧だったし、ブライアンの歌も思っていた以上によく出ていて、納得いくものだった。客の声援や歌声も尋常じゃなかったし、それに応えるバンド側も「プロ」に徹していた。オーディエンスが求めるモノと、バンド側が表現するモノ。これが見事に一致していた。こんなライヴ、滅多にお目にかかれないだろう。しかもライヴハウスでの小規模ではなく、1万人以上も入るアリーナクラスでの出来事だ。

選曲も、約20年の穴を埋めるかのようなグレイテスト・ヒッツ的内容で、新作のツアーだというのにアルバムからはたったの1曲だったという(苦笑)。けど、そんなのは終わってから気づいた事であって、本当に(何度も言うが)難しいことを考えさせない、まさしくエンターテイメントだった。正直、ライヴ前にそんなに予習をしてなくて、聴いてたアルバムも新作『STIFF UPPER LIP』と2枚のライヴ盤、それに『HIGHWAY TO HELL』と『BACK IN BLACK』くらいだろうか。勿論それまでには全てのアルバムに手を出していてどれもよく聴いていたので、まぁライヴ前だからって今更なぁって気持ちもあったのかもしれない。だって正直、選曲がどうなるかなんて判らなかったし。で、実際にライヴの最中、知らない曲は1曲もなかった。どの曲もサビにくると一緒に大声で唄っていた。特に後半の「Back In Black」以降の黄金のヒットメドレーには爆涙モノだった。ガンズのではなく、AC/DCの演奏で唄う「Whole Lotta Rosie」にはやっぱり鳥肌が立った。

バックのアンガス巨大ブロンズ像が動いたり、角が生えて光ったり、口から煙吹いたりっていうギミックも、アンガスのパンツ見せも、アンガスがブライアンのハンチング帽を取って見せたり、ダックウォークだったり、「オイッ、オイッ」ってかけ声だったり、「The Jack」のサビ大合唱だったり、最後の大砲大連発だったり、それら全てが毎回毎日の「お約束」なわけで、全てお見通しなのだけど‥‥やっぱり生で観て/体験してしまうと言葉を失う。いやぁ、スケールが違いすぎる。

馬鹿馬鹿しいと言ってしまえばそれまでだし、そんな予定調和と切り捨てる事も簡単だろう。けど、ここまで馬鹿に徹して観客を満足させて更にお釣りがついておまけにお土産まで持たされた今回のライヴを観た人間に、そんな事は言えないはずだ。ボン・スコットの命日だっていう悲壮感もゼロ。約20年振りだという感慨深さもゼロ。まるでずっとそこにあったかのように、当たり前に楽しませてくれたバンド。これはちょっとやそっとで出来るもんではない。これ観たら、暫く他のバンドが霞んでしまうような気が‥‥あ、俺この後KISS観に行くんだった‥‥同じエンターテイメント性豊かなバンドだけど、こっちはちょっと不安だなぁ‥‥演奏面が‥‥(苦笑)

とにかく、30間近のこんな俺でも童心に返って楽しむ事が出来た、そんな素晴らしいライヴだった。数年に何本観れるか判らない、極上のステージ。さて、次はいつ観れるのかな‥‥


<セットリスト>
01. You Shook Me All Night Long
02. Stiff Upper Lip
03. Shot Down In Flames
04. Thunderstruck
05. Hell Ain't A Bad Place To Be
06. Hard As A Rock
07. Shoot To Thrill
08. Rock And Roll Ain't Noise Pollution
09. Sin City
10. Bad Boy Boogie
11. Hells Bells
12. Get It Hot
13. The Jack
14. Back In Black
15. Dirty Deeds Done Dirt Cheap
16. Highway To Hell
17. Whole Lotta Rosie
18. Let There Be Rock
—Encore—
19. T.N.T.
20. For Those About To Rock (We Salute You)

投稿: 2001 02 25 05:07 午前 [2001年のライブ, AC/DC] | 固定リンク

2001/02/18

19年振りの来日について語る

AC/DCが'82年以来、約19年振り3度目の来日を果たす。正直これは去年のNINE INCH NAILS初来日並に、いや、それ以上に衝撃的だった。ネット上でいろいろ話題が飛び交う中、伊藤政則が彼のラジオ番組の中でその一報を発表した時、全身に稲妻が走ったかのような衝撃を受けた。しかもその初日となる2月19日は、前任ボーカリスト、ボン・スコットの命日だ‥‥何なんだ、これは一体‥‥!?

 俺が初めて彼らを知ったのは、多分'86年頃だったと思う。当時のMTVかベストヒットUSAで見た彼らの"Who Made Who"のビデオクリップが切っ掛けだった。そう、あのアンガス・ヤングがいっぱい出てきてエアギター(厚紙に印刷されたギターをさも弾いてるかのようにアクションする行動。メタルファンに多い/笑)かましまくってる大勢の皆さんに衝撃を受けたのか、それともいい年した大人が小学生みたいな格好(半ズボンにランドセル背負ってギブソンSGをチャック・ベリー並に弾きまくる姿)してるのに衝撃を受けたのか、それともあのキャッチーな曲にやられたのか‥‥よくは覚えていない。ただ、雑誌等で「今のロック/ハードロックの雛形を作ったのは彼らと言っても過言ではない」という伊藤政則氏の言葉を覚えていた俺は、その後レンタルレコード店・YOU & 愛(時代を感じさせますな?)へ足を運ぶ。そこで同名のアルバム「WHO MADE WHO」を手に取る。中途半端なベストアルバム的内容だったが、それで満足だった。その後、再び店を訪れ店員に「AC/DCでオススメのアルバムってどれですか?」と質問する。そこで「これ」と勧められたのが「ギター殺人事件」という忘れられない邦題がついたボン・スコット時代のライヴ盤「IF YOU WANT BLOOD YOU'VE GOT IT」だった。多分、俺の人生の中でエアロの「LIVE BOOTLEG」、ハノイの「ALL THOSE WASTED YEARS...」の次に忘れられないライヴ盤となる。

うまい言葉で言えないけど、ロックの生々しさを真空パック状態に近い形でまとめたのがこのライヴ盤だったように思う。ボン・スコット時代を体験していない俺でも、如何に彼が尊敬されたかがよく判る内容だった。今でも年に何度か手にするこの盤、先日紙ジャケ仕様のリマスター盤で買い直してしまった程。まだ彼らを体験した事のない人には是非このアルバムから聴いてもらいたい。

話は変わって、最初に俺が買ったAC/DCのアルバムとなると、'88年リリースの「BLOW UP YOUR VIDEO」だ。当時放送されていたメタル専門番組「PURE ROCK」で見た"Heatseeker"のビデオ‥‥大きなテレビ画面をぶち破って中から現れるアンガス‥‥に再び衝撃を受けるのだった。当時まだ洋楽CDが3000円近くした時代、バイトしない田舎の高校生にはかなりの決断を迫られたが、買ってよかったと当時は思ったものだ。ちなみに当時の俺のベースにはバンドのロゴステッカーがキラリと輝いていた。

いつ頃からだろう、「AC/DCは日本を嫌っている」「日本はルックスが良くないと人気が出ないから行かない」「世界で最もギャラの高いバンドはRUSH, VAN HALEN, そしてAC/DCだ」と言われるようになったのは。最初のはともかく、後のふたつは事実らしい。補足すると、ルックスの問題は来日当時、日本で人気があったのがJAPANのようなバンドだったり、その後ニューロマンティック系のバンドが幅をきかせていた事が関係あるようだ。つまり男臭い自分達のようなバンドは日本では時代遅れだと勝手に判断してしまっていたらしい。その誤解を解くのに19年かかってしまったというわけだ。何という悲劇‥‥

そしてギャラの問題。これはその通りなのだが、更にステージセットの問題やバンドが納得するキャパシティーの会場がなかったという事も関係する。知っての通り、彼らのステージセットは巨大で、海外では数万人は入るアリーナクラスでのライヴばかりだ。ところがここ日本では、2回目の来日こそ武道館だったものの、その後人気低迷等が関係し、再び武道館で人を集められるだけの集客力がバンドになかったのも事実。つまりプロモーター側も躊躇していたわけだ。伊藤政則氏は「AC/DCを、ここ日本で観れないのは何たる不幸だろう」とこの10年近くずっと口にしている。アルバムが出るたび、そして海外でライヴを見てくるたびに‥‥

'90年には「THE RAZORS EDGE」を、'95年には「BALLBREAKER」をそれぞれリリースするものの、やはり来日の機会には恵まれなかった。その間にここ日本でも、AC/DCに対する評価がどんどん高まっていく。その原動力となったのは間違いなく伊藤氏のあの言葉であり、その言葉に感化されたAC/DCの生ライヴを知らない俺らのような(当時)若い世代がバンドに興味を持っていく。更にAC/DCに影響を受けたと発言するアーティストがどんどん登場する。MOTLEY CRUEであり、CINDERELLAであり、GUNS N'ROSESであったり。モトリーはライヴで名曲"Highway To Hell"を、そしてガンズは"Whole Lotta Rosie"をカヴァーし、我々は改めてAC/DCの楽曲の素晴らしさに触れる事となる。

そんな中、発表されたのが15年振り、そしてブライアン・ジョンソン加入後初のライヴ盤「LIVE」('92年)と、'91年8月にイギリス・ドニントンパークで行われたモンスターズ・オブ・ロック・フェスの模様を完全収録したビデオ「LIVE AT DONNINGTON」、そして'96年のスペインでのライヴを収録したビデオ「NO BULLS」といった、ライヴ音源/映像集だった。これによって、更に彼らに対する注目/評価は高まる。「観たい」‥‥この気持ちだけは高まるものの、一向に来る気配はなかった。

昨年の今頃、既に日本公演に向けて伊藤氏、そしてプロモーターはバンド側と交渉を重ねていたらしい。そして同年3月に最新作「STIFF UPPER LIP」が発表される。確か昨年のフジロックに是非彼らを!という声も沢山あったはずだ。しかし夏を過ぎても、秋を過ぎても一向に来日する様子はなかった。しかし、伊藤氏はこの頃から‥‥含みのある発言を繰り返していた。それを耳にする度に「もしや‥‥!?」とは思ったものの、やはり心のどこかで疑っていた。しかし、それは現実のものとなった‥‥

多分このサイトを覗いている方の中で、ここ日本で彼らの来日公演を観たという人はそうはいないはずだ。いや、いないだろう、2/19以前には。映像では目にしたことはあるものの、実体験はみんなが初めてなはずだ。海外で観た!?そりゃよかった。けどここ日本で観る事に意味があるのだ。だから俺は彼らを初めて知ったあの日から15年も待った。まだ中学生だった俺も、今では30歳を迎えようとしている‥‥長すぎた冬がやっと終わるといったところだろうか?

その運命の日を明日に控え、ここでこんな事を書いてしまうのはちょっとどうかと思うが‥‥正直な気持ちを書く。出来れば10年早く、そう、ドニントンでのライヴビデオの頃に観たかった。先日、テレビで今の彼らのライヴを見た。ブライアンは既に衰えを感じさせる歌声だったし、アンガスも見た目にはきつそうだった。勿論それは5年前のライヴビデオでも感じていた。けど、そんな事は2月19日の19時を無事に迎えられたら、どうでもよくなってしまうのかもしれない。「ここ日本で観ることに意味がある」のだから。そりゃ出来るなら完璧な状態を観たい。それが無い物ねだりと判っていても‥‥

好き嫌いがあるのは重々承知だ。あの声がダメって人が多いのも知ってる。けど、ロックを好きになった以上、通らなきゃいけない通過点なんじゃないだろうか? 21世紀になった今、これは日本国民の義務です。今からでも遅くないです。2/19と20はみんな、横浜アリーナに集合! 2/22には大阪城ホール前に集合するように!!

今回の来日はロック好きな人間にとってはお祭り同然だ。あの中学2年生の俺なら、どう感じるんだろう‥‥そんな事を考えながらライヴを楽しんできたいと思う。

投稿: 2001 02 18 05:14 午前 [2001年のライブ, AC/DC] | 固定リンク