カテゴリー「Aerosmith」の43件の記事

2022年11月22日 (火)

GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION II: DELUXE EDITION』(2022)

2022年11月11日にリリースされた、GUNS N' ROSESの3rdアルバム『USE YOUR ILLUSION II』(1991年)のデラックス盤。

CD6枚組+Blu-ray2枚組のスーパー・デラックス盤と同時発売された本作は、先に紹介した『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)のデラックス盤(2022年)同様、最新リマスタリングを施した『USE YOUR ILLUSION II』アルバム本編に、1991〜2年のワールドツアーから抜粋されたライブベストのCD2枚組エディション。アルバム本編はスーパー・デラックス盤と同内容ですが、DISC-2には本作でしか聴くことができない初出音源も含まれた、ファン泣かせの1作となっています。

全13曲収めらたライブ音源のうち、スーパー・デラックス盤との被りは5曲。録音状態や音質はまちまちで、1枚のライブアルバムとして楽しむのは少々難あり。ですが、これまで海賊盤やYouTubeでのイリーガルな映像でしか耳にすることができなかった貴重なテイクも含まれており、おまけと呼ぶにはちょっと豪華すぎる内容ではないでしょうか(ここまで、『USE YOUR ILLUSION I』デラックス盤レビューからのほぼコピペです。笑)。

スーパー・デラックス盤未収録音源の主な録音会場は以下のとおり。

・1991年1月20日:リオデジャネイロ『Rock In Rio』(「Only Women Bleed / Knockin' On Heaven's Door」)
・1991年8月31日:ロンドン・Wembley Studiam(「14 Years」)
・1992年6月6日:パリ(「Drum Solo」「Slash Solo」「Speak Softly, Love (Love Theme From The Godfather)」「Sail Away Sweet Sister」「Mama Kin」「Train Kept A Rollin'」)

セレクトされた3公演はすべて『USE YOUR ILLUSION I』デラックス盤と一緒。要するにテレビやラジオで放送されたライブということで、そこそこの状態で録音された音源が残っていたライブがこれくらいってことなんでしょうね。

リオデジャネイロについては割愛。お約束のメドレーですしね。で、1991年8月31日のWembley Studiam公演は先にも触れたとおり、イジー・ストラドリン(Vo, G)のガンズとして最後のライブ。彼がリードボーカルをとる「14 Years」がライブ音源として正式にここに残されたというのは、非常に興味深いです。もはやライブでは聴くことができない、あの時代ならでの1曲ですからね。

で、問題は1992年6月6日のパリ公演。こちらからは6テイクが収録されていますが、うち4テイクは曲と呼ぶには少々無理があるものばかり。マット・ソーラム(Dr)の7分半にもおよぶドラムソロは、終盤こそダフ・マッケイガン(B, Vo)とのセッションも含まれていますが、ドラムソロの音源を進んで聴きたいなんていうのは相当なマニアか実際にドラムを叩く人かマットのファンくらいなものでして……しかも、そこからスラッシュのギターソロ&「ゴッドファーザー愛のテーマ」メドレーへと続く流れをそのまま閉じ込めているのもどうかと。ファンならば、もっと聴きたい曲があるはずなのに。

その流れで、アクセルのアカペラで歌唱されるQUEEN「Sail Away Sweet Sister」をここに持ってくるのもどうかと。これだって、続く「Sweet Child O' Mine」あってこそ。ここだけ抜き取られてもねえ……それなら、リオ公演から初披露の「Dead Horse」とか、もっとあったろうに。

そんな中、本作でもっとも価値が高いのがAEROSMITHからスティーヴン・タイラー(Vo)&ジョー・ペリー(G, Vo)をゲストに迎えた「Mama Kin」と「Train Kept A Rollin'」の2曲。同公演ではレニー・クラヴィッツもゲスト参加しており、そちらのコラボ音源は『USE YOUR ILLUSION I』デラックス盤に収録。こっちはエアロなんですね。「Mama Kin」ではアクセル・ローズ(Vo)以上にハイテンションなスティーヴンのボーカル(半音下げバージョン)を楽しめます。一方、「Train Kept A Rollin'」はだいぶテンポ抑えめで、普段のエアロバージョンに慣れた耳だとユルく聞こえてしまうかも。30年前のガンズ、もっと頑張れ(今さらですが)。

なお、日本盤には1992年2月の来日公演(おそらく映像化された公演)から「Pretty Tied Up」「You Could Be Mine」を、ボーナストラックとして追加。2曲とも1991年のRitz公演の音源と被る選曲で、時期や会場は異なるとしても同じライブ曲のライブ音源が2度(しかも、スタジオ音源含めれば3度)続くのはいかがなものかと。これしか許諾が降りなかったんでしょうかね。残念です。

というわけで、デラックス盤のボーナスディスクそれぞれに一長一短ありますが、サブスク全盛の今なので、気に入った曲だけを「自分だけの夢のセトリ」としてまとめてプレイリストで聴くのが一番かと。楽しみ方は人それぞれですからね。

 


▼GUNS N' ROSES『USE YOUR ILLUSION II: DELUXE EDITION』
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2022年4月12日 (火)

AEROSMITHのベストアルバムを総括する(2022年版)

先日ブライアン・アダムスで試してみた、いちアーティストの公式ベストアルバム/コンピレーションアルバムをひとつのエントリーの中で総括する記事AEROSMITH版です。

AEROSMITHは1973年のデビュー以降、Columbia Records(1973〜1984)→Geffen Records(1985〜1997)→Columbia(1997〜2021)→Universal(2021〜)と移籍を繰り返してきましたが、現在は全カタログの権利をUniversalが取得したことで、今後Columbia/Sony時代の音源もUniversalからフィジカル再発/デジタル配信されることになりそうです。

そういった意味では、ここに記す代表的なコンピレーションアルバムのいくつかは今後、姿を消すことになるかもしれません。それでもこの機会に改めて、ひとつの記録として記事を残しておくのはアリかなと思い、今回の執筆に至りました。

選出したベストアルバムは、レーベル主導によるシリーズ企画(Universalの『THE MILLENNIUM COLLECION』など)を除く、新曲やレア曲などを含む9作品。中には廃盤になっていたりサブスクで聴けないものも含まれていますが、ご了承ください。また、すでに単独エントリーで公開済みの作品もありますが、その場合は該当記事のリンクを貼っておきますのでご参考ください。

 

 

『AEROSMITH'S GREATEST HITS』(1980)

 

1980年11月にリリースされた、バンド初のベストアルバム。

そのタイトルどおり、収録内容はシングル曲を中心にしたもので、アナログ時代ということで全10曲/約38分というコンパクトな内容でまとめられています。また、構成的にもリリース順に並べられているので、いきなり「Dream On」から始まるという曲順はロックバンド的にどうなのかな?という疑問も残ります。

収録曲のうち、「Same Old Song And Dance」「Sweet Emotion」「Kings And Queens」はイントロを短くした“シングル・エディット”バージョンで収録。「Walk This Way」もアルバムバージョンより10秒近く短い形にエディットされています。オリジナルバージョンに勝るものはありませんが、本作リリース当時は70年代の代表的シングル曲をひとまとめに楽しめるアルバムとして、非常に重宝されましたし、80年代後半の本格的復帰以降も『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)とともにこのアルバムを愛聴したファンは少なくなかったはずです(注:Apple Musicなど一部ストリーミング配信版は各シングルエディットがアルバムバージョンに差し替えられているのでご注意を)。

また、映画サントラに提供したビートルズのカバー「Come Together」が収録されている点も注目ポイントかな。『LIVE! BOOTLEG』(1978年)ではライブバージョンを先に聴くことができましたが、スタジオテイクがエアロのアルバムに収録されるのはこれが初めて。そこも本作が長く愛された要因のひとつかなと。

なお、本作がリリースされた頃にはすでにバンドの人気も低迷期に突入しており、チャート的には大きな成功を収めることはありませんでしたが、そこから数年後の再ブレイクも手伝い、セールス的には現在までに1000万枚を超えるメガヒット作となっています。

 


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『GEMS』(1988)

 

1988年11月にリリースされたAEROSMITHのコンピレーションアルバム。

『PERMANENT VACATION』(1987年)の大ヒットを受けて、前レーベルのColumbia Recordsが企画したコンピ版で、シングル曲中心でまとめられた前作『AEROSMITH'S GREATEST HITS』と比べるとその内容はかなり地味なもの。ただ、ライブで演奏される機会の多い「Mama Kin」や「Lord Of The Thighs」「Train Kept A-Rollin'」なども含まれていることから、“裏ベスト”的側面の強い1枚かなと。

本作最大の注目ポイントは、『LIVE! BOOTLEG』(1978年)のみで聴くことができた「Chip Away The Stone」の未発表スタジオテイクが収録されていること。この1曲のために当時本作を購入したというファンも少なくなかったはずです。実際、この曲は本作からシングルカットもされ(既存ライブ映像を使用したMVも制作)、ラジオヒットも記録しています。

今のようにサブクスやYouTubeも存在せず、過去のスタジオアルバムにまで手を出せなかった当時の中高生には本作に収録された「Rats In The Celler」や「Nobody's Fault」「Round And Round」「Jailbait」などはかなりカッコよく響いたものです。ここから『ROCKS』(1976年)『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)にも手を伸ばしていったビギナーは80年代後半、かなりの数存在していたはずですから。

コアなファンの中には、先述の『AEROSMITH'S GREATEST HITS』より本作のほうが好きという方も、意外と多かったりして。かくいう僕も本作、大好物ですからね。

 


▼AEROSMITH『GEMS』
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2022年4月11日 (月)

AEROSMITH『1971: THE ROAD STARTS HEAR』(2022)

2022年4月8日にされたAEROSMITHのレア音源集アルバム。日本盤は同年4月20日発売予定。

本作はバンドがアルバム『AEROSMITH』(1973年)でメジャーデビューするよりも前の、1971年に録音された貴重なリハーサル音源をコンパイルしたもの。昨年2021年11月には「Records Store Day 2021」の一環として、アナログ盤&カセットテープのみで数量限定販売されたものの、短期間で市場から姿を消した、ファンアイテムとしても非常に希少価値の高い1作として知られる作品でした。

先の限定発売から5ヶ月を経て、ついにCD&デジタルで一般流通が開始された本作。全8トラックで約38分という昔ながらのボリュームで非常に聴きやすい1枚です。内容的にも2分に満たないスタジオセッションを含む「Intro」から、のちにデビュー作『AEROSMITH』に収録されることになる「Somebody」「Walkin' The Dog」「Movin' Out」「Dream On」「Mama Kin」に加え、6thアルバム『NIGHT IN THE RUTS』(1979年)でリメイクされることになるジャズ・ギラムのカバー「Reefer Head Woman」、ライブアルバム『CLASSICS LIVE』(1986年)で初公開された「Major Barbra」のオリジナルバージョンと、非常に貴重な音源の数々を楽しむことができます。

音質的には決してベストとは言い難い、カセットテープ録音を元にした音源。そこに関してはマイナスポイントかもしれませんが、可能な限りレストアが施されていることで、今の耳でもそれなりに楽しむことができるはずです。むしろスピーカーを通して聴いていると、このラフなサウンドが生々しいバンドサウンドと相まって、逆に迫力が増すのではないでしょうか(と、僕は解釈して楽しんでおります)。

『AEROSMITH』収録曲の数々はスタジオ音源とは異なるアレンジや歌詞も見つけることができ、その未完成具合もファンとしては興味深いポイント。特に「Dream On」に関しては大きな違いを見つけることができることでしょう。スティーヴン・タイラー(Vo)がピアノを弾いて歌っている(であろう)アレンジと、ジョー・ペリー(G)のギターがそこまで主張が強くない点、そしてエンディングに3rdアルバム『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)収録曲の「You See Me Crying」のピアノフレーズがフィーチャーされていたりと、初期ならではの試行錯誤が透けて見えてきます。こういうメジャーキーに転調するエンディングも悪くないし、DEREK AND THE DOMINOS「Layla」と被るところもクスッと笑えます。

さらに、「Mama Kin」のAメロがギターフレーズ、メロディライン含めまったく異なる点も興味深い。この気の抜けたアレンジ、最初こそ違和感ありまくりでしたが、何度か聴いているとサザンロックっぽくてこれはこれでアリかもと思えてきました。こういう違いを楽しめるの、良いですね。

スタジオ作品としては『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』(2012年)以降、もはやニューアルバムには期待できそうにないAEROSMITH。今後はこうした秘蔵音源がどんどん掘り起こされて、新たにカタログの権利を取得したUniversal Musicを通して定期的にリリースされていくのかしら。それをバンドが望んでいるのであれば、こちらとしてはそれを受け入れるのみ。既存曲で構成されたベストアルバムを続発するくらいなら、レア音源集や未発表ライブアルバムにも期待したいところです。

 


▼AEROSMITH『1971: THE ROAD STARTS HEAR』
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2021年10月 6日 (水)

RUN D.M.C.『RAISING HELL』(1986)

1986年5月27日にリリースされたRUN D.M.C.の3rdアルバム。

80年代半ば、いわゆるMTV世代のポップスリスナーにとって初めて接したヒップホップがRUN D.M.C.かBEASTIE BOYSだった、という現在40代後〜50代前半の方は少なくないと思います。RUN D.M.C.の「Walk This Way」とBEASTIE BOYS「(You Gotta) Fight For Your Right (To Party!)」はともにBillboard Hot 100にてトップ10入りするほどのヒットになり、かつ2曲ともロック/ハードロックをベースにしたトラックなのでライト層の入り口としても効果的でした。当の僕もRUN D.M.C.の「Walk This Way」が初めて本格的に接するヒップホップとなり、続くBEASTIE BOYSの1stアルバム『LICENSED TO ILL』(1986年)とこの『RAISING HELL』がヒップホップの入り口になったのですから。

当時すでにAEROSMITHが大好きだった僕は、「Walk This Way」のカバーに本家(スティーヴン・タイラージョー・ペリー)が参加したMVをVHSテープに録画して、何度もリピートし。気づいたらレンタルレコード店でこのアルバムを借りていました。しかし、まだまだヒップホップ/ラップというものが斬新すぎた自分は、「Walk This Way」や「It's Tricky」「Raising Hell」といったギターが入ったトラックばかりを再生して、アルバム自体はそこまで深く聴き込んでいなかった記憶があります。サンプリング文化なんてものはまだまだ自分には未知の世界だったので、「It's Tricky」がTHE KNACK「My Sharona」のギターリフをサンプリングしているなんて気づいていませんでしたし、アルバム冒頭を飾る「Peter Piper」の元ネタがボブ・ジェームズ「Take Me To Mardi Gras」だと知るのも、そこから10数年以上経ってからでした。

1986年12月だったかな。RUN D.M.C.の初来日公演があって(確かNHKホールだった記憶が)、なぜかチケットを購入して行った記憶も。METALLICAに続いて人生二度目の外タレがRUN D.M.C.。なぜ行ったか? そりゃAEROSMITH目当てでしょうが(来るはずないのに)。このアルバムを聴くと、そんな淡い中学生時代の思い出がよみがえります。

本作の本当の魅力に気づいたのは、たぶん20代になってから。ラップやヒップホップがヒットチャートを賑わし、洋楽リスナーの中では当たり前のように定着して以降だったかな。幼い頃はギターの入った曲にしか興味を示さなかった自分が、ビート(音色や鳴りの違い)やスクラッチの気持ち良さに気づき、その流れでラップの気持ちよさにたどり着く。そうなると、冒頭の「Peter Piper」からすでに気持ちよく、シームレスに続く曲構成や低音の鳴りの心地よさ、音数が少ないからこそのカッコよさにどんどんハマっていくわけです。

今もそこまで真剣にヒップホップを聴き漁っているわけではないですし、自分にフィットするものに手を出して聴く程度のリスナーですが、そんな僕でも本作は初期ヒップホップの入り口、教科書として非常によくできた名作だと理解しています。深夜にヘッドフォンで、大音量で聴く気持ち良さといったら。ねえ?

にしても、先の「Walk This Way」はもちろんですが、「It's Tricky」や「You Be Illin'」といった曲が全米トップ100に入っていた80年代半ばって、本当に面白い時代だったなと。そんな時代を多感な10代半ばに過ごせたのは、今も音楽と触れる上で大きな財産だと思っています。

……と、今回は急に思い出話に花咲かせてみました。たまにはこういうのもね。

 


▼RUN D.M.C.『RAISING HELL』
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2021年10月 5日 (火)

AEROSMITH『O, YEAH! ULTIMATE AEROSMITH HITS』(2002)

2002年7月2日にリリースされたAEROSMITHのコンピレーションアルバム。日本盤は同年7月3日発売。

80年代後半にGeffen Recordsから『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)『GET A GRIP』(1993年)とメガヒット作を連発させ、90年代後半に再びSony Recordsへと移籍したバンドが、初めてレーベルの枠を超えて制作したベストアルバム。シングルヒット、ライブの定番曲を中心にセレクトし、新曲「Girls Of Summer」「Lay It Down」、そしてRUN D.M.Cとのコラボカバー「Walk This Way」をエアロ名義の作品に初収録した初のコンピ作品となっています。

70年代の選曲はまあこんなもんかな?という無難な内容に。一応黄金期のメンバー(ジョー・ペリー&ブラッド・ウィットフォード在籍時)での楽曲に限られているので、70年代は5thアルバム『DRAW THE LINE』(1977年)まで。80年代は再ブレイクを果たす「Dude (Looks Like A Lady)」以降で、『DONE WITH MIRRORS』(1985年)はスルーされています。仕方ない。

Geffen時代のヒットシングルはほぼ網羅かな。「Blind Man」や「Walk On Water」といった、Geffen時代のシングル曲をまとめた『BIG ONES』(1994年)からの楽曲は外されていますが。Sony復帰後のシングルは「Hole In My Soul」「Full Circle」(ともに『NINE LIVES』(1997年)収録)、「Fly Away From Here」「Sunshine」(ともに『JUST PUSH PLAY』(2001年)収録)がカットされています。「Hole In My Soul」はまだしも、それ以外はTOP100入りしていないので仕方ないですが。それに、「Hole In My Soul」を入れちゃうとDISC 2は本当にバラードばかりになっちゃいますしね。

「Pink」はシングル用のリミックスが施されたバージョン、そして初の全米No.1シングル「I Don't Want To Miss A Thing」、ラジオオンエア用に“4 letter words”が変更された「Just Push Play」はエアロ名義のまとまった作品に初収録。特に「I Don't Want To Miss A Thing」に関してはそれまで、映画『アルマゲドン』のサウンドトラックか同曲シングルを購入するしかなかったので、にわかファン ビギナーにはありがたい措置ではないでしょうか。

新曲2曲は、まあおまけ程度の内容かな。サイケポップ調の「Girls Of Summer」は「Pink」以降の流れを狙ったものなのかな。「Lay It Down」はお約束のパワーバラード。これもありきたりっちゃあありきたりかな。相変わらず高品質ですが。

日本盤CDにはここにボーナストラック4曲を追加収録。ライブの定番曲「Train Kept A Rollin'」(スタジオバージョン。できればライブバージョンがよかった)、「Toys In The Attic」、ビートルズのカバー「Come Together」、そして本作と同じ2002年公開の映画『スパイダーマン』サントラに収録された「Theme From Spider-Man」カバーというセレクトで、レア感が強いのは「Theme From Spider-Man」くらいかな。せっかく時代を追って曲が進んでいくのに、最新曲のあとにいきなり「Train Kept A Rollin'」で30年くらい逆戻りするのもねえ。考えものです。

なお、本作は2011年9月に『THE ESSENTIAL AEROSMITH』とタイトルを変え、アートワークも変更され再発に。同年11〜12月の来日公演にあわせて、日本では『マキシマム・ベスト』と題した3枚組仕様で発売されています。

そういえば、最近AEROSMITHはSony時代を含むすべてのカタログをUniversal Recordsに集約させることを発表したばかり(ソース)。これまで各種ストリーミングサービスでは、レーベルの枠を超えたコンピは歯抜け状態のものが多く、本作もApple MusicではGeffen時代の音源が聴けず、Spotifyではフルで聴けるという状況でした。近々こういった不都合も解決することになるのかと思うと、リスナーとしてはありがたいかぎりです。

 


▼AEROSMITH『O, YEAH! ULTIMATE AEROSMITH HITS』
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2021年7月14日 (水)

AEROSMITH『PANDRA'S BOX』(1991)

1991年11月19日にリリースされたAEROSMITHのCD3枚組ボックスセット。日本盤はかなり遅れて1994年4月21日発売(『GET A GRIP』ツアーにあわせて発売されたようです)。

Geffen Records移籍後の『PERMANENT VACATION』(1987年)『PUMP』(1989年)がバカ売れする中、古巣のColumbia / Sony Recordsが企画した本作には、1973年のデビューアルバム『AEROSMITH』から『ROCK IN A HARD PLACE』(1982年)までに発表した既発音源に加え、同期間のレコーディングセッションから生まれた未発表音源、ライブ音源、さらにはデビュー前の貴重なテイクなどを収めたファン垂涎の内容。この時期までにSony時代のベストアルバムにはシングル曲中心の『GREATEST HITS』(1980年)、ライブで人気の楽曲などを集めた『GEMS』(1988年)が公式リリースされていましたが、このボックスセット誕生はその2枚を超えるボリューミーな内容(全53曲/231分)ということもあり、かなり重宝した記憶があります(初版は縦長の分厚いボックスだったので収納に困りましたが……)。

基本的には時系列に沿った収録内容ですが、一部構成上の都合により前後するものもあります。DISC 1のオープニングを飾るのはAEROSMITH結成前夜、スティーヴン・タイラー(Vo)が在籍していたCHAIN REACTIONというバンドの「When I Needed You」という楽曲。1966年録音ということなので、AEROSMITHのデビューから7年前ということになります。いわゆる60's的なサウンドですが、エアロの1stアルバム『AEROSMITH』にも通ずるテイストは見つけられるはずです。

その後、『AEROSMITH』収録曲やアウトテイク、別バージョンなどがずらりと並ぶわけですが、DISC 1は基本的に同作と2作目『GET YOUR WINGS』(1974年)からの楽曲中心。DISC 2にはブレイク作となる3rdアルバム『TOYS IN THE ATTIC』(1975年)から5作目『DRAW THE LINE』(1997年)まで、DISC 3は『DRAW THE LINE』の続きから『ROCK IN A HARD PLACE』までの楽曲で基本構成されています。要するに、DISC 1は黎明期、DISC 2はブレイク期、DISC 3は衰退期と大雑把に分けられるわけですね。

DISC 1も味わい深いですが、やはりピークとなるDISC 2で体感できる熱量は相当なものがあります。例えば、伝説の『TEXXAS JAM 1978』からの未発表ライブテイク「I Wanna Know Why」や「Big Ten-Inch Records」、そして「Adam's Apple」の1977年ライブ音源からは名ライブアルバム『LIVE! BOOTLEG』(1978年)にも匹敵する生々しさ、どぎつさが感じられるはずです。

あと、個人的に興味深かったのがDISC 3冒頭に収録された「Kings And Queen」のライブテイク。これは『CLASSICS LIVE』(1986年)からの既発音源なのですが、キー(再生速度)が異なるんですよね。『CLASSICS LIVE』のほうが原曲よりキーが高く、本作のテイクのほうは原曲キーとなっている。それもあってか、原曲キーの本作収録テイクのほうが『CLASSICS LIVE』のテイクより収録時間が50秒くらい長いんです。こういうの、アナログ時代あるあるエピソードですよね(笑)。

DISC 3は後半に進むにつれて時系列がめちゃめちゃなんですが、Geffen移籍後に発表された企画盤にて初公開された未発表曲「Major Barbra」「Chip Away The Stone」を経て、1975年録音のビートルズ「Helter Skelter」カバー、そして名曲「Back In The Saddle」で締め括るという構成は全然アリだと思います(本当はそのあとに、隠しトラックとして1977年のアウトテイク「Circle Jerk」収録。デジタル版では曲名が表記されてしまっているので興醒めですが)。

Geffen移籍後はこういったボックスセットは制作されておらず、『O, YEAR! ULTIMATE AEROSMITH HITS』(2002年)で初めてレーベルの壁を超えたオールタイム・グレイテスト・ヒッツが完成。以降はこまめにコンピ盤を発表していますが、そろそろ全キャリアを総括する10枚組ボックスセットなんて代物が登場しそうな気がします(笑)。

 


▼AEROSMITH『PANDRA'S BOX』
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2021年1月 3日 (日)

祝ご成人(2000年4月〜2001年3月発売の洋楽アルバム20選)

少し気が早いですが、新成人の皆さんおめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で7回目を迎えます。いつもは成人の日前後に掲載しているのですが、今年は書けるうちに……と思い、3が日に企画記事を固めてみました。

この企画は「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に貴重な機会でもあり、同時に「どれを20枚に含めるか?」というセレクトにおいても非常に頭を悩ます良いタイミングとなっています。

改めて趣旨説明を。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2000年4月〜2001年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちら、2019年度の新成人編はこちらです)

 

AEROSMITH『JUST PUSH PLAY』(2001年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

AT THE DRIVE-IN『RELATIONSHIP OF COMMAND』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE AVALANCHES『SINCE I LEFT YOU』(2000年11月発売)

 

BJÖRK『SELMASONGS』(2000年9月発売)(Spotify

 

BON JOVI『CRUSH』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

COLDPLAY『PARASCHUTES』(2000年7月発売)(Spotify

 

DAFT PUNK『DISCOVERY』(2001年2月発売)(Spotify

 

DEFTONES『WHITE PONY』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

EMINEM『THE MARSHALL MATHERS LP』(2000年5月発売)(Spotify)(レビュー

 

ERYKAH BADU『MAMA'S GUN』(2000年11月発売)(Spotify

 

GORILLAZ『GORILLAZ』(2001年3月発売)(Spotify

 

GREEN DAY『WARNING』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

THE HIVES『VENI VIDI VICIOUS』(2000年9月発売)(Spotify

 

LIMP BIZKIT『CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『HYBRID THEORY』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

MADONNA『MUSIC』(2000年9月発売)(Spotify

 

PAPA ROACH『INFEST』(2000年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

QUEENS OF THE STONE AGE『RATED R』(2000年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

RADIOHEAD『KID A』(2000年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

U2『ALL THAT YOU CAN'T LEAVE BEHIND』(2000年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

残念ながらセレクトから漏れた作品も多く。以下に主だった作品をピックアップしておきました。

A PERFECT CIRCLE『MER DE NOMS』(レビュー
AMERICAN HI-FI『AMERICAN HI-FI』(レビュー
BACKSTREET BOYS『BLACK & BLUE』
BLACK LABEL SOCIETY『STRONGER THAN DEATH』(レビュー
BRITNEY SPEARS『OOPS!... I DID IT AGAIN』
FATBOY SLIM『HALFWAY BETWEEN THE GUTTER AND THE STARS』
DECKARD『STEREODREAMSCENE』(レビュー
GODSMACK『AWAKE』
HALFORD『RESURRECTION』(レビュー
THE HELLACOPTERS『HIGHT VISIBILLITY』(レビュー
IN FLAMES『CLAYMAN』(レビュー
IRON MAIDEN『BRAVE NEW WORLD』(レビュー
JACK JOHNSON『BRUSHFIRE FAIRYTALES』(レビュー
KYLIE MINOGUE『LIGHT YEARS』
MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』(レビュー
MARILYN MANSON『HOLY WOOD (IN THE SHADOW OF THE VALLEY OF DEATH)』(レビュー
MARVELOUS 3『READY SEX GO』(レビュー
MOTÖRHEAD『WE ARE MOTÖRHEAD』(レビュー
RAGE AGAINST THE MACHIE『RENEGADES』(レビュー
SiLVER GiNGER 5『BLACK LEATHER MOJO』(レビュー
UNDERWORLD『LIVE: EVERYTHING, EVERYTHING』(レビュー
ZEBRAHEAD『PLAYMATE OF THE YEAR』
V.A.『M:I-2 SOUNDTRACK』

2000年って振り返ると、サマソニが富士急ハイランドで初開催された年なんですよね。個人的にはあそこで観たMUSEとAT THE DRIVE-INの印象が(良くも悪くも)強く。あと、RAGE AGAINST THE MACHINEがその年の6月に単独来日を果たしているのですが、家庭の事情で参加できず。で、その年の11月に突如解散してしまった……なんてことも記憶に残っています。ちょうどこのサイトの前身(『とみぃの宮殿』)を始めて2年目から3年目というタイミングで、実は2000〜2001年頃に一度休止した記憶も。プライベートでも先の家庭の事情(家族の死)などもあって、バタバタしたタイミングで、実は音楽をそこまで真剣に聴いていたかと問われると……な時期でもあったことが思い出されます。

ということもあって、印象に残っているアルバム/20枚に残しておきたいアルバムのHR/HM比重が低くなっているのも印象的な1年かもしれません。そういえばこの時期、そんなに真剣に新興勢力(LINKIN PARKやPAPA ROACHなど)をリアルタイムでは聴いていなかったもんなあ。

まあ、個人的事情はさておき。国内に目を向けてもBLANKEY JET CITYの解散やLUNA SEAの終幕などありましたが、フジロックでそのブランキーやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTがトリを務めたり、エレカシが「ガストロンジャー」以降のファイティングスタイル集大成としてアルバム『GOOD MORNING』を完成させたり、Mr.Childrenが大傑作『Q』を発表したりと、いろいろ記憶に残る1年だったことも付け加えておきます。あと、2001年3月には宇多田ヒカル『DISTANCE』VS 浜崎あゆみ『A BEST』メガセールス対決っていうのもありましたね。

これら20枚からプレイリストも作ってみたので、よろしければ連休中の暇つぶしとして、あるいは成人式の合間の時間つぶしとしてお楽しみください。

 

2020年11月15日 (日)

AEROSMITH『CLASSICS LIVE II』(1987)

1987年6月にリリースされたAEROSMITH通算3作目のライブアルバム。

本作は『CLASSICS LIVE』(1986年)に続くシリーズ第2弾。前作はジョー・ペリー(G)&ブラッド・ウィットフォード(G)脱退後の音源も含まれていましたが、今作はオリジナルメンバーでの再始動後に行われたツアーから1984年12月31日(トム・ハミルトンの誕生日)のボストン公演を軸に、『DONE WITH MIRRORS』(1985年)を携えたツアーから「Let The Music Do The Talking」(1986年3月録音)、さらに1978年の伝説的イベント『California Jam II』 から「Draw The Line」を追加した“これぞAEROSMITH!”な内容。とはいえ、今回も全8曲と物足りないボリューム感が残念なところです。当時はまだ「完全収録」とか「ライブ再現」という概念よりも「作品としてパッケージすること」へのこだわりが強かったのと、あくまでLP1枚ものとして安価で提供することが大事だったんでしょうね。

選曲的にはどれも定番曲ばかりで、特に驚きはないかな。幸いというか前作と1曲も被っていないのだけは救い。「Let The Music Do The Talking」のライブテイクのカッコよさを堪能できたり、初期の「Movin' Out」を楽しめること、伝説の『California Jam II』 からの音源に触れることができるところは“売り”なんでしょうね。あと、トムの誕生日ということで「Walk This Way」の前にはスティーヴン・タイラー(Vo)が「Happy Birthday To You」を歌っているのも、オマケ要素としては大きいかも。

ところがですね。本作もサウンド(というかミックス)状態が非常に悪くてですね。なんですか、このモコモコとこもったドラムのミックスは! 前作から引き続きポール・オニールがプロデュースに携わっており、かつ今回はバンドもプロデューサーとしてクレジットされているのに、相変わらずの劣悪状態。前作を踏襲したものなんでしょうけど、ここだけは改善してほしかったなあ。

現在はシリーズ2作を1枚にまとめたCDも販売されていますが、この音なので統一感はありますよね(笑)。でも……今や「Let The Music Do The Talking」もライブDVD付属のCD音源で聴くことができますし、もっと言えば『CLASSICS LIVE』シリーズよりも音の良いブートがたくさんありますしね(苦笑)。これがいまだにカタログとして生き残っているのが不思議で仕方ありません。

この先、リミックス&リマスターされるなんてこともないでしょうし、「エアロの音源ならなんでも聴きたい!」というマニア向けの1枚ですね。これ聴くくらいなら『LIVE! BOOTLEG』(1978年)『A LITTLE SOUTH OF SANITY』(1998年)だけで十分ですよ!

 


▼AEROSMITH『CLASSICS LIVE II』
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2020年1月29日 (水)

DESMOND CHILD『DESMOND CHILD LIVE』(2019)

2019年10月末にリリースされた、デズモンド・チャイルドのライブアルバム。日本盤未発売(2020年1月末時点)。

ご存知のとおり、デズモンド・チャイルドは職業作家としてBON JOVIAEROSMITHKISSアリス・クーパーなどに楽曲提供および共作を続けてきたアーティスト。さらにプロデューサー業のほか、自身もシンガーとして70年代にDESMOND CHILD & ROUGE名義で2枚のアルバム、90年代にはソロアルバム『DISCIPLINE』(1991年)をリリースするなど音楽家としても知られています。

その彼が、『DISCIPLINE』以来28年ぶりにソロ名義でのアルバムを発表しました。本作は2018年3月1〜3日にニューヨークで行われた、40年以上にわたるデズモンドのミュージシャン人生を祝すスペシャルライブの模様を収めたもの。当日は彼が過去に手がけた楽曲のほか、DESMOND CHILD & ROUGEの楽曲、さらにはローラ・ニーロ「The Man Who Sends Me Home」、ジョージ・マイケル「Fast Love」といったフェバリット・ナンバーのカバーも披露sれています。

アルバムにはこのうち、デズモンドの作家人生を総括するようなヒットナンバー、隠れた名曲などをピックアップ。彼自身が歌うナンバーもあれば、ハウスバンドのギタリストや女性コーラスが歌うものも含まれており、原曲の良さをできる限りベストな状態で伝えようとする意思が伝わってきます。

内訳的にもBON JOVIから「Livin' On A Prayer」「You Give Love A Bad Name」「(You Want To) Make A Memory」、AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」、KISS「I Was Made For Lovin' You」、JOAN JETT & THE BLACKHEARTS「I Hate Myself For Loving You」、HANSON「Weird」、マイケル・ボルトン「How Can We Be Lovers?」、シェール「We All Sleep Alone」、リッキー・マーティン「The Cup Of Life」「Livin' La Vida Loca」「Shake Your Bon-Bon」「She Bangs」(以上、4曲メドレー)、そしてDESMOND CHILD & ROUGEの「Love On Rooftop」(のちにシェールもカバー)、ブロードウェイ・ミュージカル『CUBA LIBRE』から「Where Do I Go From You」と実に幅広い選曲。ここにエアロ「What It Takes」「Crazy」やアリス・クーパー「Poison」、BON JOVI「Keep The Faith」あたりも入っていたら最高だったんですけどね(笑)。

まあ、バンドメンバーがハードロック畑の人ではなくAOR流れの人たちなんでしょうか。演奏はエッジが効いた感じではなく心地よさを重視した、悪く言ってしまえば「毒にも薬にもならない」安パイなもの。まあ曲の良さを伝えるという点においては、この形がベストなんでしょうね。それに、デズモンドもすでにいい年齢(この時点で64歳)ですから、これくらいのヌルさがちょうどいいのかもしれませんし。

にしても、本当にいい曲を書くソングライターだなと改めて実感。もちろん、どの曲も彼ひとりで書いたものではなく、それぞれのアーティストとの化学反応あってこそですが、仮に楽曲の骨格をアーティスト自身が作ったものであったとしても、そこにデズモンドが一手間加えることでスペシャルなものになるわけですからね。そのセンス、才能は飛び抜けたものがあるってことなんでしょう。じゃなかったら、ここまで知ってる曲連発のライブアルバムなんて作れないわけですから。

あと、BON JOVIの中でも比較的地味なヒット曲に含まれる「(You Want To) Make A Memory」をアルバムラストに選ぶあたりに、彼のこだわりやセンスが感じられるかも。この曲、派手さは皆無だしジワジワ盛り上がっていく構成といい本当に地味なんですけど、変な中毒性があるんですよね。

以前、こんな職業作家の記事を書きましたが、今回の記事とあわせて読んでいただくことで、デズモンドを含む職業作家の面白さに気づいてもらえたら幸いです。

 


▼DESMOND CHILD『DESMOND CHILD LIVE』
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2019年1月20日 (日)

VINCE NEIL『TATTOOS & TEQUILA』(2010)

2010年6月リリースの、ヴィンス・ニール通算3作目のソロアルバム。過去2枚のソロアルバム(1993年の1st『EXPOSED』、1995年の2nd『CARVED IN STONE』)はMOTLEY CRUE脱退中に発表されたものなので、本作『TATTOOS & TEQUILA』はバンド在籍中に唯一発表したソロアルバムということになります。



過去2枚には“良き時代のMOTLEY CRUEの模倣”(『EXPOSED』)、“HR/HM冬の時代にヒップホップなど流行へ迎合した”(『CARVED IN STONE』)といったテーマがありましたが(ヴィンスが公言したわけではなく、ファン側が勝手に解釈したもの)、本作はズバリ“自身のルーツナンバーをストレートにカバーする”というもの。全11曲(日本盤のみボーナストラックを含む12曲)中、オリジナル曲は2曲のみで、ほかはCHEAP TRICK、SWEET、AEROSMITHSEX PISTOLS、THE HOLLIES、SCORPIONS、CCR(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)、エルヴィス・プレスリー、エルトン・ジョンZZ TOPの名曲の“カバーという名のコピー”となっています。


選曲は大半が70年代のもので、つまりヴィンスがMOTLEY CRUEを始める前まで聴きまくったナンバーばかりといったところでしょうか。実際にバンドでカバーしたものも少なくないと思います。CHEAP TRICKがデビューアルバムからの「He's A Whore」だったり、AEROSMITHが名盤『ROCKS』収録のヘヴィチューン「Nobody's Fault」というあたりには、ヴィンスなりのこだわりも感じられます。


また、モトリーでもカバーしたSEX PISTOLSを再びピックアップしていたり、かと思えばエルヴィス「Viva La Vegas」やエルトン「Bitch Is Back」を選曲するたりも、彼のポップセンスやフロントマンとしてのセンスみたいなものを感じたり。まあ、何の捻りもないんですけどね(笑)。



2曲のみ収録されたオリジナル曲のうち、タイトルトラックとなる「Tattoos & Tequila」はプロデューサーであるマーティ・フレデリクセン書き下ろしのミドルナンバー。もう1曲の「Another Bad Day」は盟友ニッキー・シックスとジェイムズ・マイケル、そしてトレイシー・ガンズ(L.A. GUNS)によるミディアムバラード。もともとはモトリー用(おそらくベストアルバム『RED, WHITE & CRUE』かオリジナル作『SAINTS OF LOS ANGELES』向け)に書かれたそうですが、トミー・リーが気に入らなかったためお蔵となった1曲とのこと。まあ『SAINTS OF LOS ANGELES』には合わないポップな曲調なので、外れてよかったのかも。


全体を通して、ヴィンスが持つ陽のイメージがそのままパッケージされた、非常に聴きやすい1枚。『EXPOSED』ほどの派手さはないものの、あのアルバムとの共通項も多数見受けられるので、初期モトリーなどが好きな方なら素直に受け入れられる作品集だと思います。


なお、このアルバムでバックを務めるのは、ジェフ・ブランド(G)、ダナ・ストラム(B)、ゾルタン・チェイニー(Dr)という布陣。ご存知の方もいるかと思いますが、この3人はSLAUGHTERの現メンバーでもあるので、マーク・スローターとヴィンスを入れ替えただけなんですよね。LA界隈、狭いなあ。


 



▼VINCE NEIL『TATTOOS & TEQUILA』
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