AFI『DECEMBERUNDERGROUND』(2006)
今やアメリカでのゴス人気っていうのは本物らしく、「パンキッシュでちょっとメタリック、それでメンバーがゴスメイクしてればバカ売れする」なんて冗談があるくらい、軽いゴスメイクをしたパンク系バンドがチャートを席巻してたりするんですよね。
んで、上に書いたようやたとえが冗談にならないくらい、今のアメリカではAVENGED SEVENFOLDやMY CHEMICAL ROMANCEのようなバンドが10代の女の子から絶大な支持を得ていて、それがアイドル並みの人気だというんだから‥‥そうか、あれだ。アニメキャラがウケるような感じだ。そうに違いない。だってここに挙げたバンドに共通することといったら、もともとスクリーモ系のバンドでライト・ゴスなメイクをしてたってことくらいしか見つからないもの。
さて。そんな2バンドよりも先にメジャーシーンに飛び出したのがAFI。彼らの歴史は結構古いのですが、前作「SING THE SORROW」がいきなり米・ビルボードのトップ5入りしちゃったもんだから、さぁ大変。そういやぁPVでは日本のアニメキャラみたいなのが出てきてたし、実際メンバーの何人かは日本のアニメ(しかもマニアックなもの)にかなり精通してたような記憶が‥‥なるほど、タイミング的には間違ってなかったわけですね。これでDir en greyがアメリカでウケる理由も何となく見えた気がした。
そんなAFIが約3年ぶりのアルバム「DECEMBERUNDERGROUND」をリリースしたんですが、これがなんとビルボード初登場1位を記録。もちろんこれは彼らにとって初めてのことだし、セールス的にも発売1週目で前作の記録を軽く抜いてしまったそうな。これまたタイミングが絶妙だったわけですね。ウヒャー。
サウンド的には決してドンズバのゴシックロックというわけではなく(ここでいうのはBAUHAUSやSISTERS OF MERCYなんかね)、ここ最近流行ってるゴスパンク/ポップパンクの流れにあるもの。時々スクリーモ的なシャウトも入りつつ、基本的にはポップなメロディと疾走感あるプレイ。ただこのアルバムを聴くと結構アレンジに力を入れてるというか、風変わりな曲調がいくつか見受けられるのね。GREEN DAYがパンク一辺倒だった時期に、ロカビリーだとかパワーポップの要素を強めていったみたいなことが、このアルバムからも感じられるわけ。要するに、バンドとしてはかなりレベルアップしてる、と。そういやぁこのアルバムのプロデュースって、そのGREEN DAYを手がけたJERRY FINNが担当してるんですよね。なんかそれも納得な気がする。
そういえばこのアルバムのEU盤にはボーナストラックが2曲収録されていて、その内の1曲がNINE INCH NAILSの "Head Like A Hole" のカバーなんですよね。これが直球というか、まんまなのが微笑ましくて笑えます。NINもゴスの影響下にあるバンドだし、現在USではそのBAUHAUSと共にツアーしてたりしますしね。巡り巡って繋がっていくんだなぁというのを感じさせる1曲ですな。