aikoの通算12枚目のシングルにして、2003年最初のリリース音源となるこのシングル。いつも通りの3曲入りマキシシングルとなっております。にしても‥‥この人の楽曲のクオリティーの高さってハンパじゃないですよね。何時からだろう、俺が彼女に対してただならぬ感心を寄せるようになったのは‥‥Mr.Childrenの桜井和寿やスピッツの草野マサムネが彼女を注目していると発言してからだろうか。いやいや、もっと前かな。単純に "花火" や "カブトムシ" って楽曲が好きだったってのもあるし。でもね、彼女のルックスだけは‥‥惹かれるものがなかったのね。俺、女性シンガーを好きになる時ってやっぱりビジュアル面やルックスも含めて好きになる事が多いから。
けど、何時からだろう。aikoの事を本当にカワイイと感じるようになったのは‥‥少なくとも最新アルバム「秋 そばにいるよ」の時には完全にハマッてたような気がするし。けど「夏服」の頃はまだ楽曲にしか興味が湧かなかった。ということは、その2枚のアルバムの間‥‥1年数ヶ月の間に何かがあったってことか。その間といえば、aikoが声帯を痛めて休んだりしてた頃か‥‥それに何か関係があるのかな。いやないか。
で、今回の新曲ジャケット。まずビックリしたのは黒髪aikoですよ。aikoっていうとやっぱり茶髪ってイメージが強かったんだけど、ここまでハッキリした黒髪にされちゃうと、思わずドキッとしちゃう。しかもCDブックレットの写真を見るとどれも髪の長さが違ってたり、服装も表情も違ってて更にドキリ。
同意してもらえないかもしれないけど、aikoってやっぱり美人だと思う。しかもかなり古風な顔立ちのように思います。なんつーか、古き良き時代の日本人女性の顔立ちっていうか。それが黒髪に戻したことによって更に強調されてるのね。一般的に見たら美人ではないのかもしれないし、かなり個性的な顔だと思うんだけど‥‥どうも俺はそこに「エロ」を感じてしまうのね。
あ、そこ。「変態」とか言わない。言わない約束じゃないか。
んで、やっと曲の方に触れるわけですが(遅いよ)‥‥この人のメロディセンスといい歌詞のセンスといい、確かに上に挙げたようなアーティスト達がリスペクトを表明する意味がよく判りますよね、aikoの曲を聴くと。しかもそれが全く衰えない。リリースペースも上の大物クラスと比べると結構な枚数を出してるんですよね(年にシングル3枚、アルバム1枚ですから、少なくとも20曲近くは新曲を発表してるわけだし)。アレンジャーの力量もあるんでしょうけど、コード使いが本当に勉強になるというか、凄く難しいことを平気でやってのけてるんですよ。そしてそれに載る流れるようなメロディも非凡でドキリとさせられるものが多い。更にそのメロディに載る歌詞。男の俺から見てドキッとするような表現から、異性にも関わらず共感出来て胸が切なくなってしまう表現まで。比喩が上手いというのもあるけど、なんだろう、歌詞を読んでると情景が浮かぶんですよね。絵が浮かびやすい歌詞。決して難しい比喩を使ってるわけではなく、判りやすい表現なのにそのセンスが普通じゃない。このさじ加減が難しいんですよね。
表題曲"蝶々結び"は過去のaikoヒット曲同様、ストリングスやブラスを全面的に導入したファンキーなポップチューン。春っぽい爽やかで軽やかなノリの良いこの曲、メロディもさることながら、インスト部のコード進行が相変わらず難解。つうか普通のポップシンガーはこんなコード使わないし、ってなコードを沢山使ってるんだよなぁ。恐るべし。そして続く"雨の日"はちょっとBEATLESチックなマイナーポップ。何だかENUFF Z'NUFFにも通ずる要素があるよね。ピアノのリフに絡むギターのストロークといい、aikoのスキャットに絡むベースラインといい、メッチャ俺のストライクゾーン。正直、表題曲よりも好き。決してシングルのリーダートラックにはなることないだろうけど、こういう曲がカップリングやアルバムに入ってると、本当に嬉しかったりするんだよね。こういう曲があるからこそ、リーダートラックが更に映えるというね。更に3曲目"帽子と水着と水平線"はピアノとハモンドが気持ちいいアッパーなポップチューン。間奏のチープなリズムボックスだけになるパートとか、ピアノソロやオルガンソロ、そのバックを支える手数の多いドラムといい具合に歪んだベース。何だか豪華なBEN FOLDS FIVEって感じだよね(ちょっと聴いた限りではこの曲、実際にギターレスだしね)。
と、こうやって今回リリースされた3曲も文句なしに楽しめる作品に仕上がっていて、如何にも「春~初夏」をイメージさせるポップチューンばかり。ホントこういう時期に聴くには持ってこいの1枚。晴れた休日のカーステレオからは"蝶々結び"や"帽子と水着と水平線"みたいな明るいポップチューンが流れ、また雨の休日には部屋から"雨の日"が流れ出す‥‥ってまんまじゃないか!と突っ込まれそうですが、ホントそんな1枚なんですってば。
俺、aikoのシングルってまともに買ったためしがないんですよ。買ってもせいぜい中古流れ、しかもリリース時期からかなり遅れて買ってる程で。どういうわけか俺の中では「aiko=アルバムアーティスト」っていう図式が勝手に出来上がってしまってたんですが、勿論アルバムもいいけど、やっぱりこの人はこういうシングルでその魅力が更に発揮されるアーティストなのかなぁ、と今回改めて思い直しました。だってaikoのシングルに関しては、この3曲を視聴して、そのままCD持ってレジへ向かったのって、今回が初めてだもん。aiko好きには勿論のこと、こういうポップスに抵抗のないロックファンにもちゃんと聴いて評価して欲しいアーティスト/シンガーですよね。そういう魅力を十分に発揮するシングルです。
▼aiko『蝶々結び』
(amazon:国内盤CD)