2017/04/27

ALICE IN CHAINS『FACELIFT』(1990)

ALICE IN CHAINSが1990年に発表したメジャーデビューアルバム。本格的なブレイクは本作以降に発表されたシングル「Would?」(映画『SINGLES』のサウンドトラックに先行収録)と、続く2ndアルバム『DIRT』(1992年)からになりますが、この『FACELIFT』という作品の果たした功績は計り知れないものがあります。

僕が彼らのことを、そしてこのアルバムのことを知ったのは、当時の友人からの勧め、そしてMETALLICAのメンバー(確かカーク・ハメットだったと記憶してます)がインタビューで最近の愛聴盤としてALICE IN CHAINSの『FACELIST』を挙げていたこと。それと前後して本作からシングルカットされた「Man In The Box」がMTVなどで大反響を呼んでおり、ちょうど少しずつ知名度を高めつつあるタイミングでした。そして、彼らの知名度を一気に引き上げる結果となったのが、1991年に入ってから行われたANTHRAX、SLAYER、MEGADETHらによるパッケージツアー『CLASH OF THE TITANS』に参加したこと。スラッシュメタル勢と並んだときの弱さはあったものの、ここから彼らの快進撃は始まり、その後はVAN HALENとの大々的なツアーに参加したことでさらに人気を高めていくのでした。

その後METALLICAがこの『FACELIFT』から影響を受けたかのようなミドルテンポ中心の作風へとシフトチェンジするなんて、本作が発表された頃は感がもしなかったでしょう。確かにMEGADETHやSLAYERといったバンドがALICE IN CHAINSに目をつけたのはさすがと思いますが、いかんせん当時の彼らのサウンドとの相性は良好とは言い難かった。しかし、VAN HALENの客層とはなぜかマッチした。それはなぜか?

実はALICE IN CHAINS、このアルバムに至る前はLAメタルからの影響バリバリなサウンドのバンドだったのです。のちにリリースされるボックスセット『MUSIC BANK』(1999年)には80年代末のデモ音源が収録されていますが、これがRATT顔負けなハードロックでして(苦笑)。「WE DIE YOUNG」のMVを観ても、その片鱗は存分に感じられますし。人に歴史ありですね。

実際『DIRT』以降のアルバムと比較してみても、この『FACELIFT』は若干その色が残っている……気がしないでもない。『DIRT』以降ほど複雑怪奇なアレンジではなく、比較的わかりやすいハードロックで構成されているあたりも、その片鱗と言えるでしょう。事実、レイン・ステイリー(Vo)在籍時の作品群の中でも、もっともスルスル聴けてしまう、あまりクセのないアルバムですし。

思えば「We Die Young」「Put You Down」のストレートさも、「Man In The Box」や「Sea Of Sorrow」のポップさも、「Love, Hate, Love」のダークさも、「I Know Somethin (Bout You)」のファンクメタル感も、「Real Thing」のブギー感も、他のバンドがやれば普通のハードロックとして通用してしまうものばかり。これをレインのおどろおどろしい歌唱スタイルとジェリー・カントレル(G, Vo)が被せるハーモニーと粘っこいギターが融合することで、ちょっと“普通じゃない”ものが完成する。これがALICE IN CHAINSの原点なんでしょうね。

その「ちょっと“普通じゃない”もの」がいろんな要因(ひとつはレインのドラッグ癖も大きいと思う)が重なりあうことで、「まったく“普通じゃない”もの」へと進化していった。それが『DIRT』であり『JAR OF FLIES』(1994年)であり『ALICE IN CHAINS』(1995年)だったんだろうなと、今になって思うわけです。そして、『FACELIFT』や『DIRT』がその後のロックシーンに与えた影響がいかに大きなものだったかも、改めて実感するわけです。まさか『FACELIFT』を聴いたとき、それから1年ちょっとであそこまでHR/HMシーンが変革を起こすなんて考えもしなかったけどね。



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投稿: 2017 04 27 12:00 午前 [1990年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2004/10/19

とみぃ洋楽100番勝負(62)

●第62回:「We Die Young」 ALICE IN CHAINS ('90)

 ALICE IN CHAINSも衝撃だったなぁ‥‥って衝撃ばかりですね、俺にとっての'90年って。いや、でも本当にそうなんですよ‥‥この年って俺にとっては暗黒の1年でして。所謂「浪人生活」を送った1年で、本当に音楽にしか頼れなかった1年なんスよね。音楽にすがってたと言っても過言じゃないくらいに‥‥

 浪人中も予備校で仲良くなった奴らはみんな音楽好きだったし、当時付き合うことになった子も音楽繋がりで浪人生だったっつーね。ま、それは余計な話なんで割愛しますが。

 高校時代以上にまたいろんなジャンルを聴く奴らと仲良くなるわけですよ。で、また世界って広いんだなと再認識して。所謂オルタナ系に片足突っ込んだのもこの頃だし、メタルにしてもジャーマン系(BLIND GARDIANとかRAGEといった連中)に手を伸ばしたのもこの頃。全部周りの影響な。あ、ノイズとか訳判らないジャンルもこの頃か。ジョン・ゾーンみたいなのも聴かされたなぁ‥‥

 んで、ALICE IN CHAINSも友人からのオススメで。「SOUNDGARDENとかJANE'S ADDICTIONが好きなの? じゃあ絶対にオススメだから!」ってCD屋(多分新宿シスコ)で握らされたのが、このアリチェンの「FACELIFT」っていうアルバム。秋頃かなぁ‥‥俺が十二指腸潰瘍で倒れる前だから。一番混沌としてた時期。そんな時期にこのアルバム聴かされちゃあねぇ‥‥ハマるわな、そりゃ。

 1曲目にいきなりこの "We Die Young" が入ってるわけですよ。今のMETALLICAにも通ずるヘヴィなリフからスタートして(ってMETALLICAが彼等に影響を受けたわけですが)、いきなり爬虫類系の声で「Scary on the wall〜」って歌い出すわけですよ。でサビが「Faster we run, and we die young」ですからね。しかも二声ボーカルで。曲によっては不協和音っぽい二声で歌ってて、気持ちいいんだか悪いんだか。ま、気味悪さは天下一品でしたね。

 ヘヴィで独特な世界観があって曲が良くてメロディアスで。その後のグランジとかはギターソロ排除の方向に進んでいったけど、アリチェンってしっかりとしたソロがちゃんと入ってるんだよね。元々LAメタル系のバンドをやってただけあって、その辺の癖は抜けてないというか。ま、だからこそハマったのかもしれないけど。

 '93年に観た、唯一の初来日公演には東京2日間とも足を運びました。こういう見せ方もあるんだな、とホントに驚かされる2日間でした。けど‥‥やはり長続きしないバンドでしたね‥‥そして‥‥悲しいくらいに悲惨なエンディングを迎えて。そんなシナリオ、いらなかったのに‥‥そういう悲壮感とか不幸さは全部、音楽の世界だけにしとけばよかったのにね。



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投稿: 2004 10 19 12:00 午前 [1990年の作品, Alice in Chains, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/03/26

ALICE IN CHAINS『ALICE IN CHAINS』(1995)

早いもので、レイン・ステイリーがこの世を去ってから2年近くも経ってしまった。いや、ことALICE IN CHAINSの不在という意味で考えれば、ベスト盤リリースから約5年、オリジナルアルバムでいえば約10年ということになるのかな‥‥え~っ、そんなに時間が経ったの!?って疑ってしまう程、俺の中での「ALICE IN CHAINSに対する想い」はずっと1994~5年頃で止まったまま。もっと言っちゃえば、唯一の来日公演となった93年秋から時間が止まったまま。あの時の衝撃は未だに忘れられないし、自分の中でのロック史上、歴史的瞬間だったことは改めて書くまでもないでしょう。

そんな3度目の春を迎える前に、改めてALICE IN CHAINSの功績について語っていきたいと思います。今回はサードアルバムにして、オリジナル作品としてはラスト作となった、このセルフタイトルのアルバムを紹介したいと思います。

前作『DIRT』(92年)リリース後、暫くしてベーシストが交代、最後まで在籍したマイク・アイネズ(元OZZY OSBOURNE)が加入し、93年秋には初来日を果たし、そのすぐ後にミニアルバム『JAR OF FLIES』をリリース。これがミニアルバムにも関わらず、全米初登場1位を記録。純粋たる新作というわけではなく、肩の力を抜いた、遊び心満載な1枚なのにも関わらず1位‥‥時代が彼らを求めていたということでしょうか?

その後、レインのドラッグ問題等が公になり、表立った活動が少なくなっていくのですが、秘密裏に新作制作は続いており、結局『JAR OF FLIES』から2年、『DIRT』から数えて3年という期間で完成~リリースとなったのが、このサードアルバムというわけ。当然ながら、このアルバムも初登場1位を記録、レインのドラッグ癖が原因でツアーらしいツアーがなかったものの、アルバムは見事に2~300万枚も売り上げたのでした。

このアルバムというと、やはりそのサウンド以上に「日本盤リリース遅延&ジャケット変更事件」が話題となり、そちらの方で覚えている人が多いんじゃないでしょうか? 理由はこう‥‥右のアメリカ盤ジャケットでは、3本足の犬が描かれていたり、アルバム・ブックレットや裏ジャケに「奇形」ばかりを集めた、正しく「フリークス」写真&イラスト満載なアートワークで、これに日本側が難色を示し、バンド側に「日本盤のジャケット変更」を依頼したものの、却下され続けた、というお話。結局、右下のようにシンプルな形ならOKということで、US盤リリースから約1年後にようやくリリースとなったのでした。

さてさて。続いてアルバム内容について。前2作にあったようなヘヴィメタリックで硬質な色合いが後退し、もっと生々しくてラフな印象が強くなりました。カッチリ作り込まれたかのようなサウンドだった『DIRT』との大きな違いは、その「ライヴっぽさ」に表れていると思います。これはプロデューサー/エンジニアが変わったことも大きいでしょうし、楽曲の質感や構成がそれまでと大きく変わったことも影響していると思います。

演奏自体も1曲1曲が長尺なものが多く、それらは計算した構成というよりも、もっと即興性を重視したジャム・セッション風のアレンジになっていて、その辺も「ライヴっぽさ」を強調してるのではないでしょうか? バンドがこういう方向に走ったのは、恐らく‥‥ドラッグによるレイン不在が大きく影響してるのではないでしょうか。歌えるような状態になかったとも言われていますし、実際歌のパート以上にインストパートが長い曲もありますし、ギタリストのジェリー・カントレルのボーカル比重もかなり増えています。彼がリードボーカルを取る曲すらありますからね。またそのレインのボーカルも、そのまま使えるようなテイクがなかったのか、電子的なエフェクトを掛けていたり、ワザとボリュームを絞っていたりして、「それらしく」聴こえるように工夫されています。これが却って「らしい」雰囲気を醸し出していて、アルバムに好影響を与えています。

そういったこともあって、前2作のような「一聴して判るような派手さ」はないものの、もっと精神世界に訴えかけてくるヘヴィさが特徴といえるでしょう。また、ただヘヴィ一辺倒というわけでもなく、『JAR OF FLIES』で得た要素‥‥メジャーキーを多用したポップでフォーキーな路線等も上手く取り込み、アルバムとしてのバランス感は全3作中一番なのでは?と個人的には思ってます。そういった意味では「ALICE IN CHAINSの完成型」がこのアルバムだったのかな、と‥‥なんて、ここで「止まって」しまったから、そういう風に言えるわけですが。

どの曲がヘヴィで、どの曲がポップで、どの曲がイチオシとか、そういった類のことは今回書きません。何故なら、このアルバムこそ頭からラストまで、ぶっ通しで聴いて欲しい「世界観」を持った作品集だから。あまりに(精神的に)ヘヴィ過ぎて、途中でストップボタンを押してしまう人もいるかもしれませんし、「日本盤のボーナストラック(「Agains」のリミックス2種類)、邪魔!」って思う人もいるでしょうし、「これよりも、もっとヘヴィな作品、いくらでもあるじゃん!」って不満をこぼす人もいるでしょう。けどね‥‥もしあなたが、このアルバムを日本盤で購入したのなら、まず1度通して聴いてもらい、その後歌詞(というよりも、対訳)を読みながらもう1度聴いてもらいたい‥‥ここで初めて「ALICE IN CHAINSの世界観」が完成するのですから。

今現在、若い子達‥‥リアルタイムでの実働を知らない世代‥‥がALICE IN CHAINSに対してどういった評価をしているのか判りません。正直に言ってしまえば、知りたくもない‥‥10年前、一部を除いて全くといっていい程盛り上がってなかった「シアトル」「グランジ」といったキーワード。単純に「ハードロック」「パンク」「オルタナ」といった括りで接することの多かった俺からすれば、正直どうでもいいんですよ、シアトルだのグランジだのは‥‥ただただ、ALICE IN CHAINSやNIRVANA、PEARL JAM、SOUNDGARDEN、SMASHING PUNPKINSといった最高にカッコいいバンドが、最高に素晴らしいアルバムをリリースしていた、と。ただそれだけなんですよ。



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投稿: 2004 03 26 12:00 午前 [1995年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク

2002/04/24

ALICE IN CHAINS『DIRT』(1992)

「アリス・イン・チェインズ」ボーカル変死
米国の人気ロックバンド「アリス・イン・チェインズ」のボーカル、レイン・ステイリー(34)がシアトルの自宅で死んでいるのが19日、見つかった。20日に地元当局者が明らかにしたところでは死因は不明。遺体は腐敗が始まっており、ステイリーと確認されるまで検査が必要だった。アリス・イン・チェインズは'90年にアルバム「フェイスリフト」でデビュー。麻薬などをテーマにした暗く不気味な音色で人気を集めた。
     ‥‥2002年4月22日「スポーツ報知」より

ご存じの通り、ALICE IN CHAINS(以下AICと略)は95年秋リリースのサードアルバム『ALICE IN CHAINS』リリース後、表だった活動をしていない。レインの重度のドラッグ癖が原因と言われていた。サードアルバムリリース後はMTVでのアンプラグド出演やKISSのリユニオン・ツアーの前座として数回ライヴを行った程度。レコーディングに至っては98年秋にボックスセット用に録音した「Get Born Again」など数曲のみ(レインは単発でRAGE AGAINST THE MACHINEのメンバーらとCLASS99というユニットで映画のサントラにPINK FLOYDの「Another Blick On The Wall (Part 2)」カバーを録音している)。バンドはほぼ解散状態だったといっていいだろう。

しかし、それでもバンドは公には解散発表はしていない。ギターのジェリー・カントレルは97年に初のソロアルバム『BOGGY DEPOT』をリリースした際の取材で「状況が整うのを待っている」というような発言をしていたはずだ。そう、バンドのメンバーはレインの克服を根気よく待っていたのだろう。先の新曲録音も奇跡に近かったのかもしれない(たった1曲しか録音されなかったという事実が全てを物語っていると思う)。そして、完全復活は叶わぬ夢となってしまった‥‥

NIRVANAの現役時代を知らない10代のファンでも、メディアでの扱われ方等から彼等が如何に凄かったかを想像することが出来るだろう。SMASHING PUMPKINSはついこの間まで活動していたわけだし、PEARL JAMは未だ現役だ(日本のメディアでの扱われ方には疑問が残るが)。SOUNDGARDENは解散して暫く経つものの、ボーカルのクリス・コーネルがRAGE AGAINST THE MACHINEの残党とCIVILLIAN(のちのAUDIOSLAVE)というバンドを結成したことで関心が向けられつつあったし(結局クリスは脱退してしまったが)、シアトル出身ではないものの、STONE TEMPLE PILOTSも解散の危機を乗り越え、順調にリリースを重ね、最近ではツアーも行っている(相変わらず日本へは93年11月以来来ていないがために、その評価は低いが)。

しかし、AICはどうだろう? 名前は知っていても、その音に触れたことのある10代のロックファンはどれだけいるのだろう?

アーティストの死が切っ掛けで、初めてその音楽に触れるというケースはよくあることだ。過去にもhideを敬遠してきた洋楽ファンが彼のソロアルバムやzilchのアルバムに触れて、その音楽の素晴らしさに気付いたといったことがあった。そういう形で彼等の音に接することに不快感を示す者も多いだろう。しかし、こんな過小評価されてきた状況を打破するいい切っ掛けではないだろうか?

きっとこれまで表だって取り扱ってこなかった雑誌メディア(rcokin'on等)がここぞと追悼特集を組むのかもしれないが、その前にまず音に接して欲しい。そう思って今回、急遽予定していたオススメ盤と差し替えて、この92年リリースのセカンドアルバムを紹介することにしたのだから。

この「DIRT」というアルバムは92年秋にリリースされ、全米チャート初登場6位を記録し、約200万枚ものセールスを記録した出世作だ。このアルバムの発売前から彼等に対する評価は高まっていた。91年春にはMEGADETHのオープニングアクト、その後MEGADETH、ANTHRAX、SLAYERが交互にヘッドライナーを変わるカップリングツアー「CLASH OF THE TITANS」へも参加、更にはVAN HALENのオープニング等も務めた。そういえば『METALLICA』アルバムリリース時のインタビューでジェームズ・ヘットフィールドはお気に入りのバンドとしてAICの名前を挙げたりしていた。そう、AICは当初メタル系アーティストから高い評価を受けていたのだ。

それもそのはず、AICは結成当初はメタルバンドだったのだから。クリス・コーネルが「奴らは元はRATT(80年代に活躍したLAメタルバンド)みたいなファッション/音楽性だった」と日本の雑誌インタビューでチクッたりもしていた。その後、独自の音楽性を確立していった結果、唯一無二の存在となったのだ。

このアルバムのユニークな点はBLACK SABBATHやLED ZEPPELINを彷彿させるヘヴィリフや変拍子、そこに乗る不協和音気味コーラスだろう。アルバムトップの「Them Bones」からして上の要素を全て持ち合わせているのだから、最初に聴いた時のインパクトは絶大なものだった。勿論ファーストアルバムから聴いていたし、その音楽性を気に入っていたのだが(独自の暗さとハーモニーが好みだった)、このアルバムで完全に化けたといっていいだろう。

そして歌詞の難解さも大きな特徴といえるだろう。難解というよりも、芸術的といった方がいいのだろう。日本盤を買ったのなら、是非対訳に目をやってみて欲しい。この歌詞読みながら聴いてると、マジで凹む。サウンド的にはこれよりもヘヴィなアルバムはいくらでもあるが、ここまでトータル的に暗さ・重さを強調した作品はそうはないだろう。それもただ闇雲に暗いのではなく、芸術作品として完成され尽くしているのだから。

アルバムの音とは関係ないが、このアルバムからは4曲のシングルカット、5曲のビデオクリップが制作されている。シングルは「Them Bones」「Angry Chair」「Rooster」「Down In A Hole」、PVはその4曲に加え映画「SINGLES」サウンドトラックにも収録された「Would?」。この「Would?」がMTVでヘヴィローテーションされたお陰で、セカンドアルバム大ヒットの土台が出来上がったのだ。

今聴くと、他のシアトル勢とはかなり異質なサウンドを持ったバンドだっといえる。リフの刻み方等から、元々の出所(メタル出身)が伺えたりするが、そこから突然変異したかのようなサウンドアプローチ。そして何よりも、レインの独特な歌唱。これがあるとないとでは大違いなのだ。ジェリーのソロアルバムは確かにAICを彷彿させるものだった。しかし、いくらメインソングライターがアルバムを作ったからといって、そこに乗った「声」はレインではない。その違和感にどうしても馴染むことができず、このソロアルバムはあまり聴く機会がなかったと正直に告白しておく。かのSTONE TEMPLE PILOTSがAICとPEARL JAMのパクリバンド呼ばわりされたのも、今は昔。その後、彼等のようなサウンドを持ったバンドはなかなか現れなかった。それだけ個性の強いサウンドだったといえるだろう。

しかし時代は流れ、このアルバムから10年近く経った今、AICからの影響を公言するバンドが増えている。その代表格がSTAINDだろう。他にもAICから影響を受けたであろう新人バンドを幾つか見かけるが、そういうサウンドに出会うたびに「本家は何やってんだか‥‥」と何度思ったことか。その度にこのアルバムを引っ張り出して‥‥ってことが、特にこの1~2年の間に何度かあった。実は‥‥虫の知らせだったのだろうか、つい先日、AICのボックスセットを注文したばかりだった。

レイン・ステイリーの声や歌唱は本当に独特なものだった。聴いてすぐ彼のものだと判る程に。カート・コバーン程ぶっきらぼうでもなく、ビリー・コーガン程好き嫌いが激しいわけでもなく、クリス・コーネル程熱くもなく‥‥何か、人間ではなく別の生き物のように感じられる瞬間が何度かあった。例えば初期のデヴィッド・ボウイのアルバムを聴いてると、時々「この人は本当に宇宙人なんじゃないだろうか?」なんて思った時が10代の頃あったが、まさにそんな感じなのだ。

それにしても‥‥本当にいいアルバムだなぁ。90年代にリリースされた作品で死ぬ程聴き込んだ作品の上位5枚に必ず入るであろう1枚だといえる。このアルバムやファースト『FACELIFT』やサード、あるいはアンプラグド盤等を聴いた今の10代のファンは、どう感じるんだろう‥‥


     Did she call my name?
      I think it's gonna rain when I die.

            ‥‥"Rain When I Die"



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投稿: 2002 04 24 12:00 午前 [1992年の作品, Alice in Chains, 「R.I.P.」] | 固定リンク