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カテゴリー「Alice in Chains」の23件の記事

2021年7月28日 (水)

METAL CHURCH『HANGING IN THE BALANCE』(1993)

1993年10月7日にリリースされたMETAL CHURCHの5thアルバム。日本盤は同年8月21日に先行発売。

Epic Records移籍第1弾アルバム『THE HUMAN FACTOR』(1991年)が前々作『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)同様に高評価を獲得したものの、湾岸戦争勃発の影響によるワールドツアー短縮、および不景気からくるレーベル内淘汰によりアルバム1枚で契約打ち切りとなってしまったMETAL CHURCH。そんな苦境にもめげず、新たにジョーン・ジェット運営のBlackhearts Recordsと契約(アメリカと日本のみ。ヨーロッパではSPV / Steamhammer Recordsと契約)し、2年半ぶりの新作を完成させます。

アートワークの酷さに聴く前から引き気味になるリスナーも少なくないでしょうが、中身は前作の延長線上にある王道パワーメタルの良作。インディーズ落ちによる予算削減も影響してか、音質はあまり良くないのですが、その生々しいサウンドがミドルヘヴィナンバーには不思議と合っているような気がします。

重めのミドルナンバーと疾走感の強い楽曲が交互に並ぶ序盤の構成は、過去2作のスラッシュメタルの影響下にある作風とは異なるものが感じられ、特にジェリー・カントレル(G/ALICE IN CHAINS)がリードギターで参加したオープニング曲「Gods Of Second Chance」や、BメロがJUDAS PRIEST的なアップチューン「Losers In The Game」(この2曲のタイトルの素晴らしさよ)、前作を経たことで生まれたシャッフル調のヘヴィチューン「Hypnotized」、当時のツアーでオープニングを飾った「No Friend Of Mine」、いかにも彼ららしいヘヴィバラード「Waiting For A Savior」という前半の流れは完璧に近いものがあります。

後半もBUDGIE「Breadfan」を彷彿とさせるイントロの「Conductor」から始まり、アメリカ人目線で原爆について歌われた「Little Boy」(コーラスでジョーン・ジェットもゲスト参加)、ザクザク刻むギターリフが気持ち良い「Down To The River」、緩急に富んだアコースティックギターの使い方が絶品な「End Of The Age」、終盤に向けての小休止的インスト「Lovers And Madmen」を経て突入するパワフルなミドルチューン「A Subtle War」という構成で締め括り。特に後半は7〜8分台の長尺曲「Little Boy」「End Of The Age」で魅せる構築美にうっとり。その合間に入るアップチューンがそれぞれタイプが異なることと相まって、前作とは異なる色彩美で聴き手を魅了します。

マイク・ハウ(Vo)のボーカルも良好ですし、これでレコーディング環境やミックスにもっとお金をかけていたら最強のメタルアルバムになっていたはずだし、彼らも解散という道を選ばずに済んだのでは……もちろん、今となってはの話ですが。

本作を携えたワールドツアーを2年にわたり続けたMETAL CHURCHでしたが、1996年にバンドは解散の道を選択。マイク・ハウは音楽業界を引退することとなるのでした(その19年後、マイクはMETAL CHURCH復帰とともに業界にカムバック)。

 


▼METAL CHURCH『HANGING IN THE BALANCE』
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2021年4月 3日 (土)

ALICE IN CHAINS『MUSIC BANK』(1999)

1999年10月26日にリリースされたALICE IN CHAINSのボックスセット。日本盤未発売。

本作は同年6月に発売されたバンド初のコンピレーションアルバム『NOTHING SAFE: BEST OF THE BOX』(1999年)に続く、ALICE IN CHAINSのキャリアを総括するCD3枚組(+CD-ROM)作品。『FACELIFT』(1990年)でメジャーデビューする前のデモ音源から、アルバム収録曲の未発表バーションやアウトテイク、さらには3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)以来となる新曲「Get Born Again」(先のコンピにも収録)と「Died」を含む盛りだくさんの内容となっています。

3枚のCDをそれぞれ時期的にざっくり区切るとするなら、DISC 1は「インディーズ期〜メジャーデビュー2年目まで」、DISC 2は「2ndアルバム『DIRT』(1992年)での大ブレイク」、DISC 3は「『DIRT』の余波とレイン・ステイリー(Vo)破滅へのカウントダウン」といったところでしょうか。

本作でももっとも注目すべきなのが、DISC 1にたっぷり収められたデビュー前の音源。具体的にはM-2「I Can’t Have You Blues」からM-7「Killing Yourself」までの6曲でしょう。過去にSOUNDGARDENのメンバーから「80年代後半のALICE IN CHAINSは単なるヘアメタルバンドだった」とバラされておりましたが、それを証明するような楽曲群を確認することができるわけです。「I Can't Have You Blues」なんて冒頭はヘアメタル期のWHITESNAKEかと思いきや、その後GUNS N' ROSES的なアレンジへと展開していくという。以降の楽曲も(良くも悪くも)GN'Rフォロワー的な香りがし、本当に好きだったんだなあということが伺えます(ボックスセット封入のブックレットでは、当時の“ヘアメタルバンドらしい”ビジュアルも公開されているので、ぜひチェックしてもらいたいです)。

上記6曲は1988年の録音とのことですが、これが1989年になるといきなり『FACELIFT』のスタイルへと進化していることに驚かされます。M-10「Sea Of Sorrow」のデモテイクは1989年の録音ですが、アレンジはほぼスタジオテイクと一緒。一体何があったんだ!?と驚かされます。ただ、よくよく1988年の音源を聴き込めば、すでに『FACELIFT』の片鱗は散りばめられていたことにも気づくはず。この進化は必然だったのかもしれません。

DISC 2には『DIRT』のセッションから生まれた2曲の未発表曲(M-2「Fear The Voices」、M-12「Lying Season」)を収録。前者は本ボックスセットからシングルカットもされており、結果としてレイン在籍時最後のシングルとなっています。『DIRT』の流れを汲むドライヴ感の強いアレンジは非常にカッコいいものがありますが、確かにアルバム収録曲と比べたら若干地味な印象も。後者に関しては完全にほかのアルバム収録曲より劣る仕上がりなので、まあアウトテイクになるのも致し方ないわな。

DISC 3には未発表曲の類は(「Died」を除けば)皆無。この時期(1994年以降)は無駄な音源を残せないくらい、レインがギリギリの状態だったのかなと想像してしまいます。クラブリミックスが突如増え始めたのもこの時期ですが、そういったシングル用の水増しが必要だったのも理解できます。

で、肝心な新曲について。「Get Born Again」はアルバム『ALICE IN CHAINS』の流れを汲む、カオティックな側面を持つ王道グランジロック。もはや初期のキャッチーさは薄まっていますが、この混沌さもまた良し。一方、「Died」のほうは逆に初期の彼らを思わせるメロディ運びが復調している印象も。サウンドプロダクションやアレンジは確かに『ALICE IN CHAINS』の延長線上なんだけど、リフワークなどはBLACK SABBATH直系で、初期を思わせるシンプルさもある。もしこのスタイルでもう1枚くらいアルバムを作っていたら……なんて、ないものねだりをしてしまいたくなります。

どちらもオリジナルアルバム3作には匹敵するクオリティとは言い難い。でも、バンドをどうにか続けようという意思がこの時点では感じられるんですよね。残念ながら、その数年後にはレインが命を落とし、バンドは一度終焉を迎えることにあるのですが。

ALICE IN CHAINSのことを手軽に知りたいのならば、コンパクトに『NOTHING SAFE: BEST OF THE BOX』を聴けばいいし、ALICE IN CHAINSというバンドのキャリアをもっと深掘りしたければこのボックスセットに手を出せばいい。今やストリーミングでほぼすべての音源を聴くことができる世の中ですが、こういう形でバンドの歴史に触れてみるのも、たまにはいいものですよ?

 


▼ALICE IN CHAINS『MUSIC BANK』
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2020年8月25日 (火)

ALICE IN CHAINS『THE DEVIL PUT DINOSAURS HERE』(2013)

2013年5月下旬にリリースされたALICE IN CHAINS通算5作目のオリジナルアルバム。日本盤は同年6月中旬に発売されました。

レイン・ステイリー(Vo)亡きあと、新たにウィリアム・デュヴァールをフロントマンに迎え2005年に再始動したALICE IN CHAINS。新編成によるアルバム『BLACK GIVES WAY TO BLUE』(2009年)は全米5位、50万枚を超えるヒットとなり、再結成は好意的に受け入れられました。

それから約4年を経て届けられた、新編成2作目のアルバム。再びニック・ラスクリネクツ(FOO FIGHTERSMASTODONSTONE SOURなど)をプロデューサーに迎え、見事に前作を上回る完成度の良作を届けてくれました。

オープニングを飾る「Hollow」のヘヴィさ、ボーカルパートに入ると聞こえてくる不穏なハーモニー……そう、どこからどう聴いてもALICE IN CHAINSの新曲に他なりません。続く2曲目「Pretty Done」も同系統のスタイルながらも、決して同じような作風にならないような工夫が施されています。それは3曲目の「Stone」も同様。

で、ここで気づくのです。あ、ジェリー・カントレル(Vo, G)のソロ(リード)ボーカルは聞こえてくるけど、レイン・ステイリーの声はもう聞こえてこないんだ、と。当たり前のことですが、前作を聴いたときは復活したこと、再び新曲、新作が聴けたことがうれしすぎて、そこまで気が回らなかったんですね。だけど、2作目ともなるとさすがに気づくわけですよ、2度と戻ってこない宝に。

あのアクの強さがないぶん、全12曲で67分という長尺作品に引きつけるには相当な技量がないと難しいと思います。しかし、結果はどうでしょう? どの曲にもフックが用意されていて、1枚のロックアルバムとしては確かに高品質で最後まで安心して楽しめる。だけど、もう“あの”ALICE IN CHAINSは戻ってこない……そこだけが引っかかってしまうのです。

ジェリーがメインとなる楽曲ばかりに目が(耳が)行きがちですが、ウィリアムも良い声しているんですよね。ただ、どうしても「型」にこだわりすぎてしまい、新しい編成を上手に使いこなせていない印象を受ける。欠点を挙げるとすれば、そこが一番大きいのかな。レインの不在については今さらどうにもなりませんし、もしそこだけがずっと引っかかるのであれば新譜なんて聴かずに90年代のアルバムだけを聴いていればいいわけですから……。

前作にかけられた魔法がこのアルバムで解けてしまうものの、バンドはさらに新たな魔法を手に入れる。それが次作であり現編成での最高傑作『RAINIER FOG』(2018年)になるわけですが、そこに到達するまであと5年待たねばならないわけです。

とはいいながら、本作は90年代のキャリアに接近する全米2位という好記録を樹立。売上枚数は50万枚に満たなかったものの、ちゃんとリスナーから支持されていたことが伺えます。

 


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2020年4月 5日 (日)

ALICE IN CHAINS『SAP』(1992)

ALICE IN CHAINSが1992年2月に発表した4曲入りEP。日本盤は海外からだいぶ遅れ、初来日公演に合わせて1993年10月下旬に初リリースされました。

1stアルバム『FACELIFT』(1990年)のツアーを終えたバンドは、キャメロン・クロウ監督による映画『シングルス』のために新曲を制作することになりスタジオ入り。ここで翌1992年初夏に発表される「Would?」(のちに2ndアルバム『DIRT』にも収録)や、『DIRT』収録曲の「Rooster」、そしてこの『SAP』収録曲を含む10曲前後のデモが完成します。バンドはこの機会を無駄にすることなく、1991年11月に再びスタジオ入り。PEARL JAMのデビューアルバム『TEN』(1991年)を手がけたばかりのリック・パラシャーとともに、4〜5日でこのEP収録曲をレコーディングしたのでした。

“樹液”を意味するタイトルの本作(アルバムジャケットが、まさに樹液を採取する様を表現したものです)は、まさにバンドの根幹となる歌に焦点を当てた楽曲が並び、それらをシンプルなアコースティックサウンドで表現するという、その後のALICE IN CHAINSにとって必要不可欠なスタイルがここでひとつ完成します。

レコーディングには同郷シアトル出身のHEARTからアン・ウィルソンがゲスト参加。またSOUNDGARDENクリス・コーネルMUDHONEYのマーク・アームといった気心知れた仲間たちも加わり、リラックスした環境の中で制作されたことが伺えます。

アン・ウィルソンはオープニングトラック「Brother」で主張の強い歌声を響かせ、ジェリー・カントレル(G, Vo)が初めてリードボーカルを担当した「Am I Inside」でも美しいコーラスを聴かせてくれます。また、クリス&マークが参加した「Right Turn」はALICE IN CHAINS、SOUNDGARDEN、MUDHONEYの合体ということで“ALICE MUDGARDEN”名義による楽曲となり、それとわかるボーカルを耳にすることができます。

アコースティック主体といいながらも、「Got Me Wrong」では適度に歪んだギタープレイも楽しむことがで、その不穏なメロディ運び含め、続く『DIRT』や『JAR OF FLIES』(1994年)への布石を見つけることができるはず。たった4曲しか収録されていないものの、実はバンドの歴史上非常に重要な作品ではないかと思っています。

なお、本作のCDではラストナンバー「Am I Inside」終了後にお遊びナンバー「Love Song」を隠しトラックとして収録しています。こちら、Apple Musicなどでは単独楽曲として聴くことができますが、Spotifyでは未収録。できれば配信版でも隠しトラックとして通してほしかったですね。

 


▼ALICE IN CHAINS『SAP』
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2020年1月28日 (火)

OZZY OSBOURNE『UNDER COVER』(2005)

2005年11月1日にリリースされた、オジー・オズボーン初のカバーアルバム。日本盤も海外から2週間遅れで発売されています。

本作はもともと2005年3月に発表されたCD4枚組ボックスセット『PRINCE OF DARKNESS』のDISC 4に収録されていた新録9曲を含む10曲入りカバー集『UNDER COVER』を拡張させたリパッケージ盤で、オリジナル版に「ROCKY MOUNTAIN WAY」(オリジナル:ジョー・ウォルシュ)、「Sunshine Of Your Love」(オリジナル:CREAM)、「Woman」(オリジナル:ジョン・レノン)、「Go Now」(オリジナル:ベッシー・バンクス。同曲は THE MOODY BLUESのカバーでおなじみ)を加えた全14曲入り。楽曲追加により、曲順にも手が加えられております。

内訳的にはビートルズストーンズ、THE ANIMALS、BUFFALO SPRINGFIELDといったルーツ的存在から、MOUNTAINやMOTT THE HOOPLEKING CRIMSONなどBLACK SABBATHと同時代を生きたバンドたちの代表曲もピックアップ。そこに唯一の既発曲「Changes」(BLACK SABBATHの楽曲を娘のケリー・オズボーンとデュエットしたもの)が加えられた、選曲的にはまったく目新しさが感じられない、だけどオジーらしさがにじみ出た、非常に肩の力が抜けた企画盤となっております。

興味深いのが、本作のレコーディングメンバー。ハウスバンドとして当時のツアーメンバーだったマイク・ボーディン(Dr / 当時ex. FAITH NO MORE)のほか、ジェリー・カントレル(G / ALICE IN CHAINS)、クリス・ワイズ(B / HOLLYWOOD VAMPIRES、ex. THE CULTなど)といったオルタナ方面のメンツなんです。ゲストプレイヤーとしてイアン・ハンター(Vo)、レズリー・ウエスト(G)といった名前も見つけられますが、この人たちは自身の楽曲にゲスト参加したのみ。このほか、ロバート・ランドルフがペダルスチールで「Sympathy For The Devil」&ギターソロで「21st Century Schizoid Man」に参加したくらい。アディショナル・ミュージシャンとしてグレック・ビソネットやジョー・ボナマッサ、マイケル・ランドゥらの名前もクレジットされています。

なんとなく、クセの強いメタルのスタープレイヤー(例:ザック・ワイルド)を排除して、個性的なんだけどそつない演奏をしてくれるプレイヤーを選んだ印象も無きにしも非ず。考えすぎですかね? なので、演奏面/アレンジ面では特筆すべきポイントは少ないかな。原曲に忠実なんだけど、たまに「え〜、そこを省く?」みたいなアレンジもあってギョッとしますが、それが2005年当時の感覚ってことなのですかね。わかりませんが。

「21st Century Schizoid Man」みたいな曲はオジーにぴったりなんだろうなと思っていたけどアレンジのせいもあってか普通だったり、逆にビートルズやジョンのミディアム/バラードナンバーはどハマりしていたりと、一長一短といったところ。まあ、この手の作品は完全にお遊びというかオナニー、あるいはファンサービスですからね。気持ちよく乗っかることにしましょうよ。それに、ここから1年半で次のオリジナルアルバム『BLACK RAIN』(2007年)を届けてくれたわけですから。

選曲的にはどうしても古臭さが否めませんが、これをもしケリーやジャックといったオジーの実子が選曲していたら……かなりモダンで面白いカバー集になったんじゃないかな。そっちバージョンも聴いてみたかったですよね……なんてことを、ポスト・マローンの最新作『HOLLYWOOD'S BLEEDING』(2019年)を聴きながら考えてみたり。

 


▼OZZY OSBOURNE『UNDER COVER』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2019年9月26日 (木)

HEART『DESIRE WALKS ON』(1993)

1993年11月に発売された、HEART通算11作目のオリジナルアルバム。日本盤は同年10月末に前倒しで先行リリースされています。

『HEART』(1985年)を筆頭に、『BAD ANIMALS』(1987年)『BRIGADE』(1990年)と産業ハードロック路線を突き進んできた彼女たちですが、ちょうどシーンがHR/HMブームからグランジ/ヒップホップ主体へと移行し始めたこともあり、HEART自身もここで軌道修正が入ります。

まず、外部ソングライター主体の楽曲群が、アン(Vo)&ナンシー(Vo, G)のウィルソン姉妹が中心になって書き下ろされた楽曲へとシフト。とはいえ、曲によっては外部ライターがサポートで入っており(あるいは、外部ライターが書いたものをアン&ナンシーが手を加える)、過去3作の“らしさ”は良い意味で損なわれていません。

ですが、そこまで産業ロック臭がしないんですよ、このアルバム。それは「アン&ナンシーがやりたいことをやった、趣味に走った」楽曲が中心になっているからかもしれません。

アルバムはカナダのDALBELLOが1985年に発表した「Black On Black」をリアレンジした「Black On Black II」から激しくスタート。原曲はシンセポップ色の強いアレンジですが、本作では名曲「Barracuda」を彷彿とさせるアグレッシヴさが際立つハードロックチューンへと生まれ変わっています。うん、良いオープニング。

かと思えば、トラッド色が際立つアコースティックチューン「Back To Avalon」があったり、産業ロック路線のミディアムバラード「The Woman In Me」もある。LED ZEPPELINの影響下にあるオリエンタルなハードロックナンバー「Rage」もあれば、美しいピアノバラード「In Walks The Night」、ハードロック調バラード「My Crazy Head」といった聴かせる曲もしっかり用意されている。

ボブ・ディランのカバー「Ring Them Bells」には同郷のALICE IN CHAINSからレイン・ステイリー(Vo)がゲスト参加し、DEF LEPPARDブライアン・アダムスでおなじみのプロデューサー、ジョン・マット・ラング書き下ろしの「Will You Be There (In The Morning)」では従来のHEARTらしさとマット・ラングらしさが融合した新境地を見せてくれる。「Voodoo Doll」や「Anything Is Possible」といったミディアム/アコースティック曲を挟みつつ、最後は再び「Desire Walks On」というハードロックナンバーで締めくくる。

「ロックバンドHEARTが帰ってきた!」と言ってしまえばそれまでですが、この方向転換はバンドをこの先も続けていく上で、このタイミングにやるべきことだった。そう、旧来のHR/HMバンドが死滅し始めたこのタイミングに。チャート的には全米48位と過去3作に及びませんでしたが、それでも50万枚以上は売り上げている。「Will You Be There (In The Morning)」も全米39位のヒットにつながりましたしね。

時代が変わろうがHEARTはまだまだ続いていくんだ……このアルバムは、そんな力強い宣言のような1枚だったのかもしれません。とはいえ、彼女たちが再びHEART名義でオリジナルアルバムを発表するのは、ここから11年も先のことになってしまうのですが……。

 


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2019年4月 6日 (土)

ALICE IN CHAINS『MTV UNPLUGGED』(1996)

1996年7月(日本では同年8月)にリリースされた、ALICE IN CHAINS初のアコースティックライブアルバム。

同年4月10日にニューヨークで収録された『MTV UNPLUGGED』出演時のライブを収めたもので、アルバムは放送時にカットされた3曲(「 Angry Chair」「Frogs」「Killer Is Me」)を含む全13曲で構成されています。

デビュー時こそヘヴィなギターリフとレイン・ステイリー(Vo)&ジェリー・カントレル(G, Vo)による不穏なハーモニーのイメージが強かった彼らですが、『SAP』(1992年)や『JAR OF FLIES』(1994年)といったEP、3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)にはアコースティックサウンドを軸にした穏やかな楽曲も多く、こういったアーシーな作風も彼らの持ち味となっていきます。なので、彼らアンプラグドに出演すると知ったときは「ようやく」という気持ちが強かったことを今でもよく覚えています。

とはいえ、この頃のALICE IN CHAINSはかなり不安定な時期で、直前の『ALICE IN CHAINS』リリース時などはレインのドラッグ癖による体調不良も重なって「本当にやるの?」と疑問に思ったのもまた事実。当時ケーブルテレビで放送されたものも観ましたし、のちにビデオ作品として発売された映像版も観てますけど……そこまで病んだ雰囲気を感じさせないレインの姿に、ちょっとだけホッとしたものです。

ジェリーによる派手なギターサウンドが皆無なぶん、バンドの軸になるキャッチーなメロディがより際立つアコースティックアレンジですが、ヘヴィな楽曲をこのスタイルで表現してもしっかりヘヴィになるんだと驚かされたりもしました。「Sludge Factory」「Frogs」あたりなんてまさにその真骨頂で、音が簡素になったぶんダークさがより強調されているように思いますし(とはいえ、ベースが意外とゴリゴリしているので、それによるものも大きいのかな)。

と同時に、「Sludge Factory」の直前にMETALLICA「Enter Sandman」を演奏するお遊び感からは、意外とバンドがリラックスしてこのライブに臨んでいたことも伺えます。それもあってか、レインのボーカルからはスタジオ作品から伝わる鬼気迫る感覚や狂気的な空気感がここでは皆無。これがアンプラグド特有の雰囲気によるものなのか、それとも当時の体調によるものなのかはわかりませんが、もし彼がまだ生き延びていてバンドに在籍していたら、きっとこういう表現も普通にできていたんじゃないか……なんて想像してしまいます。

『JAR OF FLIES』や『ALICE IN CHAINS』で聴くことができるソフトサイドも愛せるという人なら絶対に気に入るはずの内容ですし、レイン在籍時の貴重な音源のひとつでもあるので、グランジ時代をリアルタイムで通過していない人にこそ触れてほしい1枚。これもグランジのひとつの側面だったんだぞ、という意味でも知っておいてもらいたいです。

 


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2019年3月21日 (木)

SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』(1995)

『USE YOUR ILLUSION I』(1991年)および『同 II』(同年)を携えたワールドツアー終了後、なかなか再始動しないGUNS N' ROSESに対して痺れを切らしたスラッシュ(G)。ダフ・マッケイガンギルビー・クラークがソロ契約&ソロアルバム発売を果たしたのを機に、ついに自身もソロ活動を本格始動させます。

1994年に結成されたSLASH'S SNAKEPITは、ソロというよりはあくまでバンド名義での活動を主としたもの。このへんにスラッシュのこだわり(何がやりたいのか)が伺えます。集まったメンバーは元JELLYFISHのエリック・ドヴァー(Vo)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)に、ギルビー・クラーク(G)&マット・ソーラム(Dr)というガンズ組。レコーディングにはディジー・リード(Key)も参加しているので、これじゃあ“アクセル・ローズとダフ抜きのガンズ”と言えなくもないですが、そもそもギルビーもマットもディジーもオリジナルメンバーではないので微妙ですが。

こうして、マイク・クリンクを共同プロデューサー、ミックスにスティーヴ・トンプソン&マイケル・バルビエロというガンズの諸作品を手がけてきた布陣を迎えて1995年2月に発表されたのが、このデビューアルバム。全米70位とガンズのソロ活動の中ではもっとも成功した1枚で、さすがアクセルと肩を並べる存在と言えます。

イジー・ストラドリンがアーシーでレイドバックしたロックンロール、ダフがパンクを主軸とするならば、スラッシュは土着型の王道アメリカンハードロックが武器と言えるでしょう。実はそれって、ガンズと聞いて我々がまず最初にイメージする要素だったりしませんか? つまり、このアルバムで展開されているサウンドや楽曲スタイルって、「もしガンズが1995年当時にニューアルバムを作ったら、半分くらいはこんな路線になるんじゃないか?」というものなんですよ(もちろん、残り半分はアクセルの色が強いものになるはず)。

ガンズの武器であるスラッシュらしいギターフレーズ&ソロ(と音色)、『APPETITE FOR DESTRUCTION』(1987年)あたりで聴けたラフだけど硬質なサウンドプロダクションのせいもあって、確かに本作はどことなくガンズっぽいですし、なんなら一連のソロアルバムの中で一番ガンズに近い1枚だと思います。楽曲自体も(のちにアクセルが訴えますが)ガンズの次の作品に向けて作ったものも含まれているようですし。

ただ、すべてがすべてスラッシュひとりで書いた曲ではないですし、大半はエリックとの共作だったり、中にはギルビー単独で書いた曲や、ダフやイジーの名前がクレジットに入った(!)曲も含まれている。そういった意味では本当に「SLASH'S SNAKEPITというバンドのアルバム」を目指したものなんでしょうね。

エリックの歌声はアクセルほどハイトーンでストレートなものではないので、歌を聴いてそこまでガンズを思い浮かべることはないですが、それでも「Beggars & Hangers-On」や「Good To Be Alive」「What Do You Want To Be」のような曲をアクセルが歌ったらどうなるんだろう……というワクワク感も多少あったりして。

全14曲で70分というトータルランニングが『USE YOUR ILLUSION』シリーズに通ずるものがあるのですが、『USE YOUR ILLUSION』と比べると楽曲のカラーがバラエティに富んでいるわけでもないので、さすがに尺的にキツイと感じることも。6分前後および6分超えの曲が4曲も含まれていることから、もうちょっとアレンジ力のある人間がバンドに携わっていたら、さらに完成度の高い内容になったのではないか……そういった意味ではバンドとはいえ、やはりソロはソロなんですね(メインバンドに対するオナニーという意味で)。

この布陣でのSLASH'S SNAKEPITこれが最初で最後。この5年後にスラッシュ以外のメンバーを総入れ替えして2ndアルバム『AIN'T LIFE GRAND』(2000年)を発表していますが、そちらについてはまた別の機会に。



▼SLASH'S SNAKEPIT『IT'S FIVE O'CLOCK SOMEWHERE』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

 

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