Anaïs『THE CHEAP SHOW』(2006)
フランスの女性シンガー・Anaïs(アナイス)のデビューアルバム「THE CHEAP SHOW」というアルバムを、ここ数ヶ月よく聴いてます。きっかけは彼女が今年のフジロックに出演すると決まり、その名前を意識したことから。6月頃にCDショップ店頭で見かけて、何となく名前を覚えていたので手に取ってみて。試聴もせずに何となく……いわゆる「ジャケ買い」です。でも、当たりでしたこれ。
1999年から2003年まで、彼女はOPOSSUMというロックバンドでボーカルをやってたんだとか。作詞・作曲も手がける多才ぶりで、今年の8月に30才の誕生日を迎えたばかりで、ソロとしては遅咲き新人。このアルバムは本国で昨年9月に発表されたものなんですが、発売と同時に大ヒットを記録し、20万枚以上も売り上げたんだとか。そんな人だけあって、音楽のみならずファッション誌などでも注目される存在とのこと。キャラクターも特異らしく、その異彩ぶりはアルバムにもハッキリと表れてます。
というのも……このライブアルバム、全部ギター1本と彼女の「声」のみで表現されてるんです。オーバーダビング一切なしの実況中継盤のはずなのに、音や声に厚みを感じさせるのは、恐らくステージ上でサンプラーを使っているからでしょう。自分が歌ったフレーズや弾いたギターのフレーズをその場でサンプリングしてループさせていく。日本でも山崎まさよしや向井秀徳がステージ上で同じ手法を披露してますね。実際に写真や映像を観てないし、情報も少ないので憶測で書いてますが、まぁ間違いないでしょう。
こうやって聴くと……やっぱりスゴいわこの人。曲がポップなのは勿論だけど、歌声も魅力的で、なおかつそのスタイルが面白くて深みがある。フランス語で歌われる曲が殆どで、MCも自国ということでフランス語。時々英語が入り交じったりするけど、そこはフランス人。どことなく小馬鹿にした感じがたまんないんだよね。時にフォーキーだったり、ロックを感じさせたり、ヒップホップだったり、フレンチポップだったり……でも基本はアナーキーですよ、この人のサウンドは。
誰に似てるとかそういう例えは今回はなし。とにかく一度聴いてみて。普段ここで取り上げるようなヘヴィなサウンドではないけど、違った意味で「ヘヴィさ」を感じさせるタイプの音楽性だとは思うので、意外とここを普段から楽しんでくれてる皆さんなら気に入ってくれると信じてます。一度ライブ観たいなぁ。そういう意味じゃ、本当にフジロックキャンセルはガッカリだったなぁ(体調不良じゃしかたないけどさ)。日本盤も出たことだし、リベンジを期待してます。