2017/03/04

ANTHRAX『FOR ALL KINGS』(2016)

2016年2月にリリースされた、ジョーイ・ベラドナ(Vo)がバンドに復帰した前作『WORSHIP MUSIC』(2011年)以来4年半ぶり、ANTHRAXにとって通算11枚目のオリジナルアルバム。前作の全米12位を上回る7位という好成績を記録し、1993年の6thアルバム『SOUND OF WHITE NOISE』に次ぐ高順位作品となりました。

前作には「これぞANTHRAX!」と力説したくなるような、いわば3rd『AMONG THE LIVING』(1987年)前後のもっとも勢いに乗った時期のANTHRAXを思わせる楽曲が並んでいたことから、(またアルバム自体が8年ぶりという事実もあって)多くのメタルファンから大歓迎された1枚でした。その成功作をフォローアップする作品という意味でも、バンドにとってそれなりのプレッシャーがあったのではないかと思われますが、実際完成したアルバムを聴くと、むしろバンド側はそういったプレッシャーすらも楽しんでいたのではないかと思わせる、実に肩の力の抜けた王道ヘヴィメタルサウンドを楽しむことができます。

オープニングのインスト「Impaled」こそ仰々しさがあり、若干ANTHRAXらしくないなと思わせられますが、そこから間髪入れずに始まる「You Gotta Believe」はいつものANTHRAX節炸裂。途中、ちょっと無理やりっぽい展開が入るあたりも、往年の“らしさ”が感じられます。

そう、どの曲も実に“らしさ”満載なのですが……すべてを聴き終えたときに、意外とすらすら聴けてしまったことに戸惑うのも、また正直なところ。そう、「これ!」という引っ掛かりがあまり感じられなかったのです。それが先に書いた「実に肩の力の抜けた王道ヘヴィメタルサウンド」にもつながるのですが。

このバンドの場合、ともするとお遊びが過ぎて聴き手側がついていけなくなることも少なからあるのですが、今回の場合はそれの逆ケース……遊びが少なすぎて「あれっ、こんなもん?」と感じてしまう。力みすぎないのは決してマイナスではないのですが、今作で聴ける「過剰にメロディアス」な作風にそのスタンスは似合わないのではないか、と思うのです。

「Breathing Lightning」なんて、例えばジョン・ブッシュ時代に演奏していたとしたら、もうちょっとタイトで緊張感のある楽曲に仕上がっていたと思うんです。で、そのアウトロ「Breathing Out」が続くことで、さらに劇的な展開になったなずなのに……。

アルバムは中盤「Suzerain」「Evil Twin」あたりから若干盛り返し始めますが、どうにも煮え切らなさが残る。リズムのキレが悪いのか、それともベラドナのボーカルのせいなのか、はたまた……謎です。

決して悪くないし、1曲1曲を取り上げれば非常によくできた楽曲ばかり。90年代以降のANTHRAXの作品の中でも良曲が豊富な部類に入る作品だと思うんです。なのに、「これ!」という決定打に欠ける。もしかしたら、バンド内がかみ合っているようでかみ合っていないのかもしれない。いや、バンドとリスナー側(自分)がかみ合ってないのかも……このアルバムに心底のめり込めなかった理由は、このあたりにあるのかなと思っています。

リリースから1年経過して、改めて聴き返してみましたが、自分内の評価は変わらず。逆に時間の経過とともに評価が下がることもなく、急激に上がることもないという、非常に珍しい作品です。もしかしたらそれって、非常に稀ですごいことなのかもしれないですね。



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投稿: 2017 03 04 12:00 午前 [2016年の作品, Anthrax] | 固定リンク

2017/03/01

ANTHRAX『SOUND OF WHITE NOISE』(1993)

ANTHRAXが1993年5月にリリースした、通算6枚目のオリジナルアルバム。前年に2代目ボーカル(にしてバンドの知名度向上に貢献した)ジョーイ・ベラドナが脱退し、後任として迎えられたジョン・ブッシュ(元ARMORED SAINT)が初参加したのが本作『SOUND OF WHITE NOISE』です。ちなみにジョン以外はスコット・イアン(G)、ダン・スピッツ(G)、フランク・ベロ(B)、チャーリー・ベナンテ(Dr)という2ndアルバム『SPREADING THE DISEASE』(1985年)から続く黄金期メンバー。のちにダン・スピッツが脱退するため、このラインナップも本作1枚きりとなります。

ハードコアやスラッシュメタル、ヒップホップなどいわゆる“ストリートミュージック”を体現してきたANTHRAXですが、ジョン・ブッシュという新たなシンガーが加わったことでさらに新たな要素……当時の主流だったグランジやグルーヴメタルなど、いわゆる本道とは一線を画するオルタナティヴなサウンドに手を出します。スラッシュメタルを極限まで突き詰め煮詰めたような内容の前作『PERSISTENCE OF TIME』(1990年)で、それまでの路線をやりきったという思いも多少はあったのかもしれませんし、同時代を駆け抜けたMETALLICAがブラックアルバムで天文学的大成功を手にしたことを羨ましがったのもあるかもしれません。だからこそ、メンバーチェンジをきっかけ(もしくは言い訳)に大胆なシフトチェンジが図れたんでしょうね。プロデューサーにJANE'S ADDICTIONやALICE IN CHAINSを手がけたデイヴ・ジャーデンを迎えたのも納得です。

本作にはいわゆる疾走系スラッシュは皆無。速い曲はあるにはあるけど、単に突っ走るというよりはグルーヴを重視した“音の塊”のような楽曲(「Potters Field」や「C11 H17 N2 O2 S Na」「Burst」)が中心。シングルカットされた「Only」や「Room For One More」「Hy Pro Glo」はまさにその代表格といえる楽曲で、ANTHRAX第2章を代表するナンバーとしてライブで披露され続けます。

かと思えば、当時ブレイクしていたTVドラマ『ツイン・ピークス』からの影響受けまくりなスローナンバー「Black Lodge」みたいな曲も存在。従来のファンからしたらこの変化は裏切り以外のなにものでもないんでしょうけど、かのMETALLICAも欲しがったと言われるジョン・ブッシュを手に入れたんだから、そりゃいろいろ試したくなりますよね。ましてや時代はNIRVANA、PEARL JAM、ALICE IN CHAINS、SOUNDGARDEN、SMASHING PUMPKINSといったバンドがチャートを席巻し、これまでANTHRAXが居座っていたシーンには新たにPANTERA、速さを切り捨てたMETALLICAがトップに君臨しているんですから……「変わらなくちゃ」っていう強迫観念に駆られても不思議じゃない。

では、本作はそんなに“時流に乗った駄作”なのかというと、実はそんなこともなく。むしろ、僕自身は彼らのキャリアの中でも3本指に入るほど好きな1枚です。『PERSISTENCE OF TIME』からここにたどり着いたというのも、個人的にはとても腑に落ちるんです。楽曲の出来もいいし、アレンジも歌もアルバムの流れもベスト。本作が当時、全米7位にランクインし、過去最高のセールスを記録したというのも納得できます。だって、世の中的に旧世代バンドに成り下がっていたANTHRAXが流行りに乗ったとはいえ、世間にちゃんと受け入れられたという証拠ですから(従来のファンからは敬遠されたかもしれませんが)。



▼ANTHRAX『SOUND OF WHITE NOISE』
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投稿: 2017 03 01 12:00 午前 [1993年の作品, Anthrax] | 固定リンク

2005/04/03

とうとうこの日が来た‥‥

ANTHRAX、全盛期のラインナップ復活を公式発表(公式)

 エイプリルフールの悪い冗談では済みませんでしたね‥‥本当に復活してしまいました。

 既に4/30以降のツアー予定もアップされてます。「DYNAMO FESTIVAL」や「DOWNLOAD FESTIVAL」といった大きなフェスへの出演だけでなく、単独公演もあるようです。そしてここにはまだ載ってないけど、恐らく「OZZFEST」にも出演するでしょうし、今年は復活すると言われている日本最大のラウド系フェス「BEAST FEAST」にも出演するんだろうなぁ‥‥そんな気がします。ま、フジロックにまた出てくれても構わないんだけどさ。

 なんか‥‥複雑な心境ですね。だって、ジョン・ブッシュという素晴らしいシンガーが去り、フランク・ベロがANTHRAXに復帰したお陰でHELMETもベース不在になってしまうし‥‥確かに興行的には大成功すると思いますよ、それは現在行われているMOTLEY CRUEの復活ツアーを見れば一目瞭然ですしね。ましてやANTHRAXの全盛期メンバーでのライヴなんて、今の若い子達は絶対に見てないはずですしね(もう13年も前なんだね‥‥)。

 にしても‥‥この写真は結構衝撃的だなぁ‥‥一番左が、あのダン・スピッツですよ‥‥どこぞのオッサンかと思いましたよ



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投稿: 2005 04 03 12:57 午後 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/03/28

いろいろ話題浮上中。

ANTHRAX: Classic 'Among The Living' Lineup To Guest On 'Headbanger's Ball'.(BLABBERMOUTH.NET)

 4/1にニューヨークのラジオ番組内で公式声明があり、当日夜に同じくNYのラジオ番組「Friday Night Rocks」に出演、翌2日にはMTVの「Headbanger's Ball」に出演予定、とのこと。ライヴはやるんですかね?

 また、このラインナップでの音源リリースも念頭に置いてるようでして‥‥嗚呼ダメだ。つーかHELMETどうするのよ、フランク・ベロは!?

 音楽性がこの頃に戻ってしまうんですかね‥‥あの当時、あの時期にあの音だったからこそ「リアル」だったのに。俺、今のANTHRAXのサウンドも好きだし、そこに過去の代表曲が取り混ぜられる今のライヴは最良の形だと思ってたんだけどなぁ‥‥ジョーイ・ベラドナにはああいうヘヴィな曲がちゃんと表現し切れないから、って理由で決別したんでしょ。なのにね‥‥チャーリー&スコット、やはり大金に負けたか‥‥

 まぁ何にせよ、4/1に全ての結果が出ますから。KISSみたいにならないことを祈るよ‥‥



▼ANTHRAX「MOSHERS...1986-1991」(amazon

投稿: 2005 03 28 09:32 午後 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

こんな「やっちゃった感」強いの久し振り。

アンスラックス、再結成に関するステイトメント発表!(CDJournal.com)

 公式ステイトメントは4/1に発表。オフィシャルサイトでは4/1に向けてカウントダウンが始まってます。「CREATE-DESTROY RETURNING SOON」の文字が気になります。

 ‥‥あーあ、やっちゃったよ。ANTHRAXがこれやっちゃダメでしょう‥‥一番やっちゃダメなバンドなんじゃないの? MEGADETHはデイヴ・ムステインさえいれば成り立つし、SLAYERは何だかんだ言ってドラム以外は変わってないし、METALLICAは‥‥まぁいいや。ANTHRAXはチャーリーとスコット以外のメンバー変動が激しかったバンドだけど、唯一「過去に拘らない、今を生きる」バンドだったからこそ信頼できたんだけどなぁ。非常に残念な結果となってしまいました。

 「OZZFEST」の方も、 "Mysterious Band" という表記がANTHRAXなんじゃないか?という噂で再び盛り返してるようですが‥‥

 とはいいつつも、まだ正式に「AMONG THE LIVING」時代のメンバーに戻るとは正式に発表されたわけではなく、あくまで『4/1に記者会見をする』というプレス/メディア・ステイトメントを発表したってだけですよね。4/1だけにエイプリルフールのキツイ冗談じゃないの?って話もあるようだけど、これト読んじゃうとなぁ‥‥決定的っぽいし。あくまで一時的な、フェスのためだけの特別な企画だといいんだけどさ。

 にしても‥‥スコットの叩かれ方、話を持ちかけたシャロン・オズボーン(オジー・オズボーンの妻にして「OZZFEST」主催者)への批判の声はやはり凄いですなぁ‥‥



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投稿: 2005 03 28 12:00 午前 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/03/25

最近多いね、20周年ってバンドが。

METALLICA, JUDAS PRIEST, MEGADETH Members Pay Tribute To ANTHRAX.(BLABBERMOUTH.NET)

 ANTHRAX、メジャーデビュー20周年ってことですか。お祝いの言葉をデイヴ・ムステイン(MEGADETH)、カーク・ハメット(METALLICA)、ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)、コリー・テイラー(SLIPKNOT)、ヴィニー・ポール(DAMAGEPLAN)、フィル・アンセルモ(SUPERJOINT RITUAL)、ロブ・ゾンビ、デイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)、チャック・D(PUBLIC ENEMY)、レミー(MOTORHEAD)、トム・モレロ(AUDIOSLAVE)、フリー(RED HOT CHILI PEPPERS)、ジーン・シモンズ(KISS)といった大御所から若手バンドのメンバーまで、いろんな方々が送っております。

 以前噂になったジョーイ・ベラドナとダン・スピッツ、フランク・ベロを戻した「AMONG THE LIVING」期メンバーでの再結成及び「OZZFEST」を始めとする大型フェスへの出演はないようですね。よかった。安心した。俺は大反対なんで。オリジナル編成をリアルタイムで通過してるけど、もう「終った」組み合わせだと思うし。ジョン・ブッシュで十分じゃんか。大体、チャート的にもセールス的にも一番成功した「SOUND OF WHITE NOISE」(ビルボード8位だっけ?)はジョン加入後の作品なわけでしょ? どうしても「AMONG THE LIVING」辺りのイメージが強いから、ってのも判るけどさ。

 基本的にはチャーリー・ベナンテとスコット・イアンさえいればANTHRAXは成り立つんじゃないかな‥‥そこにパワフルなボーカリストと、テクニカルなギタリスト、そしてボトムをしっかり支えるベーシストさえ揃えば。それが今のANTHRAXじゃないの。まぁこの辺は感じ方人それぞれでしょうけど。俺は今の方が断然好きだからさ。フジロックでのステージが過去観たANTHRAXのステージの中で一番良かったと思えたからさ。



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投稿: 2005 03 25 02:15 午前 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/02/17

ANTHRAX、分裂〜再編成の危機!?

ANTHRAX Guitarist Says 'No One Is Leaving' The Band.(BLABBERMOUTH.NET)

 今週の頭から、「ANTHRAXからボーカルのジョン・ブッシュが南米ツアー後に脱退する」という噂がネット上で出回ってるそうで。

 んで、5月に開催される「DYNAMO OPEN AIR」フェス等に全盛期のラインナップ(2nd「SPREADING THE DISEASE」〜5th「PERSISTENCE OF TIME」)‥‥つまり先頃抜けたベースのフランク・ベロ、'90年代半ばに脱退したリードギターのダン・スピッツ、そしてこれらのアルバムで歌っていたジョーイ・ベラドナを含むメンツで出演する、という話があるんだって。更に今年で10周年を迎える「OZZFEST」への、この全盛期ラインナップでの出演も打診されてるらしい。何せ今年の「OZZFEST」のヘッドライナーはBLACK SABBATHとIRON MAIDENですから、そりゃフェスとしてハクをつけたいのは判るんですが‥‥正直、そこまでして再編成が必要かなぁ?と思うわけですよ。

 フランク・ベロは既にHELMETの一員として頑張ってるわけで、1年前に抜けたばかりのバンドに(大金積まれて)果たして戻るもんかなぁ?‥‥戻るか、大金積まれりゃ。

 確かにあのメンバーだったからこそ成功したってのもあるとは思いますが、今のメンバーによる素晴らしいライヴを観てるだけに(あ、ベースが変わってからは観てないか)、そして昨年末にリリースされた「THE GREATER OF TWO EVILS」(1st〜5thまでの、ジョン・ブッシュ加入前の楽曲を現在のメンバーで再レコーディングした名盤)を聴いた後だけに、その必要はないように思えるんですけどねぇ‥‥どうなんでしょう?

 HM/HR界では再結成/再編成ブームが昨今続いてますが、正直ベースで最もその「必要性」を感じさせない一件なんじゃないですかね?



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投稿: 2005 02 17 09:21 午後 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/25

とみぃ洋楽100番勝負(68)

●第68回:「Keep It In The Family」 ANTHRAX ('90)

 所謂「スラッシュメタル四天王」と呼ばれるバンドがありまして。'80年代初頭に登場した、スラッシュメタルの歴史を作ったバンド4組を指してそう呼ぶわけですが。METALLICA、MEGADETH(このバンドだけ他の3組と比べると後続なんですが、まぁMETALLICAの初期メンバーが作ったバンドだしね)、SLAYER、そしてANTHRAX。ANTHRAXのみ西海岸(ニューヨーク)のバンドで、残りは全部西海岸。「ベイエリア・クランチ」なんていう呼び名があるくらい、スラッシュというとロスやサンフランシスコといったイメージが強いんですよね。

 だからというわけじゃないけど、やはりANTHRAXのみちょっと特異なバンドでして。メタルメタルしてないというか、他の3バンドと比べるとハードコア・パンクの影響が強いんですよね。勿論4組とも「〜メタル」って付いてるくらいだからヘヴィメタルバンドなのには違いないんだけど、やっぱり独特な「色」ってものが4者4様にあって。

 ANTHRAXに関しては特に、サイドプロジェクトでドンズバのハードコアをプレイするS.O.D.ってのもあったし、更には "I'm The Man" っていうラップソングもあり(これを'87年初頭の時点でやってたんだからね!)も誰よりも早く「ロックバンド/メタルバンドとして」やってたし。そういった意味でも、やっぱり他と一線を画する存在だったんだよね。ま、だからこそ好きなんだけど。

 一番好きなアルバムは‥‥って質問されたら、多分殆どの人は2nd「SPREADING THE DISEASE」か3rd「AMONG THE LIVING」って答えるんだろうけど‥‥俺は敢えて5th「PERSISTENCE OF TIME」って答えたい。この「脱・スラッシュ」を図ろうとして「速さ」から「重さ」に傾いた作風に、その後のメタルシーン及びロックシーンの流れを先読みしてたよなぁと今更ながらに感じるわけで。

 ご存知の通り、このアルバムリリース前後にALICE IN CHAINSがデビューしたり、翌年にはNIRVANAやPEARL JAMといったバンドがメジャーシーンに登場したり、METALLICAがブラックアルバムをリリーすしたり‥‥そう、全てはそういう流れへと進んでいく運命だったのです。

 そしてANTHRAXは更にヘヴィなシンガーを迎えて、そういった傾向に一喝入れつつ決別の意を込めたかのような「SOUND OF WHITE NOISE」を後にリリースするんですね(そしてそれが初の全米トップ10入りを果たす、と)。

 正直、「PERSISTENCE OF TIME」アルバムからだったらどの曲でもいいんですが、やはり重さに比重を置くと、この曲かな、と。最近初期の曲をジョン・ブッシュが歌って再録音したアルバムが出ましたが、そこでもやはりこの曲は異色を放ってますしね。



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投稿: 2004 10 25 12:00 午前 [1990年の作品, Anthrax, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/14

やっと出るか!

アンスラックスのセルフ・カヴァー集、いよいよ登場!

 本来今年3月末に出て、4月の来日公演の来日記念盤となるはずだった、初期楽曲(初代ボーカル、ニール・タービンと前任ボーカル、ジョーイ・ベラドナ時代までの楽曲)のセルフカバーアルバム。来日前に今やダン・リルカ以上にオリジナルメンバー色の強いフランク・ベロが脱退してしまったことも影響してか、延期に次ぐ延期。結局11月ですよ。

 当初ファン投票で選ばれた18曲が収録されるはずだったのが、気づけば14曲に減ってます。削られたのは、

・Anthrax(日本盤にはボーナストラックで収録予定らしい)
・Lone Justice
・Now It's Dark
・In My World

の4曲。残念だなぁ‥‥ "Anthrax" とか "Lone Justice" がジョン・ブッシュによってどう料理されるのか、結構楽しみにしてたのに。まぁそれ以外の曲は無難な選択なので良しとするか。

 ‥‥でもよくよく考えると、これって単に収録時間の関係なのかな、と。18曲とはいっても、中には6分以上ある曲も多いしね(特に3rd「AMONG THE LIVING」以降)。それだと14曲でも納得かな。まぁ実際に聴いてみて判断しましょうか。

 来年、また来日しねーかなぁ。春のやつ、行けなかったから。去年のフジロックでのインパクト、絶大だったもんなぁ。チラ見もせずに通り過ぎる渋谷陽一込みで、あれは忘れられない思い出ですよ。笑



▼ANTHRAX「GREATER OF TWO EVILS」(amazon

投稿: 2004 10 14 09:49 午後 [Anthrax] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/02/21

ANTHRAX『WE'VE COME FOR YOU ALL』(2003)

80年代前半に登場したスラッシュメタルと呼ばれたジャンルの中で、そのシーンを支えた「四天王」と呼ばれたバンドがいたわけですよ。METALLICAであり、SLAYERであり、昨年春に解散してしまったMEGADETHであり、そして今回紹介するANTHRAXの4バンド。METALLICAはベースのジェイソン・ニューステッドが脱退した後、結局ベーシストが決定する前にスタジオ入りし、未だ新作完成の朗報は飛び込んで来ないし、SLAYERはドラマーのチェンジがあったりしたものの、昨年末に2年連続で来日し、改めてその凄さを我々に知らしめました。しかし、MEGADETHは先に書いた通りだし、ANTHRAXなんて‥‥もっと悲惨ですからね。

ANTHRAXなんて名前を一昨年末からよくニュースで目にしたのを、皆さん憶えているでしょうか? 「9・11」以降、アメリカ全土を襲った「炭疽菌」騒動。その炭疽菌、英語では「Anthrax」というんですね。俺、この件で初めて知ったもん、意味。皆さん知ってましたか? こんなことでもない限り、誰もその意味なんて考えもしなかったんでしょうね(その昔、WOLFSBANEというバンドがいたのですが、その意味なんて「トリカブト」ですからね。バンド名考える方もいろいろ大変なわけですよええ)。

この炭疽菌騒動が尾を引き、ANTHRAXはその活動にストップがかかってしまうんですよ。しかもそれまでメンバー各自がソロ活動を行い、よしこれから再びバンドで暴れるぞって矢先にですから。一時はバンド名変えるんじゃないか!?なんて噂もありましたが、2001年11月末、ニューヨークで行われたテロで犠牲になった消防士の為のベネフィット・コンサートにて、ANTHRAXのメンバーは「WE'RE NOT CHANGING OUR NAME」と書かれた作業服を着て登場(メンバー5人それぞれの服に「WE'RE」「NOT」「CHANGING」「OUR」「NAME」と書かれていたという、ね)、改めて「バンドのANTHRAXは炭疽菌(Anthrax)とは無関係、これからもみんなをハッピーにしてくぜ」という力強い「無言のアピール」をしたのでした。

で、今回のアルバム。実は約5年振りのアルバムなんですよね。そうか、前作『VOLUME 8 : THE THREAT IS REAL!』ってそんな前になるのか。'98年と'03年じゃそりゃ時代も変わるわな。ひと回りどころかふた回りくらいしてそうだもんな、流行が。世間がまだラップメタルだ何だと騒ぐ前だしな。メタルにラップの要素を取り入れた、というか、ラップそのものをかのPUBLIC ENEMYと共にやっていた元祖的存在が、最もそういうジャンルが主流だった時に不在だったわけですよ。これは大きいですよね。

ところが彼等、この5年振り、通算9作目のオリジナルアルバムで、一切そういう要素を用いていないんですよ。つうかANTHRAXが初めてヒップホップをやったのが87年でしたっけ?(「I'm The Manという曲)ヒップホップユニットがハードロック的要素を用いたのと同じ頃(BEASTIE BOYSの「Fight For Your Right」のことね)、同じようにメタルバンドがヒップホップの要素を取り入れてたわけですよ、既に16年も前に。けど、彼等が常に「ヒップホップ要素をメイン」にしたことなんて、一度もなかったわけですよ。それは、彼等がヘヴィメタルバンドだったから。スラッシュとかハードコアとかパンクとかいろんな要素を飲み込んだヘヴィメタルバンド、ANTHRAX。彼等がそういった方向を主要素としてアルバムを作ったことがなかったから、流行に流されることがなかったから、こうやって未だに生き残っているわけですよ。つうかもう20年ですよ、登場して!

今回のアルバムも、基本的には前作の延長線上にある作風。つうか現ボーカルのジョン・ブッシュが加わって以降のアルバム(『SOUND OF WHITE NOISE』(93年)、『STOMP 442』(95年)、そして前作)って、どれも同じ方向性を持った音楽をやってるんですよ。前任ボーカルのジョーイ・ベラドナ在籍時後期から突き進めていったヘヴィな音像を持ったミディアム/スロウでメロディアスなヘヴィメタル。それをよりモダンにさせた『SOUND OF WHITE NOISE』は初の全米チャート・トップ10入りを記録し、続く『STOMP 442』は初期のザクザクしたギターサウンドと生々しいサウンドが融合させ、更に深い方向へ進んでいくんですね。で、ちょっとだけ時流に乗ったかのようなヘヴィロック色を散りばめた前作。新作もこういった方向にある1枚なんですが、個人的には前作以上に好きなアルバムかもしれません。ちょっとセカンドの頃の彼等を思い浮かべつつも、モダンなギターサウンドが2003年らしい「What Doesn't Die」でスタートし、その後はミディアムテンポのヘヴィナンバーが続く前半。特に「Any Place But Here」なんて本来METALLICAが進むべき方向だと思うんですよ、これ。それをANTHRAXが我流でやってしまうという。そういえばジョン・ブッシュって昔、METALLICAもシンガーとして向かい入れたかったという話があったんですよね‥‥そう考えると、非常に面白い曲ですねこれ。そしてこの曲を境に、後半は更にバラエティ豊かな方向に進みます。パンキッシュでグルーヴィーな「Nobody Knows Anything」、PANTERAのダイムバッグ・ダレルが如何にも彼らしいギターソロで参加する、ちょっと風変わりなアルペジオを持った「Strap It On」、超高速ブラスト・ビートがメチャメチャ気持ちいい「Black Dahlia」なんて、サビだけ聴いたらSLAYERみたいですからね! 更に「Taking The Music Back」にはゲストボーカルとしてTHE WHOのロジャー・ダルトリーが参加。とても判りやすいので、すぐ気づくと思いますが‥‥ジョンとの対比も面白いですよね。

普通にメタルをずっと聴いてる人にとっては「取るに足らないアルバム」かもしれないけど、最近のメタルから殆ど離れている俺にとっては、とても興味深い1枚でした。特出した1曲があるとか、超名盤ってわけではないんだけど、安心して聴けるアルバム。ガキの頃から知ってる馴染みのバンドが、今でもあの頃と変わらない「音」と「歌」を聴かせてくれる。それだけで十分じゃない? 今の時代、確かに革新的なサウンドも必要だし、実際そういうアーティストも魅力的で惹かれるんだけど‥‥それだけじゃないんだよね。こういうベテランが「聴き手から求められるものを、的確に表現し、尚かつそこに留まるんじゃなくて前進している」ことを続ける限り、まだロックシーンは大丈夫だと思う。だから、METALLICAも、デイヴ・ムステインも考え過ぎだってば。セールス的に失敗することとかファンが失望するだとか、そういうことを考える前に表舞台に立って音を出し続けるANTHRAXやSLAYERの方が、俺は信用できる。メジャーとかインディーズ落ちとか関係ないよ。

これは暫くの間、ヘヴィローテーションになりそうな予感。つうかここ数年のヘヴィ/ラウド系を中心に聴いてる子達にとって、こういう音ってどうなんでしょうね? METALLICAとかは聴くんだろうけど、ANTHRAXやSLAYERといった「あくまでメタル」なバンドの音がちゃんと届いてるんでしょうか? 現役メタラーでもないくせに、妙に心配してしまうわけですよ。



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投稿: 2003 02 21 12:00 午前 [2003年の作品, Anthrax] | 固定リンク