KING KOBRA『READY TO STRIKE』(1985)
1985年2月28日にリリースされたKING KOBRAの1stアルバム。日本盤(アナログ)は同年3月30日発売。
KING KOBRAは当時オジー・オズボーンのバンドを離れたカーマイン・アピス(Dr)が、1983年に結成したヘアメタル/グラムメタルバンド。60年代から今日に至るまでVANILLA FUDGEやBLUE MURDERなど数々の著名バンドや、ロッド・スチュワートなどのサポートワークで名を馳せてきたカーマインの新バンドということもあり、結成から間もなくしてメジャーのCaptol Recordsと契約します。
デビュー時のメンバーはカーマインのほかマーク・フリー(Vo/のちにUNRULY CHILDなどに参加)、デヴィッド・マイケル・フィリップス(G/のちにLIZZY BORDENに参加)、ミック・スウェダ(G/のちにBULLETBOYSに参加)、ジョニー・ロッド(B/のちにW.A.S.P.に参加)の5人。KING KOBRA脱退後の各メンバーのキャリアからも、KING KOBRAというバンドが“LAメタル”界隈に存在していたことが窺えるのではないでしょうか。
ですが、そのサウンドは一般的なグラムメタルとは異なり、意外と硬派な印象が強い。プロデュースを手がけたのは、QUIET RIOTのメガヒット作『METAL HEALTH』(1983年)で一躍時の人となったスペンサー・プロファー(CHEAP TRICK、HEART、W.A.S.P.など)。確かに、この全体的に硬質で特徴的なリバーブをかけたサウンドは『METAL HEALTH』的でもあります。これが80年代半ば前後の、ひとつのトレンドだったのでしょう。
アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Ready To Strike」の様式美を意識した仰々しい正統派メタルは、その派手で煌びやかなヴィジュアルからは想像もできないはず。冒頭のマーク・フリーの凄みを効かせたフェイクで心を鷲掴みにされる「Hunger」、カーマインのパワフルなドラミングや厚みのあるギターリフなどからタイトさが伝わる「Shadow Rider」、哀愁味のあるメロディとストレートなサウンドが心地よい「Shake Up」、疾走感たっぷりのファストナンバー「Attention」など、どの曲もマイナーキーをベースにした美メロメタルに仕上がっています。
後半も前のめりなアップチューン「Breakin' Out」からヘヴィなメタルバラード調の「Piece Of The Rock」まで、どれも平均点の高い良曲ばかり。デヴィッド・マイケル・フィリップスとミック・スウェダのギタープレイは、誰がどれを弾いているかの判断こそ難しいものの、歪みとクリーンを巧みに使い分けた、緩急を効かせた演奏で聴き手を飽きさせないし、マーク・フリーの暑苦しすぎないギリギリのラインを攻めていて、こちらも聴いていて心地よい。全体的にもかなり良質なHR/HMアルバムだと断言できます。
ただ、これがデビュー作と言われるとあまり新人っぽくなくて、妙に小慣れた感も強くフレッシュさや次への可能性があまり伝わってこない。このへんはカーマイン主導というのも大きいのでしょうね。個人的にはROUGH CUTTの1stと同じ枠に入る、「A級になりきれない地味さがあるけど内容は絶品」な1枚です。
▼KING KOBRA『READY TO STRIKE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)


