カテゴリー「Arch Enemy」の9件の記事

2019年4月 1日 (月)

『DOWNLOAD JAPAN 2019』@幕張メッセ(2019年3月21日)

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初開催の『DOWNLOAD FESTIVAL』の日本版、いざ蓋を開けてみたら大盛況でしたね。当初はチケットが売れてないなんて話もありましたし、オジー・オズボーンのキャンセルで開催危ういんじゃ?なんて悪い噂も飛び交うほど。けど、これだけ入ったんだったら、来年も大丈夫なんじゃないか?って気がしてきました(もっとも、それだけ魅力的なアクトが揃えばの話ですが)。

今回は雑誌のレポで入ったので、そちらの発売前に詳細なレポを書いてしまうのはルール違反。ということで、ここでは記録として簡単なメモ程度で収めておきたいと思います。

 

LIKE A STORM

ディジュリドゥメタル! ステージ中央にフロントマン、その左右にV字にクロスしたディジュリドゥ2本×2セット。ダウンチューニングのギターだけじゃ足りない“下”を補う、イマドキの低音は心地よいったらありゃしない……けど、序盤はよく聞こえなかったけど(苦笑)。まだアルバム2枚、曲調が似たり寄ったりなのが玉に瑕か。でも良い曲多いよね。

00. Intro
01. Pure Evil
02. The Bitterness
03. Solitary
04. Complicated (Stiches & Scars)
05. The Devil Inside
06. Love The Way You Hate Me


AMARANTHE

ライブ初見。ボーカル3人は多い……けど、ちゃんと役割が振り分けられているし、1人がフィーチャーされている間はほかの2人が休憩できるというフレキシブルさはなかなか。女性シンガーが良い声してたのと、本当に曲が良い。そりゃ売れるわけだ。納得のステージでした。

00. Helix Intro
01. Maximize
02. Digital World
03. Hunger
04. Amaranthine
05. GG6
06. Helix
07. Drop Dead Synical
08. Call Out My Name
09. The Nexus


MAN WITH A MISSION

唯一の日本代表(と、言ってもいいよね?)、かつ非メタルバンド。頭の固いメタルファンから拒絶されるんじゃ……と思っていたけど、さすが百戦錬磨のライブバンド。いざライブが始まれば、自分たちのペースで、自分たちの空間をしっかり作り上げる。最後の「FLY AGAIN」での手ふり、みんな完璧だったもんね。ホッとしました。

01. database
02. Broken People
03. Get Off of My Way
04. Dead End in Tokyo
05. Raise your flag
06. Left Alive
07. Take Me Under
08. FLY AGAIN


HALESTORM

リジーが男前すぎて……完全に21世紀のジョーン・ジェットでした。「Love Bites (So Do I)」では同名バンドLOVEBITESのフロントを担うasami嬢がゲスト参加。リジーに負けないパワフルさで場を盛り上げました。あと、彼らはメタルというよりは埃っぽいアメリカンロックなんだなと、ライブで聴いて再認識。次はフルセットで観たい!

01. Black Vultures
02. Mz. Hyde
03. Love Bites (So Do I) [with asami from LOVEBITES]
04. Tokyo
05. Amen
06. Do Not Disturb
07. Drum Solo
08. Freak Like Me
09. Uncomfortable
10. I Miss The Misery


ARCH ENEMY

ごめんなさい、朝からずっと立ちっぱなしだったので、ここで休憩。外で食事をとりながら音だけ聴いてました。5月にBLACK EARTH来日があるからか、初期曲はゼロ。日本人、みんなARCH ENEMY好きなのね。ラストの「Nemesis」だけじっくり観たけど、やっぱりカッコいいわ。

00. Set Flame To The Night
01. The World Is Yours
02. Ravenous
03. War Eternal
04. Blood On Your Hands
05. You Will Know My Name
06. Dead Eyes See No Future
07. The Eagle Flies Alone
08. As The Pages Burn
09. Dead Bury Their Dead
10. No Gods, No Masters
11. Nemesis
12. Enter The Machine (outro)


ANTHRAX

何気にベストアクトでは? 客の盛り上がり然り、ステージ上の熱量然り。PANTERA始まり&終わりはズルい。あと、久しぶりにライブで聴いた「Be All, End All」が最高すぎました。何度観ても良いバンドは良い。それで十分。

01. Cowboys From Hell (intro) 〜 Caught In A Mosh
02. Got The Time
03. Madhouse
04. Fight 'Em 'Til You Can't
05. I Am The Law
06. Be All, End All
07. Evil Twin
08. Antisocial
09. Indians 〜 Cowboys From Hell (outro)


GHOST

期待のGHOST。ステージセットや演出含め、完全に独自路線。メロウなハードロック感はどこかアリス・クーパー的。けど、ANTHRAXの後というのは分が悪すぎ。せめてSUM 41の後なら……ほかのお客ももっと引き込めたのでは。いや、僕は存分に満足しましたけど、もっと熱狂的な盛り上がりが観たかったな。

01. Ashes
02. Rats
03. Absolution
04. Ritual
05. From The Pinnacle To The Pit
06. Faith
07. Cirice
08. Miasma
09. Year Zero
10. Mummy Dust
11. Dance Macabre
12. Square Hammer


SUM 41

完全な休憩タイム。最後の2曲だけ観ました。代表曲が多いと、ジャンルは少し外れても盛り上がることは盛りがるのね。彼ら目当てのファンも少なくなかったようですし。

01. The Hell Song
02. Over My Head (Better Off Dead)
03. Motivation
04. We're All To Blame
05. Walking Disaster
06. Underclass Hero
07. No Reason
09. We Will Rock You
10. In Too Deep
11. Fat Lip
12. Still Waiting


SLAYER

ちょっと複雑な気持ちに。最高のステージだったんだけど、ラストのトム・アラヤによる日本語MCで感傷的な気分に。「どうせもう一回来るでしょ?」と高を括ってたけど、あれで一気に「本当に最後だ」と嫌でも実感させられた。帝王らしい潔い終焉でした。

00. Delusions Of Saviour
01. Repentless
02. Blood Red
03. Disciple
04. Mandatory Suicide
05. Hate Worldwide
06. War Ensemble
07. Jihad
08. When The Stillness Comes
09. Postmortem
10. Black Magic
11. Payback
12. Seasons In The Abyss
13. Born Of Fire
14. Dead Skin Mask
15. Hell Awaits
16. South Of Heaven
17. Raining Blood
18. Chemical Warfare
19. Angel Of Death


JUDAS PRIEST

4ヶ月ぶりのプリースト。ちょっと前に「Killing Machine」をやったって話があったから、日本でも……と思っていたら、気合い入れて半分近くセットリスト入れ替わってる! しかも選曲がマニアック! これはこれでアリ! あと、東京公演では聴けなかった「he Hellion 〜 Electric Eye」を堪能できたのはうれしかった。やっぱこれでしょ?

01. Firepower
02. Delivering The Goods
03. Sinner
04. The Ripper
05. Evil Never Die
06. Bloodstone
07. Saints In Hell
08. No Surrender
09. Turbo Lover
10. Devil's Child
11. Killing Machine
12. Some Heads Are Gonna Roll
13. Guardians 〜 Rising From Ruins
14. Rapid Fire
15. Hell Bent For Leather
16. Painkiller
--ENCORE--
17. The Hellion 〜 Electric Eye
18. Breaking The Law
19. Living After Midnight

2019年3月 3日 (日)

ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』(2019)

2019年1月に発表された、ARCH ENEMYのカバーアルバム。バンド初期からシングルのカップリングやアルバムのボーナストラックとして収録されてきた歴代のカバー曲を1枚にパッケージした作品で、その内訳も初期3作のヨハン・リーヴァ時代、ブレイクのきかっけを作ったアンジェラ・ゴソウ時代、現在のアリッサ・ホワイト=グラズ時代と3世代にわたる、ある種のオールタイム“裏”ベストアルバムとなっています。

取り上げられているカバーはIRON MAIDENJUDAS PRIESTEUROPEMEGADETH、MANOWAR、QUEENSRYCHEPRETTY MAIDSSCORPIONSKISSなど彼らのルーツにあるHR/HMバンドからG.B.H.、DISCHARGEといったハードコアバンド、SKITSLICKERS、ANTI-CIMEX、MODERAT LIKVIDATIONという地元スウェーデンのハードコア/クラストコアバンド、マイケル・アモット(G)がかつて在籍したCARCASS、そしてTEARS FOR FEARSやマイク・オールドフィールドといったポップ寄りまで、バラエティに富んだもの。JUDAS PRIEST、IRON MAIDEN、EUROPE、SKITSLICKERSはボーカリスト違いで複数選ばれているものもあります。

全24曲中、M-1「Shout」からM-11「City Baby Attacked By Rats」までがアリッサ時代、M-12「Warning」からM-20「Symphony Of Destruction」までがアンジェラ時代、ラスト4曲がヨハン時代としっかりブロック分けされているので、そこまで違和感を感じることはないかと。特にアリッサ時代はM-5「Nitrad」から「City Baby Attacked By Rats」までのパンク/ハードコアのカバーが続く流れで統一感を作るなど、構成も考えられていますしね。

ARCH ENEMYの活動を追っているリスナーには、すべて既出で所持している音源ばかりでしょう。しかし、こういった“ファン”アルバムは出すことに意味があるので、そこに文句をつけるのは野暮というもの。そんな中、M-1「Shout」は昨年発売されたアナログボックスセット『1996-2017』やアナログ7インチ盤「Reason To Believe」に収録されていたものですが、CD化はこれが初めて。原曲をよりヘヴィにしたアレンジはどことなくツェッペリン「Immigrant Song」に似ていて、DISTURBEDのカバーバージョンとは違った味わい深さがあります。

そのほかのカバーに関しては原曲まんまのものから凝ったアレンジのものまでさまざまですが、基本的には原曲に対する愛情が強いものが多い印象です。個人的にはPRETTY MAIDS「Back To Back」、EUROPE「Wings Of Tomorrow」、CARCASS「Incarnated Solvent Abuse」、IRON MAIDEN「Aces High」がお気に入りです。

ちなみに、CDブックレットにはマイケル・アモットによる各曲の解説入り。残念ながら日本盤はおろか、配信&ストリーミングもなしの本作ですが、特にストリーミングに関しては過去作もゼロなので、これを機に動いてほしいものです。



▼ARCH ENEMY『COVERED IN BLOOD』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。



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2018年9月19日 (水)

SPIRITUAL BEGGARS『AD ASTRA』(2000)

2000年春にリリースされた、SPIRITUAL BEGGARSの4thアルバム。もともと、CARCASSを脱退したあとにマイケル・アモット(G/ARCH ENEMYBLACK EARTH)が最初に結成したのがこのバンド。当初はトリオ編成でしたが、現在はシングルギター&キーボード(OPETHのペル・ウィベルイ)を含む5人編成で活動を続けています(ARCH ENEMYのベーシスト、シャーリー・ダンジェロも参加)。

この『AD ASTRA』の頃はアモットやペルのほか、現在も在籍するオリジナルメンバーのラドウィッグ・ウィット(Dr)、そしてスパイス(Vo, B/2001年脱退)という4人編成でした。プロデュースは“北欧メタルにこの人あり”なフレドリック・ノルドストローム(ARCH ENEMY、IN FLAMES、HAMMERFALLなど)が担当。フレドリックは「Let The Magic Talk」でシンセサイザーも担当しています。また、「On Dark River」ではマイケル・アモットの実弟、クリストファー・アモットがスライドギターでゲスト参加。普段の彼とはまた異なるプレイがー楽しめます。

こういうサウンドはジャンル的にストーナーロックに括られるのでしょうか……それにしてはメタリックなので、普通にハードロック/ヘヴィメタルでいいような気がしますが。実際、アモットもストーナーロックやろうぜ!と思ってこのバンドを始めたわけではないでしょうし。

それに、ストーナーロックにしてはギター、弾き過ぎですしね。ギターソロの音数、本当に多いですし(笑)。

ストーナーロックというよりは、90年代以降の感覚で70年代の埃っぽいハードロックを表現してみたら、こうなりました……そのほうが近い気がします。当時のBLACK SABBATHDEEP PURPLEよりも“らしい”楽曲なんだけど、それを構築するサウンドや楽器のプレイは完全に現代的。その落差が面白いし、だからこそリリース当時も普通に楽しめたわけですよね。

アモットは自身のルーツをできる限りここで表現しようと、かなりそれっぽいフレージングを聴かせてくれるんだけど、ときどき素が出てしまう(=速弾きをかましてしまう)というお茶目な一面も見せています。まあ、だからこそモダンなんですけど。

あと、スパイクというボーカリストが歌うことで変にサバスっぽくもパープルっぽくもなっていないところも大きいのかな。だって、これをリー・ドリアンが歌ったらCATHEDRALになっちゃいそうだし(苦笑)。アクが強過ぎないというのも大事なんですね。

彼らの作品の中ではこれと、ひとつ前の『MANTRA III』(1998年)をよく聴きました。近作ももちろん聴いてはいますけど、お気に入りとなるとやっぱりこのへんになります。特に本作はひたすら爆音で楽しみたい、2000年代前半の名盤のひとつです。



▼SPIRITUAL BEGGARS『AD ASTRA』
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2017年12月28日 (木)

ARCH ENEMY『WILL TO POWER』(2017)

ARCH ENEMY通算10作目のスタジオアルバム。前作『WAR ETERNAL』(2014年)から3代目シンガーのアリッサ・ホワイト=グラズが参加し、前任のアンジェラ・ゴソウに負けず劣らずのパワフルなスクリームを聴かせてくれましたが、本作ではその個性がより色濃く表れた意欲作ではないでしょうか。

マイケル・アモット(G)が本来持つメロディセンスとデスメタルならではの攻撃性、衝動性がバランスよく合わさることで生まれたメロディックデスメタルというジャンルが、アンジェラ加入後の4thアルバム『WAGES ON SIN』(2001年)で新たな可能性を見せ、そこからさまざまな変化/進化を繰り返し、新たなシンガー・アリッサを得て、気づけばバンド結成から20年が過ぎた。そんな結成20周年の2016年には初期メンバーによるBLACK EARTHも期間限定で始動し、初期3作の楽曲をたっぷり演奏する機会を得た。そういった進化と原点回帰の果てにたどりついたのが、節目となる10作目の本作であることは想像に難しくありません。

各楽曲は聴けばそれがARCH ENEMYの楽曲だとわかるような、トレードマークとなるメロディやフレーズが散りばめられたものばかり。アリッサのボーカルもところどころで女性的な側面を見せていたり、また曲によっては完全なクリーントーンで歌唱していたりと、節目を経て形式ばった呪縛から逃れようといろんなチャレンジを見せています。

確かに目新しさといったら、先のクリーントーンをフィーチャーしたバラード「Reason To Believe」や、イェンス・ヨハンソン(Key / STRATOVARIUS)が参加したネオクラシカル系の「Dream Of Retribution」くらいかもしれません。それ以外の楽曲には「どこかで聴いたことがある……」と思わせるようなものが多いですし。でも、見方を変えればそれって「メロデス、ひいてはARCH ENEMYがHR/HMとしてスタンダードの域に達した」とも受け取れるのではないでしょうか。“ブルータルなデスメタルに正統派メタルのメロディを加える” というある種の邪道が、20年続けたことで正統派に転化した瞬間。それがこのアルバムで展開されていると受け取れば、本作での安定感は納得いくものだと思います。

残念なのは、新加入のジェフ・ルーミス(G / 元NEVERMORE)の才能がギターソロだけにしか反映されていないこと。マイケルも認めるその才能がソングライティング面にも発揮されたとき、このバンドは今度こそ次のフェーズに突入するのかなと。まあ節目に今回のような作品を作らざるを得なかった事情もあるのかもしれませんけど……んなことはないか(苦笑)。とにかく、そこに関しては次を楽しみに待つことにします。

あと、本作で気になるのは国内盤と海外盤で曲順が異なること。国内盤は失踪メタルナンバー「The Race」から唐突に始まる感じが素敵なのですが、海外盤は国内盤12曲目(本編ラスト)収録の短編インスト「Set Flame To The Night」をオーバーチュアーとして使用し、そこから「The Race」になだれ込むのです。この構成も悪くないし、むしろこっちを意識して最初は作ったはずなのに、なんで国内盤はこんなことになってしまったんでしょうね。そこも残念でなりません。

……なんてマイナスポイントもいくつか挙げましたが、総合的にはここ数作で一番気に入っているし、珍しく長期間にわたりヘヴィローテーションしている1枚です。



▼ARCH ENEMY『WILL TO POWER』
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2017年10月21日 (土)

CARCASS『HEARTWORK』(1993)

CARCASSが1993年秋に発表した、通算4枚目のスタジオアルバム。当時の編成はジェフ・ウォーカー(Vo, B)、ビル・スティアー(G, Vo)、ケン・オーウェン(Dr)に現ARCH ENEMYのマイケル・アモット(G)。もともとはアモットを除く3人編成でグラインドコア/ゴアグラインドバンドとして活躍していたものの、前作『NECROTICISM - DESCANTING THE INSALUBRIOUS』(1991年/邦題は『屍体愛好癖』)からアモットが加わったことでツインギター編成になり、ギターリフで巧みに構築されたメタリックなバンドサウンドと、ギターソロをフィーチャーしたヘヴィメタル的方向性にシフトチェンジ。前作でも聴けたそのメロウな要素がより強化されたのが、本作『HEARTWORK』なわけです。

今となってはメロディックデスメタルというカテゴリーは、メタルファンの間で当たり前のように定着していますが、当時は“メロデス”なんて呼び名はまだ存在しておらず、単にCARCASSがデスメタル寄りのグラインドコアだったことから“メロディアスな要素が強いデスメタル”と認識されてしまったわけです。

確かに表題曲(名曲!)や「This Mortal Coil」あたりで聴けるツインリードは完全にヘヴィメタルのそれだし、メロディアスなギターソロも完全にあっち側。時折ブラストビートなんかも飛び込んでくるものの、ボーカルさえ歌メロをしっかり歌っていたらIRON MAIDENあたりにも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。

『NECROTICISM - DESCANTING THE INSALUBRIOUS』が大好きだった自分からすると、この変化には正直最初こそ拒否反応を示しましたが、聴き込めば聴き込むほどにハマッていく自分がいたのも確か。「Heartwork」のリードなんて完全にコピーしてたもんなぁ。

グラインドコアから出発したバンドが、プログレッシヴなエクストリームメタル路線へと移行し、そこからさらに正統派HR/HM(例えばTHIN LIZZYIRON MAIDENなど)側のカラーを強めていった。本作はアルバムごとに変化と進化を繰り返してきたCARCASSがアモットという個性を手にしたことで(それに呼応するかのごとく、ビルのプレイもHR/HM化したことで)到達した、ひとつの到達点だったのかもしれません。

結局アモットは本作発表後にバンドを脱退。翌1994年には念願の初来日が実現するのでした。アモット自身は自身のハードロック志向を追求するバンドSPIRITUAL BEGGARSを結成し、1996年には『HEARTWORK』でのメロデス路線をさらに極めるためのプロジェクト(のちのバンド)ARCH ENEMYを立ち上げることになります。

一方のCARCASSは3年後に5thアルバム『SWANSONG』を発表するのですが、それについてはまた別の機会に。

あ、ちなみに僕、ビル・スティアー派です。好きなギタリストを3人挙げろと言われたら、そのうちの1人に間違いなくビルをピックアップします。



▼CARCASS『HEARTWORK』
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2017年10月19日 (木)

『LOUD PARK 17』DAY 2@さいたまスーパーアリーナ(2017年10月15日)

Loudpark17_b昨日のエントリーに続いて、こちらでは『LOUD PARK 17』2日目公演について書いていきたいと思います。なんのことかわからない人は、このひとつ前のエントリーをごらんください。


<DAY 2:10月15日(日)>

寝不足でラウパー初日に臨み、このまま帰宅して再びたまアリに戻ってくるようなことしたら、絶対に初日よりもひどい時間に起きるだろうなと思い、この日はさいたま新都心にて一泊。ライブ終了後20分以内には宿に着いて、さすがに笑いました。

で、15日。11時チェックアウトだったので、ギリギリまでホテルにいてOUTRAGEから始めようかなと思っていたのですが、10時半になった途端にシークレットアクトがBLACK EARTHだと知り、焦ってチェックアウトして会場へ。ドアtoドアで10分ちょっとで会場に着き、後半のみ観ることができました。よかった。


BLACK EARTH
ちょっと前のエントリーに書きましたが、BLACK EARTHとは初期ARCH ENEMYの面々が勢ぞろいしたスペシャルバンド。もともとは2年前のラウパーでのARCH ENEMYのステージに初代ボーカルのヨハン・リーヴァとクリストファー・アモット(G)がゲスト参加したことがきっかけで、昨年春に同編成でジャパンツアー敢行。先頃そのツアーの模様がDVD+CD化されたこともあり、今回のシークレットゲスト出演となったようです。「なんでシークレットにするんだよ! 名前出したほうが客入るし! なんなら行ったのに!」という人も多いようですが……僕はこの試み、嫌いじゃないです。フェスって「人で選ぶ」んじゃなくて、最終的には「器で選ぶ」ようになったら成功した証拠だと思うので……って話は置いておいて。残念ながら「Bury Me An Angel」も「Dead Inside」も観れませんでしたが、「Beast Of Man」の途中からなんとか会場入り。初のヨハンは……あれ、昔よりもデス声じゃん! いいじゃん!と自分の予想を裏切る仕上がり。後日、昨年のツアーのDVD+CDも購入しましたが、この20年近くでかなり鍛え上げられたんですね。納得。ラストの「Fields Of Desolation」、終盤のツインリードで思わず泣きそうに。ああ、早起きしてよかった……(いや、実際は早起きじゃないんだけど)。

OUTRAGE
久しぶりにライブで観るOUTRAGE。直近の新作『Raging Out』の出来が素晴らしかっただけにどうしても観たかったわけですが、オープニングから「My Final Day」「Madness」の連発にノックアウト。さらに新作から「Doomsday Machine」「Hammer Down and Go」と冒頭の2曲をやられて、勝手にガッツポーズ。「Death Trap」や「Under Control Of Law」といった初期の楽曲、現編成が復活して最初の1曲「Rise」と彼らが何者かを存分に理解できる選曲が続き、ラストは「Megalomania」でクライマックス。確かに短くて物足りなさはあったけど、代表曲&新曲を詰め込んだコンパクトな内容はフェスに最適だと思いました。いやぁ、良かった。

LOUDNESS
本当なら次のAPOCALYPTICAも観るつもりだったのですが、ここでBLACK EARTHのTシャツ買いに行ったり仕事をしたりと、いろいろ野暮用に。結局、ラストの「Nothing Elese Matters」の終盤を観たのみなので、レポートは割愛します。で、LOUDNESS。高崎晃さんが出てきてサウンドチェックをするのですが、すでにギターの音が他のバンドよりもデカイ(笑)。まぁ直前がAPOCALYPTICAだから余計にそう感じるのかもね……と思っていたら、オープニングのインストナンバー「Fire of Spirit」の時点で耳が……本当に音デカかった(苦笑)。さすがに昨日からの耳疲れもあったので、耳栓を使用してライブに。序盤は2000年代以降のモダンヘヴィネス系楽曲が並び、「The Sun Will Rise Again」「Metal Mad」といった比較的メロウな楽曲もあったのですが……後半の「Crazy Nights」「In The Mirror」「Crazy Doctor」「S.D.I.」といった80年代の楽曲とどうしても比較してしまい……リフは最近の楽曲もカッコ良いのに、メロが弱いんだよなと改めて感じてしまったわけです。まあこのメロが現代的と言われてしまったら返す言葉もないのですが、僕としてはやはり……うん。そこだけが本当に勿体ないと思うんです。あと、『LIGHTNING STRIKES』30周年のバックドロップを使ってるのに肝心の同作からの代表曲がなかったり、二井原さんのルックスが完全にMETALLICAのジェイムズになっていたりでいろいろ驚きました。

DEVIN TOWNSEND PROJECT
デヴィン・タウンゼンドを観るのは、たぶん90年代後半のSTRAPPING YOUNG LADだったかソロだったかで来たとき以来。だからほぼ20年ぶりでした。最近のアルバムもほとんど聴いてなかったんだけど、なるほど、こういう音なのね、と感心して観てました。かなりプログレッシヴメタルっぽい雰囲気で、デヴィンの声もかなりよく出ているし、キーボードの人以外みんなスキンヘッドなところ含め、いろいろ気になりました。昨年リリースされた最新作、聴いてみます。

BLACK STAR RIDERS
今年発売された3rdアルバム『HEAVY FIRE』もなかなか良かったし、そもそもTHE ALMIGHTYTHIN LIZZYも好きなので、ここは観ておかないと。リッキー・ウォリック(Vo, G)含むトリプルギター編成は見応えあるし、音はそれまでの出演バンドと比べれば軽いんだけど、今の自分の耳には優しい存在。リッキーの男臭いボーカル、スコット・ゴーハム(G)のソロプレイ含め、ブリティッシュ&アイリッシュハードロックの王道感が強く出ていて好印象でした。オリジナル曲に含めて、THIN LIZZY「The Boys Are Back In Town」のカバーも飛び出し、これもまったく違和感なし。そこに、真の意味でTHIN LIZZYを継承したことを強く感じました。もし今度単独来日したら、もっとじっくり観てみたい。そう素直に思えました。

CRADLE OF FILTH
昔から聴いてるのに、気づいたらライブを観るのは初めて? 自分でも意外でした。女性ボーカルも随所にフィーチャーした、シンフォニックなブラックメタルなんでしょうけど、前日のEMPERORとは完全なる別モノ。本人たちも「ブラックメタルというよりはエクストリームメタル」と言ってるようですし、現在は独自のスタイルを築き上げたってことなんでしょうね。ダニ・フィルス(Vo)の高音デスボイスは圧巻の一言で、「ああ、これ本当に自前で出してるんだ」と感心してしまいました。変な話ですが。選曲はリリースされたばかりのニューアルバム『CRYPTORIANA – THE SEDUCTIVENESS OF DECAY』からは1曲のみで、『NYMPHETAMINE』(2004年)からの曲多め。アルバムを全部聴いてるわけではないので知らない曲もあったものの、そのドラマチックな曲構成には完璧に惹きつけられました。これはぜひ単独でも観てみたいかも。

MESHUGGAH
もしかして彼らをライブで観るのって、2008年の『LOUD PARK 08』での初来日公演以来? っていうか、それ以降って来日してないですよね? 前回の来日からの9年間で新作、2枚しか出してないですし。その彼らも、45分のセットで7曲を披露……したのですが、不思議なことに、彼らの楽曲(主にギターの音)を聴いてると……眠くなるんですよね。いや、彼らのことは大好きなんですが、ずっと聴いてると寝落ちしそうになるという。そういえば、前回の来日公演でもたったまま寝そうになったわ……特にミドルテンポの楽曲に多いのですが、そやって周波数的なものが影響することってあるんでしょうか。たまたま自分の波長的に、彼らのギターサウンドがそこに合致してしまうとか。名前は出せませんけど、同系統のテンポ感&サウンドを持つ他のバンドのライブでも寝落ちしそうになったこと、何度もあるのですよ。これ、誰かに科学的検証をしてほしいです。と、ライブとは全然関係ない話になってしまいましたが、後半テンポアップしてからはまた目が覚め、彼らのライブにのめり込んでいったのでした……演奏は最高でした。文句なし。またすぐに来てください、マジで。今度は寝ないように頑張るので。

SABATON
2年前の『LOUD PARK 15』で初来日を果たした彼ら。大きさ含め完全に戦車そのもののドラムセット(戦車の上にドラムセットがある)や、古今東西の戦という戦を題材にした楽曲の数々、そしてカッコ良いんだけどどこかコミカルで親しみやすいルックスやパフォーマンス、今回も最高以外の何モノでもなかったです。前回からギタリストが1人交代していますが、基本やることは変わらず。終盤、最新アルバム『THE LAST STAND』収録曲で日本の戦を題材にした「Shiroyama」が披露され、『サイレントヒル』などのゲーム音楽を手がける作曲家・山岡晃さんがギターでゲスト参加。おそらくその場にいた多くのメタルファンが「誰?」と思ったでだろうリアクション、忘れません。そんなサプライズも含め、前回以上の盛り上がりを見せたSABATON。いい加減に単独来日を決めていただきたい。絶対に彼ら、“新世代のACCEPT”としてもっと人気を集めるはずだし、なんならメディアがもっと大々的に取り上げるべき。それくらいのことをしてほしいですよね、今後のためにも……。

GENE SIMMONS BAND
KISSのジーン・シモンズが初のソロツアーを開始すると聞いたときは、これまでに出した2枚のソロアルバムからの曲が半分、残りはKISSの自分ボーカルの曲なんだろうなと思っていたら、予想に反して“ほぼKISS”、あるいは“演奏のうまいメンバーを集めた、ひとりKISS”だったという(笑)。「Deuce」「Parasite」という初期KISSナンバー2連発にのけぞり、「I Love It Loud」で大合唱……のはずが、実はこの会場にいる大半のメタルキッズは、そこまでKISSを通ってないんだなということに気づくわけです。コーラス、ちょっと違うぞって……。まあそれは良しとして、その後も「Cold Gin」なんていうおなじみのジーン曲が続くのですが、驚いたのは「Do You Love Me」というポール・スタンレー曲や「Shout It Out Loud」みたいにポールとジーンが歌パートを分け合う曲まで披露されたこと。バンドメンバーが優秀なので、しっかりポール役もこなせるわけですね。後半は「ヘヴィメタルの前にKISSあり」とジーン自らの宣言にギョッとした「War Machine」(火吹きなし)や、最新アルバム『MONSTER』収録曲の「Wall Of Sound」といったレア曲も登場。『LOVE GUN』収録の「Got Love For Sale」も意外な選曲で驚かされました。「Watchin' You」「She」をライブで久々に聴けたのも、ファンとしては嬉しいかぎり。ラストはおなじみの「Rock And Roll All Nite」なのですが……ここでファンをステージに上げてお祭り騒ぎ。これ、先日のDURAN DURAN来日公演におけるCHICでも同じ場面に遭遇したのですが……盛り上げ役でステージに上がってる一般の皆さん、写メ撮りまくり(苦笑)。大スターと同じ舞台に立てる喜びは痛いほど理解できるのですが、演奏してるメンバーとツーショット撮影始めたりするの、はっきり言ってみっともないですよ。ケータイがなかった時代は、みんなもっと一緒に盛り上げることに徹していた記憶があるんですが……時代なんですかね。悪くは言いたくないんだけど、やっぱりあれだけは受け入れられないっていうか苦手です。というわけで、最後の最後で苦い気分でライブを見終えることに。

MICHAEL SCHENKER FEST
大好きなKISSのジーンをあんな気持ちで見終えるなんて。ここはもう、“神”に最後のひと盛り上げをしてもらうしかない。そんな気持ちでした。とはいえ、僕はそこまでシェンカーに思い入れがある人間ではなく、ちょっと前のエントリーでも書いたように、リアルタイムで聴き始めたのはMcAULEY SCHENKER GROUPから。代表作はそれなりに聴いてるし、代表曲はほぼ知ってる。だけど世代なのか、マイケル・シェンカーというギタリストにはそこまで惹かれなかったんですよね。僕よりもひとつ上の世代が熱心に聴いている印象。そもそも僕、ギター云々よりもやっぱりボーカルや曲が魅力的であることが大前提で、そこにすごいギタリストが参加してたら尚良しって人間なので。なんて予防線を張ってから話を進めますが……。

いや、すげえ良かった! ああ、神ってこういうことか、と初めて実感&納得しました。2曲目「Into The Arena」のプレイだけでもう圧巻……散々音源では聴いてきたこの曲も、生で観ると&聴くとまったく違う印象を受けるんだから不思議。この曲、こういう表情を持っていたのかって。ああ、これ好きだわ、このギターじゃなきゃダメだわ、って。もうね、この1曲だけでノックアウトでした。その後、ゲイリー・バーデンやグラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーが順番に出てくるのですが、ゲイリーはさておき(笑)、グラハムは無駄に声がデカイし、今年の12月で70歳だというのにあの声量&高音にはただただ驚くばかり。それに続くロビンもまた声が出ていて……この人、こんなに歌うまかったんだ、と見直しました。さらに圧巻だったのは「Save Yourself」。もともと大好きな曲なんですが、シェンカーのギターが泣きまくり(歌いまくり)のところを、それを邪魔せず、なおかつ自己主張するロビンのボーカルにうっとり。すげえです。

で、さらにさらに鳥肌ものだったのが、UFO「Rock Bottom」でのシェンカーのギターソロ。中盤に5分くらい弾きまくってたんだけど、もうね、ずっと聴いてたいと思った。ああ、やっぱりどんなアーティストも生で観ないと答え出せないな、って改めて実感させられました。この人は音源じゃなくて、ライブの人なんだね。20数年前にUFOで観たときは正直そこまで惹かれなかったんだけど(それもあって、以降そこまで熱心に聴いてこなかったんですが)、この日の彼は水を得た魚のように胸に突き刺さるフレーズを、次々に叩き込んでくるわけです。

この時点で終演予定の21:30をゆうに超えており、最後に全出演者がステージに揃って終わるかと思いきや、シェンカーの「One more?」の一言でダメ押しの「Doctor Doctor」! 結局2時間近いほぼフルスケールのショーを見せてくれたわけですよ。本当にありがたい!(セットリストには、さらに「Lights Out」も載っていたので、時間が許せばそれもあったのかも……ゴクリ)

こうして最後の最後、シェンカーに全部持っていかれた今年のラウパー。2日目はマイケル(・アモット)に始まりマイケル(・シェンカー)で終わった、なんとも清々しい1日でした。今年は『OZZFEST』も『KNOTFEST』もなさそうですし、5月に予定されていた『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』も中止になっちゃったしで、メタルファンにとってはなんだかなーな1年でしたが、僕自身はこの2日間ですべてが報われた気持ちです。確かに今年は1ステージ(3rdステージの「EXTREME STAGE」が)減ったため、出演者数は減ってしまいましたし、それなのに例年と同じチケット代はちょっと無理があるんじゃないの?という声も理解できます。でも、それでも元を取った!と思えるだけのパフォーマンスをたくさん観ることができたので、個人的には満足しております。

往年の大物がたくさん出てくれるのはありがたいですが、ニューカマーにも注目する機会を与えてほしいですし、もっと言えば日本のフェスなのに日本のバンドの扱いがあまりよろしくなかったりなど気になる点もたくさんあるのですが、もう12回もやったんだから、そろそろ変化が必要な気もします。そういう意味では、今回のシークレットアクトはその一環だったのかもしれませんね。もし来年も開催されるのでしたら、そのへんもっとテコ入れしていただきたいなと勝手に思っております。



▼MICHAEL SCHENKER『MICHAEL SCHENKER FEST LIVE: TOKYO INTERNATIONAL FORUM HALL A』
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2017年10月17日 (火)

ARCH ENEMY『BLACK EARTH』(1996)

今やスウェーデンが誇る人気メロディックデスメタルバンドに成長したARCH ENEMYが、1996年に発表したデビューアルバム。当初このバンドは1枚こっきりのプロジェクトとして誕生したのですが、本作に対する評価が日本で高かったこと、また翌1997年に実現した初来日公演(CATHEDRALジャパンツアーへの帯同)での高評価が後押しし、本格的なバンドとして継続。以降、フロントマン(からフロントウーマンへ)の交代などありましたが、現在に至るまで日本をはじめヨーロッパなどで人気を博しています。

メロディックデスメタル自体、ARCH ENEMYの首謀者であるマイケル・アモット(G)がCARCASS時代の名作『HEARTWORK』(1993年)で提示したスタイルが原型などと言われていますが、このARCH ENEMYでマイケルはひとつの完成形を見せたと言っていいかもしれません。

レコーディングメンバーはマイケルのほか、実弟のクリストファー・アモット(G)、現在もバンドに在籍するダニエル・アーランドソン(Dr)、そしてヨハン・リーヴァ(Vo, B)。ヨハンはベース兼任となっています(クレジットにもこう書いてあります)が、実際にはマイケルが弾いていたようです。

さて。最近のARCH ENEMYSか知らない人には、男性ボーカルが歌っている事実に驚くかもしれませんが、この頃このバンドに出会った人間からすると、のちのアンジェラ・ゴソウ嬢の加入のほうが衝撃だったわけですよ。だって、先に音だけ聴かされて「いいボーカル入ったなぁ」と思ってたら、それが女性だと後日発表されたわけですから。まあ、そのへんの話についてはまた改めて。

で、本作ですが、やっぱり今聴いても良いですね。最近の楽曲ほど洗練されておらず、野暮ったさすら漂う楽曲の数々からはパンキッシュさすら感じられます。それもこれも、ヨハンのボーカルによるものが大きいのではないでしょうか。やれ下手だの言われていましたが、あの当時のデスメタルってこれでも十分に許された雰囲気もありましたよね? あれ、そんなことなかったっけ?

ちなみに、僕は最初にこのアルバムを聴いたときは、オープニングの「Bury Me An Angel」にこそのめり込みましたが、それ以外はちょっと拒絶反応があったかも……ぶっちゃけ、このバンドのことを本気で良いなと思ったのは3枚目の『BURNING BRIDGES』(1999年)からで、それ以降に聴き返したら「あれ、やっぱり良いじゃん」と思えるようになった口なので。

「Bury Me An Angel」は言うに及ばす、続く「Dark Insanity」もカッコ良いし、ヘヴィなミドルチューン「Eureka」も「Idolatress」もMETALLICA以降のHR/HMが持つカッコ良さが独自の解釈でしっかり昇華されている。かと思うと「Demoniality」みたいにドゥーミーなインストがあったり、アコースティックテイストの叙情的なインスト「Time Capsule」からクライマックスの「Fields Of Desolation」(エンディングのツインリードに鳥肌!)へと続いていくエンディングもあって……あれ、これ名盤じゃん(笑)。

ご存知のとおり、ヨハン、マイケル、クリストファー、ダニエル、そして現在もメンバーのシャーリー・ダンジェロ(B)という『BURNING BRIDGES』時のメンバーが昨年、『BLACK EARTH』発売20周年を記念してARCH ENEMY名義ではない“BLACK EARTH”名義で日本公演を敢行。その模様を収めたライブDVD+CDを先日発売し、さらには『LOUD PARK 2017』2日目にシークレットアクトとしてサプライズ出演を果たしたばかり。幸い僕も数曲のみですが、彼らの勇姿を目にすることができました。残念ながら冒頭の「Bury Me An Angel」には間に合わなかったものの、ラストナンバー「Fields Of Desolation」はしっかり堪能できたので、本当に幸せでした……。

ARCH ENEMY自体、最新作『WILL TO POWER』も素晴らしかったですし、こうして初期メンバーで遊んだりもできるという意味では、現在非常に充実した状況なんでしょうね。まあ何はともあれ、このデビューアルバムは彼らの原点であると同時にメロディックデスメタルを語る上では欠かせない重要作なので、最近の彼らしか知らない人はもちろんのこと、90年代のメタルシーンがすっぽり抜けているという人にもぜひ聴いてもらいたい1枚です。

なお、本作は現在までに何度か再発されていますが、2010年代に入ってからリマスタリング&ボーナストラックを多数追加した新エディションも流通しております。ジャケットがオリジナルとは異なりますが、こちらのほうがオリジナル版よりもはるかに音の分離が良いので(特にギターが)、これから購入しようと考えている方はぜひ新エディションの購入をオススメします。



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▼ARCH ENEMY『BLACK EARTH (REMASTERED AND EXPANDED EDITION)』
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2006年10月19日 (木)

LOUD PARK 06 : DAY 1 (2006.10.14)

 はい、すでに1週間経とうとしてますが、先週末10月14〜15日に幕張メッセで開催されたメタルフェス「LOUD PARK 06」の簡易レポートを書こうと思います。正直言って、すんげー長いです。だって1日の演奏時間が11時間ですからね! さすがに初日から寝坊してw開演時間の11時には間に合わず、海浜幕張駅に着いたときには14時を軽く回っていたわけですが……

 というわけで、ここで一回切ります。後は「続きを読む」でガッツリ読んでやってください。ま、言うほど長くはないと思うけど。あと、さすがに2日分をまとめてひとつのエントリーにすると、いつ書き終わるかわからないので1日目と2日目で2回に分けてレポート書きます。その辺もご了承くださいまし。

 さ、んじゃ気合い入れていきますよー。モニターの前のみんな、メロイックサインの準備しておけーw

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