2017/11/14

GTR『GTR』(1986)

ASIAを脱退したスティーヴ・ハウ(G)が、元GENESISのスティーヴ・ハケット(G)と結成した、プログレ界の新たな“スーパーグループ”GTR。彼らが1986年夏に発表した唯一のスタジオアルバムが本作『GTR』です。

ボーカルにはのちにPHENOMENAやマイク・オールドフィールドの作品に参加するマックス・ベーコン、ベースには同じくマイク・オールドフィールド流れのフィル・スポルディング、ドラムには元MARILLIONで幅広いジャンルでも活躍するセッションプレイヤーのジョナサン・ムーバーを迎えていますが、ギタリスト2名以外の知名度はそこまで高いものではありません。だからこそ、どんなサウンドになるのか未知数だったところもあると思うんです。

僕はMTVで先行シングル「When The Heart Rules The Mind」を観て(聴いて)、そのASIA譲りのドラマチックなハードロック調サウンドに心惹かれ、アルバムに手を出しました。シンガーのマックス・ベーコンが高音を張り上げて歌うタイプだったので、HR/HMリスナーにもかなり親しみやすかったんじゃないでしょうか。僕自身、ASIA以上にそっちの感覚で楽しめましたし。

それに、シンセはあくまで味付け程度で若干後ろに引っ込め、ギター2本を軸にした“適度にプログレッシヴ”なアレンジは、産業ロックやプログレポップとは呼び難いもの。いや、そんなことないか。とにかく、ボーカルとギターが豪快で、全体のトーンにも統一感が感じられる。しかも途中に登場するギターインスト(それぞれスティーヴ・ハウ、スティーヴ・ハケットによる2分程度の作品)がアルバム中で良いアクセントとなっているのも、また良いんですよね。

大半の楽曲はハウ&ハケットのペンによるもので、曲によってマックスや他メンバーが携わっているんですが、2曲目の「The Hunter」のみASIAのジェフ・ダウンズによる作品。かといって、ASIAっぽいかと言われると、全然そんなことないんですけどね。ちなみに、後年ASIAもこの曲をセルフカバーしているので、聴き比べてみてはいかがでしょう。ASIA版はジョン・ペインの歌声のせいもあって、全然印象が異なりますから。

YESらしさも、(ポップになる前の)GENESISらしさも混在しつつ、プログレッシヴなハードロックとして機能するクオリティの高い1枚。残念ながら全米11位と、ASIAほどの成功を収めることなく、バンドはこの1作で解散を迎えてしまいました。あのまま続いていたらどんな作品を作っていたのか想像もつきませんが、30年以上経った今も忘れ去られることなくこうやって本作を楽しめるのは、このバンドにとってはある意味幸せなことなのかもしれませんね。



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投稿: 2017 11 14 12:00 午前 [1986年の作品, Asia, GTR] | 固定リンク

2017/11/13

ASIA『ASIA』(1982)

KING CRIMSON/元UKのジョン・ウェットン(Vo, B)、元YESのスティーヴ・ハウ(G)、元EMERSON, LAKE & PALMERのカール・パーマー(Dr)、元THE BUGGLES/元YESのジェフ・ダウンズ(Key)が結成した“スーパーバンド”ASIAが、1982年初春に発表したデビューアルバム。イギリスの老舗プログレバンド出身の4人が一堂に会してどんな音楽を奏でるのかと思いきや、いきなり「Heat Of The Moment」みたいなポップロックを完成させたんですから、そりゃあ当時リアルタイムで聴いてたプログレファンには「裏切りだ!」って思うくらいショックだったんじゃないかと察します。

リアルタイムでは1985年の3rd『ASTRA』から入ったので、1枚目と2枚目『ALPHA』(1983年)は完全に後追い。たぶん中学3年か高校1年のときに聴いたのが最初じゃないかな。HR/HMに慣れた自分が聴いても楽しめる、プログレのテイストを残した“ポップでキャッチーでコンパクト”なロックチューンが並ぶデビュー作は、特にお気に入りでした。まず、オープニング「Heat Of The Moment」のシンセにやられて、耳障りの良いメロディに心が持っていかれた。そこから、よりプログレチックなポップロック「Only Time Will Tell」、アレンジこそプログレ風だけどサウンド自体はハードロック寄りの「Sole Survivor」、この冒頭3曲が特に大好きでした。

昨日のSTYXじゃないけど、こういうプログレポップって仰々しいプログレッシヴロックが好きな人からしたら、本当にどう映るんでしょうね。いや、特に答えはいらないですが。残念ながら自分はHR/HMを入り口に上記のようなUKプログレバンドに接し、さらにはSTYXやASIAのようなバンドも貪欲に聴いてきたクチなので、どれも偏見なく楽しめるんですよね。節操ないと言われたらそれまでですが。

こういう、各プレイヤーの技量を最良の形(なのかな?)でアレンジに組み込み、プレイヤーが陥りがちな“オナニー的プレイ”を排除してコンパクトに、かつポップに組み立てた楽曲は本家プログレよりも気楽に楽しめると同時に、曲の至るところにフックが仕込まれているから、変に聴き流すこともできない。気づいたらメロディの親しみやすさを通り越して、各プレイヤーのこだわりのプレイまで聴き込んでいる自分がいる。特にこの1stアルバムに関してはそいういうことが多いような気がします。

「Time Again」の“これぞ!”といった仰々しさも好きだし、「Wildest Dreams」のハードロック的壮大さも好きだし、「Without You」のAORバラードも嫌いになれない。とにかくよく出来たアルバムですよ。リリースから今年で35年? 驚きました。ロックとしてもポップスとしても機能する、本当に高性能な1枚です。



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投稿: 2017 11 13 12:00 午前 [1982年の作品, Asia] | 固定リンク