SAMI YAFFA『SATAN'S HELPERS, WARLAZER EYES & THE MONEY PIG CIRCUS』(2024)
2024年3月8日に配信リリースされたサミ・ヤッファの2ndアルバム。フィジカルは3月15日発売予定、日本盤は現在未発売。
HANOI ROCKSなどでお馴染み、現在は盟友マイケル・モンローのバンドメイトとして活動をともにしているサミ。40年以上におよぶ音楽キャリアにおいて初のソロアルバム『THE INNERMOST JOURNEY TO YOUR OUTERMOST MIND』を2021年9月に発表しましたが、本作はそれに続く2年半ぶりの新作となります。
レコーディングには前作にも携わったヤンネ・ハーヴィスト(Dr)、リンデ・リンドストローム(G/ex. HIM)、バートン(Key/ex. HIM)といった地元スウェーデンの仲間たちが全面参加。さらにHANOI ROCKSのメンバーでもあるナスティ・スーサイド(G)やマイケル・モンロー(Vo, Sax)、BACKYARD BABIESやTHE HELLACOPTERSの一員でもあるドレゲン(G)、そしてマイケル・モンローのバンドメンバーでもあるリッチ・ジョーンズ(G)&スティーヴ・コンテ(G)といった気心知れた友人たちもゲスト参加しています。
前作で得た手応えをもとに、フィンランドやスウェーデン、スペインなどで断続的に、数年かけて制作されたという本作。基本路線は前作の延長線上にあるものの、まずはオープニングのタイトルトラックに驚かされるのではないでしょうか。マカロニウェスタンを彷彿とさせるスローブルースでじわじわと熱量を高めていくスタイルは、インパクトに欠けると受け取られてしまう可能性もゼロではありませんが、独特の世界観を提供するための入り口としてはいい味付けになっていると個人的には感じました。
パンキッシュなアップチューン「Silver Or Lead」や「Shitshow」、HANOI ROCKSやマイケル・モンローの楽曲として披露されても何ら違和感のないマイナーキーの「Hurricane Hank」や「Crashing Down」、レゲエテイストを取り入れた「Death Squad」などいかにもな楽曲が多数収録される中、レイドバックしたアコースティックアンバー「Down Home」、ファンキーさが際立つ「Chemical Life」、スカテイストを強めたダウナーな「Far Star」などはアルバムのフックとして良い方向に作用している印象を受けます。ぶっきらぼうながらも大人の色気が漂うサミのボーカルも前作以上に馴染み始めており、昨年9月に還暦(!)を迎えたにも関わらずミュージシャンとしてなおも進化を続けようとする彼の前向きな姿勢にただただ脱帽するばかりです。
アルバムのクロージングナンバー「Faster Than Time」のアットホーム感も相まって、前作以上にリラックスして楽しんでいる様子が伝わる本作。酒をたらふく浴びながらまったり楽しみたい、そんな空気感の1枚ではないでしょうか。せっかくなので、クラブ規模でのライブも観てみたいなあ。
▼SAMI YAFFA『SATAN'S HELPERS, WARLAZER EYES & THE MONEY PIG CIRCUS』
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