2003/04/06

BAZRA『ひょうろくだま』(2002)

北海道在住のトリオバンド、BAZRAが02年春にリリースした、ファーストミニアルバム。5曲入りで1000円という良心的な値段もさることながら、何よりもまず内容が素晴らしい。とてもトリオ(ギター、ベース、ドラム)の演奏とは思えないような迫力、いやトリオだからこその緊張感が生み出した結果がこれなのかも。とにかく聴いていてワクワク・ドキドキするのと同時に、非常に気持ちいいのね。それは例えばボーカルの、如何にも身体全体を使って歌ってますといったような歌唱法だったり、ギターのクリーントーンでのコードストロークだったり、ベースの流れるようなフレーズだったり、ドラムのしなやかなリズムだったり。たった3つの楽器+ボーカルのみなのに、音が分厚かったり繊細だったり。この辺の強弱の使い分けが非常に上手いバンドだなぁと思います。

よく俺は1枚のアルバム、ひとつのアーティストを紹介する時、「○○に影響を受けたかのようなサウンド/音楽性」とか「○×フォロワー」というように、既存する有名/無名のアーティスト名を例えとして挙げますが、正直このバンドの場合はそれが難しいんだよね。確かに聴いたことあるようなサウンド/フレーズがあったりもするんだけど‥‥それが「これだ!」と断定するのが難しい。ギター・ベース・ドラムのトリオ編成のバンドで、ちょっとファンキーな音を出すバンドと比べることもできるだろうけど、それも無意味に思える程、曲やボーカルの個性が強い。このバンドの強みって、そういう「誰かに似てそうで、実は誰にも似ていない、真似できないような個性」なんじゃないかな、と思っています。アルバム2曲目「口達者」のイントロでのギターストロークとか聴くと「あー何だっけ。聴いたことあるような‥‥」とか瞬時に思うんだけど、それが何なのかは結局判らないまま、最終的にはBAZRAの素晴らしさに惹き付けられている自分がいたりして。3曲目「最後の海」のアルペジオとかも個性的だし、やはりバンド・アンサンブルには目を見張るものがありますよね、このバンド。楽器をやる人は是非一度聴いてみることをオススメします。

素晴らしい、素晴らしいを連呼していますが、ひとつだけ難点というか、個人的願望を言わせてもらうと‥‥先日初めて彼等のライヴを観たんですが、正直生の彼等を聴いてしまうと、アルバム音源がショボく感じてしまうんですよね。ボーカルの太さ・生々しさはレコーディングでも上手く表現されていると思うんですが、楽器に関してはちと迫力不足じゃないかな、と。インディーズでの少ない資金による制作ではこれが限界なのかもしれないけど、もうちょっと各楽器の音が太くてもいいんじゃないかな?と思ったんですよね、ライヴと比べると。ベースももっとブリブリしてていいはずだし、ギターも線が細過ぎだし、ドラムも音色がちょっと‥‥まぁこの辺は個人の好みもあるでしょうけど、やはりライヴと比べちゃうとねぇ。生に勝るものなし、ってことなのでしょうか。とはいいながらも、スタジオ盤にはスタジオ盤の良さもちゃんとあるわけで、例えばライヴでは完全に3人だけど、スタジオではキーボードやオルガン(クレジットがないけど、その後出たフルアルバムではかのKYONがキーボード弾いてるので、これもそうかな?)が加わることで、更に音に厚みが増す曲もあるにはあるんだよね。4曲目「ミハイル」なんてまさにそれだし。逆にこの曲はオルガンが加わったスタジオ版の方がカッコイイし。一長一短あるとは思うんだけど、是非次回はサウンドに拘ったアルバム作りを目指してもらいたいな、と。贅沢なお願いですけどね。

なんていいながらも、このアルバムを久し振りに聴いてますが、1年前に初めて聴いた時と印象が何ら変わってないことに驚いてます。やっぱりいいバンドだと思うし、いいシンガーだと思うし、いい曲だと思う。他に似たタイプのバンドがいないだけに、一度聴いたら忘れられないバンドでしょうね。今、100円シングルとかも出てるし、このアルバムも1000円だし、その辺のクソみたいなコピーコントロールCDを買うくらいなら、是非こっちを買ってくださいね。値段以上の内容に大満足すること間違いなしですから。



▼BAZRA『ひょうろくだま』
(amazon:国内盤CD

投稿: 2003 04 06 12:00 午前 [2002年の作品, BAZRA] | 固定リンク