BE THE WOLF『ROUGE』(2016)
今年2月にアルバム『IMAGO』で日本デビューを果たした、イタリアはトリノ出身のトリオバンドによる2ndアルバム。日本では前作がかなり高く評価され、僕も遅まきながら春過ぎに前作を入手し、よく聴いておりました。その編成や湿り気のある日本人好みのメロディから、デンマークのDIZZY MIZZ LIZZYと比較する声もあるようですが、完全に別モノです。当たり前ですが。
前作はデビュー作ということで勢いに満ちた楽曲もありましたが、今作はそういう楽曲も少なからず存在するものの、それ以上に自身の魅力や個性ととことん向き合った“哀メロ度MAX”のミディアムナンバーが中心。2曲目「Down To The River」冒頭で早くもアコギのアルベジオが聞こえてきたときは、さすがに「大丈夫? ちょっと考えすぎてない?」と心配になりましたが、アルバムが進むにつれてその心配は無駄に終わりました。だって、全編この調子なんだもん。適度にパワフル、だけどメインの武器はメロディ。この戦法で本気の勝負に挑んでる感はかなり強く伝わりました。情熱的な赤(というより紅)を使ったジャケットからも、その熱は感じられます。
通して聴いたときの印象として、作風は異なるけどRED HOT CHILI PEPPERS『CALIFORNICATION』に近いものを感じたのは僕だけでしょうか。もっとも今作のほうがよりハードロック寄りだし、日本人の琴線に触れるものが多いと思いますが。
そういえば前作ではボーナストラックとしてKILLSWITCH ENGAGE「The End Of Heartache」をアコースティックカバーしておりましたが、今作ではブルーノ・マーズ「Locked Out Of Heaven」をバンド編成でカバーしています。これのなかなかの仕上がりです。ただ、日本盤の2枚組仕様に付いてくるライブディスクは蛇足かな。スタジオ作品のような完成度は感じられず(主にボーカルの頼りなさが……)、年明けに控えた再来日公演への不安を煽る代物になりそうな予感……無理して初回盤を手に入れなくてもいいと思います。