2017/10/29

WILLIAM PATRICK CORGAN『OGILALA』(2017)

SMASHING PUMPKINSのフロントマン、ビリー・コーガンによる2ndソロアルバム。本作は本名である「ウィリアム・パトリック・コーガン」名義でのリリースとなります。

ソロアルバムはスマパン〜ZWANの解散を経て、2005年に発表した『THEFUTUREEMBRACE』以来12年ぶり。前作はヘヴィなサウンドのみならずニューウェイブやシューゲイザーなどさまざまなジャンルを打ち込み中心で表現した(ファンに求められているか否かは別として)意欲的内容でしたが、本作は本名名義での発表ということもあってか、非常にパーソナルな内容に仕上がっています。

そのパーソナルというのも、非常にわかりやすい形で表現されており、基本はアコースティックギターの弾き語りを軸にしており、そこに歪んでないエレキギターやピアノ、メロトロン、パーカッションなどが加わっています。とはいえ、そこまで音数は多くなく、むしろ全体的に“空白”を生かしたアレンジの楽曲がずらりと並びます。スマパンで言うなれば、「Disarm」「Thirty-Three」あたりに通ずると言えばわかりやすいでしょうか。

とはいえ、「Disarm」のようなドラマチックさはなく、「Thirty-Three」ほどのきらめきも……まったくないと言ったら嘘になりますが、その輝きは若さならではの生命力によるものとは違った、同時に影を感じさせるものといいましょうか。キュンとする切なさとは違う、郷愁感に似たものなのかもしれません。

ビリーの歌声も強く張り上げることなく、終始リラックスしたもので、聴き手側も肩の力を抜いて楽しめるんじゃないでしょうか。

ただ、統一感の強いカラーのせいなのか、「これ!」といったキメの1曲が見当たらないのがマイナスポイント。どれも平均点を軽く超えた仕上がりですが、抜きん出て素晴らしいと呼べるものを探すのは難しい。そういった意味では、非常に“雰囲気モノ”の1枚として全体の空気感を楽しむ作品と言えるでしょう。そんな楽しみ方があるのかどうかは別として。

90年代にあれだけ高性能ハードロック&ポップスを量産してきたビリー。00年代以降は本作に限らず、確かに「これ!」という1曲を生み出せていないんですよね。その才能はある人だと思うんですが……。

と思っていたら、本作ってビリーが脚本を手がけたショートフィルム『PILLBOX』のサウンドトラック的立ち位置の作品みたい。なるほど、サントラということで考えたらこの統一感も理解できるし、極端に目立ちすぎる曲が少ないというのも頷けるか……ってこれ、ショートフィルムが先かアルバムが先かで、捉え方も変わってくるような。本当はどっちが先なんでしょうね。

ちなみに本作には、元バンド名とのジェイムズ・イハが1曲(「Processional」)ギターとメロトロンでゲスト参加。実はアルバム未収録でもう1曲、共演曲があるとのこと。今後のリリースのみならず、再びステージでの共演含め、今後に期待しておきましょう。



▼WILLIAM PATRICK CORGAN『OGILALA』
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投稿: 2017 10 29 12:00 午前 [2017年の作品, Billy Corgan, Smashing Pumpkins] | 固定リンク