2017/09/12

JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』(2000)

2000年に発表されたジミー・ペイジTHE BLACK CROWESによる共演ライブアルバム。1999年10月にロサンゼルスのTHE GREEK THEATERで行われたライブを収めたもので、全曲カバー。メインとなるのはペイジが在籍したLED ZEPPELINの楽曲で、そのほかにツェッペリン界隈(B.B.キング、YARDBIRDS、ジミー・ロジャース、ウィリー・ディクソン、FLEETWOOD MAC、エルモア・ジェイムズ)のカバーも含まれています。

ちょうどこのライブが行われる数ヶ月前、THE BLACK CROWESがフジロックに出演した際、本作でも取り上げられている「In My Time Of Dying」を完コピしてビックリした記憶があるのですが、あとから考えたらあのカバーは本作への序章だったのですね。フジロックで観たとき「クリス・ロビンソン(Vo)ってロバート・プラントみたいに歌えるんだね」と、なんの違和感もなく楽しめたのをよく覚えています。

ピックアップされたツェッペリンナンバーですが、敢えて「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」「Immigrant Song」「Communication Breakdown」のようにベタなハードロックナンバーは選ばず、基本はブルースを軸にした楽曲ばかり。さすがに『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)からの楽曲はありませんが、そのほかのスタジオアルバムから万遍なくセレクトされています。「Hey, Hey, What Can I Do」(シングル「Immigrant Song」のB面。アルバム未収録)あたりを選ぶところにも、こだわりが感じられるというか……あ、ジミー・ペイジの趣味かもね。

ギターの振り分けですが、おそらく中央にジミーのギター。左右にTHE BLACK CROWESの2人(リッチ・ロビンソン&オードリー・フリード)が振り分けられてるんじゃないかと。ヘッドホンで聴けば、それぞれの持ち味がしっかり把握できるはずです。誰ですか、中央のギターが下手くそとか言ってる人は?

THE BLACK CROWESファンとしては、ジャムセッションの延長で下手に曲が間延びすることなく、比較的オリジナルに忠実な形で演奏されていることから素直に楽しめると思うし、ツェッペリン曲以外のブルースナンバーのカバーに彼らの真髄が感じられるのではないでしょうか。特に彼らのデビュー作『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にタイトルを引用したであろうエルモア・ジェイムスの「Shake Your Money Maker」が聴けちゃうのも良いところでは。

また、ジミー・ペイジ側の視点ではデヴィッド・カヴァーデイルとのCOVERDALE・PAGEロバート・プラントとのPAGE / PLANT以降パーマネントのバンドを持たないペイジがこうやって若いミュージシャンと一緒に何かをやることは悪いことじゃないし、しかもツェッペリンナンバーはこれでもか!?と言わんばかりに演奏してくれるのもありがたい。本当に最適な相手を見つけましたねと、褒めてあげたい気分です。実際、ペイジのギターも思っていた以上に生き生きしてますしね。

最高の“お遊び”をこうやって記録として残してくれたのは、双方のファンのみならずロックリスナーにとっても嬉しいかぎり。余計なことを考えずに、素直に楽しみたいライブアルバムです。



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2017/09/04

THE BLACK CROWES『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992)

デビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)の大ヒットを受け、1992年春に発表されたTHE BLACK CROWESの2ndアルバム。本作発表前にはジェフ・シーズ(G)が脱退し、元BURNING TREEのマーク・フォード(G)が加入。さらにエディ・ハーシュ(Key)も加わり、6人編成で本作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』を制作します。

デビュー作で提示した「ROLLIN STONESからの影響を感じさせつつも、適度にハードで、それでいてサザンロックの香りも漂わせる土着的ロックンロール」路線はここでも踏襲されていますが、本作ではよりサザンロック色を強めています。曲作りの時点でジャムセッション度が高まっていることもあってか、コンパクトな楽曲が少なくなり、全10曲中6分を超える楽曲が3曲もあることに驚かされます。

ですが、それぞれの楽曲を決して長いとは感じることがないのは、1曲1曲がしっかり練りこまれているから。ジャムをもとに制作されているものの、歌メロがキャッチーでアレンジもある程度固められている(軸だけしっかり固め、あとは自由)。さらに、女性ゴスペルコーラスが加わることで、音の厚み、温かみがより増している。

デビュー作のレビューで「サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある」と書きましたが、少なくともこの2ndアルバムの時点まではTHE BLACK CROWESに対してそういう印象はまったくないんですよね。その傾向が強まるのは、次作『AMORICA』(1994年)以降からなので(笑)。そういう点においては、サザンロック入門編としては非常にとっつきやすい1枚かもしれません。クリス・ロビンソン(Vo)も艶やかだし、リッチ・ロビンソン(G)もただひたすらカッコ良く、意外とHR/HMファンにも入っていきやすい作品なんじゃないかな。

アップテンポの楽曲はオープニングの「String Me」と後半一発目の「Hotel Illness」程度。あとはミディアムテンポのグルーヴィーな楽曲とスローナンバーが中心で、そこも聴きやすさにつながっているのかも。さらに「Remedy」や「Black Moon Creeping」「No Speak No Slave」みたいにヘヴィな楽曲も気持ちよく聴ける。ラストには恒例のカバー曲「Time Will Tell」(今回はボブ・マーリー)も収録。ボーナストラックとして「Sting Me」のスローバージョンやカバー曲「99 lbs.」も含まれておりますが(現行盤にはこの2曲は未収録なのかな?)、そこまで含めた60分近い内容でも決して長すぎるとは感じない、濃厚なロックンロールアルバムだと断言できます。

にしてもHR/HMがチャート上で死滅し始め、グランジが勢力を拡大し始めた1992年前半に本作は全米1位を獲得しているという事実はすごいことだと思います。本作を携えた初来日公演も非常に記憶に残っていますし、ファン的にも印象深い1枚なのではないでしょうか。個人的には彼らのアルバムでもっともお気に入りの作品です。



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投稿: 2017 09 04 12:00 午前 [1992年の作品, Black Crowes, The] | 固定リンク

2017/06/07

THE BLACK CROWES『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990)

アメリカ・ジョージア州出身のロックバンド、THE BLACK CROWESが1990年初頭にリリースした1stアルバム。全米4位まで上昇し、500万枚以上を売り上げた出世作です。特に本作からのシングル「Hard To Handle」(オーティス・レディングのカバー)が全米26位のヒットになったことを機にブレイクし、他にも「She Talks To Angels」(全米30位)、「Jealous Again」(全米75位)といったヒット曲が生まれました。その後の彼らはよりディープな方向へと進んでいったため、こういったヒットシングルが複数生まれたのは本作と、続く2ndアルバム『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)までとなります。

前回のTHE QUIREBOYSの際にも触れましたが、シーンがよりオーガニックなサウンドを求め始めた中、アメリカから登場したのがこのTHE BLACK CROWES。よくROLLING STONESあたりと比較されましたが、それよりも彼らの場合はアメリカ南部出身のロックバンド……LYNYRD SKYNYRDやTHE ALLMAN BROTHERS BAND、あるいはTHE GEORGIA SATELLITESや初期のZZ TOPのほうが近いような気がします。きっと本作のレコーディングにストーンズのサポートピアニスト、チャック・リーヴェルが参加していたことやオーティスをカバーしていることで、当初はストーンズと比較しがちだったんでしょうね。

彼らの全キャリアの中でもっとも聴きやすいのが本作で、のちのセッション色濃厚な作品群と比べればどの曲もシンプルかつコンパクト。なおかつキャッチーで、適度なハードさもある。そのへんはBON JOVIGUNS N' ROSESが好きというリスナーにもアピールするかもしれません。特にオープニングを飾る「Twice As Hard」あたりは、モロにハードロック的手法ですしね。

かと思えばストーンズにも通ずるソウルフルなバラード「Sister Luck」「Seeing Things」、切ないアコースティックバラード「She Talks To Angels」もあって聴き応えもある。ホンキートンク調ピアノが心地よいR&R「Jealous Again」もあれば、軽快なカントリーロック「Thick n' Thin」もあるし、適度にハードなど直球の「Struttin' Blues」もある。エンディングの「Stare It Cold」もひたすらカッコ良いしね。音自体は隙だらけなんだけど、作品としては隙が感じられない完璧なロックンロールアルバムに仕上がっています。

サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある人、わかります。若い頃の自分もそうでしたから。でも、このアルバムからTHE BLACK CROWESの作品を追っていけば、そのディープな世界にじわじわと入り込むことができるかもしれません。あるいは「ここまでならOK」という自分の中での基準値もわかるのではないでしょうか。そういう意味では本作は、入門編的1枚と呼んで差し支えないでしょう。



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投稿: 2017 06 07 12:00 午前 [1990年の作品, Black Crowes, The] | 固定リンク

1999/09/08

「FUJI ROCK FESTIVAL '99」DAY 1@苗場スキー場(1999年7月30日)

  苗場に移って初開催のフジロック。観たアクトについて簡単にメモしていきます。長くなりそうなので、1日ずつ分割しています。まずは初日(7月30日)から。


◎ROCKET FROM THE CRYPT (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  1発目は今年初めにも来日したROCKET FROM THE CRYPT。実はこのバンド、ステージを観るのが初めてどころか、音に接するのも初めてだったりする。正直、電撃ネットワークとどっちを観ようか悩んだけど、始まってみればこっちが好みの音だったので、結局酒飲みながら最後まで観ることに。

  1曲も知らなかったわけだが、自分が好きなTHE CLASHの一時期に通ずるものを彼等から感じた。ホーンセクションを含んだメンバー構成、すごくショーアップされたステージング、親しみやすいポップな楽曲‥‥開放的な気分にさせてくれた。トップバッターにもってこいでしょう!

  が……これといって印象に残る決定打となる曲がなかったことも付け加えておく。苗場から戻って、気になったバンドの音は手に入れているのだが、彼等に関してはそこまでのめり込めなかった。酔っていたせいもあるのかも?


◎PHISH (at GREEN STAGE / 12:30~13:20)

  噂には聞いているPHISH。4人編成(ギター&ボーカル、ベース、ドラム、キーボード)なのだが、現地では例えば日によってVELVET UNDERGROUNDのアルバム1枚まるごと完コピしてしまったり、BEATLESのホワイト・アルバムだったり、と……演奏力に関しては文句なしのようだ。

  実際の音に触れてみると、やはりライブで叩き上げられたバンドだなってのがよ~く判った。実は「ライブを何時間もやる」って話を前もって聞いていたので、「1曲1曲が長くて、だらだらジャムってるんだろうな?」ってイメージがあった。実際に1曲10分くらいの曲目白押しだったが、全く気にならなかった。延々ジャムってるわけだが、耳を引き付けるだけの実力/魅力を兼ね備えている。確かに日本で人気の出るタイプのバンドではないだろうけど。

  でも、楽曲は非常にポップなものが多い。彼等が師と仰ぐ?GRATEFUL DEADだってポップな曲が多かったし。そりゃGRATEFUL DEADとはタイプは違うだろうけど、俺は非常に好感が持てた。FIELD OF HEAVENまでは行かなかったけど。


◎NEVE (at WHITE STAGE / 13:00~13:50)

  実は今回のフジロック出演者の中で、秘かに期待していた新人。1997年のTHIRD EYE BLINDみたいな大穴的存在になるかもしれない……そう思ったのだ。ヒットした「It's Over Now」しか知らなかったけど、その1曲が非常に好みの音……産業ロック臭を漂わせていた。装飾こそ非常に90年代的だが、その芯にあるのは間違いなく80年代の産業ロックバンド。SURVIVERだったりJOURNEYだったりREO SPEEDWAGONだったりと、そういう匂いが感じ取れたのだ。

  が、この日は4曲くらいしか観てないが、それで十分という気にさせられたのも事実。まだステージ慣れしてないのもあるのだろう。正直に言えば、クラブサイズで観たかったな?と思った。けど、「It's Over Now」も聴けたし、それ以外にもいい曲があることが判っただけでも収穫かな? うまい具合にオルタナ色も取り込んでるな?とも思ったし、ギターは80年代から抜け切ってないな?(笑)とか。そしたらここのギタリスト、80年代はLAの某メタルバンド(無名だったらしいが)に在籍してたらしい。やっぱり。血は争えないってか。

  残念なことにこのバンド、アメリカでのアルバムリリースがこの夏から来年の2月にまで延びてしまったそうだ。まだこういう音には冷たいのか、アメリカは。「セカンドに期待!」とか書こうと思ってたんだけど、それ以前の問題だったか……。


◎奥田民生 (at GREEN STAGE / 14:00~14:45)

  この日最初に観る日本のアーティスト。良くも悪くも「いつも通り」だった。いきなり「人間2」から始まったのには鳥肌立ったけどね。民生に気負いはなかった、と思う。そこにどんな客がいるか?をも無視したかのような選曲。シングルナンバーはといえば「悩んで学んで」「月をこえろ」、そしてアルバムバージョンだったが「イージューライダー」の3曲のみ。あとは各アルバムからのナンバーをまんべんなく披露。もっと客を引き付ける為の必殺技を繰り出してもよかったんじゃないか?と。「愛のために」1曲あるだけでかなり雰囲気が変わったと思うんだけど……まぁこの人はこれでいいのかも。こういうところが好きではあるんだけどね? やっぱり去年の布袋を思い出したよね(シングルヒット連発するくらいの勢いが欲しかった、と)。

  そうそう、MCらしいMCがなかったのも彼らしかった、と付け加えておこう(唯一しゃべったのが、声にならない声で「あち゛い‥‥」だった)。


◎STEVIE SALAS (at GREEN STAGE / 15:30~16:20)

  この人には「器用貧乏」って言葉がよく似合う。実際プレイも上手いし、何でもそつなくこなしてしまう。その反面、「これだ!」っていう決定打がない。同じタイプのギタリスト/ボーカリストにリッチー・コッツェンという人がいるが、この人の場合は歌が死ぬ程上手すぎる。そしてフロントマンとしてだけでなく、バンドの一員として1歩引くこともできる(現にエリック・マーティンという同系統のソウルフル・シンガーが在籍するMR.BIGに加入したばかりだ)。ところがこのスティーヴィー・サラスの場合、フロントマンとして張り切るのだけど、「何か」が足りない。それは何なんだろう?

  実はこの人のライブは当初観るつもりはなかった。が、いきなり1曲目にCHEAP TRICK「Hello There」のカバーをやられてしまってはね。ステージ近くまで駆け寄ったのは言うまでもない。が、自分の興味を引いたのはここまで。あとは、ともとれずロックともとれないようなファンク調の楽曲の数々を繰り広げるばかり。正直、退屈だった。

  ぶっちゃけた話、この人にはソロアーティストは向いていないのかもしれない。この日のステージを観てそう感じた。足りない「何か」、それは彼を支える、また彼と肩を並べる“もうひとりのフロントマン”の存在なのかもしれない。この日のバンドはあくまで彼をバックアップする為のメンバーだったはず。だから彼以上に目立った存在はいなかった。プレイで耳を引き付けるメンバーはいるにはいたが、ビジュアル的にいまいちだった。彼にはもう一度、COLORCODE時代のような固定メンバーでのバンド、しかもT.M.スティーヴンスのような見た目にもテクニック的にも度胆を抜くようなメンバーと組んでほしい。そうすればもうひと皮剥けるんじゃないかな。正直、このままじゃ勿体ない。


◎Hi-STANDARD (at GREEN STAGE / 17:00~17:45)

  ハイスタに関しては最近リリースされた新作「MAKING THE ROAD」が素晴らしい内容だったので、この日期待のバンドナンバー1だったりした。

  日射しが弱くなり、ステージに現れたのはハイスタのメンバーではなくチベットのアーティスト、NAWANG KHECHOG(ナワン・ケチョ)。先のチベタン・フリーダムでも彼等と共演したナワン、今日もあの巨大なホーンを振り回し、「ヴォーッ!」と未知の低音で観客の眼差しを独り占めした。2曲演奏した後、横山(G)が登場。ギターとホーンの共鳴がシーンとした苗場の山々に響く。幻想的とは正にこういう事を言うのだろう。

  盛大な拍手、そして「Free Tibet!」の叫び声をバックにナワンはステージを降りた。さぁ、いよいよハイスタの出番だ。3人とも甚平を着ている。「輝いちゃってますか~っ?」難波(Vo & B)のこの言葉を合い言葉に、45分に渡るモッシュタイムが始まった。

  「Stay Gold」からスタートし、ニューアルバムの楽曲が中心ながらも、要所要所に過去の名曲を挿んで進めていくステージには圧倒されっぱなし。この日一番の盛り上がりだ。俺もモッシュの輪に加わる。歳甲斐もなく。ハイライトは終盤の「Mosh Under The Rainbow」だろう。みんなで大きな輪を作って回る……すごい光景だ。しかもその輪が4つも5つも。至るところに輪ができている。それを見たメンバーの嬉しそうな顔がすべてを物語っている。歴史に残る瞬間だろう、これは。

  正直な話、想像してた以上の素晴らしい内容だった。アーティストとオーディエンスの相乗効果、これがうまくいった好例だと思う。あの苗場のゆったりとした環境がこの歴史的瞬間を作ったのかもしれない。観れなかった人達、後悔するように!

 
◎THE BLACK CROWES (at GREEN STAGE / 18:30~19:45)

  「過去に好きだったバンドの変わり果てた姿」‥‥ファンにとってこれだけは見たくないはずだ。THE BLACK CROWESを観る前の心境は、正直これだった。1992年の初来日にして唯一の公演。歌の上手さに鳥肌を立て、自分好みのロックンロールに酔いしれた“あの夜”から、その数年後に観たブートレッグの中では輝きを失っており、正直ショックを受けた。丁度3rdアルバム「AMORICA」の時期だったと思うが、1曲1曲を20分にも30分にも間延びさせ、さらにダラダラ……そう、まるでマリファナでもキメてんじゃねぇの?ってな具合に。それ自体は否定しないが、正直観てるほうはつらい。一緒にキメない限りは。

  そんな感じで今回の彼等には期待していなかった。確かに新作は初期の勢いと前作、前々作にあった(良く言えば)アーシーさを上手く融合させた良作だったが……。

  ライブが始まってしばらくした頃、食事から戻ってみると……うげっ、何だこのイカしたアリーナロックバンドは!? スクリーンに写るクリス・ロビンソン(Vo)に釘付けになった。まるで全盛期のスティーヴン・タイラーとかミック・ジャガーみたいじゃん。衣装のせいもあるかもしれないが、カッコよすぎ。あとで聞いた話では、前半にはファースト、セカンドのヒット曲を連発したそうだ。失敗した、正直そう思った。

  でも、この中盤以降も素晴らしい内容だった。前作からの曲も1曲(「Wiser Time」)披露されたが、全体に馴染んでいたのは確か。キーボードを含む6人編成のバンドにバックコーラスの女性が2人。演奏は思ったよりもあっさりとしていて、アルバムに忠実。変に間延びした曲は1曲もなかった。エクスパンドされたエンディングもあったが、やはりバンドが波に乗ってるせいか、うまく聴かせてくれる。

  後半に最大の山場が用意されていた。なんと、LED ZEPPELINの「In My Time Of Dying」のカバーを披露したのだ。いや、カバーというよりは完コピか。とにかく、あの11分以上もある楽曲をモノにしちまった。波に乗ったバンドってすげぇな、というのを嫌というほど見せつけられた瞬間だった。この曲で多くの客がまた前へと走っていった。間発入れずにバンドは「Hard To Handle」「Jelous Again」「Remedy」といったヒット曲を、畳み掛けるように連発してステージを降りた。アメリカパワー炸裂。まさに野外向きのバンドだ。きっとこのステージで彼等の株は急上昇したはず。UK勢が多い今年のフジロック出演者中、数少ない伝統的ロックバンドだが、これを機に是非ちゃんと聴いてもらいたい。


◎RAGE AGAINST THE MACHINE (at GREEN STAGE / 20:40~22:00)

  すでにこの頃にはリリースされているはずだったサードアルバムが発売延期になった今、内容的にはファースト&セカンドの曲が中心のステージ。そのサードから3曲ほど新曲を披露されたけどね。驚きは映画のサントラ曲「No Shelter」がプレイされたこと。直前のウッドストックでも演奏されたのね?

  で、披露された新曲がいい意味でポップだった。要するに「判りやすい」のだ。曲名は忘れたが、かなりドス黒い感じの極太ハイパーファンクあり、イントロはツェッペリンの「Thank You」を彷佛とさせるクリーントーンから始まりサビで爆発する「Broken(仮)」といった楽曲は皆、かなり判りやすい印象。いや、それまでの楽曲が判り難かったわけではない。が、断然新曲のほうがポップだ。ただ、たった3曲(この際「No Shelter」も含めて4曲)で11月リリース予定のアルバムの内容を予想するのはフライングだが、かなり期待していいんじゃないだろうか?

  プレイの出来に関しては何も言うことなし。だって、ひたすら最後まで暴れてたので冷静に判断できないから。新曲には聴き入り、定番曲では大暴れ。シンプルに楽しい瞬間だった。


◎TODOS TUS MUERTOS (at GREEN STAGE / 22:30~24:00)

  今年のフジロック隠し玉が、この“アルゼンチンのレイジ”ことトドス。音的にはレイジほど尖っているわけではなく、歌詞が政治的内容を歌っていることからこう呼ばれているらしい。加えてレイジとの明らかな違いは、彼等がエンターティナーだったということ。とにかく客の楽しませ方を知っている。フロントの2人は常に飛び跳ね右へ左へ動きっぱなし。挙げ句の果てには側転やバック転まで披露。馬鹿馬鹿しさを通り越して、感動すらした。

  ラテンのフレーバーあり、中近東的フレーズが飛び出したり、およそロックとは呼べないんじゃないか?って曲もあったが、まったく気にならなかった。いや、かなり楽しんだぞ。それに、レイジが終わって大して残っていなかった客が、彼等の演奏が始まったら自然とステージに向かって走っていたし。もしかしたらもう二度とこの日本では観れないのかもしれない……雑誌でも話題になってないし、インタビューすら載ってないし。トリのレイジがが終わったにも関わらず会場でぼーっとしていたお陰で、このバンドに出会えた‥‥ちょっとしたボーナスだったな、これは。


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 1999 09 08 12:00 午前 [1999年のライブ, Black Crowes, The, FUJI ROCK FESTIVAL, Hi-STANDARD, Neve, Phish, Rage Against The Machine, Rocket From The Crypt, Stevie Salas, Todos Tus Muertos, 奥田民生] | 固定リンク