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カテゴリー「Black Crowes, the」の11件の記事

2020年6月18日 (木)

THE BLACK CROWES『BY YOUR SIDE』(1999)

1999年1月に発表された、THE BLACK CROWESの5thアルバム。

デビュー時から所属していたAmerican Recordsを離れ、新たにColumbia Recordsと契約しての1作目。メンバーにも変化が生じ、デビュー時からのメンバーであるジョン・コルト(B)、2作目『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)から参加したマーク・フォード(G)が脱退。レコーディングではリッチ・ロビンソン(G)がすべてのギターを担当し(ツアーには元CRY OF LOVEのオードリー・フリードが参加)、ベースには新たにスヴェン・パイピーン(B)が加わりました。

また、プロデューサーもジョージ・ドラキュリアス(PRIMAL SCREAMREEFなど)やジャック・ジョセフ・プイグ(JELLYFISHWEEZERCLUTCHなど)といった布陣から離れ、新たに気鋭のエンジニア、ケヴィン・シャーリー(AEROSMITHJOURNEYIRON MAIDENなど)を起用。この手のバンドの作品にしては抜けの良い、非常にクリアな音像の1枚に仕上がっいます。

直近の2作……3作目の『AMORICA』(1994年)や4作目『THREE SNAKES AND ONE CHARM』(1996年)がマニアックな作風だったこともあり、どんどんジャム色の強いフリーキーな存在になっていくのかと思いきや、この新作では初期の彼らが持ち合わせていた派手さ、華やかさが復調。サザンロック寄りだった近作よりも、スタジアム級バンドへと成長したTHE ROLLING STONESを思わせる、コンパクトでわかりやすいロックンロール/ソウルナンバーを次々に展開していきます。うん、とにかくスルスル聴き進められるんですよね。そういった意味では、デビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にもっとも近い位置にある内容かもしれません。

また、オープニングを飾る「Go Faster」や続く「Kickin' My Heart Around」あたりは、ストーンズというよりもAEROSMITHにも通ずる勢いや覇気が感じられ、このへんはプロデューサーが一緒という共通点も影響しているのかな。なんにせよ、即効性は非常に高いアルバムだと思いますし、これまでTHE BLACK CROWESを敬遠していたリスナーにもとっつきやすい1枚かなと思います。もしこのバンドのビギナーや、この手の枯れたロックンロールが苦手なリスナーに真っ先に勧めるなら、本作と1stアルバムを手渡すといいのではないでしょうか。

ただ、2ndアルバムから前作で展開された濃厚なスタイルに慣れ親しんだディープなリスナーには、本作は若干薄味に映るかもしれません。いや、薄味っていうか「普通のロックアルバム」くらいに思えちゃうのでは? そのへんも一長一短あるものの、純粋にロックンロールアルバムとしては非常に完成度が高いので、小難しいことを考えずに気軽に触れてほしいですね。

チャート的には初めて全米TOP20入りを逃し(最高26位)、セールス的に大成功したとは言えない1枚ですが、この前後にジミー・ペイジと共演してLED ZEPPELINナンバーの数々を演奏し続けたので、バンドの人気的には再び上昇の兆しを見せていた時期だったのかな。ちょうど1999年7月には、苗場スキー場で初開催の『FUJI ROCK FESTIVAL '99』で久しぶりの来日も果たしましたしね。

 


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2020年6月17日 (水)

CRY OF LOVE『DIAMONDS & DEBRIS』(1997)

1997年8月にリリースされたCRY OF LOVEの2ndアルバム。日本盤は同年11月に、1stアルバム『BROTEHR』(1993年)のリイシュー盤とともに発売されました。

約4年ぶりに届けられた新作は、デビューアルバム同様にメジャーのColumbia Recordsから発売。前作同様、ジョン・カスター(CORROSION OF CONFORMITYなど)がプロデュースを担当した、まさに前作の延長線上にある1枚に仕上がっています。

しかし、今作ではボーカリストが前作から交代。ケリー・ホーランド(Vo, G)が前作発表から1年後に脱退し、代わりに加入したのが元LYNCH MOB、現WARRANTのロバート・メイソンという意外な人選でした。いや、意外ではないのかな。LYNCH MOBの2ndアルバム『LYNCH MOB』(1992年)でのブルージーでソウルフルな歌唱スタイルを考えれば、納得いくものだったと言えるかもしれません。

同じ制作陣にも関わらず、サウンドの質的には前作よりも薄っぺらくなったような印象を受けます。予算の関係なのか、それとも時代に合わせたミックスなのか。もうちょっとギターを前面に押し出したり、リズム隊の低音を効かせたほうがカッコいいんじゃないかと思うのですが、この手の古臭いスタイルにはこれぐらいがちょうどいいってことなんですかね。

また、ボーカリストの変更についてですが、基本的には違和感はありません。いや、アルバム1枚しか出していませんし、そもそも確たる個性があるバンドというわけではないので、フロントマンの変更はそこまで大きく影響していないような気がしました。

で、このロバート・メイソンというシンガーが非常に器用な方なので、ファンキーさ/黒っぽさという点においては前任以上ではないかと。特に高音を活かした歌唱は、このバンドが持つブラック・テイストをより強めることに成功していると思います。しかし、シンガーとしての迫力という点においては、前任のほうが一歩上かな。まあ、一長一短ありますよね。

楽曲に関しては、曲調の幅こそ広がっているものの「これ!」という突出したキメ曲は見受けられず。どれもこの手のバンドにはありがちなスタイルながらも、雰囲気作りは抜群に上手だし、演奏技術も楽曲の完成度も平均点は超えていると思うのですが……まあ、こういうバンドは全体を通して雰囲気を楽しむくらいがちょうどいいのかな。そういう意味では非常に高品質な内容ですし、インパクトという点においては前作に及びませんが、1作目がお気に入りというリスナーなら問題なく楽しめる良作だと思います。

残念ながら、CRY OF LOVEは本作リリースから間もなくして解散。ギターのオードリー・フリードはTHE BLACK CROWESに加入するという、思わず「その手があったか!」という展開を見せます。ケリー・ホーランドは2014年に亡くなっているので、ロバート・メイソン期での再結成はできなくもないですが、今のところそういった話題は伝わってこないので、しばらくは残された2枚のスタジオアルバムを楽しみたいと思います。

 


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2019年6月20日 (木)

THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』(1996)

1996年7月にリリースされたTHE BLACK CROWES通算4作目のスタジオアルバム。前作『AMORICA』(1994年)が全米1位を獲得した前々作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)から順位(最高11位)もセールス(50万枚)も一気に落とす結果となりましたが、続く本作でもそういった状況を挽回することはできず。「Good Friday」や「Blackberry」などラジオヒットが生まれたものの、アルバム自体は最高15位止まり。初めてゴールドディスクに達しなかったアルバムとなりました。

『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』から続いたクリス(Vo)&リッチ(G)のロビンソン兄弟、マーク・フォード(G)、ジョニー・コルト(B)、スティーヴ・ゴーマン(Dr)、エディ・ハーシュ(Key)という編成はこのアルバムまで。リリースツアー後にマークとジョニーが脱退し、黄金期編成は崩壊することとなります。

その崩壊の影がこのアルバムから感じられるかと言われると、正直微妙なのですが……作風的には前作『AMORICA』の延長線上にあると言っていいでしょう。つまり、地味です。安定感があると言えば良く聞こえますが、悪い言い方をすればマンネリ気味と取ることもできるのかなと。

「One Mirror Too Many」ではサイケ色が若干濃くなっている印象もありますが、そのへんが実はこのアルバムの大きなフックになっていると思うのです。この曲とシングルカットもされた「Blackberry」のグルーヴィーさはアルバム前半のハイライトで、ゆらりと始まったアルバムに活気を与えてくれます。

が、ソウルフルなスローバラード「Girl From A Pawnshop」やTHE DIRTY DOZENのブラスをフィーチャーした「(Only) Halfway To Everywhere」といった意欲的な楽曲を経て始まる後半戦……これがいただけない。決して悪くはないのですよ。ただ、格別良くもない。なんというか……やっつけとまでは言わないけど、手グセで作っちゃいました的なユルさが随所から感じられて、完全に流し聴き態勢に入ってしまうんですよ。

もちろん、この手のバンドとしてはクオリティ高めだと思います。が、傑作との呼び声も高い『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』の完成度には及ばないし、いろいろ言われた『AMORICA』レベルにまでも達していないと思うんですよね。同じブラスを使った曲でも、中盤の「(Only) Halfway To Everywhere」と終盤に置かれた「Let Me Share The Ride」とでは力の入れ具合/抜け方が全然違う。後者のほうがユルすぎちゃうというか……ここはもう好みの問題かもしれませんね。

結局メンバーチェンジがこの後に控えているとなると、やはりバンドとして過渡期を迎えていたのかなと思わずにはいられません。だって、続く5thアルバム『BY YOUR SIDE』(1999年)で急に息を吹き返すわけですからね。

 


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2019年6月19日 (水)

CRY OF LOVE『BROTHER』(1993)

1993年5月にリリースされたCRY OF LOVEの1stアルバム。メジャーのColumbia Recordsからの発表で、ここ日本でも同時期に国内盤がリリース(1997年には2ndアルバム『DIAMONDS & DEBRIS』発売に伴い再発も)されています。

アメリカ・ノースカロライナ州出身の彼らはケリー・ホーランド(Vo, G)、オードリー・フリード(G)、ロバート・キーンズ(B)、ジェイソン・パターソン(Dr)の4人組。このデビュー作はジョン・カスター(CORROSION OF CONFORMITYなど)をプロデューサーに迎え、かのマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオにてレコーディング&ミキシングされた意欲作です。

聴いてもらえばわかるように……というかジミ・ヘンドリクスのアルバムタイトルを引用したバンド名からもわかるように、彼らのサウンドはブルースやカントリー、サザンロックなどからの影響が強い土着的なアメリカン・ルーツ・ロックそのもの。派手さ皆無の地味目なロック/ハードロックをシンプルなバンドアンサンブルで表現し、その上に玄人好みなギタープレイと味わい深いボーカルが乗るといったものです。

FREEやBAD COMPANYを彷彿とさせつつも、LYNYRD SKYNYRDやTHE ALLMAN BROTHERS BANDとの共通点も見え隠れするその方向性は、好きな人にはたまらない、クセになるものではないでしょうか。その一方で、こういったルーツ・ロックに興味を見出せないリスナーには「どの曲も一緒」と突き放されてしまう地味目な1枚でもあるのですが。

確かに「これ!」といった1曲は存在しません(とはいえ、収録曲「Peace Piple」は当時Billboardメインストリームロックチャートで1位、「Bad Thing」は同2位を獲得しているのですが)。ちょっと気を抜けばダラダラと通り過ぎていってしまう、気づいたら最後の曲だった……そんな引っかかりの弱さも否めません。が、視点を変えれば「心地よく浸れるサウンド&楽曲群」と言えなくもないのかなと。個人的には後者寄りの評価で、決して頻繁にリピートするような作品ではないですが、たまに聴くと染みる。そういう1枚かなと。

それこそTHE BLACK CROWESや、最近のGRETA VAN FLEET、あるいはRIVAL SONSあたりが好きという人ならスッと入っていける1枚だと思います。

で、このバンドのギタリストでもあるオードリー・フリードはのちにTHE BLACK CROWESに加入。1999年のフジロックで来日しております。さらにベースのロバート・キーンズものちにLYNYRD SKYNYRDに加入。このへんも玄人好みっぽさが強くて、うれしいような悲しいような。

残念ながらフロントマンのケリー・ホーランドは2014年に亡くなっているので、この編成での復活は望めませんが……ただ、2ndアルバムに参加した2代目シンガーのロバート・メイソン(ex. LYNCH MOB、現WARRANTなど)は現役なので、こちらでの可能性はゼロではないですけどね。

 


▼CRY OF LOVE『BROTHER』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


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2018年4月 7日 (土)

THE BLACK CROWES『AMORICA』(1994)

1994年11月にリリースされた、THE BLACK CROWES通算3作目のスタジオアルバム。前作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)が全米初登場1位を獲得し、200万枚以上を売り上げるヒット作となりましたが、バンドはそういった現実に浮かれることなく、より独自の道を突き進むことになります。

ジャムセッションをもとに制作し、そこから曲を煮詰めるわけでもなく、ライブならではのフリーキーな雰囲気をそのまま残した前作での路線は、そのまま本作にも引き継がれています。が、前作はゴスペルコーラス隊をフィーチャーしたり、どことなくLED ZEPPELIN的なハードロックテイストが強まっていたりと、HR/HMファンでもなんとなく入っていける要素が感じられたのですが、本作はサザンロック/ジャムバンド色を前面に押し出したことにより、“こっち側”のリスナーにはちょっと取っ付きにくい内容になってしまった印象もあります。

だからといって内容が悪いかと言われると、まったくそんなこともなく。パーカッシヴなテイストを強めたオープニングトラック「Gone」や、なんとなくラテンの匂いもする(ちょっとサンタナ的といいますか)「High Head Blues」は単純に気持ちよく聴けるし、前作までのカラーが引き継がれたソウルフルな「A Conspiracy」は単純に良曲。シンプルなリフの積み重ねとスライドギターによるソロでグイグイ引っ張っていく「Cursed Diamond」、単なるアコースティックバラードでは終わらない、どことなくダークな色合いが見え隠れする「Nonfiction」と、アルバム序盤から非常に濃厚な構成なのです。

もちろん、後半もよりディープな展開を見せていきます。ハードロック的なサウンドで構築された「She Gave Good Sunflower」、メロディがちょい難解な「P.25 London」、サイケデリック風味のバラード「Ballad In Urgency」、淡々としたサザンロック風バラード「Wiser Time」、デルタブルースからの影響が強い「Downtown Money Waster」、1stアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)から持つ彼ららしさがそのまま引き継がれた「Descending」と、後半に進むにつれてじっくり聴かせる系の楽曲が増えていきます。

確かにアルバムとしての完成度は過去2作よりも若干劣るかもしれません。が、THE BLACK CROWESがどんなライブバンドなのか、それがもっとも体現できているのがこの3作目なのではないでしょうか。

ジャケットのインパクトが強すぎて、ちょっと手にしにくい1枚かもしれませんが、この猥雑さ含め『AMORICA』というアルバムを構築していると考えると、なんとなく納得できるものがあったりして。



▼THE BLACK CROWES『AMORICA』
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2017年9月12日 (火)

JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』(2000)

2000年に発表されたジミー・ペイジTHE BLACK CROWESによる共演ライブアルバム。1999年10月にロサンゼルスのTHE GREEK THEATERで行われたライブを収めたもので、全曲カバー。メインとなるのはペイジが在籍したLED ZEPPELINの楽曲で、そのほかにツェッペリン界隈(B.B.キング、YARDBIRDS、ジミー・ロジャース、ウィリー・ディクソン、FLEETWOOD MAC、エルモア・ジェイムズ)のカバーも含まれています。

ちょうどこのライブが行われる数ヶ月前、THE BLACK CROWESがフジロックに出演した際、本作でも取り上げられている「In My Time Of Dying」を完コピしてビックリした記憶があるのですが、あとから考えたらあのカバーは本作への序章だったのですね。フジロックで観たとき「クリス・ロビンソン(Vo)ってロバート・プラントみたいに歌えるんだね」と、なんの違和感もなく楽しめたのをよく覚えています。

ピックアップされたツェッペリンナンバーですが、敢えて「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」「Immigrant Song」「Communication Breakdown」のようにベタなハードロックナンバーは選ばず、基本はブルースを軸にした楽曲ばかり。さすがに『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)からの楽曲はありませんが、そのほかのスタジオアルバムから万遍なくセレクトされています。「Hey, Hey, What Can I Do」(シングル「Immigrant Song」のB面。アルバム未収録)あたりを選ぶところにも、こだわりが感じられるというか……あ、ジミー・ペイジの趣味かもね。

ギターの振り分けですが、おそらく中央にジミーのギター。左右にTHE BLACK CROWESの2人(リッチ・ロビンソン&オードリー・フリード)が振り分けられてるんじゃないかと。ヘッドホンで聴けば、それぞれの持ち味がしっかり把握できるはずです。誰ですか、中央のギターが下手くそとか言ってる人は?

THE BLACK CROWESファンとしては、ジャムセッションの延長で下手に曲が間延びすることなく、比較的オリジナルに忠実な形で演奏されていることから素直に楽しめると思うし、ツェッペリン曲以外のブルースナンバーのカバーに彼らの真髄が感じられるのではないでしょうか。特に彼らのデビュー作『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にタイトルを引用したであろうエルモア・ジェイムスの「Shake Your Money Maker」が聴けちゃうのも良いところでは。

また、ジミー・ペイジ側の視点ではデヴィッド・カヴァーデイルとのCOVERDALE・PAGEロバート・プラントとのPAGE / PLANT以降パーマネントのバンドを持たないペイジがこうやって若いミュージシャンと一緒に何かをやることは悪いことじゃないし、しかもツェッペリンナンバーはこれでもか!?と言わんばかりに演奏してくれるのもありがたい。本当に最適な相手を見つけましたねと、褒めてあげたい気分です。実際、ペイジのギターも思っていた以上に生き生きしてますしね。

最高の“お遊び”をこうやって記録として残してくれたのは、双方のファンのみならずロックリスナーにとっても嬉しいかぎり。余計なことを考えずに、素直に楽しみたいライブアルバムです。



▼JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』
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2017年9月 4日 (月)

THE BLACK CROWES『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992)

デビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)の大ヒットを受け、1992年春に発表されたTHE BLACK CROWESの2ndアルバム。本作発表前にはジェフ・シーズ(G)が脱退し、元BURNING TREEのマーク・フォード(G)が加入。さらにエディ・ハーシュ(Key)も加わり、6人編成で本作『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』を制作します。

デビュー作で提示した「ROLLIN STONESからの影響を感じさせつつも、適度にハードで、それでいてサザンロックの香りも漂わせる土着的ロックンロール」路線はここでも踏襲されていますが、本作ではよりサザンロック色を強めています。曲作りの時点でジャムセッション度が高まっていることもあってか、コンパクトな楽曲が少なくなり、全10曲中6分を超える楽曲が3曲もあることに驚かされます。

ですが、それぞれの楽曲を決して長いとは感じることがないのは、1曲1曲がしっかり練りこまれているから。ジャムをもとに制作されているものの、歌メロがキャッチーでアレンジもある程度固められている(軸だけしっかり固め、あとは自由)。さらに、女性ゴスペルコーラスが加わることで、音の厚み、温かみがより増している。

デビュー作のレビューで「サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある」と書きましたが、少なくともこの2ndアルバムの時点まではTHE BLACK CROWESに対してそういう印象はまったくないんですよね。その傾向が強まるのは、次作『AMORICA』(1994年)以降からなので(笑)。そういう点においては、サザンロック入門編としては非常にとっつきやすい1枚かもしれません。クリス・ロビンソン(Vo)も艶やかだし、リッチ・ロビンソン(G)もただひたすらカッコ良く、意外とHR/HMファンにも入っていきやすい作品なんじゃないかな。

アップテンポの楽曲はオープニングの「String Me」と後半一発目の「Hotel Illness」程度。あとはミディアムテンポのグルーヴィーな楽曲とスローナンバーが中心で、そこも聴きやすさにつながっているのかも。さらに「Remedy」や「Black Moon Creeping」「No Speak No Slave」みたいにヘヴィな楽曲も気持ちよく聴ける。ラストには恒例のカバー曲「Time Will Tell」(今回はボブ・マーリー)も収録。ボーナストラックとして「Sting Me」のスローバージョンやカバー曲「99 lbs.」も含まれておりますが(現行盤にはこの2曲は未収録なのかな?)、そこまで含めた60分近い内容でも決して長すぎるとは感じない、濃厚なロックンロールアルバムだと断言できます。

にしてもHR/HMがチャート上で死滅し始め、グランジが勢力を拡大し始めた1992年前半に本作は全米1位を獲得しているという事実はすごいことだと思います。本作を携えた初来日公演も非常に記憶に残っていますし、ファン的にも印象深い1枚なのではないでしょうか。個人的には彼らのアルバムでもっともお気に入りの作品です。



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2017年6月 7日 (水)

THE BLACK CROWES『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990)

アメリカ・ジョージア州出身のロックバンド、THE BLACK CROWESが1990年初頭にリリースした1stアルバム。全米4位まで上昇し、500万枚以上を売り上げた出世作です。特に本作からのシングル「Hard To Handle」(オーティス・レディングのカバー)が全米26位のヒットになったことを機にブレイクし、他にも「She Talks To Angels」(全米30位)、「Jealous Again」(全米75位)といったヒット曲が生まれました。その後の彼らはよりディープな方向へと進んでいったため、こういったヒットシングルが複数生まれたのは本作と、続く2ndアルバム『THE SOUTHERN HARMONY AND MUSICAL COMPANION』(1992年)までとなります。

前回のTHE QUIREBOYSの際にも触れましたが、シーンがよりオーガニックなサウンドを求め始めた中、アメリカから登場したのがこのTHE BLACK CROWES。よくROLLING STONESあたりと比較されましたが、それよりも彼らの場合はアメリカ南部出身のロックバンド……LYNYRD SKYNYRDやTHE ALLMAN BROTHERS BAND、あるいはTHE GEORGIA SATELLITESや初期のZZ TOPのほうが近いような気がします。きっと本作のレコーディングにストーンズのサポートピアニスト、チャック・リーヴェルが参加していたことやオーティスをカバーしていることで、当初はストーンズと比較しがちだったんでしょうね。

彼らの全キャリアの中でもっとも聴きやすいのが本作で、のちのセッション色濃厚な作品群と比べればどの曲もシンプルかつコンパクト。なおかつキャッチーで、適度なハードさもある。そのへんはBON JOVIGUNS N' ROSESが好きというリスナーにもアピールするかもしれません。特にオープニングを飾る「Twice As Hard」あたりは、モロにハードロック的手法ですしね。

かと思えばストーンズにも通ずるソウルフルなバラード「Sister Luck」「Seeing Things」、切ないアコースティックバラード「She Talks To Angels」もあって聴き応えもある。ホンキートンク調ピアノが心地よいR&R「Jealous Again」もあれば、軽快なカントリーロック「Thick n' Thin」もあるし、適度にハードなど直球の「Struttin' Blues」もある。エンディングの「Stare It Cold」もひたすらカッコ良いしね。音自体は隙だらけなんだけど、作品としては隙が感じられない完璧なロックンロールアルバムに仕上がっています。

サザンロックってちょっと敷居が高いとかとっつきにくいという印象がある人、わかります。若い頃の自分もそうでしたから。でも、このアルバムからTHE BLACK CROWESの作品を追っていけば、そのディープな世界にじわじわと入り込むことができるかもしれません。あるいは「ここまでならOK」という自分の中での基準値もわかるのではないでしょうか。そういう意味では本作は、入門編的1枚と呼んで差し支えないでしょう。



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2005年8月17日 (水)

ドキュメント・SUMMER SONIC '05

 さて、四大フェス制覇への『死のロード』第三章、SUMMER SONIC '05編です。今回は2日間共行きましたよ。ま、サマソニの場合は毎回(2000年、2002年)全日参加なんですけどね。

 昨年からBEACH STAGEが増え、更に今年はもっと室内にステージが増えて凄いことになってたんですよ。とにかく邦楽勢の充実振りがハンパじゃない。なもんだから、気づいたら邦楽勢ばかり観てるんですよ。この辺が、客層にも明確に表れてたように感じられましたね。ま、RIJF同様、都心に近い場所で気軽に楽しめるフェスって意味では、他の追随を許さない感じにまで成長してますけどね。

 でも、未熟な面もまだまだ多々見受けられましたよ。その辺もこれまたサマソニらしいんだけど。それでも過去参加した中では一番今年が楽しかったなぁ。これもRIJFの時同様、楽しみ方を覚えた証拠なのかもしんない。結構ブーブー言ってる人、多いでしょ。でも俺はそこそこ満足してんだよね。アクトに関しては文句ないし(そもそもメンツに関しては恐らく今年のフェスの中で最強なんじゃないの?)、いろんな面についても過去の教訓をそれなりに生かしてるようだし。けど、それが100にまで至らず、75〜80で止まっちゃう辺りが「サマソニ」なんだろうけど。でも、それに大して今年は文句とかないなぁ。だって「都市フェス」だしさ(で納得できる俺がいるわけですよ。昔だったらブーブー言ってたくせして)。

 さ、今回も例によってリアルタイムレポ+帰宅してから書いたライヴの感想を編集したバージョンでお届けします。アクト名の後の「※」は最初から最後までフルで観たライヴって意味です。それ以外は数曲だったり半分だったりと、全部は観てません。

 あと、今回は結構頑張ってリアルタイム更新したし、最後の最後でいろいろ考えることがあったので、非常に長くなってますので、覚悟して読んでくださいね(できれば時間がある時にな)。

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