2018年1月24日 (水)

BLACK LABEL SOCIETY『GRIMMEST HITS』(2018)

ザック・ワイルド(Vo, G)のメインバンド、BLACK LABEL SOCIETYの4年ぶり、通算10作目となるスタジオアルバム。前作『CATACOMBS OF THE BLACK VATICAN』(2014年)が全米5位という好成績を残し、ソロ名義では20年ぶりとなる『BOOKS OF SHADOWS II』(2016年)も全米18位を記録。昨年はオジー・オズボーンのツアーに参加して話題を集めるなど、この4年間はとにかく積極的に動いている印象でしたが、そんななか満を持して発表されたBLSの新作、これが非常に優れた作品なのです。

特に何が変わったということもなく、相変わらずヘヴィな曲はヘヴィでギター弾きまくり、サザンロックフィーリングを感じさせる緩い曲では枯れたプレイを聴かせるわけですが、なぜか本作はここ数作の中でも非常に充実度が高い印象を受けます。

まず、昨年のうちに先行公開された「Rooms Of Nightmares」のキャッチーさといったら。もちろん急にキャッチーになったわけではありません。これまでの彼らの楽曲はヘヴィな中にもしっかりキャッチーなメロディが存在しており、そこにザックのメロディメイカーとしての才能が感じられたわけですが、今回はその部分がより冴え渡っているというか、洗練されている気がするのです。

この「Rooms Of Nightmares」に限らず、アルバム冒頭を飾る「Trampled Down Below」にしろ、続く「Seasons Of Falter」「The Betrayal」にしろ、とにかく歌メロが親しみやすく耳に残りやすいものばかり。もちろん、サザンロックフィーリングの強いバラード「The Only Words」や「The Day That Heaven Had Gone Away」も素晴らしい仕上がりで、そういえばこの人オジーのところで「Mama I'm Coming Home」や「Road To Nowhere」を書いた人だった、ってことを思い出させてくれるぐらいのメロディセンスが発揮されているのです。

かと思えば、「A Love Unreal」のような曲では師匠のオジーの姿が重なるような歌声を聴かせてくれる(特にこの曲は、アレンジ自体がBLACK SABBATH的ですものね)。若干キーを上げてこれらの曲をオジーが歌ったら……なんてことも想像するわけですが、このローチューニングだからカッコいいわけであって、それもまた違う。そう考えると、やっぱりこれはザック自身が歌うために作られた楽曲群なんですよね。

ギターリフもソロも、相変わらずブっとい音で“らしさ”満点。過剰なプレイが遺憾なく反映されているにもかかわらず、どこか洗練された印象を受ける。その絶妙なバランス感が過去数作とは明らかに異なる。また、その内容もどこか集大成的でもある。久しぶりのソロアルバムでアク抜きできたのもあるでしょうし、久しぶりにオジーと共演したことも大きかったのかもしれない。『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)でデビューして今年で30年、しかもBLSとしても10作目という節目のタイミングに、ザックはこのアルバムでひとつの結果を残すことができたのかもしれませんね。

これは本当に傑作です。いやはや、恐れ入りました。



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投稿: 2018 01 24 12:00 午前 [2018年の作品, Black Label Society, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017年5月10日 (水)

PRIDE & GLORY『PRIDE & GLORY』(1994)

ザック・ワイルドがこの夏、オジー・オズボーンと再びタッグを組んでツアーをするそうですね。ザックがオジーバンドで本格的にギターを弾くのは2007年のアルバム『BLACK RAIN』に伴うツアー以来。ここ数年も「OZZY & FRIENDS」名義で共演する機会はあったものの、正式なギタリストとして活動をともにするのは10年ぶり。気づけば1987年にオジーと出会って、今年で30周年なんですよね。

近年はBLACK LABEL SOCIETYやソロでの活動が中心のザック。1988年にオジーの5thアルバム『NO REST FOR THE WICKED』でプロデビューしたわけですが、自身が中心となって制作されたアルバムは1994年に発表されたPRIDE & GLORY名義によるアルバム『PRIDE & GLORY』が最初でした。

このPRIDE & GLORYというバンドは、オジーの最初の引退宣言(90年代初頭)を受けてザックがジェイムズ・ロメンゾ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)が結成したトリオバンド。ザックはギターのほか、ボーカルも兼務しています。ザックの歌がそれなりにうまいとか、意外とオジーに似てるとかいう噂はその前から耳にしていましたが、確かにこのアルバムで聴けるザックのボーカルは「オジーの声をもっとドライにしてソウルフルさを足した」ような歌声です。ギターもあれだけうまいのに、歌も個性的かつ味があるなんて、なんて才能に恵まれた男なんでしょう。

サウンドは、ザックの才能が本格的に発揮されたオジーの6thアルバム『NO MORE TEARS』でも聴けた、“BLACK SABBATH直系のヘヴィロック+THE ALLMAN BROTHERS BANDやLYNYRD SKYNYRDなどサザンロックやブルースからの影響が強いルーズなアメリカントラディショナル”をさらに強化させたもの。オープニングの「Losin' Your Mind」なんて、イントロでいきなりバンジョーが登場しますからね。ただ、そのあとに押し寄せてくるリフの塊、のたうちまわるギターソロはザックのイメージそのまんま。続く「Horse Called War」なんて“オジー meets ジャニス”的な疾走チューンですし、その後も歌とギターを前面に打ち出したヘヴィロックやカントリーナンバー、ストリングスを取り入れたサイケデリックロックなどが続出します。

すごくカッコ良い楽曲満載なのですが、ひとつ難点が。このアルバム、非常に長い! ボーナストラックを除いても全13曲で70分。現行のリイシューバージョンなんてボーナスディスク付きの2枚組で、本編が13曲、ボーナス盤6曲で計100分ですからね……アナログだったら2枚組、下手したら3枚組になっちゃいますよ(苦笑)。

ただ、そのボーナスディスクに収録されているのが、BLACK SABBATH「The Wizzard」、LED ZEPPELIN「In My Time of Dyin'」、THE BEATLES「Come Together」とカバー三昧。カバーというよりもコピーに近い前者2曲も良いですが、ギターの替わりにピアノを弾きながら歌うブルージーな「Come Together」もなかなかの仕上がり。全部聴いたらかなりお腹いっぱいになると思われますが、ぜひこのカバーだけでも聴いてみてほしいです(嘘です、本編も最高なので、まずはそちらから聴いてみてください)。

結局PRIDE & GLORYはこのアルバム1枚でその活動に幕を下ろしてしまいますが、本作に含まれているいくつかのアコースティックナンバー(先の「Come Together」含む)がひとつのヒントとなって、1996年にソロ名義のアルバム『BOOK OF SHADOWS』を発表することになるのでした。



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投稿: 2017 05 10 12:00 午前 [1994年の作品, Black Label Society, Pride & Glory, Zakk Wylde] | 固定リンク