BLACK LABEL SOCIETY『ORDER OF THE BLACK』(2010)
2010年8月に発表されたBLACK LABEL SOCIETYの8thアルバム。
1999年に1stアルバム『SONIC BREW』をリリースしたことを考えると、10年弱で8枚のアルバムを制作するというのはかなりのハイペースのように映ります。が、前作『SHOT TO HELL』(2006年)からこの『ORDER OF THE BLACK』の間には約4年のインターバルがあり、これはこの時点でのBLSのキャリアでは最長。というのも、ザック・ワイルド(Vo, G)はこの間にオジー・オズボーンの『BLACK RAIN』(2007年)制作と同作を携えた長期ツアーに帯同したため、長く時間を割かれてしまったわけですね。
と同時に、2009年には重度の血栓症を患い、音楽活動を一切停止。これによりオジーのもとを離れることとなったわけです。一時は生命の危機もあり得たこの血栓症を無事乗り切ったザックは、再びBLSに本腰を入れることに。2005年にバンドに復帰したジョン・ディサルヴォ(B)と、本作のみ参加のウィル・ハント(Dr/EVANESCENCE)という布陣で今作を完成させます。
本作は久しぶりのBLSということもありますが、よい意味で過去数作のマンネリさを感じさせない力作に仕上がっています。ソングライティング面でもザックの才能/個性が良い方向に作用し、従来のBLSらしさ(BLACK SABBATHをモダン化させたヘヴィ感+サザンロックからの影響+エヴァーグリーンなポップ感)のみならずオジーの『BLACK RAIN』で見せたモダンメタル感もよい形で反映されており、1曲1曲の個性や完成度は近作の中でも随一ではないでしょうか。
オープニング2曲(「Crazy Horse」「Overload」)で見せる“2010年版オジー・サバス”的スタイルといい、キャッチーアップチューン「Parade Of The Dead」、BLS流王道ヘヴィネス「Southern Dissolution」、ザックのセンチメンタリズムが強く表れたピアノバラード「Darkest Days」や「Shallow Grave」など、とにかく楽曲が粒揃い。また、大半が3〜4分台ということで比較的コンパクトなのもあり、全13曲で49分というトータルランニングも聴きやすさにつながっているのではないでしょうか。
また、ザックのシンガーとしての表現力もより向上し、曲によってはオジー生き写しに聞こえることがしばしば。オジーが今30〜40代だったとして、ザックと一緒にモダンヘヴィネスと真正面から向き合ったら、きっとこんなアルバムを作っていたんじゃないか……なんてことすら考えてしまうほど、非常によくできた1枚。これをBLSの最高傑作と呼ぶ声も少なくないようです。事実、長く待たされたことも多少影響してか、本作はキャリア最高の全米4位という数字を残しています。セールス的にも前作の倍以上売り上げたようですし、まずは最高のカムバックを果たせたようです。
ちなみに本作、北米盤と日本盤(というかアジア地区のみ)ではジャケットのアートワークがまったく異なります。個人的には日本盤よりも北米盤のほうがすっきりしていて、非常に好みです。再発の際にはぜひ世界共通にしてほしいですね。
▼BLACK LABEL SOCIETY『ORDER OF THE BLACK』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)