2018年7月23日 (月)

BLACK SABBATH『VOL.4』(1972)

1972年9月に海外で発表された、BLACK SABBATH通算4作目のオリジナルアルバム。前作『MASTER OF REALITY』(1971年)は素晴らしい作品でしたが、全8曲で歌モノが6曲(残り2曲のインストもそれぞれ30秒、1分半程度の短尺)でトータル34分という、それ以前の彼らの作品と比べれば短いもので、急ごしらえで発表した感も拭えませんでした。すでにこの頃から、オジー・オズボーン(Vo)などメンバーのドラッグ癖が悪化していたのも関係していたのでしょう。

当然、この4作目の制作期間も決して良好なものだったわけではなく、そういったドラッグの影響は作られる楽曲やサウンドにも少なからず影響を与えています。

本作は全10曲収録、うち2曲がインスト(それぞれ2分、3分を欠けるものの単独の楽曲として成立する長さ)。トータルで42分程度と『MASTER OF REALITY』以前のボリュームにまで復活。その中身に目を向けると、バンドとして変化を求め始めた時期だったのかな……と感じます。

オープニングの「Wheels Of Confusion」は8分にもおよぶ大作で、展開に次ぐ展開でとにかくスリリング。初期からの大作志向がここで完成したかのような印象すら受けます。とにかくカッコいい。

比較的キャッチーな「Tomorrow's Dream」があったかと思うと、オジーが朗々と歌うピアノバラード「Changes」でびっくり。文字どおり、本当に変化を求めていたんでしょうね。ただ、そこに体も気持ちも付いていけないメンバーもいたりして、なかなかうまくいかない。そんな時期だったのかなと。

実験的なインスト「FX」に続くのは、グルーヴィーかつダンサブルなヘヴィロック「Supernaut」。このリフとリズムが一丸となる感じがとにかく気持ちいい。かと思えば、王道のサバス流ヘヴィロック「Snowblind」や「Cornucopia」もある。「Snowblind」はこれぞドラッグソングと断言できる1曲ですね……。

トニー・アイオミ(G)のアコースティックプレイを存分に堪能できるインスト「Laguna Sunrise」で小休止したあとは、サバスにしては珍しい陽気なイントロを持つ「St. Vitus' Dance」。どことなくストレートなロックンロール風で、ここらへんも新境地と言えるのでは。そしてラストは、ドゥーミーさとグルーヴィーさが融合したヘヴィチューン「Under The Sun」で締めくくり。

サバス本来の“らしさ”を維持しつつも、バンドとしてもっと幅を広げようとする努力が垣間見られる、そんな1枚ではないでしょうか。前作『MASTER OF REALITY』や本作を指して「もっともサバスらしい作品」なんて声も少なくもないですし、中には大ヒット作の2ndアルバム『PARANOID』(1970年)や原点的なデビュー作『BLACK SABBATH』(1970年)のほうが「らしい」という声もあるでしょう。ただ、個人的にはこの初期4枚にオジー時代のサバスの“すべて”が詰まっている……そう思っているのですが、いかがでしょうか。



▼BLACK SABBATH『VOL.4』
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投稿: 2018 07 23 12:00 午前 [1972年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

2017年12月 4日 (月)

BLACK SABBATH『PARANOID』(1970)

1970年2月にアルバム『BLACK SABBATH』でデビューしたBLACK SABBATHが、早くも同年9月に発表した2ndアルバム。本作でついに全英1位を獲得したほか、アメリカでも最高12位まで上昇。シングル「Paranoid」は全英4位、全米61位を記録しました。さらに、アメリカのみでシングルカットした「Iron Man」も52位にランクインするなど、この手のバンドとしてはなかなかの成績を残しており、アメリカのみで400万枚以上を売り上げる最大のヒット作となりました。

僕がサバスを聴き始めた頃にはすでにオジー・オズボーンロニー・ジェイムズ・ディオもおらず、グレン・ヒューズやらレイ・ギランやらトニー・マーティンやらでフロントマンが二転三転していた頃。ぶっちゃけ、ちゃんとリアルタイムで追い始めたのは1989年の『HEADLESS CROSS』からでした。

なので、最初に聴いたサバスナンバーはオジーがライブアルバムでカバーする「Paranoid」や「Iron Man」から。そういうこともあって、アルバムとしてはもっとも親しみやすい1枚かもしれません。

実際、「War Pigs」「Paranoid」「Planet Caravan」「Iron Man」「Electric Funeral」「Fairies Wear Boots」など多くのHR/HMバンドにカバーされてきた名曲ばかりがズラリと並び、初めて聴いたときもまったく初めてという印象はありませんでした。ただ、曲によってはカバーのほうがヘヴィだったりする楽曲の数々が、オジー・オズボーンという稀代の名シンガーが歌うことで、ヘヴィなギターリフやグルーヴィーなバンドアレンジとは相反して非常にポップに聞こえるから、あら不思議。それが本作を“軽く”させているひとつの要因と言ってしまえばそれまでですが、それは決して悪いことではなく、最終的に大ヒットにつながっているのですから結果オーライではないでしょうか。

また、本作以降バンドのドラッグ癖(主にオジー)が悪化することで、作風もよりヘヴィでダークになっていくので、1stアルバムから続いたブルースベースのハードロックにひと区切りをつけたという意味では分岐点的1枚とも言えるでしょう。

まあとにかく。ダウナーなイントロの「War Pigs」から始まる構成や、3曲目でいきなりアコースティックテイストのサイケデリックナンバー「Planet Caravan」が飛び出したり、そこから続く「Iron Man」の脱力感あふれるイントロなど、のちのドゥームメタルやグランジなどにも通ずる要素がそこらじゅうに散りばめられていて、本作が HR/HMのみならずロックの幅広いサブジャンルに影響を与えてきたことも頷けます。

ちなみに、個人的な推し曲はラストの「Fairies Wear Boots」。オリジナルはもちろんですが、ザック・ワイルドがプレイするバージョンも非常にカッコイイのでぜひ機会があったら聴いてみてください。



▼BLACK SABBATH『PARANOID』
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投稿: 2017 12 04 12:00 午前 [1970年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

2017年11月24日 (金)

APPICE『SINISTER』(2017)

ロック/メタル界隈では知らない者はいない名ドラマー、カーマイン&ヴィニーのアピス兄弟がAPPICE名義でタッグを組んだ初のスタジオアルバム。ハードロックをベースに、2人の個性的なドラミング(曲によっては左右にパンされている!)を存分に味わえます。

もちろん楽曲自体の出来もなかなかのもので、楽曲ごとにクレイグ・ゴールディ(元DIO)、トニー・フランクリン(元BLUE MURDER)、ロビン・マッコーリー(元McAULEY SCHENKER GROUP)、ポール・ショーティノ(ROUGH CUTT、元QUIET RIOT)、ジョエル・ホークストラ(WHITESNAKE)、ロン・サール(SONS OF APOLLO)、ミック・スウェダ(BULLETBOYS)、フィル・スーザン(元OZZY OSBOURNE)、エリク・ノーランダ(LANA LANE)など名だたるシンガー/プレイヤーがゲスト参加した豪華な内容。

収録曲にはツインドラムによるバトルプレイで構成された「Drum Wars」や、カーマインが過去に在籍したBLUE MURDERの名曲「Riot」のセルフカバー、ヴィニーが在籍経験を持つBLACK SABBATHの名曲メドレー「Sabbath Mash」もあったり、意外と聴き応え満載の1枚です。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼APPICE『SINISTER』
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投稿: 2017 11 24 12:00 午後 [2017年の作品, Appice, Black Sabbath, Blue Murder, Bulletboys, Dio, McAuley Schenker Group, Ozzy Osbourne, Quiet Riot, Sons of Apollo, Whitesnake] | 固定リンク

2017年9月 3日 (日)

BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』(1970)

DEEP PURPLEが『IN ROCK』でハードロック化計画に突入するちょっと前、1970年2月13日(金)……そう、“13日の金曜日”にリリースされたのが、オジー・オズボーンが在籍するハードロックバンドBLACK SABBATHのデビューアルバム。『黒い安息日』と邦題が付けられた本作でシーンに現れた彼らは、パープルやLED ZEPPELINとともに70年代以降のHR/HMにとって礎的存在としてリスペクトされ続けています。特にサバスの場合、HR/HMシーンのみならず90年代に登場したグランジバンド(NIRVANASOUNDGARDEN、MELVINS、ALICE IN CHAINSなど)からもリスペクトされた、数少ないハードロックバンドのひとつです。

サバスというと「Paranoid」や「Iron Man」などキャッチーな曲がパブリックイメージとしてあったり、「Paranoid」「War Pigs」など名曲目白押しの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)を名盤として挙げがちですが、この1stアルバムだってそれに負けないくらい強力な魅力が詰め込まれているわけです。まあ言ってしまえば、サバスは1stから3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)までは本当にハズレなしなので、どれが一番かはその人の好みによって変わってくると思います。

で、このアルバム。オープニングの「Black Sabbath」のダウナーさ加減にまずは驚かされるわけですが、今やドゥームメタルやストーナーロックなどさらにダークでヘヴィでスローなメタルが多い時代なのでちょっとやそっとでは驚きません。ただ、この曲を初めて高校時代に聴いたときは、さすがに衝撃が走ったことを今でもよく覚えています。80年代育ちの僕らの世代にとって、オジーといえばあのキャラクターありきで、しかも曲調はもっとソフトでメロディアスなハードロックという印象。ライブでは「Paranoid」や「Iron Man」はやるけど、さすがにこういったダウナーな曲は当時やってませんでしたしね(サバス曲を掘り始めるのはザック・ワイルド加入以降のことですから)。

かと思えばブルースハープをフィーチャーしたブルージーな「The Wizard」、独特のグルーヴ感を持つ「Behind The Wall Of Sleep」、キャッチーなメロディの「N.I.B.」と、アナログでいうA面だけですでにおなかいっぱい状態。カバー曲の「Evil Woman」はさておき、不穏でもの哀しげな序盤からハードに展開する「Sleeping Village」、10分超の大作「Warning」、ジャズからの影響すら感じられるスリリングな「Wicked World」と、とにかく聴きどころの多い1枚となっています。

すでに1stアルバムの時点でこのバンドのスタイルが完璧に出来上がっているのが恐ろしいというか。あとはその個性をどうソリッドに研ぎ澄ますか。それが次作、次々作で完璧なまでに表現されてしまうのですから、ドラックの力ってすごいですね(たぶん間違ってると思う)。



▼BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』
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投稿: 2017 09 03 12:00 午前 [1970年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2016年12月29日 (木)

BLACK SABBATH『THE ULTIMATE COLLECTION』(2016)

来年2017年2月にイギリス公演をもって、50年近くにおよぶその活動に終止符を打つ予定のBLACK SABBATH。トニー・アイオミ(G)のガン発覚などいろいろありましたが、そもそも年齢的にもそろそろこういう音楽をやるには厳しいのかなと。ギーザー・バトラー(B)が67歳、オジー・オズボーン(Vo)はこの12月で68歳、トニーも年が明けて2月に69歳になりますし。もちろんROLLING STONESのようなバケモノもいますが、そもそもやってることが異なりますしね。2013年に発表された18年ぶり(オジー在籍時としては35年ぶり!)のオリジナルアルバム『13』が初の全米1位も獲得したことですし、区切りのタイミングとしては良き時期なのかもしれません。

そんな彼らの活動を総括する、キャリア何度目かの公式ベストアルバム『THE ULTIMATE COLLECTION』が海外で今年10月にリリース。ここ日本でも遅れて年明け1月25日に発売されます。2枚のCDに全31曲が収録されたこのベスト盤、選曲は70年代の彼ら、つまりオジー在籍時のオリジナル編成による楽曲のみで、決してキャリアを総括したものではありません。もちろんそれが間違いだとは思いませんし、今回のラストライブに向けて発表されたという点ではこの内容は正しいと思います。

ちなみに、各楽曲の収録アルバムは下記のとおり。


1st『BLACK SABBATH』(1970):「Black Sabbath」「Evil Women, Don't Play Your Games With Me」「Behind The Wall Of Sleep」「The Wizard」「N.I.B.」「Wicked World」(6曲)

2nd『PARANOID』(1970):「Paranoid」「Iron Man」「Fairies Wear Boots」「Rat Salad」「War Pigs」「Electric Funeral」(6曲)

3rd「MASTER OF REALITY」(1971):「Children Of The Grave」「Sweet Leaf」「Lord Of This World」「Into The Void」「Embryo」(5曲)

4th『VOL.4』(1972):「Changes」「Snowblind」「Tomorrow's Dream」(3曲)

5th『SABBATH BLOODY SABBATH』(1973):「Sabbath Bloody Sabbath」「Spiral Architect」「Killing Yourself To Live」(3曲)

6th『SABOTAGE』(1975):「Hole In The Sky」「Sympton Of The Universe」「Am I Going Insane」(3曲)

7th『TECHNICAL ECSTACY』(1976):「Rock'n'Roll Doctor」「Dirty Women」「It's Alright」(3曲)

8th『NEVER SAY DIE!』(1978):「Never Say Die」「A Hard Road」(2曲)


1stから3rdまでが各5〜6曲という比重は、まぁそうなりますよね。これには納得ですが、個人的には2ndから「Planet Caravan」、3rdから「After Forever」が漏れたのは残念かなと。収録時間ギリギリまで詰め込んでくれたらよかったのに。

海外での評価が高そう4thからはたった3曲というのは意外でした。「Wheels Of Confusion」も「Supernaut」も「St.Vitus' Dance」も入ってなかったし。5thからも「Sabbra Cadabra」は選曲漏れ。6th以降は……まぁこんなもんでしょうか。いや、そんなに思い入れのある作品群ではないので、ここらへんは識者にお任せできたらと。

気になるサウンドですが、アンディ・ピアースによる2009年のリマスター音源が使用されているようです。つまり、現時点での最新リマスター音源ということになるのでしょうか。元々の音源が制作された時期も大いに影響あると思いますが、やはり2ndは線が細いのが気になってしまう(特に「Paranoid」や「iron Man」)。逆に8thからの「Never Say Die」での音のブースト具合はバンドが持つ爆発力が遺憾なく発揮されているんじゃないでしょうか。

そして曲順。「Paranoid」から始まるのがいかにソレっぽくて気に入らないのですが、4曲目「Black Sabbath」以降の流れは気持ち良く楽しめます。特に「Sweet Leaf」〜「War Pigs」〜「Sabbath Bloody Sabbath」の流れは、実際にライブでありそうな流れですし。あと、本来なら「Children Of The Grave」の前奏的ポジションのイントロ「Embryo」が「Electric Funeral」と「Killing Yourself To Live」の間に挟まれてるのはどうにかならなかったのかなと。こだわりがありそうで、実はそこまでないんじゃないかという箇所もいくつか見受けられますが、このへんは欧米人の感覚なので我々には理解しかねます。

まぁ、これから初めてBLACK SABBATHを聴いてみようと思ってる人には、手軽に楽しめるベスト盤じゃないでしょうか。1st〜4thだけを聴くのもいいけど、以降のアルバムにも隠れた名曲がポツポツ入っているので、それに気づくことができるという点では初心者にとってうってつけでしょうし。



▼BLACK SABBATH『THE ULTIMATE COLLECTION』
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あと、オジー時代の魅力に浸ったあとは、ぜひロニー・ジェイムス・ディオ在籍時のサバスにも触れてみてほしいです。こちらも過去に『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』というベストアルバムが発売されているので、そこから入ってみてはどうでしょう。



▼BLACK SABBATH『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』
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投稿: 2016 12 29 12:00 午前 [2016年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

2003年11月 7日 (金)

BLACK SABBATH『MASTER OF REALITY』(1971)

BLACK SABBATHが1971年8月にリリースした3作目のオリジナルアルバム、『MASTER OF REALITY』。サバス自体がその後誕生するいろんなジャンルのロックにおけるルーツ的役割を果たしているわけだけど、特にこのアルバムや続く4作目『VOL.4』はグランジだとか、後にストーナーロックと呼ばれるようになる特殊なメタル、90年代以降のラウドロックの教科書/お手本になっていると言えます。知名度からいえばセカンド『PARANOID』なんでしょうけど、やはり個人的にはこの『MASTER OF REALITY』と『VOL.4』、そして5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』をロック教則本に認定したいですね。

オジー・オズボーンの咳払い(マリファナでむせた咳払い、と言われていますが‥‥)からスロー&ダーク&ヘヴィスタートするこのアルバム、頭から名曲目白押し。いきなりミドルヘヴィな「Sweet Leat」でどんよりした空気を作り、サバスの歴史の中でも比較的ポップでキャッチーな路線に入る「After Forever」(そういえば昔この曲、バンドでカバーしたっけ。BIOHAZARDがカバーしたバージョンで)、トニー・アイオミによる30秒程度のインストナンバー「Embryo」は続く「Children Of The Grave」への序章で、かなりいい感じで盛り上げてくれます。そしてその「Children Of The Grave」。とにかくカッコイイ。曲のバックで鳴ってるパーカッションの音がまたいい雰囲気を作ってて‥‥オジーがソロになってからのライヴテイク(特にランディ・ローズ在籍時のテイクね)もカッコよかったけど、個人的にはサバスのオリジナルテイクの方が全てにおいて勝ってると勝手に思い込んでます。リズムのモタリ方とか、ギターのリフの刻み方、ちょっとしたリズムの取り方とか、全てにおいてツボ。完璧過ぎですよ。

そして後半戦は1分半程度のインスト曲「Orchid」で再スタート。アコースティックギターによる中世的でクラシカルな雰囲気がこのアルバムの世界観を更にハッキリしたものに仕立て上げてくれてます。それに続くはまたまたミドルヘヴィな「Lord Of This World」。テンポが変わる瞬間のカッコよさといったらもう‥‥そんな混沌とした世界を更に深いものにしてくれるのが、続く「Solitude」。クラシックとブルーズの融合とでもいいましょうか、とにかく暗黒の世界をそのまま音に表現したかのようなこの曲、サバスのスローナンバーの中でも俺内で1~2を争う程好きなんですよ。絶対にマリファナなりドラッグなりをキメて作ったであろうこのサウンド、後ろでなるいろんなエフェクト音、そして独特なフルートの音色。全てが「あっち側の世界」といった印象。オジーの抑えた歌い方もまた良いし。そんな静寂を引きちぎるかのようにスタートするヘヴィリフ。アルバムラストを飾るのは名曲中の名曲、「Into The Void」。とにかくこのアルバム、頭とケツのヘヴィさといったらパンパじゃないですよ。勿論サウンド的にいったらこれよりももっとヘヴィなサウンドはこの世にいくらでもあるんでしょうけど、音だけでなくアルバム全体に散りばめられたヘヴィさ、世界観であり空気感であり、音の隙間であり息づかいであり‥‥全てがヘヴィ一辺倒でこの『MASTER OF REALITY』を超える作品は、そうはないと思いますよ。

そういった面からこのアルバムがロック教則本として用いられているんでしょうね。METALLICAやPANTERA、カート・コバーンやビリー・コーガン、そしてMOGWAIのようなバンドまでもがサバスを愛するのは、こういった理由からなんじゃないでしょうか? もしあなたがまだサバスのアルバムに一度も触れたことがないというのなら、悪いことは言いません。まずはこのアルバムからスタートしてみましょう。



▼BLACK SABBATH『MASTER OF REALITY』
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投稿: 2003 11 07 12:00 午前 [1971年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2001年10月31日 (水)

BLACK SABBATH『REUNION』(1998)

オジー・オズボーン在籍期BLACK SABBATHとしては過去にも非公式ながら『LIVE AT LAST』があるし、ディオ時代には『LIVE EVIL』があるし、トニー・マーティン期も(日本盤は出なかったが)ライヴビデオ+ライヴCDのボックスが出ていた。そう考えると、約30年のキャリアでライヴ盤4枚というのは、決して少ない方ではない。ツェッペリンなんて映画のサントラとはいえ、約10年のキャリアでたった1枚しか出ていないわけで、DEEP PURPLEは‥‥どれだけ出てるのか知らない(苦笑)。とにかく、オジー在籍時の、ちゃんとしたライヴ盤はこれまで正式にはリリースされていなかったし、97年の復活以後唯一の音源(2001年10月現在)としてだけでなく、初期のベスト盤としても手軽に聴ける構成となっている2枚組ライヴアルバム。

収録は1997年12月5日、イギリスはバーミンガムにあるNECシアター。曲数や収録時間(16曲、約2時間)から、ほぼノーカット状態と思われる。収録曲に関しては、ファースト~5作目がメインになっていて、そこに「Dirty Women」なんて意外な曲も含まれている辺りに、彼らの本気振りが伺える‥‥かも(笑)。

ちょっとしたプレイのミスは修正されているかもしれない。更に、知っている方も多いと思うが‥‥オジーはスタジオ盤だろうがライヴ盤だろうが、必ず「ダブル・ボーカル」方式で録音する。つまり、一度唄ったモノに、更にもう一度同じモノを唄って被せる事を指す。これによってボーカルに自然と厚みが加わったり、また同じ事を二度唄っても微妙にズレるので、自然なコーラス/ディレイが得られたりする。スタジオ盤のみならず、ライヴ盤でもライヴ音源にスタジオで更にボーカルを重ねるわけだ。つうわけで、オジーのライヴ盤ってのはある意味、正真正銘の「実況中継盤」ではなく、ひとつの「作品」として語られるべきなのかもしれない(試しにMC部分と歌の部分の声を聴いてもらいたい。声の厚みや録音の違いが明らかだろう)。けどまぁ、今時修正のないライヴ盤の方が少ないのだし、そこまで気にして聴く人も少ないのかもしれない。余談だが、KISSなんてギターは全部スタジオで弾き直したものと差し替える、なんて話もある程だし(ステージで動き回る分、ミスや余計な音が入っている事が多いので、キチンとした作品として仕上げるために修正するそうだ)。

まずアルバムを聴いて驚くのが、歓声の大きさだろう。まぁこれはスタジオで調整して大きくしてるんだろうけど‥‥それにしても、この大合唱は何だろう? 1曲目「War Pigs」でのオジーと観客の掛け合いときたら‥‥まず間違いなく、ここ日本ではこんなの、無理だろう。一体「War Pigs」や「Iron Man」の歌詞をそらで唄えるファンがどれだけいるだろうか? 間違いなく1万人もいないはずだ。逆に武道館や横浜アリーナで大合唱が起きたら、俺は号泣+糞尿垂れ流し状態で感動するだろうね、きっと(爆)。まぁ冗談はさておき、この事実だけでも如何にBLACK SABBATHというバンドが欧米で認知されているか?がお判りいただけるだろう。途中のMCで熱狂的なファン?の叫びをそのまま収録しているが、これが全てなんだろう。単純にサバスとしての人気、それにプラスしてオジー・オズボーンとしての人気。最強じゃない?

そして、新曲‥‥オリジナルサバスとしては‥‥約20年振りの新曲ということになるのだが‥‥これが‥‥別にオジー名義でも何ら問題がない程度の楽曲とでもいうか‥‥確かに「サバスらしい」楽曲と見ることもできる。が、オジーがサバス脱退後、如何にサバスから離れたサウンドを繰り広げるか、如何に幅広いロックを聴かせるかという命題と戦ってきた結果、オジーが唄えば全て「OZZY OSBOURNEのサウンド」となってしまうわけで、今更「BLACK SABBATHとしての純粋な新曲です」と言われても、単純にバックトラックが変わっただけ、サウンドが変わっただけというようにしか思えない自分がいたりする。勿論、約20年振りにサバスとしての新曲を発表という事実には興奮したりもしたが、実際にその楽曲を前にすると、先に感じたような興奮を感じないのもまた事実だったりする。それだけ自分自身にとって「BLACK SABBATHの新曲」というのはハードルが高いものなのかもしれない。ただ、フォローする訳ではないが、単純に「オジーが唄う新曲」と考えれば、かなり高水準の楽曲であることには間違いない。

先にも書いた通り、選曲はファーストから5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』までのベスト選曲(という表現には語弊があるだろうが、とりあえずこう言わせてもらう)ということになっている。先日、「サバスは『REUNION』1枚で十分」というような声を聞き、これに反論してる方がいた。確かに、深追いせずに手っ取り早く聴く分にはこの1枚で十分だろう。が、これ1枚でサバスの全てを解り切ったつもりになられては困る。ツェッペリンならベスト盤やBBCライヴを聴けば事足りるだろう、なんてしたり顔で言われた日にゃ、確かに俺も怒るだろう。サバスやツェッペリンというアーティストは、アルバム・オリエンテッド・アーティストなのだ。1枚のアルバムの流れ、ジャケットの神秘性等を大切にしてきたバンドなのであり、本来ベスト盤なんてものは邪道なのだ。もし上のように『REUNION』しか聴いたことがなく「サバスなんてあんなもんでしょ!?」としか思ってない方がいたとしたら、是非ファーストから5作目までのスタジオ盤をちゃんと聴いて欲しい。バンドのアーティスティックな面を本当に理解してもらうには、それが一番なのだ。

そう、あくまでこの作品は「ライヴバンドとしてのBLACK SABBATH」を伝えるのがメインであり、ベスト盤的カタログというのは二の次なのだから。



▼BLACK SABBATH『REUNION』
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投稿: 2001 10 31 12:00 午前 [1998年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2001年9月16日 (日)

IOMMI『IOMMI』(2000)

BLACK SABBATHのアックスマン、トニー・アイオミの事実上初のソロアルバム。'80年代前半、イアン・ギラン(DEEP PURPLE)を迎えたサバスが失敗し、サバスとしてではなくトニーのソロとして最初は制作された「SEVENTH STAR」というアルバムがあるが、あれはレコード会社の圧力により『BLACK SABBATH featuring TONY IOMMI』という訳の判らない名義でリリースされいる。あのアルバムはボーカルにグレン・ヒューズ(元DEEP PURPLE)、ドラムにエリック・シンガー(現KISS)、ベースにデイヴ・スピッツ(元WHITE LION。元ANTHRAXのダン・スピッツの実兄)他を迎えたバンド編成での作品となっていたが、この2000年秋にリリースされた本格的なソロアルバムは、楽曲毎にリズム隊やシンガーを取っ替え引っ替えして、単純に全てのギターとソングライティングにトニーが絡むのみという、非常に面白い作りとなっている。最初このアルバムがリリースされた時、てっきりサバスとしての活動が終了したからのソロアルバムだと思っていたのだが‥‥

プロデュースには復活サバスでのライヴ盤「REUNION」を手掛けたボブ・マーレットを起用。彼は'90年代後半のアリス・クーパーの作品や元JUDAS PRIESTのロブ・ハルフォードが一時期やってたバンド、TWO(NINE INCH NAILSのトレント・レズナーのレーベルからアルバムを発表している)を手掛けたりしている。どちらかというと、伝統的なメタル愛好者というよりは昨今のラウド系やインダストリアル系の人ってイメージなのだが‥‥さて、その「伝統継承者」と「今時のプロデューサー」とのコンビネーションはどんなもんなのだろうか??

以下に各楽曲毎の参加メンバー及び簡単な感想を紹介することとするので、ご参考までに。

M-1. Laughing Man (In The Devil Mask)
シンガーにROLLINS BANDのヘンリー・ロリンズ、ベースにテリー・フィリップス(この人、知りません。スタジオミュージシャン?)、ドラムにジム・コプリー(再結成MONKEESやPRETENDERSに参加)。リズムがサバスというよりも、昨今のラウド系っぽい跳ね気味なので、アイオミっぽくないかな?なんて思ったりして。ボーカルがロリンズってこともあって、独特な雰囲気を醸し出している。かなりのダウンチューニング(1音下げ?)の為、サバスよりも重い。リフとリフの隙間に効果音のように入るハーモニクス音がまた雰囲気を盛り上げる。ギターソロも暴れまくってるし‥‥でもよく聴くと、やっぱり(特にディオ期サバス以降の)トニーが弾くソロって感じかな? 非常に'90年代後半のラウド系を研究してるかなって感じ。

M-2. Meat
ボーカルに先頃解散したSKUNK ANANSIEのスキン、ベースはこのアルバムのプロデューサーであるボブ・マーレット、ドラムは元TESTAMENT~WHITE ZOMBIE~現ロブ・ゾンビのドラマー、ジョン・テンペスタ。一部ギターでそのSKUNK ANANSIEのギタリスト、エースが参加。ということもあってか、まんまSKUNK ANANSIEの曲として通用する内容となってる。確かにリフはトニーっぽいんだけど、スキンのような個性的なシンガーが唄うと、どの曲もSKUNK ANANSIEのようになってしまうという‥‥ってこれは、どのシンガーの曲にも言えるんだけど、このアルバムに参加したシンガーはどれも個性が強い人ばかりなので、どの曲もサバスというよりはそのシンガーが在籍するバンドの曲のようになってしまってる点が面白い。個人的にはアルバム中で好きな部類の曲。つうかマジ残念、解散は‥‥

M-3. Goodbye Lament
ボーカル&ドラムに元NIRVANA~現FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、ベースにはサバス「SEVENTH STAR」でも弾いてたローレンス・コットル(フュージョン系のアルバムにも参加してることから、どうやらスタジオミュージシャンのよう)、一部ギターにQUEENのブライアン・メイが参加。って聴けば判るよね、あのギターオーケストレーション(笑)。FOO FIGHTERSとブライアン・メイの共演は過去にも何度かあるので、その流れからかなぁと思うのだけど、実はトニーとブライアンは旧知の仲で、以前にもサバスの'89年のアルバム「HEADLESS CROSS」で1曲("When Death Calls")、ブライアンはギターソロを披露しているし、逆にトニーは'92年4月のフレディ・マーキュリー追悼ライヴにゲスト参加している。さて肝心の曲だが‥‥FOO FIGHTERSともサバスとも違う、別物‥‥サビでのギターオーケストレーションのせいでQUEENみたいっつうか(笑)。まぁグロールが叫ぶ箇所になると、あぁフーファイかなぁって感じがして。特にアルバム中、印象に残るタイプの曲でもないかな‥‥最もポップではあるけど。異色作ってとこかな?

M-4. Time Is Mine
ボーカルにPANTERAのフィル・アンセルモ、ベースにローレンス・コットル、ドラムに元SOUNDGARDEN~現PEARL JAMのマット・キャメロン。まんまサバス(笑)。フィル・アンセルモのサバス好きはご承知の通り。自身でDOWNなんていう、まんまサバスなストーナーロックバンドをソロでやってた程だから。このアルバム中、最もサバス及びトニーに敬意を表した曲では? ボーカルはPANTERA以外の何ものでもなく、それでいてバックはサバス以外の何ものでもない。普通の出来と言ってしまえばそれまでだが、個人的には「やるべき人間がやるべき仕事をやった」って感じで好感が持てる。

M-5. Patterns
ボーカルにSYSTEM OF A DOWNのサージ・タンキアン、ベースにローレンス・コットル、ドラムにジミー・コプリー。何かサバスの"Electric Funeral"と"Iron Man"をくっつけたみたい(笑)。サージのあの独特な唄い方はここでは希薄で、どっちかっていうとありがちな出来。もっとハードコアでSYSTEM OF A DOWNも真っ青な曲を期待したんだけど、残念。まともなヘヴィロックかストーナーロックといったところだろうか?

M-6. Black Oblivion
アルバムのハイライトとなる1曲。ボーカル、ベース、そしてギターの一部を元SMASHING PUMPKINSのビリー・コーガン、ドラムにはジョン・メレンキャンプ・バンドの一員としてだけでなく、多くのセッションでお馴染みのケニー・アロノフ。8分以上もある大作で、ある意味で末期スマパン的アプローチとも取れる内容。つうか、「MACHINA」でのスマパンがサバス的アプローチを取り入れていたとも言えるが。途中何度も曲調が変わる展開が入る点が非常に初期サバスっぽいというか。まぁビリーの声質のせいもあって、トニーの色が希薄かなぁ、と。スマパンの未発表曲と言われたらそのまま信じてしまいそうな1曲(つうか以前、この曲をスマパン好きの友人に聴かせたら「何、未発表曲?」と言ってたし)。アルバム中最も好きな曲。

M-7. Flame On
ボーカルにTHE CULTのイアン・アストベリー、ベースにローレンス・コットル、ドラムにマット・キャメロン、一部ギターにブライアン・メイが参加。これも曲調&イアンの歌唱のせいあって、非常にTHE CULTっぽくなっている(特にサビの掛け合いっぽいとこなんて、モロCULTだし)。確かにリフ等はサバスのそれっぽいとも言えるのだが、いざイアンが加わると‥‥世界観が一気に変わるという‥‥けど、まぁ‥‥普通の曲だな、これも。インダストリアル的S.E.が所々に組み込まれているが、それも空回りかな?って気も。つうかブライアン・メイ、どこに参加してるの?(苦笑)もしかして、ギターソロ!? とにかくイアンのカラーのみが色濃く表れた、中途半端な出来。

M-8. Just Say No To Love
ボーカルとベースにTYPE O NEGATIVEのピーター・スティール、一部ベースでローレンス・コットル、ドラムにマット・キャメロン。歌に入った途端に別世界へと導かれてしまう‥‥好きです、ピーター・スティールの歌声(笑)。TYPE O NEGATIVEとはまた違った世界観なんだけど、非常にサバスとマッチしてるような気がする。サバス・トリビュートアルバムでもTYPE O NEGATIVEがカヴァーした"Black Sabbath"は最も異様な色を醸し出してたしなぁ。サバスでもTYPE O NEGATIVEでもない世界を新たに作り出してるよ、これ。これもかなり好きな部類の曲。

M-9. Who's Fooling Who
サバスの新曲です、ハイ(笑)。ボーカルにオジー・オズボーン、ドラムにビル・ワードという現サバス組。ベースもローレンス・コットルということで元サバス組なので‥‥サバス新曲と言い切っても間違いではないでしょう。まぁギーザー・バトラーのあのベキベキ・ランニングベースがなくちゃ今のサバスとは言い難いけど‥‥イントロの鐘の音の時点でもう雰囲気バッチリ。ただ、思いっきりダウンチューニングで尚かつキーが低いことから、オジーが持ち味を発揮し切ってないかなぁ‥‥と。オジーは中~高音域が特徴なわけで、低音で凄まれても、ちょっと‥‥(笑)このメンツ、プロデューサーも復活サバスと一緒ということもあり、かなり再結成後の新曲に近い作風なのだけど‥‥まぁ普通の曲かなぁ、と。オジーとトニーが組むんだから、かなりハイレベルな楽曲を勝手に期待してしまってるのだよ、こっちは。中盤の"Children Of The Grave"みたいな展開は好きだけどね。それよりも、もっとかっこいいリフ&メロディーに期待(もしかしたらこの曲、ノーマルチューニングで演奏したらカッコイイのかも‥‥)。

M-10. Into The Night
ボーカルにビリー・アイドル、ベースに元SOUNDGARDENのベン・シェパード、ドラムにマット・キャメロン、って‥‥リズム隊、SOUNDGARDENかよ!!(笑)それにギターがトニーって‥‥これこそまんま、サバスじゃんか! どうせなら、ボーカルにクリス・コーネルを‥‥レイジと一緒にやってる場合じゃねぇってば(苦笑)。この曲も必要以上にキーが低いせいで、ビリー・アイドルの持ち味を生かし切れてないかなぁ、と。ビリー・アイドルは'80年代、大好きなシンガーのひとりだったので、この声の枯れ具合にちょっと悲しくなったりして‥‥途中途中、無駄に入る「ア゛~ォ!」っていうシャウトに彼の拘りを感じた(笑)。勝手に「もしこの曲でクリス・コーネルが唄ってたらなぁ‥‥」とか思ってら、途中でアップテンポに展開して、もろビリー・アイドルな曲調に(笑)。好きです、やっぱりこれでも。あと、7曲目にブライアン・メイってクレジットされてて、どこに参加してるのか不明だったんだけど‥‥こっちの曲には、如何にもブライアンなギターオーケストレーションのパートがあるんですが‥‥(苦笑)手違いでしょうか? まぁ何はともあれ、最近‥‥映画「スピード」以来‥‥全く音沙汰のなかったビリー・アイドルの生存が確認できただけでも、ヨシとしよう(苦笑)。


つうわけで、以上が全曲。ビリー・アイドルやイアン・アストベリー(THE CULT)といった、ヘヴィロックとは言い難いジャンルの人達も含まれているが(ある意味、現在のデイヴ・グロールもこっち側の人かな? OZZ FEST出演経験者とはいえ)、基本的には最近のアメリカン・ラウド系を代表するシンガーを中心に置いて作られた感がある。ただ、ラウド一本というわけでもなく、そのビリー・アイドルやイアン・アストベリー、そしてスキンといった異色を混入することで、トニー・アイオミのソングライター/リフメイカーとしての才能を改めて伺い知る事ができる。サバスではどちらかというと一本調子なイメージがあるが、こうやっていろんな曲調/作風の曲に対応出来ることからも、その事実は歴然としている。

今後、オジーと活動することで、初期サバスのような作風を求められるだろう。そうなれば、更に限定された音楽性での活動を強いられる。そのガス抜きとして、またこういうソロアルバムが作られることと思う。個人的には固定のバンド編成ではなく、こういうアプローチでまた作って欲しいと切に願う。面白かったよ、マジで。メタルにちょっと興味があるって人、ドンズバのラウド系が好みの人、普段メタルしか聴かない人、どの層にもアピールする内容じゃないかな? オムニバス・アルバムを聴くような手軽な1枚。昨今のラウド系オムニバスとしても機能する出来となってるので、サバス云々抜きで語られてもいいと思うよ?



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投稿: 2001 09 16 11:44 午後 [2000年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

よく解るBLACK SABBATH:その3 ~トニー・アイオミ~

初回はオジー在籍時BLACK SABBATHが凄いと言われる理由、そして前回はそのオジーのソロ活動についてレクチャー(ってモンでもないか?/苦笑)してきたが、今回はサバスの30年以上に渡る歴史の中で、唯一脱退を経験していない(メジャーデビュー後という意味。実はデビュー前の1969年に一時脱退している)メンバー、いわばサバスの「大黒柱」であるギタリスト、トニー・アイオミについて、その魅力を紹介していきたいと思う。

トニーの特徴と言えば左利きだという点。そしてギブソンのSG(ソリッド・ギターって意味だったんだね?)黒をメインに使っている。首からぶら下げた十字架のペンダント、等々‥‥色々挙げられるが、ここはやはりそのギタープレイについて言及したい。

リフメイカーとして有名なトニーだが、例えば同時期に名を馳せたLED ZEPPELINと比べてみよう。和音を多用し、ブルーズやロカビリー、ロックンロールを基調とした3コードがメインとなることが多かったZEPと比べ、和音よりも短音リフが目立ち、尚かつポジショニング移動も極力少なく、ブルーズからの影響以外ではジャズの色が濃く、音と音の隙間をわざと埋めないでそのままにする。これがトニー・アイオミの特徴だろう。ジミー・ペイジが「ガッガッガッガッ」って刻むようなプレイが多いのに対し、トニーは「ガァ~ン、ガァ~ン、ガァ~ン」と一音を延ばす傾向にある。ジミーの初期の名リフ「Communication Breakdown」「Whole Lotta Love」、そして「Immgrant Song」を、トニーの名リフ「Black Sabbath」「Iron Man」「Sweet Leaf」と比べてみるといいだろう。

また、トニーはトリル(プリングやハンマリングという、ピッキングしないで左手指で弦を指盤に叩きつける奏法。エディ・ヴァン・ヘイレンのソロプレイを思い浮かべてみるといいだろう)を多用する点も特徴と挙げられるだろう。リフのオカズとしても多用するし、ソロプレイにも登場することが多い。特に80年代以降はトリル+ワウワウ・ペダルという複合技も多用するようになる。ディストーションとクリーントーンとのハーフトーンを使ってジャズっぽいメロディープレイをする点も特徴だろうか。「Sabbath Bloody Sabbath」のBメロに登場するフレーズがその代表と言えるだろう。

サバスの楽曲は、殆どの作者クレジットが“BLACK SABBATH(OSBOURNE, IOMMI, BUTLER, WARD)”となっていることから、どの曲を誰が作曲したかという詳細は不明である。しかし、ギターリフを元に作曲されているのは明白で、そういう意味ではトニーが中心となって、ジャムセッションしながら肉付けしていったというのが、もっとも正解に近いのかも知れない。ギーザーも作曲するだろうが、作詞のほとんどがギーザーと言われているようだ。

余談だが、ギーザー自身も80年代サバス空中分解後、GEEZER BUTLER BANDというのを結成しているし(音源はなし)、1995年にはg//z/r(後にGEEZERと改名)という現代的ラウドロックバンドを結成している。メンバーはFEAR FACTORYのボーカル、バートン・C・ベルにオジーの『OZZMOSIS』に参加したドラマー、ディーン・カストロノヴォ、そしてGEEZER BUTLER BANDのギタリスト、ペドロ・ハウスとギーザーの4人。後にボーカルがギーザーの息子と交代している。オジーのアルバムでもギーザーが作曲に絡んだ曲はかなりモダン・ヘヴィネス的アプローチをしているので、元々ヘヴィミュージックを心底愛している人なのかもしれない。そういう意味では、サバスのヘヴィネスは何もトニーのリフ作りだけによるものではない事がご理解いただけるだろう。

実際にトニー・アイオミのプレイを聴いてもらって理解していただくのが一番だろう。初回に紹介した1998年のサバスのライヴ盤『REUNION』は70年代オリジナル・サバスのベスト盤的内容となっているので、初期の曲を今のトニーのプレイで聴ける、格好のサンプルとなるだろう。それ以外では、サバス以外の仕事となるが、初のソロアルバムである「IOMMI」がオススメだ。このアルバムはソロアルバムとはいうものの、作曲とギター以外はすべて他のアーティストが参加という、いわばプロジェクト・アルバムのようなものだ。

そうえいば、ジミー・ペイジは時代時代によってメインギターを変えている。初期はレスポール一色だったが、後期にいくとストラトやテレキャスターなんかも使っていた。レコーディングでもいろんなギターを使っていたようだ。ところがトニー・アイオミとなると、黒のSGというイメージしかない。その頑固一徹な拘りに「漢」を感じるのだが。いざ、作曲となると、こだわりをあまり感じさせない(苦笑)。オジー在籍時の初期4作は作風的にも流れ的にも統一感を感じさせるものの、5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』以降の数作には実験的要素等の迷いを感じさせる。更にロニー・ジェイムズ・ディオ加入後の『HEAVEN AND HELL』ではRAINBOW的様式美要素も取り入れ、その後再びディオが再加入するまでは様式美路線を突き進む。勿論、それでもヘヴィさに重点を置いているのだが……。

ディオ再加入後の『DEHUMANIZER』はモダンヘヴィネスの要素を取り入れた意欲作だが、ディオ再加入で再びコアな様式美路線を期待した多くのファンからは駄作と切り捨てられる。さらに再び従来の路線に戻った『CROSS PURPOSES』を経て、何故かラッパーのアイス・T率いるBODY COUNTのギタリスト、アーニー・Cがプロデュースした『FORBIDDEN』では再び初期サバス色を前面に打ち出している。こだわりはあるんだろうけど、こと音楽面に関して言うと、オジーほど見えてこない。アーティストというよりはミュージシャンなんだろう、この人は。オジーのようにキャラクターで勝負する人では絶対にないが、そのオジーとステージでは対等に渡り歩いてきたという事実。この辺をもっと理解するには、やはりアルバムやビデオを聴いたり観たりするだけではなく、しっかりとライヴに足を運んで確認すべきなのだろう。残念ながら俺は、1989年と1994年の来日公演には足を運んでいない。ディオやオジーがいた頃のサバスには興味があるものの、トニー・マーティンというシンガーには全く思い入れがないから。彼が歌う「War Pigs」や「Die Young」を聴きたいと思わなかったのだ。

けど、もし次に……シンガーが誰であろうと……来日の機会があったら、絶対に足を運ぼうと思っている。オジーやギーザーは実際に生で観たことがあるが、トニーだけは未だに未体験なのだから。

リフメイカーとして語られる事の多い彼だが、いちギタリストとして語られる機会は意外と少ない。どうしてもオジーに目がいってしまうから。これを機に、特にギターを弾く方々に再注目してもらいたい。どのアルバムにも触れるべきポイントが沢山詰まっているので、ここに挙げた以外の作品にも、興味があったら是非手を出してもらいたい。

投稿: 2001 09 16 04:00 午前 [Black Sabbath] | 固定リンク

2001年9月 9日 (日)

OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』(1997)

1997年11月に発表された、BLACK SABBATHから現在までのオジー・オズボーンの歴史を総括するような内容のベストアルバム。普通ベストアルバムというと「興味はあるけど聴いたことがない初心者向け」というお手軽さがあって、コアなファンには必要のない代物の場合が多いが、これはちょっと違う‥‥マニアをも唸らす音源入りなのだ。「ベースメント・テープス」と銘打たれたそれらの音源は、当時流行っていた「BBCラジオ・スタジオライヴ音源」に匹敵する、或いはそれ以上のお宝で、音は悪いものの資料価値としてはかなりのものなのでは‥‥なんて騒がれた程だ。

'70年のBLACK SABBATHのリハーサルテープだという4曲(本編のディスク1に "Black Sabbath" と "War Pigs" が、ボーナスディスクには "Fairies Wear Boots" と "Behind The Wall Of Sleep" の計4曲)が収録されているこのベスト盤。コアなサバスファンをも唸らすそれら4曲は確かに衝撃だ‥‥10分近くもある "Black Sabbath" は勿論なのだが、何よりも驚いたのが‥‥恐らくまだセカンドアルバムをレコーディングする前のリハのものだと思われる "War Pigs" だ。何せ歌詞が現存のものと全く違うのだから。国内盤には歌詞が付いているがオリジナル音源のものなので、これ程意味をなさないものもなかろう。アレンジ自体はほぼ完成型に近いのだが、唄われている内容は‥‥聞き取り難いのだけど‥‥多分当初は「War Pigs」ってタイトルではなかったのでは?と思わせる節もある。所々現在の歌詞を思わせるフレーズがあるものの、やはりどこかぎこちなさを感じさせる。非常に面白い代物だろう。

4曲全てに共通する事なのだが、演奏がスタジオテイクと比べてスローで、かなりドゥーミーな雰囲気を醸し出している。もしかしたらマリファナでラリってる状態で演奏されたものかもしれない。それとチューニングの問題。ライヴでのサバスは既に当時からチューニングをスタジオテイクよりも1音下げていたという。これは'80年に急遽リリースされたライヴ盤「LIVE AT LAST」でも確認できる。ということは、やはりこれらの音源はライヴではなく、リハーサルの音源という事になるのだろうか‥‥当のオジーでさえもこれらの音源が何時・何処で録音されたものなのか、正確には判らないという位、いい加減に録音されたものなのかもしれない。モノラルでかなりこもった音をしてるが、当時の雰囲気だけは掴めると思う。いや、ある意味この録音状態がBLACK SABBATHというバンドの体質にピッタリなのかも。

というわけで、貴重音源を含むこのベスト盤。メインディッシュはなにもこれだけではない。新曲(いや、正確には未発表曲)も含まれている。ディスク1最後に収録されている "Back On Earth" がそれで、録音自体は'95年にリリースされたアルバム「OZZMOSIS」当時のものだ。所謂アウトテイクなのだが‥‥本来は当時('97年)のバンドメンバー(ジョー・ホルムズ、ロバート・トゥルージロ、マイク・ボーディン)と共に作った曲を収録する予定だったが、時間の都合で完成にまで到らなかったらしい。しかし一説によると、ジョーの書く曲にオジーが満足しなかったという噂もある。これが結局、現在のザック・ワイルド出戻りに関係してくるのかもしれない。

で、この未発表曲だが‥‥特に可もなく不可もなくといった出来の、「OZZMOSIS」にそのまま入っていても不思議ではない、メロウな楽曲。けど特に印象に残るような曲でもないという事も付け加えておこう。これだったらボーナスディスクに日本盤のみ追加収録されている "Walk On Water" の方がいい曲のように思えるのだが(アメリカで当時流行っていたアニメ「ビーヴィス&バットヘッド」のサントラ盤に収録されていた曲)‥‥他にもこのボーナスディスクには映画「HOWARD STEIN : PRIVATE PARTS」のサントラに収録されていたTYPE O NEGATIVEとの共演曲である "Picture Of Matchstick Men" (STATUS QUOの'68年のヒット曲のカヴァー)も収録されていて、お得だ。更には'88年に行われたオジーとRED HOT CHILI PEPPERSのベース、フリーとの対談(17分)も収録されているが‥‥英語に自信のある方のみ聴いていただきたい。

以上のように、既に全アルバム持っている人に向けてはそれなりの価値がある音源が幾つか入っているので、まぁ通勤通学時に気軽に聴くには(サバスのリハテイクは気軽に聴けるような代物とは思えないが)いい1枚かもしれない。では、これからオジーを聴いてみようと思ってる人には‥‥確かに代表曲が殆ど収録されているし、コアなファンからすれば疑問の残る曲もあるにはあるが‥‥まぁオジーの歴史をかいつまんで知りたいあなたには打って付けの1枚かもしれない。ランディ・ローズ(初期オジー・ソロの立て役者であり、メタル界屈指の名ギタリスト。'82年3月に飛行機事故で亡くなっている)在籍時の音源もサバス "Paranoid" のライヴテイクも含めて5曲も収められているし(最も在籍期間の長いザック時代の6曲に次ぐ多さ)。逆にジェイク・E・リー時代が少ない気もしないではないが‥‥これから聴くって人には、約30年近い歴史を15曲で追うのだからこれでいいのかもしれない。逆に興味を持ったなら、ライヴ盤(「LIVE & LOUD」か、ランディ在籍時の名ライヴ盤「TRIBUTE」)に手を出せばいいわけだし、更にサバスに手を出せばいいだけの事だ。

最後に‥‥このレビューを書くに当たって、既に中古盤屋に売ってしまっていたこのアルバムを買い直したのだが‥‥やっぱりオジーは、俺の十代を象徴する曲ばかりで‥‥青春って感じなんだな。ドロドロしたイメージがあるかもしれないが、"Goodbye To Romance" のようなメロウなバラードもあるし(リサ・ローブがカバーしたバージョンも素敵です)、"Mr.Crowley" みたいな泣きの曲もあるし‥‥高校時代 "Crazy Train" とかバンドでコピーしたり、自身のギターの課題曲として "Bark At The Moon" のリフやソロをコピーしたのも、今となっては懐かしい思い出。聴いた事がない人。とにかく思った以上にポップだという事に驚かされると思うので、気楽に手を伸ばしてみては如何だろうか?


(2004年5月23日追記)
今回このレビューを再構築するに当たってAmazon.co.jpで現在流通しているこのアルバムを調べたら、2002年のリマスター化の際に収録曲目が見直しされてたのね。ジェイク時代の "Shot In The Dark" が削られて、代わりにザック加入後最初の "Miracle Man" に差し替えられてます。個人的には "Shot In The Dark" って大好きな曲なので、どうせならライヴでもあんまり演奏する機会のない "Crazy Babies" を削ればよかったのにね。ってそれって偏見?



▼OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』
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投稿: 2001 09 09 04:25 午前 [1997年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

よく解るBLACK SABBATH:その2 ~“GODFATHER OF HEAVY METAL”の素顔~

今現在のBLACK SABBATHを語る時にどうしても必要となるのが、このボーカリストであるオジー・オズボーンの、サバス脱退後から現在に到るまでのソロ活動である。「メタル界にこの人あり」「メタル界のゴッドファザー」とまで呼ばれたこの男を理解しない限り、真の意味でサバスを理解したとは言えないだろう。今回はオジーのソロ活動にスポットライトを当てて、サバスとソロとの違い、そして何故彼が多くの若手からベテランにまで支持されるのかを考察していきたい。

まずは簡単なサバス脱退後の歴史から。1979年にサバスを再脱退したオジーは、元QUIET RIOTのランディ・ローズ(G)、元RAINBOWのボブ・デイズリー(B)、元URIAH HEEPのリー・カースレイク(Dr)というメンバーを集め、新バンドBLIZZARD OF OZZを結成する。そしてバンドはキーボードに元RAINBOWのドン・エイリーを迎えてファーストアルバム『BLIZZARD OF OZZ』を1980年にリリース。最初はバンド名義でシングルもリリースされていたのに、いざアルバムとなると何故かオジーのソロ名義に。ファーストをリリース後すぐにセカンドのレコーディングに突入し、ファーストと共に名盤として挙げられる『DIARY OF MADMAN』を翌1981年に発表。しかし、アルバムリリースと時同じくしてボブとリーが脱退。代わりに元QUIET RIOTのルディ・サーゾ(B)、後にルディと共にWHITESNAKEに加入する事となるトミー・アルドリッヂ(Dr)が加入する。このメンバーでのライヴが後(1987年)にライヴアルバム『TRIBUTE』としてリリースされることとなる。

順風満帆だったように見えたオジーが暗雲に包まれ始めたのが、1982年3月19日。全米ツアー中の移動での飛行機事故により、ランディ・ローズが帰らぬ人となる。暫くは後任として元GILLANのバーニー・トーメや現NIGHT RANGERのブラッド・ギリスを迎えて窮地をしのいだが、音楽的にも精神的にもオジーから欠けたものは大きかった。ブラッドを迎えて同年9月にランディ追悼ライヴを行い、それをライヴレコーディングしたものを発表する予定だったが、録音状態が劣悪だったり収録時間が異常に短かったこともあり、結局サバス時代の曲のみを収めたライヴ盤『SPEAK OF THE DEVIL』として発表。

翌1983年、正式な後任ギタリストとして元ROUGH CUTの日系アメリカ人ギタリスト、ジェイク・E・リーを迎えて、サードアルバム「BARK AT THE MOON」を発表。アルバムにはドラムにカーマイン・アピス等を迎えている。そして1986年には新たに若手メンバー、ランディ・カスティロ(Dr)とフィル・スーザン(B)というアメリカ人を迎え、4作目『THE ULTIMATE SIN』を発表。当時流行だったLAメタル的サウンドを取り入れた結果、全米6位まで上昇、初のプラチナ・アルバムを獲得する。しかし翌年、ジェイクが脱退。オジーは再び曲作りのパートナーとなるギタリストを捜すこととなる。

その間のつなぎというわけでもなかったが、ちょうど五周忌を迎えた事もあってか、1987年にはランディ在籍時のライヴを収めた追悼盤『TRIBUTE』を発表。と同時に、当時まだ19歳だった新人ギタリスト、ザック・ワイルドの加入を発表する。そして翌1988年にはザック、旧友のボブ・デイズリー、ランディ・カスティロ、キーボードに元URIAH HEEPのジョン・シンクレアを迎えて5作目『NO REST FOR THE WICKED』を発表。サバスのトニー・アイオミを彷彿とさせるリフワークやワイルドなソロプレイを信条とするザックに我々は目を奪われる。アルバムリリースと同時にベースがボブからサバス以来9年振りの共演となるギーザー・バトラーとの交代劇もあったりしたが、以後は順風満帆に見えた活動。しかし、再びオジーを悪夢が襲う。

1990年に6曲入りミニ・ライヴアルバム『JUST SAY OZZY』を発表するも、この前後オジーはアルコールに蝕まれていた。そしてオジー婦人であるシャロン・オズボーンとの夫婦喧嘩が起因となる殺人未遂に及ぶ事件、それによるオジー逮捕。その後不起訴で釈放されたものの、家族にまで手を出してしまったオジーは生涯何度目かの薬物中毒更正施設への入所を決意。クリーンになったオジーは創作に対して意欲的になり、ザックとランディを招集し、当初はボブ・デイズリーをベースに迎えて新たなアルバム制作に臨む。後に新人ベーシスト、マイク・アイネズ(後にALICE IN CHAINSに加入)を加え、1991年に6作目『NO MORE TEARS』を発表。が、このアルバム制作中にオジーは引退宣言を発表する。アルバムは当然のようにトップ10入り、ワールドツアーも大盛況。そして初の全米トップ20シングル(「Mama I'm Coming Home」)も生みだし、さらにはグラミー賞も受賞する(「I Don't Want To Change The World」)。そしてオジーは1992年11月15日、カリフォルニア州コスタ・メサでのライヴで無事引退する事となる。この日のライヴではスペシャルとして、たった数曲だがオリジナル・サバスの再結成もあった。

1993年には前年までのラスト・ツアーの模様を収録したライヴ盤『LIVE & LOUD』をCDとビデオで発表し、翌1994年にはサバス・トリビュートアルバムに自らゲストとして参加。地味ながらも音楽活動を続ける。やがて、再びステージが恋しくなり引退宣言撤回(笑)。再びザックを呼び戻し曲作りを開始する。当初スティーヴ・ヴァイとの共作も噂されたが(実際に行ったが、バンド結成にまでは到らなかった)、これまで以上に外部ライターとの共作を繰り返し、旧友のギーザー・バトラー、そして新たなドラマーとしてディーン・カストロノヴォを迎えて1995年に7作目『OZZMOSIS』を発表。アルバムチャート4位に初登場する。その後ザックが離脱し、新たに元LIZZY BORDENのジョー・ホルムズが加入。ドラムもいつの間にかランディ・カスティロが出戻り、ベースもギーザーから元SUICIDAL TENDENCIESのロバート・トゥルージロが加入。そしてランディがMOTLEY CRUEに加入した事もあって、代わりに元FAITH NO MOREのマイク・ボーディンが加入……というように、収拾がつかなくなる(笑)。

1996年には新旧のラウド・ロックバンドを集めた初のヘヴィ・ロック・フェスティバル『OZZ FEST』を開催。現在に到るまで毎年行われているように、大盛況。そして'97年にはオリジナルBLACK SABBATHが再結成。その後のオジーはソロとサバスの二枚の草鞋を履き、50歳を超えても尚盛んに動き回っている。

さぁ、そのオジーのソロ活動時の音楽性だが……さらにヘヴィ・メタリックな音をメインとしながら、その歌メロはサバス時代以上にポップでメロディアス。そこがメタル初心者にも親しみやすさを与えている。しかし、オジーのパブリックイメージはというと、ステージで生肉食ったり(笑)、生きた鳩を食ったり(爆)とか、怖いイメージしかない。今では人のいいオヤジ的イメージがあるだろうが、現在のようにインターネットもなければ、情報伝達までに数ヶ月かかっていた80年代初頭にメタルを聴き始めた俺などは、オジーは本物の悪魔だと思ってたくらいだから(苦笑)。「ステージで生肉食ってそれをまき散らすらしい」とか「平和の象徴である鳩を食うなんて、やっぱ悪魔だよ」って話を中学時代、クラスでしてたっけ‥‥微笑ましいなぁ、今となっては(爆)。確かに生肉をステージで食らってた時期もあったし、写真撮影の為に鳩(確かオモチャだったと後で言ってた)をくわえた事もあった。そしてサバス時代の黒魔術的イメージ。1982年に初めて来日するまで、いや、した後もしばらく(笑)、オジーはホンマもんの悪魔だと思われていた(多分俺だけではなかったはず)。

ランディ・ローズを失った後のオジーは特に無気力だったり、酒の力もあってこういうイメージで語られる事が多かった。勿論、サバス時代のイメージを求めるメディアの力もあるだろう。こうした外界からの要求に素直に答えてしまう辺りに彼の人の良さを感じてしまうのは、俺だけだろうか?(笑)

さらに彼は、ステージを降りれば、「ジョン・オズボーン」というどこにでもいそうな、妻と子供達を愛するオヤジに戻る。今の彼にとってはどちらかひとつが欠けてもダメなのかもしれない。一時、彼が引退を宣言した後に「やっぱりステージが恋しい」と言って復帰したのも、結局はバランス感を失った事が原因なのかもしれない。平凡な暮らしの中でどんどんと太っていく自身の姿を鏡で見た時、初めてギョッとしたと言っている。それからエクササイズを始めたり、音楽に真剣に取り組んだりして、再び表舞台に舞い戻っている。

イメージにないかもしれないが、オジーの若い、新しい才能を見つけだす能力も他より優れている。例えば当時無名に等しかったランディ・ローズの起用。QUIET RIOTはランディを欠いた後、1983年にブレイクするまで、ここ日本でのみアルバムが出ているというバンドでしかなかった。そんなランディを起用したのは、単にギタリストとして優れていただけではなく、ソングライターとして、そして楽器の弾けないオジーからメロディーを引っ張り出す才能にも長けていたのだ。ランディだけではない。後任であるジェイクだってそうだし、結局何だかんだありながらも現在も活動を共にしているザックにしてもそうだ。どのメンバーも単にギタリストとして以上の仕事振りを発揮している。そしてバンド脱退後、皆オジーバンド在籍時以上の成功を得られていないという面も共通している(苦笑)。まぁそれぞれがオジーバンド在籍時とは全く別の側面を見せる活動をしている事も影響してるんだろうけど……個人的にはジェイクがバンド脱退後に結成したBADLANDSも好きだし、ザックのソロ作品は全て愛聴している。

ギタリストだけではなく、例えば後にALICE IN CHAINSに加入する事となるマイク・アイネズや、LAのインディーシーンで日の目を見ずにいたランディ・カスティロやフィル・スーザンといったメンツにも脚光を与えた。最近はメタル界よりもオルタナ/ラウド・ロック界に影響を強く与えているようで、90年代前半に脚光を浴びたバンドのメンバーに再び白羽の矢を立てている。それがマイク・ボーディンであり、ロバート・トゥルージロである。それぞれかなりの凄腕だ。音楽性が一致しなかった為に早々とクビを斬られてしまった(実際のところ、その脱退理由は今をもって不明だが)ジョー・ホルムズも卓越した技術を持ったギタリストだった(しかし、シングルトーンのストラトの音は、オジーのようなメタルには不向きだったように思う)。

自身のバンドメンバーだけにとどまらず、ライヴで起用するオープニングアクトにも先見の明があったように思う。当時ブレイクに程遠かったMOTLEY CRUEやMETALLICAを起用し、しかもステージ使用に制限を与えなかったという。今でもモトリーのニッキー・シックスとは互いに影響を与え合う仲だそうだし、METALLICAのメンバーが緊張しながらオジーにサインを貰いにいった逸話等は、今の彼らを考えるととても微笑ましい。こういう若手の起用、そして自由にやらせるという点は、現在のOZZ FESTにも引き継がれている。若手に影響を与えるだけでなく、チャンスも与え、そして自らにもフィードバックさせる。そこまでちゃんと計算しているとは到底思えないが(笑)、こんなベテラン、特にメタル/ラウド・ロック界には他にはいないだろう。LIMP BIZKITやKORNのメンバーが始めた『FAMILY VALUES TOUR』も、もとを正せばオジーのアイディアからの拝借に過ぎない。

ちょっと前に、スウェディッシュ・ポップが流行した時、THE CARDIGANSがオジーの「Mr.Crowley」をカバーしたことがあった。つい最近リリースされたオジーのトリビュートアルバムでは、メタル界の面々に混じってリサ・ローブが参加し、名曲「Goodbye To Romance」を自己流カバーしている。さらに昨年、日本のPENPALSがシングルで「Crazy Train」をパンクカバーしていた。何もラウドロック界だけではない。多くの人間に影響を与えている。みんな通過しているのだ、オジーを。それ位偉大な存在。すでに“GODFATHER OF HEAVY METAL”ではなく“GODFATHER OF ROCK”のポジションにまで昇り詰めようとしているオジー。けど、当のオジーは「そんなモン、メシの足しにもなりゃしねぇ。糞くらえ!」とでも言いながら蹴散らかしてくれるに違いない(笑)。そんな存在、それがオジー・オズボーンなのだ。

きっとサバスよりもオジーのソロの方が聴きやすいって人、多いと思う。それでいいと思う。サバスとオジー、コンセプトは一緒のようで実は別なのだから。ある意味では対極にあると言っていいかもしれない。方や人々を恐れさせるバンドの一員。方やどんなアホな事やっても愛されてしまうソロシンガー。この二つを同時に演じてしまえるのが、今のオジーの強みなのだ。2001年10月。いよいよ6年振りのソロアルバムがリリースされる。三度ザック・ワイルドと手を組み、新たなリズム隊を取り入れたその作風は、これまでのソロよりもダークで、それでいていろんな要素を取り入れていると聞く。50歳を過ぎても尚盛ん。まだまだオジーからは目が離せない。そしてこれを読んでちょっとでもオジーが気になった人。上の2作品を予習してから、来るべき新作を手にしてみようではないか?

投稿: 2001 09 09 04:00 午前 [Black Sabbath] | 固定リンク

2001年9月 2日 (日)

よく解るBLACK SABBATH:その1 ~何故オジー在籍時を神のように崇めるのか?~

BLACK SABBATHというと現在では「ヘヴィロックの元祖」や「ストーナーロックの元祖」的存在として捉えられているようだが、これが10年前ともなると「グランジロックの元祖」と呼ばれていたり、さらに僕が中~高校生の頃は「ヘヴィメタルの元祖」「初めてヘヴィメタルバンドとして認識された存在」なんて紹介されたりしていた。しかも初代ボーカルのオジー・オズボーン在籍時のみに関して、だ。サバスはオジー脱退後も元RAINBOWのロニー・ジェイムズ・ディオ、イアン・ギラン(DEEP PURPLE)、グレン・ヒューズ(元DEEP PURPLE)、レイ・ギラン(後にオジーバンドのジェイク・E・リーとBADLANDSを結成。故人)、トニー・マーティンといろいろなボーカリストを迎え、その歴史はオジー在籍時よりもはるかに長い。しかし、人々がBLACK SABBATHというバンドを思い浮かべる時、その大半がオジー在籍時のような気がする。もっとも代表曲と呼ばれるものの殆どがオジー在籍時の初期に集中している事も大きく影響しているだろう。では、何故人々は初期サバスを神のように崇めるのだろうか?

本題に入る前に、まずは簡単なサバスの歴史から。60年代末、イギリスはバーミンガムのパブやクラブでジャズ/ブルーズロックを演奏しているEARTHというバンドがいた。メンバーはジョン・オズボーン(後のオジー/Vo)、トニー・アイオミ(G)、テレンス・バトラー(後のギーザー・バトラー/B)、そしてウィリアム・ワード(後のビル・ワード/Dr)の4人。後に彼らはバンド名を現在のBLACK SABBATHに改名、ここから彼らの歴史が始まる。

1970年2月13日の金曜日、ファーストアルバム『BLACK SABBATH』でデビュー。たった3つのコードだけで構成された超ヘヴィブルーズと呼べる表題曲「Black Sabbath」1曲でその後の彼らの運命は決定付けられてしまったも同然だった。もともとは「人々を恐怖に陥れる音楽」という発想からスタートしたサバス。単に奇を衒った存在なだけではなく、卓越したテクニックをも持ち合わせていた。それはジャズ等を演奏してきた事に起因し、特にベースのギーザーのプレイはCREAM時代のジャック・ブルースをも脅かす存在感で、このベースとトニーのギターリフが一丸となって奏でるユニゾンプレイこそが、初期サバスの魅力のひとつだった。ジャズ的なインタープレイは各楽曲の要所に組み込まれ、縦横無尽に各楽器が暴れまくる様は、同時期にデビューしたLED ZEPPELINにも匹敵するものだった。そして、既に当時からアルコールやドラッグにドップリ浸かっていたと思われるメンバー(特にオジー)によって引き起こされるダウナーな陶酔感、サイケ的要素、意味もなく襲ってくる恐怖感。地獄の底から聞こえてくるかのような、この世のものと思えぬヘヴィさ。これこそがサバス最大の魅力であり、当時の多くのロックファンが惹かれた要素なのである。

バンドは同年に代表作といっていい2ndアルバム『PARANOID』を発表。ここからシングルカットされた「Paranoid」が英米シングルチャートで大成功を収める。他にも誰もが知ってるであろう名曲が数多く収録されていて、オジーのソロ時にも必ず演奏される「War Pigs」や「Iron Man」といった曲がその代表だろう。その後もバンド史上大傑作と呼ばれる機会の多い2枚『MASTERS OF REALITY』(1971年)、『VOL.4』(1972年)をリリースしていくものの、オジーのドラッグ癖は更にエスカレートする。5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』(1973年)はピークを越えたバンドが、次にどう進んでいけばいいかという迷いと実験が伺える1枚。一般的には初期サバスで聴くべきと言われているのはここまでなのだが、個人的には6作目『SABOTAGE』(1975年)も7作目『TECHNICAL ECSTASY』(1976年)も捨てがたい。そしてこのアルバムの後にオジーが脱退。新しいボーカルを入れるものの上手くいかず、結局オジーが出戻り、オリジナル・サバスとしてはラストとなる8作目『NEVER SAY DIE!』(1978年)を発表するも、やはり音楽的には先のアルバム群には及ばぬ内容。肉体的にも(この頃はメンバー全員がかなりのハード・ジャンキーだった)ボロボロだった頃の1枚としては非常に気になる存在だが……そして再びオジーが離脱。バンドは2年後にRAINBOWを脱退したロニーを迎え、新生サバスとして『HEAVEN AND HELL』を発表、バンドとしても音楽的にも新しく生まれ変わるのであった(これ以降の話は、またの機会に)。

以上が簡単なオジー在籍時のバンドの歴史である。オリジナル・サバスはその後、1985年夏の『LIVE AID』で1日だけ復活、そして1992年秋のオジー引退公演の最終日に再び集結。実はこの後にオリジナル・サバス復活の噂で湧いた事があった。が、メンバー4人それぞれがバラバラのマネージメントに所属し、話し合いこそ持たれたものの、折り合いがつかず流れてしまう。それが何故か1997年に入り、BLACK SABBATHはオジー、トニー、ギーザー、ビルの4人で復活するのだ。バンドは存続していたから、KISSのようなケースなわけだ。誰もが祭り/イベントとしての一時的再結成と思っていた。が、翌1998年になってもバンドはオジー主催のヘヴィロック・フェス『OZZ FEST』で英米を回り、同年10月にはオリジナル・サバスとしては初のバンド公認ライヴ・アルバム(しかも2曲の新曲入り)『REUNION』を発表、その後も1999年12月までライヴ活動を行う。多くの人間はミレニアムを機に、サバスは封印されたと思っていた。が、実は2001年現在も、バンドは存続していて、しかもオリジナルメンバーでまた『OZZ FEST』に出演していて、新たな新曲まで披露している。しかも来年2002年秋には、オリジナルサバスとしては24年振りのオリジナル・ニューアルバムを発表するという。

80年代はメタルの、90年代に入ってからはグランジ、ストーナー・ロック、ヘヴィロックのオリジネーターとして崇め立てられているオリジナル・サバス。その魅力はこの最新作『REUNION』にも封じ込められている。先に挙げたような代表曲が殆ど収められていて、尚かつ現在進行形のバンドとして新曲も収録されている。まぁ新曲に関してはオジーのソロ曲に毛が生えたような印象を受けるが(逆にオジーが唄えば全てサバス風という印象を受けるし、ここ数年のオジーは意識的にサバス的要素を盛り込んでいる)、ライヴ音源に関しては……多くの人間が驚く事と思う。1曲目「War Pigs」から観客の大合唱。ここ日本では考えられないだろう。「何故オジー期を崇めるのか?」という疑問こそ、実は日本人が多く陥る問題なのだ。何故なら、殆どの日本人がオリジナル・サバスを体験していなかったからだ。オジー在籍期のサバスは、現在に至るまで1度も来日していない(初来日はロニー加入後の1980年。その後も2度来日している)。1972年頃、1度来日が決まったらしいが、すぐに流れてしまったという。もし、この時期に来日していれば、間違いなくサバスへの、ここ日本での評価は変わっていたはずだ。

そう、ここ日本では欧米程オジー期サバスに対してあまり深い思い入れも、高い評価も成されていなかったのだ。それが90年代に突入してからのグランジ~ヘヴィロックという流れを経て、欧米に追いつけ追い越せという感じでようやく正統な評価を得るようになったのだ。現在のファンには想像もつかないだろうが、俺が中学生の頃は、オジー在籍時よりもロニー加入後の2枚(『HEAVEN AND HELL』『MOB RULES』)への評価の方が高く、オジー期は「日本人向きではない」と切り捨てていた雑誌もあった程だ。雑誌での「70年代の名盤100選」というような企画でも、サバスは1枚入っていればいい方で、それも的外れな選出がされていたりと、かなり俺の中でも印象が薄かった記憶がある。そんな中、やはりというか伊藤政則氏が別誌の同企画で『VOL.4』を挙げ、そこで初めて俺はサバスの音に触れる事になるのである。

同時期にブレイクしたことから、よくLED ZEPPELIN、DEEP PURPLE等と一緒に日本では紹介される機会の多かったサバスだが、日本では先の2バンド程評価も知名度も高くはなく、逆に欧米ではDEEP PURPLE以上の人気を得ていた。日本の宗教が仏教というのも大きく影響しているのだろう(「BLACK SABBATH」というバンド名自体、キリスト教下で育った人間でなければ深く理解できない要素があるだろうから)。今でいえばMARILYN MANSONのような存在といえばいいのだろうか? 音楽的にも、表面的なイメージ的にも、BLACK SABBATHというバンドは、当時の他のバンドと比べても抜群に斬新な存在だったのだ。そういうサバスの黒魔術的イメージに影響を受けてか、後にジミー・ペイジやリッチー・ブラックモアもそっち方面に片足を突っ込んだ事があったが、やはり格というか意気込みが違い過ぎた。ドラッグにより死の直前まで行ってしまったからこその、あの存在感・恐怖感。あれは誰にも真似できないものなのだ。

サバスが後陣達に与えた影響を考える時、最も解りやすいのが『OZZ FEST』だろう。現在でも行われている、このヘヴィロック見本市は1996年からスタートしていて、当時の出演バンドはオジー(ソロで)、SLAYER、SEPULTURA、BIOHAZARD、FEAR FACTORY、NEUROSIS、POWERMAN 5000、EARTH CRISIS、CELLOPHANE、COAL CHAMBER。新旧のヘヴィロックの見本市といった感じで、翌1997年にはオリジナルサバスの他にオジーのソロ、MARILYN MANSON、PANTERA、TYPE O NEGATIVE、FEAR FACTORY、MACHINE HEAD、POWERMAN 5000がメインステージ、DRAIN、VISION OF DISORDER、DOWNSET、NEUROSIS、COAL CHAMBERがセカンドステージに出演している。こうやってどんどん大規模になっていったのは、興行的に大成功している証拠である。また、出演するバンドも「サバス/オジーから影響を受けたバンド」という共通項でのみ選出され、中にはTHERAPY?やFOO FIGHTERSといった、およそメタル/ヘヴィロックとは結びつかないバンドも1998年版には出演している。何故FOO FIGHTERS?と思うかもしれないが、よく考えて欲しい。デイヴ・グロールは元NIRVANAである。NIRVANAというとパンク的イメージがあるが、そのヘヴィなリフは間違いなくサバスの影響下にあるものであり、他の同時期に現れたシアトル勢……SOUNDGARDEN、ALICE IN CHAINS等の音は、まんまサバスではなかろうか?

この「ヘヴィロックの見本市」という姿勢は現在も貫かれていて、今年もオリジナルサバスを筆頭にMARILYN MANSON、SLIPKNOT、PAPA ROACH、LINKIN PARK、DISTURBED、CRAZY TOWN、ZAKK WYLDE'S BLACK LABEL SOCIETY(メインステージ出演者中、唯一のインディーバンド。単にオジーバンドのギタリストというだけでメインに選ばれたのか?)といったメンツで興業されている。若干「売れ線バンド」が多いのが気になるが(特にPAPA ROACHやLINKIN PARKといったバンドや、ヒップホップ色の強いCRAZY TOWN)、その分セカンドステージには活きのいい若手が多い。ここ日本でも名前が知れているバンドとなるとMUDVAYNE、UNION UNDERGROUND、GODHEAD、そして期待の新人BEAUTIFUL CREATURESといったバンドだろうか? 特にゴスと言っても過言ではないGODHEADやパンキッシュなUNION UNDERGROUND、そしてAC/DCを彷彿とさせるBEAUTIFUL CREATURES等、本当に幅広い。こういうバンド全てが本当にサバスの影響を受けているのかは正直判らないが、直接にせよ間接的にせよ、サバス・チルドレンであることには違いない。ここ日本ではあまりサバスの影響下にあるバンドを見かけないだけに、ちょっと判りづらいかもしれないが(どうしても日本ではDEEP PURPLE的様式美に走りがちだし。例えばB'zがサバス的楽曲をシングルリリースするとは到底思えないし)こういう感じでオジー在籍時のサバスは、幅広い影響を与え続けてきたのだ。その結果が、先のサブタイトルのように「神として崇め」る事に直結しているのだ。

今回のテキストを読むに当たり、是非先のライヴ盤「REUNION」を聴いてもらいたい。言葉で説明するより、その音や雰囲気をライヴから掴んで欲しい。どれだけ熱狂的に受け入れられているか‥‥もし更に興味を持ったなら、その再結成ライヴの模様を収めたビデオ&DVD「LAST SUPPER」という作品も出ているので、参考にしてもらいたい。

投稿: 2001 09 02 04:00 午前 [Black Sabbath] | 固定リンク