カテゴリー「Black Sabbath」の25件の記事

2020年6月20日 (土)

BLACK SABBATH『SABOTAGE』(1975)

1975年7月に発表されたBLACK SABBATHの6thアルバム。

『VOL.4』(1972年)までの初期4作で音楽的にピークを迎え、前作『SABBATH BLOODY SABBATH』(1973年)では臨界点に達し新たなスタイルを模索し始めたサバス。その試行錯誤は本作でも続いているように感じます。

オープニングを飾る「Hole In The Sky」の破天荒さは「これぞオジー・オズボーン(Vo)」と言いたくなるくらい“らしい”仕上がりで、文句なしの1曲だと思います。そこから1分にも満たないインタールード「Don't Start (Too Late)」を挟んで、スラッシーなギターリフが印象的な名曲「Sympton Of The Universe」へとつなぐ構成はさすがの一言。サバスの勢いはまったく衰えていないように感じます。

しかし、この「Symptom Of The Universe」という曲がなかなかの曲者でして。メタリックな序盤の印象から一変、後半はジャジーなフレージングとトニー・アイオミ(G)のアコギを大々的にフィーチャーした展開に。このサイケデリック感も彼らの持ち味ではあるものの、1曲の中で前半/後半と分断される雰囲気の変化には若干煮詰まりも感じずにはいられません。フェードアウトで終わるアレンジといい、もうちょっと作り込んだらドラマチックな1曲に仕上げられたんじゃないかと思うんですよね。

で、アナログ盤だと前半のクライマックス(早い。実質3曲目じゃん。笑)となる10分近い大作「Megalomania」へ。序盤のドゥーミーさと中盤での曲展開、ピアノを用いたアレンジなど従来の“らしさ”と新しさを求める“らしくなさ”の間で揺れ動く、どうにも評価の難しい1曲なんですよね。アイオミのリフワークは相変わらずの一言だし、オジーのボーカルもそのヒステリックさ含め最高にカッコいい。だけど、どうにもすべてがベストな形でかみ合っていると言い切れないのがもどかしいところ。ぶっちゃけ10分はキツいので、6分くらいコンパクトにまとめていたらもっと締まりのある楽曲になったんじゃないかな。そこだけが残念でなりません。

後半はドゥーミーさよりもサイケさが際立つ「The Thrill Of It All」(ギターが相変わらずカッコいい)、クワイアをフィーチャーしたドラマチックなインスト「Supertzar」、シンセを前面に打ち出したニューウェイヴっぽい「Am I Going Insane? (Radio)」と雑多な曲が並び、最後に再び9分近い長尺の「The Writ」で締めくくり。この曲も、もうちょっと煮詰めたらコンパクトでインパクトの強い楽曲に仕上がったんじゃないかなと思うんですよ(歌メロは良いしね)。そこが本当に勿体ない。

初期の邪悪さやダークさは完全に薄れ、アートワーク含め普通のハードロックバンドになってしまった……と書くとネガティブな印象を与えてしまいますが、ポジティブに解釈すると数年後に始まるオジーのソロ活動への布石と受け取ることもできます。本作で実践している雑食性って、要は今のオジーそのものですからね。バンドとしては完全に過渡期ですが、長い歴史を振り返ると「そりゃこういうのもあるよね」と不思議と許せてしまう。それは単に、僕がオジーの歌声が好きだからというのも大きいのでしょう。だって、基本的にオジー・サバスにハズレなし!と思ってますから(なので、中途半端ながらもこれはこれでアリと受け止めています)。

万人向けではないですが、サバス初期5作からオジーのソロをある程度まで聴き終えたら、ここに足を踏み入れてもいいのかな。そういう、ある種マニア向けの1枚。

 


▼BLACK SABBATH『SABOTAGE』
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2020年5月 2日 (土)

V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』(2014)

2014年4月初頭にリリースされた、ロニー・ジェイムズ・ディオのトリビュートアルバム。日本盤は海外に先駆け、同年3月下旬に発売されました。

2010年5月にがんのためこの世を去ったディオを追悼すべく、メタル界の重鎮から次世代バンドまで幅広い層が一堂に会したこのアルバム。全14曲(ボーナストラック除く)中、本作のために録音された未発表テイクは10曲と単なる埋め合わせ的アルバムでないことが伺えます。

そのラインナップもロブ・ハルフォードJUDAS PRIEST)やグレン・ヒューズ(ex. DEEP PURPLE)、SCORPIONSMOTÖRHEAD、ビフ・バイフォード(SAXON)といった大御所からMETALLICAANTHRAX、DOROなど直接的なフォロワー、そしてHALESTORM、コリィ・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)、KILLSWITCH ENGAGEなどの次世代アーティスト、さらにはヴィニー・アピス、ダグ・アルドリッジ、ジェフ・ピルソン、ルディ・サーゾ、クレイグ・ゴールディ、サイモン・ライト、スコット・ウォーレンといったDIOオールスターズまで、世代的にもかなり広いものとなっています。

本編ラストに収められたDIO「This Is Your Life」(1996年の『ANGRY MACHINES』収録曲)を除く13曲中、RAINBOWナンバーを選んだのが5組、BLACK SABBATHナンバーが3組、DIOナンバーが5組とやはりRAINBOWへの人気が集中。METALLICAに至ってはメドレー形式で4曲取り上げてますからね。ズルいわ(笑)。

サバス曲は当然すべて80年代の……と思いきや、オニ・ローガン(Vo/ex. LYNCH MOB)は『DEHUMANIZER』(1992年)からの「I」を選ぶ通ぶりを発揮。こちらはジミー・ベイン(B)やローワン・ロバートソン(G)といった旧DIO組も参加しています。この曲、こうやって聴くと思ったほどモダンなテイストが少なくて、80年代のディオ・サバスを踏襲してたんだねと気づかされます。

1曲ずつ解説していたらキリがないので割愛しますが、ANTHRAX「Neon Knights」におけるジョー・ベラドナのモノマネぶりが相変わらず最高なことと、SCORPIONS「The Temple Of The King」が完全に自分のものと化していること、METALLICAメドレーの強引ぶりなどは特筆すべきものがあるかなと。もちろん、ほかの楽曲も最高なので、原曲を知らないリスナーでも楽しめるはずです。

なお、日本盤にはSTRYPERによる「Heaven & Hell」、DIO DISCIPLES(DIO最終ラインナップのディオ抜き)による「Stand Up And Shout」を追加収録。ストリーミングなどのデジタルバージョンではHATEBREEDのフロントマン、ジャスタによる「Buried Alive」を聴くことができます。ここはぜひ、日本盤を手に入れておきたいところです。

 


▼V.A.『RONNIE JAMES DIO: THIS IS YOUR LIFE』
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HEAVEN & HELL『THE DEVIL YOU KNOW』(2009)

2009年4月末にリリースされたHEAVEN & HELL唯一のスタジオアルバム。

HEAVEN & HELLはロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ヴィニー・アピス(Dr)という『MOB RULES』(1981年)や『DEHUMANIZER』(1992年)を制作したBLACK SABBATHの面々による変名バンド。2007年にディオ在籍時の楽曲を集めたコンピレーションアルバム『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』をリリースした際、この4人による新曲を3曲制作しましたが、ここで得た手応えから再度スタジオ入りし、アルバムまで完成させるに至るわけです。

オジー・オズボーンとのBLACK SABBATHも“生きている”ちゃあ生きているタイミングだったので、サバス名義ではなくディオ・サバスの1作目に当たるアルバム『HEAVEN AND HELL』(1980年)のタイトルをそのままバンド名に用いて、ツアーやレコーディングを続けますが、本作リリースから1年後の2010年5月16日、ディオはこの世を去ることに。結果として、本作が生前最後のレコーディング作品となってしまいました。きっと、ディオ自身も死期を悟り、最後にもうひと花という意味でサバス復帰を選んだのでしょうね。

作風的には『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』よりも、再編後に制作した『DEHUMANIZER』に近い、ミドルヘヴィナンバーを中心とした内容。ですが、『DEHUMANIZER』のようなモダンヘヴィネス的色合いはまったくなく、むしろ『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』に含まれていたミドルヘヴィナンバーをより熟成させた、濃厚でねっとりしたディオ・サバス曲で構成されています。要するに、悪いわけがない。最高の仕上がりなのです。

当時のアイオミのスタイルを考えると、本作の次に制作されたオジー・サバスの最終作『13』(2013年)にも通ずる作風と言えるでしょう。つまり、アイオミが「BLACK SABBATHとは?」という命題と向き合い、2人の代表するシンガーとともに完成させた“答え”という意味で、本作と『13』は対となる2枚だと思うのです。

『13』ではひたすらドゥーミーでミドルスロウな楽曲ばかりにご執心でしたが、ここではミドルを軸に若干のアップダウンが用意され、その緩急が聴き手に心地よさを与えてくれる。つまり、同じミドル続きでも『13』ほど退屈しないのが今作最大の特徴であると。それには、ディオという稀代の名シンガーの尽力も大きいと思います。ディオ御大、最後の最後にベストパフォーマンスを残そうと制作に臨んだのでしょう。どこをどう切り取ってもディオ以外の何者でもありません。

わかりやすい派手さは皆無ですが、ディオ・サバスを愛する者、あるいはロニー・ジェイムズ・ディオというシンガーの歌が好きなリスナーなら間違いなくハマる1枚。モダンメタルが台頭する2009年という時代に、オールドスクール世代がかましたカウンターという意味においても非常に重要な作品だと断言できます。

日本盤CDには先のコンピ盤『BLACK SABBATH: THE DIO YEARS』に収録された新曲3曲が、ボーナストラックとして追加されています。つまり、『THE DEVIL YOU KNOW』日本盤を購入すれば、HEAVEN & HELLとしてレコーディングしたオリジナル曲はすべて手に入ることになるので、これから購入する際には迷わず日本盤をゲットしておきましょう。

 


▼HEAVEN & HELL『THE DEVIL YOU KNOW』
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2020年2月24日 (月)

BLACK SABBATH『DEHUMANIZER』(1992)

1992年6月末にリリースされたBLACK SABBATHの16thアルバム。日本盤は約1週間遅れの、同年7月上旬に発売されました。

トニー・アイオミ(G)にトニー・マーティン(Vo)、コージー・パウエル(Dr)を中心とした布陣で14thアルバム『HEADLESS CROSS』(1989年)を制作し、同作のツアーからニール・マーレイ(B)が加入。その編成で15thアルバム『TYR』(1990年)を制作したBLACK SABBATHは、ロニー・ジェイムズ・ディオ時代の名盤『HEAVEN AND HELL』(1980年)を思わせる様式美スタイルでリスナーを喜ばせてくれました。

しかし、この布陣は長くは続きませんでした。「ロニー時代のサウンドに挑むなら、せっかくだし当の本人呼んじゃえよ!」ってことで(いや違うけど)、トニー・マーティンに代わりロニー御大を呼び戻したアイオミ。さらにベーシストをオリメンのギーザー・バトラーに交代し、ディオ/アイオミ/ギーザー/コージーという夢のような編成が実現します。

ところが、コージーが落馬により骨折。バンド離脱を余儀なくされ、後任にヴィニー・アピスが加わることになります。これにより10thアルバム『MOB RULES』(1981年)の編成が復活することになり、いわゆる“ディオ・サバス”としての3作目『DEHUMANIZER』が生まれるわけです。

アルバム発売前に、映画『ウェインズ・ワールド』のサウンドトラックに新曲「Time Machine」を提供。『HEAVEN AND HELL』に収録されていしょうなアップテンポのハードロックで、我々の期待を煽ってくれましたが、いざ届けられたアルバムは『HEAVEN AND HELL』や『MOB RULES』とも、それこそ直近の『TYR』とも異なる、現代的なヘヴィさが強調された異色作でした。

様式美を意識した作風というよりは、当時流行り始めていたモダンヘヴィネス系を彷彿とさせる、リフでグイグイ引っ張り続けるダークなミドルチューンが中心。そこにディオのボーカルが乗ることで“らしさ”は若干維持されているものの、歌メロの抑揚が過去の名作ほど起伏に富んだものではない。この平坦さ(今聴くとそこまで平坦でもないけど)こそ1992年という時代ならではで、ディオにしろアイオミにしろ「過去の焼き直し」ではなく「今のシーンと対峙する」ことを念頭に置いたアルバム作りに臨んだことが伺えます。

アイオミのリフワークはさすがの一言だけど、オジー・オズボーン在籍時のヘヴィさとも異なる新たなダークさ、ヘヴィさを表現している。かつ、そこに従来らしさもにじませているもんだから、リリース当時は非常に複雑な新曲になったものです。「あれ、アイオミ先生……トニー・マーティンをクビにしてまでやりたかったことがこれなの?」と。

ところが。ディオ・サバスはこの1枚で再び頓挫。アイオミ先生は再びトニー・マーティンを呼び戻し、『HEADLESS CROSS』路線を推し進めた傑作『CROSS PURPOSES』(1994年)を完成させ、一方のディオ御大はモダンヘヴィネス路線に特化した『STRANGE HIGHWAYS』(1993年)をリリースするのでした……はい、戦犯が誰かおわかりですね(笑)。

でもね。本作のリリースから30年近くを経た今、このアルバムとしっかり向き合うと……めっちゃ良いんですよ。ディオらしさもしっかり表現できているし、アイオミのリフメイカー/ソングライターとしての才能も際立っている。むしろ、グランジやモダンヘヴィネス系が台頭し始めたタイミングに、HR/HMのオリジネイターとしてちゃんと“今”と向き合い、そこで自分ができることを提示してくれている。退屈な曲がゼロとまでは言いませんが、全体を通して普通に楽しめる1枚だと思います。

個人的にはイントロで異彩さを放つ「Master Of Insanity」や、途中での展開がいかにもな「Computer God」、サイケなメロディラインが新鮮な「Sins Of The Father」、もっともディオ・サバスらしい「Too Late」などお気に入り多数。まあ、ここでの経験がさらに10数年後にHEAVEN AND HELLという変名ディオ・サバスへとつながっていくわけですが、それはまた別の機会に。

 


▼BLACK SABBATH『DEHUMANIZER』
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2020年2月23日 (日)

BLACK SABBATH『13』(2013)

BLACK SABBATHが2013年6月に発表した、通算19作目にして最後のオリジナルアルバム。

オジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)のオリジナルメンバー3人が揃ってのレコーディングは、1998年リリースのライブアルバム『REUNION』に収められたスタジオ新録曲「Psycho Man」「Selling My Soul」以来15年ぶり、フルアルバムとしては1978年の8thアルバム『NEVER SAY DIE!』以来実に35年ぶり。残念ながらビル・ワード(Dr)は不参加となりましたが(そもそも「Psycho Man」「Selling My Soul」もクレジットこそされているものの、実際のレコーディングはリズムマシーンを使用したものでした)、代わりにRAGE AGAINST THE MACHINEのブラッド・ウィルク(Dr)が参加しています。

プロデュースを手がけたのはリック・ルービン(RED HOT CHILI PEPPERSLINKIN PARKMETALLICASLAYERなど)。その組み合わせかぁ……とうれしさ半分、残念さ半分でしたが、実際に完成したアルバムは“オジー・サバス”の良き時代を40年後に見事に復活させた、非常に“らしい”1枚に仕上がっていると思います。

本作は全8曲で構成されたスタンダード仕様と、ボーナストラック3曲を加えたCD 2枚組のデラックス仕様の2形態を用意。スタンダード盤が8曲と昨今の作品としてはボリューム的に弱い印象を受けますが、実際には1曲1曲が長尺なものばかり(4〜5分台が3曲、7分が3曲、8分台が2曲)なので、トータル約54分と満足のいくボリュームかと言えます。

「End Of The Beginning」「God Is Dead?」と長尺のリードトラック2曲が続くオープニングからして、“あのオジー・サバスが戻ってきた!”感の強いもので、特に初期4作の彼らをなぞったリフ、アレンジ、メロディは新しさこそ皆無ながらも、オジーらしさとトニーらしさ(もちろんギーザーらしさも)が見事にミックスされた“ナウなサバス”に仕上げられているんじゃないでしょうか。

続く「Loner」もそれらしい1曲ですし、冒頭にオジーの笑い声がフィーチャーされたサイケデリックなアコースティックナンバー「Zeigeist」も2ndアルバム『PARANOID』(1970年)期を思わせるテイスト。後半の「Age Of Reason」もトニーらしいギターリフを楽しめるし、「Live Forever」も冒頭の一音(というか、バンドが一斉に出す音)からしてサバスそのもの(途中からの展開含め、らしさ全開)。全8曲、比較的ドゥーミーなミドル/スローナンバーばかりで構築されているため、若干気怠く感じてしまうかもしれませんが、好きな人にはたまらない流れなんじゃないでしょうか。

一方、DISC 2にはオジーのソロ作に比較的近いアップテンポな「Methademic」や、グルーヴィーなリフを持つ「Pariah」みたいに、アルバム本編に入れたらフックとなるような曲が用意されている。あれ、なんでこっちを本編に入れなかったの?と不思議に感じてしまうほど、曲の出来は悪くない。きっと、プロデューサーが初期サバスにこだわりすぎた結果、こういった楽曲はボーナストラックに回されてしまったんでしょうかね。日本盤ボーナストラックとして用意されたアップチューン「Naivete In Black」も然り。ああ、勿体ない。

最初の8曲だけ聴いたら「ああ、これで最後なの……なんだか歯切れ悪い最後だな」と消化不良で終わりそうですが、「Methademic」や「Pariah」「Naivete In Black」みたいな曲のおかげでなんとか気持ちを持ち返すことができた。これはもう、プロデューサー(と、その意見に従ったバンド側)の采配ミスですね、完全に。

アルバム本編から長尺曲をひとつ間引いて、ボーナストラック扱いの4曲から2曲付け加えることで、もうちょっと完成度の高い“スワン・ソング”が生まれたんじゃないかな……1つひとつのパーツが素晴らしいだけに、そこだけが残念でなりません。

 


▼BLACK SABBATH『13』
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2020年1月26日 (日)

BLACK SABBATH『HEAVEN AND HELL』(1980)

1980年4月に発売されたBLACK SABBATHの9thアルバム。日本盤も同年に発表されており、当時のライナーノーツの執筆日付が「1980年4月」となっていることから、同年6〜7月頃に発売されたのではと推測します。

約10年にわたり、計8作のスタジオアルバムをオジー・オズボーン(Vo)、トニー・アイオミ(G)、ギーザー・バトラー(B)、ビル・ワード(Dr)という編成で作り続けましたが、オジーの脱退によりこの編成も崩壊。一時はギーザーも脱退してしまいますが、最終的にロニー・ジェイムズ・ディオ(Vo / ex. RAINBOW、ex. ELF)、トニー、ギーザー、ビルという布陣でレコーディングに突入します。

過去2作ではセルフプロデュースに挑んでいましたが、今作ではマーティン・バーチ(DEEP PURPLEIRON MAIDENWHITESNAKEなど)がプロデュースを担当。サポートメンバーにジェフ・ニコルス(Key / ギーザー脱退中にベーシストとして加入。その後、キーボードにシフト)を迎え、新たなサバス像を完成させます。

本作にはオジー期サバスを象徴するような「リフでグイグイと、引きずるように引っ張るヘヴィでスローなメタルチューン」とは異なり、ディオがRAINBOWから持ち込んだ「ドラマチックな展開を持つ様式美的展開」と「高低の幅が広いメロディを歌い上げる高性能シンガー」という要素が良いスパイスとなり、「サバスのようでサバスではない、RAINBOWのようでRAINBOWではない何か」を完成させています。

とにかく、冒頭の疾走ナンバー「Neon Knight」からして文句なしの仕上がりですし、続くミドルテンポのヘヴィチューン「Children Of The Sea」も圧巻の構成。この2曲だけで掴みは完璧なんです。トニーのリフワークも冴えているし、かつソロプレイも充実度が高い。「Children Of The Sea」での粘っこいソロはメタル史に残したい名プレイのひとつだと断言します。

RAINBOW時代を思わせるロックチューン「Lady Evil」があったり、名曲中の名曲「Heaven And Hell」、軽快さとスリリンスさが共存する「Wishing Well」、ドラマチックなファストナンバー「Die Young」、「Lady Evil」と同じ流れにある「Walk Away」、そしてアルバムラストを飾るヘヴィな「Lonely Is The Word」。全曲が同じレベルで優れているとは言い難いかもしれませんが、前作『NEVER SAY DIE!』(1978年)で到達したポップなハードロック路線も残しつつ、それらを“歌える”シンガーに歌唱させることで完成度を高める。さらに、“ディオらしい”ドラマチックさが加わったことで、ヘヴィはヘヴィでも初期のテイストとは若干質の異なるヘヴィさを生み出すことに成功。イギリスで新たなHR/HMの潮流が散見され始めたタイミングに、若手に負けじと新たなチャレンジに挑み、その勝負に見事勝利した……そんな奇跡の1枚が本作と言えるでしょう。

初期サバス原理主義者からは敬遠される1枚かもしれませんが、個人的には本作を“サバスとして認め”ない人は信用できないし、信用しません。だって、『HEAVEN AND HELL』を否定することは、『HEADLESS CROSS』(1989年)も『CROSS PURPOSES』(1994年)も否定することと同義になってしまいますから。良いものは良い、それを素直に受け止める世代を信じたいと思います。

 


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2020年1月25日 (土)

BLACK SABBATH『NEVER SAY DIE!』(1978)

1978年9月にリリースされたBLACK SABBATHの8thアルバム。日本盤も同年に発表されているようですが、当時のライナーノーツの日付が「1978年9月」となっていることから、2ヶ月くらい発売時期は遅れたのかなと。当時の日本盤はそれくらいのインターバルがあるのは普通だったので、意外でもないですけどね。

前作『TECHNICAL ECSTASY』(1976年)で若干ポップなハードロック路線へと移行したサバスでしたが、翌1977年11月にオジー・オズボーン(Vo)が一度脱退するとうハプニングが発生。後任にデイヴ・ウォーカーというシンガーを迎え、短い間ですがライブ活動を続けていたものの、結局1978年1月にオジーが復帰。そのまま今作の制作に突入します。

オープニングのタイトルトラックが醸し出す軽快さ(ちょっとTHIN LIZZY「The Boys Are Back In Town」っぽい)に、いきなり肩透かしを食らうこのアルバム。どうしてもこの1曲目のインパクトが強すぎて、そこまで真剣に聴いてこなかった作品集ですが(ていうか、若い頃は本当に1曲目を聴いて再生をストップさせてたし)、全体的にもいわゆる初期のおどろおどろしいメタリックな要素は払拭され、軽やかさ/しなやかさが際立つ新境地を見せてくれます。前作も悪くなかったけど、むしろ前作でやろうとしたことの完成形がここには存在しているのかなと。

初期から備わっていたジャジーな色合いが別のベクトルを持ち始めた「Juior's Eyes」や「Air Dance」、イントロのシンセサイザー(ドン・エイリーによるもの)に度肝を抜かれるものの、続く疾走感の強いアレンジに心を奪われる「Johnny Blade」、軽やかなブギーサウンドに乗ったサイケデリックなメロディが新鮮な「A Hard Road」、ピアノをフィーチャーした華やかな「Over To You」など、改めて聴き込むと佳曲の多さに気づかされる1枚ではないでしょうか。うん、思ったほど悪くない。

ところが、終盤に入って「Iron Man」ばりのヘヴィなバンドアンサンブルにゴージャスなブラスセクションとサックスソロが乗っかったインスト「Breakout」に腰を抜かすことに。さすがにこれはやりすぎだろ!とツッコミを入れたくなりますが、その流れのまま強引に突入する「Swinging The Chain」ではビル・ワード(Dr)がリードボーカルをとるという謎のエンディングに。あれ、こんな終わり方?(苦笑)

間違いなくバンドとして過渡期に突入していることが伺えるし、結局本作を携えたツアー終了後にオジーが再脱退→ソロ活動に突入することに。サバスは新たに元RAINBOWロニー・ジェイムズ・ディオをフロントマンに迎え、さらなる新境地となる傑作『HEAVEN AND HELL』(1980年)を完成させることになるのでした。

好き嫌い分かれる1枚かと思いますが、ポップさ/わかりやすさという点においてはのちのオジーソロへとつながっていく点も少なくなく、逆にトニー・アイオミ(G)のメタル・リフマスターとしての仕事ぶりに不満が残る(その点は次作で解消されるのですが)、ひとつの時代の終焉を感じさせる内容となっています。にしても、オジー期がこれで終わりっていうのもね(まあ、これだったから終わったんだろうけど)……と80年代、90年代と長らく感じていたのですが、本作から35年後にオジー、トニー、ギーザー・バトラー(B)が揃った編成での新作『13』(2013年)を聴ける日が来るとは。長生きはするものですね(笑)。

というわけで、本作のタイトルおよびタイトルトラックをオジー・オズボーンに捧げます。Never Say Die!

 


▼BLACK SABBATH『NEVER SAY DIE!』
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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、今年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

2019年10月27日 (日)

CANDLEMASS『THE DOOR TO DOOM』(2019)

2019年2月に発表された、CANDLEMASSの12thアルバム。前作『PSALMS FOR THE DEAD』(2012年)から6年半ぶりの新作に当たります。

前作はリリース当時、バンドにとって最後の作品になると噂されていました。リリース後にはアルバムに参加していたロバート・ロウ(Vo)が脱退するなど、二度目の終焉に向けて崩壊が始まったのかと思っていたところ、なんと過去にTREAT、イングヴェイ・マルムスティーン、THERIONなどで活躍したマッツ・レヴィン(Vo)が加入。バンドは噂を払拭するがごとく活動を継続し、2016年にはマッツが参加したEP『DEATH THY LOVER』を発表、同年秋には『LOUD PARK 16』にて初来日も実現しました。

しかし、2018年にはマッツが脱退。そんな彼に代わり、新たにバンドに加わったのは1stアルバム『EPICUS DOOMICUS METALLICUS』(1986年)のみ参加の初代ボーカリスト、ヨハン・ラングクイスト(Vo)でした。こうして1stアルバム以来32年ぶりの邂逅となった新作が完成したわけです(アートワークも、1stアルバム・リスペクトなテイストですし)。

展開されているサウンド、楽曲はどこからどう聴いてもCANDLEMASS以外の何者でもない、叙情的な深みを持つドゥームメタル。ヨハンのボーカルは前任や歴代のシンガーと比較するとクセも弱いし派手さも皆無ですが、味わい深さという点においては一級品で、成熟しきった今のCANDLEMASSサウンドには持ってこいの適任者だと思いました。特に、「Bridge Of The Blind」のように静の面を強調したスローナンバーではその魅力が存分に発揮されており、本作中盤のハイライトのひとつに挙げられると思います。

と同時に、BLACK SABBATHばりにうねりを上げるメタルチューンでも、彼なりのヘヴィさが表現されており、地味ながらもジワジワとボディブローのように効いてくる魅力が備わっていると思いました。個人的には序盤3曲や「Death's Wheel」みたいな曲、めっちゃツボですし。

そうそう。サバスといえばこういったドゥームメタルの始祖的存在として知られているわけですが、本作3曲目の「Astorolus - The Great Octopus」にはご本家のトニー・アイオミ(G)がギターソロでゲスト参加しております。聴けばアイオミとわかるその粘っこいプレイはさすがの一言。もちろん、当のCANDLEMASSのリードギタリスト、ラーズ・ヨハンソン(G)も負けじと、個性的でストロングスタイルなソロを聴かせてくれるのでご安心を。

オジー・オズボーン時代のサバスのドゥーミーな部分と、ディオ時代のサバスが持っていたドラマチックさを兼ね備え、かつ王道HR/HMの伝統芸とモダンなヘヴィさを併せ持つ、非常にバランスが良くて聴き応えのある1枚。11月には本作を携えた単独来日公演も予定されているので、ぜひ本作の濃厚な世界観を生でも体験してほしいところです。僕も都合つけて、どうにか足を運びたいな。

 


▼CANDLEMASS『THE DOOR TO DOOM』
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2019年8月13日 (火)

BLACK SABBATH『SABBATH BLOODY SABBATH』(1973)

BLACK SABBATHが1973年12月に発表した5thアルバム。全英4位、全米11位という好記録を残しており、本作までを初期サバスの黄金期と認識するファンも少なくないようです。

『血まみれの安息日』の邦題でHR/HMファンの間ではおなじみのこのアルバム。前作『VOL.4』(1972年)では従来の“らしさ”に拍車がかかりつつも、新たな実験にも取り掛かるなどバンドとしての意欲が伝わってきましたが、この新作制作に入る際には新曲がひとつもできていなかったとのこと。つまり、バンドとしては枯渇状態にあったようです。

その要因のひとつに、オジー・オズボーン(Vo)をはじめとするメンバーのドラッグ問題もバンドに大きな影を落としていたことは否めません。ですが、トニー・アイオミ(G)はあるとき、起死回生の一撃となるギターリフに出会います。それがタイトルトラック「Sabbath Bloody Sabbath」のメインリフでした。

その「Sabbath Bloody Sabbath」からスタートするこのアルバム、とにかく「Sabbath Bloody Sabbath」の完成度が素晴らしいのなんのって。リフの強烈さはもちろんのこと、そこに乗るオジーの甲高い声、Bメロのジャジーなフレージングや後半の盛り上がりなど、サバスが山をひとつ乗り越えてまた新たな山を登り始めた、そんな“次への鍵”になっていたんじゃないかと思います。

続く「A National Acrobat」や「Sabbra Cadabra」といい、ラストの「Spiral Architect」といい、サバスのサバスたる所以が詰め込まれているし、中でも特に「Spiral Architect」は前作での実験が結実したようなアレンジ含め素晴らしいのなんの。

かと思えば、サイケデリックなロックチューン「Killing Yourself To Live」やシンセを前面に打ち出した「Who Are You?」、グルーヴィーな「Looking For Today」、アコギとピアノなどで構成された「Fluff」は確実に『VOL.4』がなかったら生まれなかっただろう楽曲群だし。実は意外と粒ぞろいな1枚なんじゃないかと思っています。

実は10代〜20代前半の自分は完全なる『MASTER OF REALITY』(1971年)&『VOL.4』信者で、有名曲の多い2ndアルバム『PARANOID』(1970年) や表題曲しか聴きどころがない(と思い込んでいた)本作を毛嫌いしていました。でもね、年を取るとキャッチーな『PARANOID』はもちろんのこと、良い意味で“らしくない”ことにトライしようとした本作が愛おしく思えてくるんですよね。不思議なものです。

というわけで、僕的にはオジー在籍時のサバスに捨て作なし……と思っております(今後、6作目『SABOTAGE』から8作目『NEVER SAY DIE!』、さらにはラスト作『13』までを取り上げる機会があると思うので、そちらも好意的に触れていきたいと思います)。

 


▼BLACK SABBATH『SABBATH BLOODY SABBATH』
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